災害にあったらどうするかの対応をまとめてみた

 災害にあった後何から手を付けたらいいかというのは悩むものです。
 参考になるかどうかはわかりませんが、当研究所で以前に書いた記事をまとめたものを作ってみましたので、気になった記事があればご覧ください。

20181216 災害時の情報の集め方

20181218 被災物件の調査と証明のあれこれ

20190121  り災証明書・被災証明書の使い道

20190122 通電火災を防ごう

20190423  家にある飲料水を探そう

20190602 蚊対策を考える

20190622 懐中電灯を即席ランタンにする方法

20190628 災害後は子どもの過ごせる場所を作っておく

20190707 災害保険の申請は自分で行うこと

20190810 寝床に使える段ボール

20190821 口腔ケアに気をつけよう

20190831 家屋が浸水した後の処理

20190917 生ゴミの臭いを消すあれこれ

ちょっと便利な水電池

 あなたは乾電池についてはどのように備えをされていますか?
 長期保存に対応している乾電池「エボルタ」や充電池である「エネループ」、あるいはローリングストック方式で電池を確保されていると思いますが、今回は水電池をご紹介したいと思います。

20年未満は大丈夫とあるが、製造年月日が書かれていないのでできてどれくらい経過しているのかがこの製品ではわからなかった。新しいものでは改良されていてほしい。

 写真の水電池は、地元のスーパーの店頭にずいぶんと長い間置かれていたもので、ごらんのとおりパッケージはすっかり色あせてしまっています。
 この水電池をこの店で最初に見たのは東日本大震災の後だったと記憶していますので、それが本当なら8年は経過している計算になると思いますが、この電池はそれでも問題なく使うことができるようです。
 「20年未満の長期保存が可能」と大々的に表示されており、これだけ色あせているにもかかわらず定価販売されていました。
 この水電池、使うときには同封のスポイトで何らかの水分を電池に注ぐだけ。それだけで水電池は発電を始め、使うことができるようになります。
 電池が切れても水分を注ぎ直せばまた発電を再開してくれ、少なくとも2~3回は繰り返し使うことが可能だとパッケージには記載されています。
 水分ですので、飲料水で無くても、雨水やどぶ川の水でも大丈夫ですし、水に限定しませんのでお茶やジュース、小水でも発電を行うことが可能なようです。
 難点としては、発電量が小さいこと。懐中電灯で普通の乾電池と比較すると明らかに暗いです。構造上マンガン電池に近いので、アルカリ電池を推奨しているような機材には向かないと思います。
 ただ、保存期間も長く放電現象も液漏れも起きない非常に便利な水電池。値段も手頃ですし、先日の台風15号のような長期間にわたる停電のような状況だと、水分さえあれば使える水電池は非常に助かるのではないかと思います。

災害時用 水を入れるだけで使える電池!NOPOPO 水電池 単3形3本パック NWP-3-D

 もしも見かけることがあったなら、普通の電池に追加してこの水電池も一組準備しておくとよいのかなと思います。そしてその時には「購入年月日」を記載しておくことも忘れないでくださいね。

リュックサックを背負いやすくする

 防災用リュックサックは、非常に持ち歩きがしにくいものが多いです。
 最近でこそだいぶ改良されてきてはいますが、背中に当たる部分や肩に食い込みやすい構造など、やっぱり背負いにくいというのが私の印象です。

市販品の子ども用非常用持ち出し袋。胸当てなのか腰ベルトなのかわからない位置にチェストベルトがついている。

 登山用のリュックサックなら、元々荷物を入れて歩くために設計されたものですから、少々の重量物を入れても問題なく歩くことができますが、デザイン的に普段使いできるものが少ないなと言う印象を受けます。
 街中では、かわいいリュックサックを見かけることも多いのですが、これらのリュックサックは、デザイン重視のために中にものを詰めて歩いたときに非常に重たく感じることが多いです。
 リュックサック全体のバランスの問題もありますし、リュックの重量を全て肩で受けるような構造をしているので、長い距離を重たいものを入れて歩くのには向きません。
 また、背中に当たる部分を保護するものが無いためにリュックサックの中身が背中に直接当たって痛い思いをすることもあります。
 重たいものを入れて歩く登山用リュックでは、こうした点の対策が取られていて、腰を固定するベルトや胸当て、背中板や肩パットがついていて歩きやすくするための工夫がされています。

 でも、腰ベルトや胸当てがついていないリュックサックでも、上の写真のような「チェストストラップ」というアイテムを肩ベルトに固定することで、胸当てや腰ベルトを作り出すことができます。この写真では胸当てとして取り付けています。

