災害時の情報収集について考える

大規模災害になると、各メディアは一斉にその災害に対する情報を流し始めます。
この情報を流す過程で、各メディアは行政機関に電話をかけて情報を聞き出すわけですが、災害対応時には行政機関の防災担当部署にそんな余裕はありません。
各社がばらばらに電話してくるため、本来しなければならない対住民への対応が遅れてしまうことがありますから、災害時のマスメディアの役割とモラルに対して、本当は意識を持って欲しいところです。
でも、マスメディアがあるからこそ住民に素早く正確な情報が伝わることもまた事実。
また、最近ではSNSからの発信も増えて、マスメディアが報道しない埋もれたさまざまな情報が支援者に届くようになってきています。
今回は災害時にどんな風に情報を集めたらいいのかを考えてみました。

1.マスメディアからの情報発信


災害が起きると、その影響を受けた人は現在の状況を確認したいと思います。
どこがどんな風になって、どんなことが起きているのか。
これを確認するには、まだまだマスメディアの力が必要です。
一般的には、テレビやラジオ、ネット配信の記事というところで一次情報を集めることが多いのではないでしょうか。

このうち、一番冷静に事態がわかるのは、恐らくラジオだと思います。
映像が無く音声だけのため、情報を発信する側も受け取る側も動揺すること無く対応ができます。
また、ラジオは発信局が最大でも各都道府県単位、小さいところでは市区町村単位で置かれているので、より細かく情報を集め、発信することができます。
そして、ラジオの基地局は災害に強く多重化されていることが多いため、受信ができなくなるということも比較的少ないと思われます。

次に、テレビはどうでしょうか?
テレビは、どちらかというと被災地の外にいる方々向けのような気がします。
ここのところ続く大規模災害の中継を見ていると、災害がエンターテイメント化した状態で伝えられているような気がします。
映像がインパクトを与えられる場所、つまり被害が大きいところばかりを強調して伝えるため、全体像がわかりにくいということもあります。
もちろん、地元に必要な情報も提供されてはいるのですが、全般にラジオよりも大味という気がします。
デジタル化され、その地域に特化した災害情報も発信できるようにはなっていますが、被災地向けかというと少し疑問符がつきます。
避難所にテレビが設置され、被災地のひどい部分ばかりを強調して流されることによって、被災者が精神的ダメージを受けることもありますので、報道する側にも配慮をお願いしたいところです。

ネット配信の記事は、新聞社や通信社の配信する記事が主になります。
記者がきちんと調べて文章にして、それが配信されますので、きちんと記者が活動していれば、一番正確な情報が配信されるはずです。
ただ、被災後には役に立ちますが、現在進行形の災害には対応できません。

2.インターネットの情報


インターネットによる情報は、行政機関のホームページや配信メール、SNSがあります。
行政のホームページは回線が細いのと更新が遅いのが難点ですが、どこで何が起きているのかがピンポイントで判断できます。
また、行政からのお知らせメールに登録して災害に関する情報を受け取るのもいい方法だと思います。
ただ、メールはサーバーを経由するため、場合によっては忘れた頃に届くということもありますので、大規模災害ではあまりアテにはならないかもしれません。
ツイッターやLINE、フェイスブックといったSNS(ソーシャルネットワークサービス)が災害の時に活用できるのは、ここ最近の災害で証明されています。個人の安否に始まって、物資の提供やライフラインの復旧状況、各種支援の受けられる場所の情報提供など、これがあったおかげで助かった人も多かったと聞きます。
そして、嘘の情報が飛び交っているのも、ご存じのとおり。
例えば、熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」と、ご丁寧に合成写真付きで拡散させた人が逮捕されましたし、平成30年西日本水害では、岡山県で爆発したアルミ工場の動画と称する映像がマスメディアで公表され、後に中国の工場の爆発の映像であることが分かって、報道したマスメディアが謝罪することが起きたりしています。
個人がさまざまな情報を発信できるのは非常に便利ですし、小さな声でもそれをかなえることのできる誰かに届けられるようになったことは、非常にいいことだと思います。
ただ、その内容と発信時間をチェックすることができないと、後でとんでもないことが起きてしまうことも事実です。
先ほどの熊本地震では、嘘の記事と写真が拡散された結果、逃げ出した元にされた熊本市動植物園には問い合わせの電話が100件以上かかってきて、一時仕事ができなくなるくらいの状況になりました。
また、東日本大震災では足りない物資情報のツイートがとんでもなく拡がって、その避難所にいつまでも同じものばかり届くような事態もありました。
あるいは西日本豪雨では救援要請のツイートが続いた結果、どこで誰がまだ救助されていないのかがわからなくなってしまったこともありました。
SNSで呼びかけるときには、発信者がいつの時点の情報なのかを本文中にはっきりと明記しておく必要があります。また、支援する側はその情報がいつ発信されたのかをきちんと確認した上で対応を判断しないと、せっかくの支援が無駄になってしまいます。
SNSは間違いなく便利なツールです。ただ、使い方を間違えると、多くの人に被害を与えたり、困らせたりすることも確かです。
そこを意識して使えるといいなと感じます。

3.情報収集する手段の電源を確保しておこう


情報を発信している手段はたくさんあります。
でも、情報を受け取る側は、受け取り続ける準備ができているでしょうか?
即応性のある情報を受け取る機械には、どんなものでも電源が必要です。
例えば、携帯ラジオや携帯テレビ、スマートフォンなどの電源の予備は持っていますか?
特にスマートフォンの場合には、その辺で乾電池買っていれるというわけにはいきません。
高出力・大電力消費型となっている最近のスマートフォンに対して、手回し式や乾電池型の充電器もあるにはありますが、新品の電池を使っても、スマートフォンの電池を充電するには容量が足りません。
そのため、自分のスマートフォンに備えられている電池消耗を防ぐ機能を理解しておいて、いざという時にそのモードへ切り替えることと、モバイルバッテリーを持っておくことは必須です。
ここ最近の大規模災害で、コンビニの店頭から真っ先に無くなるものの一つにモバイルバッテリーがあるそうですが、スマホが高性能化し、それに伴ってバッテリーも大容量化しているため、モバイルバッテリーの容量によっては充電しきれないという事態も想定されます。
自分のスマホの電池容量以上、出来れば2~3回充電できるくらいの容量のあるモバイルバッテリーを用意しておくと、災害時にも慌てなくて済みます。
満充電したモバイルバッテリーを一基、普段のお出かけセットに加えておいてください。