明日は防災の日です

 大正12年9月1日に発生した関東大震災にちなんで、毎年9月1日は防災の日となっています。
 そしてこの日を挟んで毎年8月30日から9月5日までを防災週間として防災に関するさまざまな行事が全国的に行われています。
 今年はコロナ渦で人の集まるイベントは軒並み中止になっていますが、こんなときだからこそそれぞれが自分の防災グッズや避難計画などを見直し、確認しておく時間にしたいですね。
 ちなみに、普段は1日と15日しか体験利用ができない災害用伝言ダイヤル171番は、この防災週間中は体験利用することができるようになっていますので、web171番と併せて使い方をしっかりとマスターしておいて欲しいなと思います。
 折しも大きな台風が近づきつつあります。週の中程にかけて西日本に影響が出るような予報が出ていますので、対策についてしっかりと確認しておいてくださいね。

当研究所記事「災害時伝言ダイヤルを使ってみよう」

防災マップと防犯マップの違い

 防災マップ作りというお話をすると、なぜか人気の無い通りや街灯のことについて聞かれることがあります。
 恐らくは防犯マップと勘違いしておられるのだろうなと思うのですが、この二つは似通っていながら微妙に性格が異なっているものです。
 もちろん防災・防犯マップとして一枚の紙に落とし込むことは可能なのですが、見る視点が違うと見方が当然変わっています。
 ただ、このことはやっている本人でもなかなかイメージがつかないものです。
 ざっくりと考えると、防災マップは自然現象対策、防犯マップは人対策になるのかなと思っていますが、防災、防犯でかぶっているところも多いので、なかなか割り切ることは難しいです。
 例えば、「安全な場所」で考えてみます。防災マップでは、周囲に危険物が無く物理的に安全な場所を指しますが、このときには第三者の目があるかどうかは殆ど気にすることはありません。でも、防犯マップではまず人目がしっかりとあるかどうかが先にきて、その上で逃げ込める場所を探すことになると思います。このときに物理的に危険なものがあるかどうかはあまり考慮しないと思います。
このように同じ言葉を使っていてもその定義が異なっていることがあり、この二つを混ぜるとちょっとだけ地図の作り方がややこしくなってきます。
 このあたりの交通整理が上手にできるともっと有用な地図を作ることができると思うのですが、当研究所にはまだそれだけの能力が備わっていないなと感じています。
 あえて書くとするなら、防災マップは地域全体が非常事態になっている状況、防犯マップは、地域全体は平常だが部分的に非常事態になっているということなのかもしれませんが、なかなか違いを理解するのは難しいなと感じています。
 目標は防災・防犯の両方を含んだ地域の安全安心マップです。
 この域に早く届くように試行錯誤を続けていきたいなと思っています。

【開催終了】防災マップ作りを開催します

 コロナウイルスの第二波が広がっていることもあり、絶対に開催しますと言えないところがつらいのですが、災害は待ってくれません。
 というわけで、新型コロナウイルスを警戒しつつ、去年行いました防災マップ作りの第二弾を開催することになりました。
 去年は避難路の点検を行いましたが、今年は若干方向を変えて、地域の安全な場所や危険な場所を調べて地図化しようと思っています。
 地域に新型コロナウイルスが蔓延した場合には中止となりますが、現在のところ何も無ければ以下のスケジュールで開催しようと考えております。
 興味のあります方は、当サイトの「問い合わせ先」から、題名に「防災マップ作り参加希望」とご記入いただき、氏名、住所、年齢、連絡先電話番号を添えてお申し込みください。
 折り返し詳細についてご案内いたします。
 地域の安全点検について興味のある方のご参加をお待ちしております。

開催日時:2020年9月26日(土)10:00~14:00
開催場所:連理松センター(旧高津児童館)
参 加 費:中学生以下無料、高校生以上一人500円(昼食代)
開催内容:益田市高津地区連理松センター周辺の安全な場所、災害時に役立つもの、
     危険な場所の調査と地図作り。
     昼食は防災食を試食します。
申込期限:2020年9月12日(土)15:00
問合せ先:石西防災研究所