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 また、登山用で無いリュックサックは肩ベルトのパットがないか薄いため、リュックサックの重量が増えると肩にベルトが食い込んで痛いです。この食い込みを押さえるためのアイテムは「肩パット」。

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これを装備すれば、安いリュックサックでもある程度までは使い勝手の良いものに修正することができます。
 また、背中の部分はバックパックパッドというアイテムを使ったり、リュックサックの背中側に新聞紙や段ボールを入れておくことで痛いのを防ぐことができます。
もしお気に入りのリュックサックがあるのなら、こういった製品を使ってお気に入りをより使い勝手の良いリュックサックにするのも面白いのでは無いかと思います。

防災備蓄品を考える

 8月31日の読売新聞に、広島の企業さんが益田市役所に非常食を5000食分寄贈したという記事が出ていました。
 この非常食は防災センターに備蓄され、災害時に提供されるとのこと。
 大変ありがたい話だなと思いつつ、ちょっと不安に感じたことがありました。
 それは「5000食もあるのなら、わざわざ自分の食料を準備しなくても大丈夫」と考え出す人がいないかということです。
 5000食というとかなり多く聞こえますが、実が避難者が5000人でると、1回分の食事でしかない分量ということで、政府が推奨している備蓄3日分にはほど遠い数字です。
 本来、行政の持っている災害備蓄品は何らかの理由で自身の備蓄品を持ち出すことができない人に対して提供されるものであり、被災者全てに無条件に提供されるものではありません。
 現在の防災で命を守る方法は、「自助、共助、公助」と言われており、まずは「自助」として、自分で自分の命を守るための準備を整えておくことが要求されています。
 次に「共助」。その地区や地域全体で地区や地域の人たちを守る準備をすることになっており、行政の手は「公助」として、「自助」や「共助」ではどうにもならない部分に対応することになっています。
 つまり、自分の準備は自分でしておかないと誰も助けてくれないよということを政府を始めとする行政機関が言っているのです。
 確かに、防災用備蓄品を税金で全住民の3日分を購入しておけばいいのかもしれません。
 でも、準備しても使わないこともあり得るわけです。そうすると、それら期限の切れたもしくは切れそうな備蓄品の処分をどうするかという問題が起き、結局のところ、誰がどうやってもどこかから必ず文句が出る状態になってしまうのです。
 それを考えると、防災備蓄品は各自で揃え、足りない分がもし発生すれば、まずは地区・地域の自治会や自主防災組織から提供を受け、それでも不足するなら行政の備蓄を消費するという流れにした方が、余計な金や労力を使わなくても済むことになるでしょう。
 面倒くさいですし、身一つで避難できればそれに越したことはありませんが、避難時には非常用持ち出し袋は必ず持って行動を開始するということが徹底できるといいなと思います。

出かけた先の避難を気にしていますか?

 大規模商用施設や宿泊施設などでもし災害に出会ってしまったら、あなたはどのように避難するのかを意識したことがありますか?
 災害が発生したときには、原則としてその場所の従業員がお客の誘導をしてくれるはずです。
 ですが、それが必ず行われるとは限りません。
 最近は従業員がパートやアルバイトが殆どというお店も珍しくありませんし、外国籍の日本語が通じない方がお仕事をされている場合もあるかもしれません。
 従業員がいても、きちんと誘導がしてもらえない場合も想定しておかないといけないのです。
 一般的に、避難誘導灯は必ず設置されていますから、それを確認すること。


 そして、出入り口や階段の近くには殆どの場合避難経路を記した案内図が掲示されているので、それを確認しておくことをお勧めします。

ホテルでは客室のドアに避難経路図が貼ってあることが多い

 また宿泊施設などでは、チェックインの際に必ず避難経路の確認をするように指示もされますし、宿泊室の扉の内側には避難経路を示したものが貼られていることが多いと思います。
 それらを確認し、面倒くさがらずに一度避難経路をたどってみること。それだけで、災害時の生存確率はかなり上昇します。
火災や地震といった大規模な災害が発生するたびに、命を守るためのさまざまなことが追加され続けています。
 ですが、それを活かすも活かさないもあなたの行動にかかっています。
 上手に活用して、いざというときに備えたいものですね。

自動車が水没したらどうする?

 今日も大雨が降っていてあちこちで被害が起きているようですが、大雨が降っているときに自動車で移動するときに気をつけなくてはいけないのは水没です。
 普段走っている道ではあまり意識していない「低地」や「アンダーパス」などは短時間に降る大雨で簡単に池となってしまうということを気をつけておかないといけません。
 自動車は案外と水に弱くて、車輪の半分以上が水に浸かると思ったように動けなくなり、吸排気系に水を吸い込んでしまうと、エンジンは簡単に停止してしまいます。また、ハイブリット車はバッテリーなどが水に浸かると電気系がショートする可能性もありますので、エンジン車よりもより水没に気をつけなくてはなりません。
 ただ、不幸にして車が水没したらどうするか?
 可能であれば、すぐに窓を開けて脱出を試みましょう。もっとも、最近の車はほぼ100%電気式のパワーウインドウを標準装備していますので、電気関係が水没してしまうと窓は開かなくなります。
 もしも流れがなく、車内に水が入ってくるようなら、車内と車外の水位が同じになった状態ならかなり重たいですが扉を開くことが可能です。
 最後に、水に流れがあったり深みにはまって緊急に脱出をしなくてはならない場合。この場合には、窓を破るしかありませんが、最近の車の窓は事故対策で頑丈にできていますのでちょっとやそっとでは割ることはできません。脱出用のハンマーでもフロントガラスは割れなかったという実験結果も出ています。
 なんにせよ、助かりたいと思ったら、まずは車を水没させないことです。
 大きく水がたまっているような場所は避けるか、または徐行して足下を確認しながら通過することです。
 勢いに任せて突破しようとすると、殆どの場合は突破できずに水没してしまい、自力脱出か、または救援を呼ぶ羽目になってしまいます。
 今回ご紹介したような、どれくらいの水深なら車のドアが開けられるのかということと、車の窓ガラスがどのような道具であれば壊せるのかということを実験した日本自動車連盟さんのサイトがありますので、車を運転される方は一度見ておいてください。
 なんにせよ、運転するときには普段から道路の高低差を確認しておき、大雨時にはそういうところを迂回して通るような意識漬けをしておくといいですね。

日本自動車連盟JAFユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか?
日本自動車連盟JAFユーザーテスト「 水没した車の窓はどうやったら割れるのか?

自分の体を補助してくれる道具は予備を準備しておこう

 災害はいつ何時起きるかわかりません。
 そして、避難するときに慌てているとさまざまなものを忘れていくものです。
 その忘れ物を防止するために非常用持ち出し袋を準備するわけですが、案外と忘れやすいのが普段使っているさまざまな補助具です。
 例えば眼鏡。それから入れ歯、補聴器、杖等々。
 以前に「眼鏡と入れ歯はスペアを用意しよう」と書いたことがありますが、避難所で不自由なく過ごすには普段から使っている、自分の生活をサポートしてくれるアイテムが必須です。
 自分の生活に必要な補助具は必ずスペアを用意して非常用持ち出し袋に入れておくようにしましょう。
 わざわざ新しいものを非常用持ち出し袋に入れる必要は無く、補助具を買い換えたときに今まで使っていたものを非常用持ち出し袋に入れるだけで大丈夫です。
それらのアイテムは、確かに「少々不便」で交換したものでしょうが、もしそれすら無い状態だと動きがつかないくらい不便になってしまいます。
一番いいのは今使っているものを持って避難できるのが理想ですが、慌てて逃げないといけなくなったときに備えてスペアを用意しておくことで、最悪非常用持ち出し袋さえあればなんとかなるという状態にすることができます。
地震でぐちゃぐちゃになったなかからさまざまなものを探すのは困難ですから、探しているとどうしても避難が遅れてしまいます。
避難した後で身動きが取れないと言うことがないように、自分の行動を補償する補助具は必ず予備を用意しておきましょう。
それがあなたを助けてくれます。

出入り口を確保しておこう

 災害時にさまざまな理由で今いる場所から移動しなければならなくなったとき、あなたのおうちはきちんとした脱出路が確保されていますか?
 例えば地震が起きたとき、部屋の開き戸がタンスや棚などが倒れ込むことにより動かなくなるような置き方はしていませんか?
 こと災害に関する限り、扉は引き戸の方が安全度が高いのでは無いかと考えています。ものが倒れても、引き戸であれば開け閉めをすることは可能です。これが開き戸だと、扉の前にものが倒れ込んでしまうと、もう開けられなくなってしまいます。
 もし開き戸のおうちの場合には、タンスや棚が直接扉の前になかったとしても、倒れたときに扉が動かなくなるような状態になりそうであれば、そのタンスや棚は場所を変えた方が無難です。
 また、通路や玄関にはなるべくものは置かないようにして、非常時には悩まずに外部に脱出できるように整備しておくことが重要です。
 最近では、開き戸に貼るタイプの非常用持ち出し袋入れも出てきているようですが、非常用持ち出し袋は導線を妨げず、かつ取りやすい部分に置くことが大切です。
 日本建築では、伝統的に引き戸が多いのですが。これは万が一の時の家屋からの脱出と扉を作るのが容易だったからなのかなと考えることもありますが、出入り口には、万が一に備えて扉が開かなくなるようなものは置かないようにすることが大切です。

普段からあいさつだけはしておこう

 当たり前というと当たり前なのですが、あいさつは身を守るために非常に重要な役割を果たします。
 特に乳幼児を連れている場合には、少なくともご近所や町内の人にはあいさつはしておいた方が災害時には自分たちの身を守ることができると思います。
 よく「子どもを泣かすな」「子どもがうるさい」といって文句をいう人たちがいますが、文句を言ってくる人は、大概の場合男性または子育てをしなくてすんだ女性というパターンで、文句をつける相手を選ぶ傾向があるようです。
 一つには、自分が知らない相手であること。自分が知らなければ関係ない他人ですから、自分が快適であるためにはどのような文句を付けても問題ないと思ってしまうようです。
 二つ目には、守ってくれる人がいないこと。シングルマザーなどは格好の標的になってしまいます。
 これらの害を防ぐためには、それ以外の地元の人と顔見知りになっておくことが重要になります。
 それがあいさつをすることです。
 相手からあいさつが帰ってくるかどうかは問題ではありません。
 あなたがあいさつをすることで、相手はあなたを認識します。その時に子連れであれば、あなたが子育てをしているという認識を相手が持ってくれます。子ども好きな人であれば、立ち話くらいにはなるかもしれませんが、あなたという存在と、子どもがいるということ、そしてあいさつができるくらい常識的な人という認識があいさつをされた人には印象づけられることになります。
 そうすると、いざ災害が起きて地域の避難所に避難したときに、少なくともあなたと子どもは地域の住人であることが認識されているので、仮に子どもが泣いても文句がいいにくい状態が作れます。
 また、子ども好きの人がいれば文句を言ってくる人に先回りして気を遣ってくれることもたくさん出てきますので、あなたには味方がいるという認識になって文句が言えなくなるのです。
 仮に文句をつけてくるとしても、恐らく紳士的に「お願い」をしてくることになるでしょう。
 ついでに言うと、災害時で無くても何かの時に助けてくれるかもしれません。
 これらの支援は、あいさつをするという単純なことで受けることができるようになるのです。
 特に借家やアパート住まいなどで普段地域とあまり接点のない人は、騙されたと思って出会う人にあいさつをしてみてください。

気になるガサガサ音

 避難所で一夜を過ごすときには、他人の立てる音がかなり気になるものです。
 眠りの浅い人だと、誰かが音を立てるたびに目が覚めて寝られなくなってしまうということもよく起きるようです。
 足音や寝返り、いびきなどはある程度仕方がありませんが、防げる生活音は防ぐに越したことはありません。
 そこで、非常用持ち出し袋を作るときには、ガサガサと音のしない袋に入れるようにしましょう。
 よく買い物などに使うビニール袋は結構ガサガサしますので、身近にあって便利ではあるのですが、できればもっと柔らかいビニール袋だといいですね。ゴミ袋も行政が売っている可燃ゴミの袋ではガサガサ音を立てるものが多いので、昔ながらの黒い厚手のものを用意しておくといいと思います。
 また、非常用に準備されていることの多い保温用ブランケットも、ものによってはものすごくガサガサという音を立てるものもありますので、購入した後、一度確認してみることをお勧めします。
 非常用持ち出し袋にセットするときには、割と買ったままの状態で入れておくことが多いようですが、そうするとごみが増えて、何かものを袋から取り出すときにはガサガサどころではない音を立てる羽目になってしまいます。
 いろいろな道具はきちんと箱や袋から取り出し、使いかたを確認した上で非常用持ち出し袋に収めていくようにします。
 そしてその際には雨や水に濡れてもいいように、それぞれを防水袋に入れておくようにします。この防水袋も音のするものしないものがありますので、用意するときにはその辺を意識しておくとよいでしょう。
 そうでなくても不安な一夜です。なるべく神経に障る音は立てずに、いらいらせずに過ごせるといいですね。