防災用ホイッスルは何のためにあるのか

笛各種。右側の笛の方が音が大きいが、中に玉が入っていて、そこに埃や水が入ると鳴らなくなる。単純な構造の方が故障も無く安心できる。

市販品の非常用持ち出し袋セットにほぼ必ずついているのが笛(ホイッスル)です。
では、このホイッスルは何のために使うのでしょうか。
ホイッスルは「災害時に何らかの理由で自分が動けないとき、助けを呼んだり位置を知らせるために準備してあるもの」です。
災害時に自分は動けないが非常用持ち出し袋を持っている状態というのはどんな状態なのか想像ができるでしょうか。
災害時に自分が動けなくなるというのは、何かの下敷きになったり、家屋の下に埋まっていたりする状態です。地震が代表的なものですが、地震は突然やってくるので、非常用持ち出し袋をたまたま持っていたというのはかなり珍しいケースだと思います。
つまり、ホイッスルは身につけていないと役に立たないと言うことになります。
首から提げたり、ポケットに入れたりして、いざというときに自分の身を守れるように身につけておくことが大切です。
その際には、できれば中に玉のないタイプのものを準備してください。玉が中に入っているものは、埃や水などが中に入ると鳴らなくなります。
構造はシンプルなもの。そして、吹き方をマスターしておいてください。
ホイッスルなど簡単に吹けると思いがちなのですが、持っているホイッスルによって吹き方が違い、同じように吹いても音がうまく出たり出なかったりします。
非常時には、周りがびっくりするくらい大きな音が出ないと助かりません。どうやったら大きな音が出せるのか、周囲の環境に気をつけながら、ホイッスルを吹く練習もしておいてくださいね。

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知識と知恵

 防災教育がそれなりに注目されているようですが、どうも知識に偏っているのではないかなと言う気がすることがあります。
 教育現場では知識の説明はできても、実際にそれを体験してみたり、なぜそうなっているのかについて考える時間を取ることが難しいのかなと感じますが、それでもただ知っているだけよりも何か一つでも体験をしておくことで持っている知識がしっかりとした知恵に変わるのでは無いかと思います。
 例えば、ブランコに学校の運動会などで使うテントの張りの部分をひっかけると避難用のテントになるという記事があるとします。こうすると便利だよという紹介を発表用の資料で生徒が書いているのですが、実際にやったのかどうかについては触れられていません。
 実際にやると、ブランコの角度とテントの張りの縫い目があわなくてうまくテントにならないことが殆どなのですが、教科書や本などの知識で書くとそれで完全にできるような気になってしまいます。
 知識でみると、ブランコとテントという組み合わせで無いと避難テントは作れないと考えてしまいますが、なぜこの組み合わせでテントができるのかを考えれば、例えば鉄棒とブルーシートでもテントを作れることがわかるでしょう。
 道具の組み合わせでは無く、どういう理由でその組み合わせになっているのかを知ることは、防災教育においては非常に重要なことなのではないかと考えています。
 お仕着せの知識は学べばいくらでも得ることができますが、実践という自分の身になる知恵は、実際にやってみようと思わなければ得ることはできません。
 せっかく知識を持っているのであれば、できるところはやってみて、自分のものにしていく、つまり知恵にしていくことで、自分の生き残る確率を上げることができるのでは無いかと思います。
 ちなみに、よくある避難訓練では避難をすることを知っていて、計画通りに避難訓練を行うことが知識、途中でさまざまなトラブルが起きてもそれを解決して避難訓練を成功させることができるのが知恵ではないかと思います。
 いずれにしても、成功だけでは学ぶことはできません。訓練こそ失敗をしっかりと行って、知恵の習得に励んで欲しいなと思います。

電池は規格を統一しておこう

乾電池各種
乾電池には種類がいろいろとあるので自分が使えるものをしっかりと選んでおこう。

 最近は百円均一ショップの防災コーナーも充実してきていて、ある程度のものや基本のセットをお試しで作ってみるのにはとても便利だなと感じています。
 ところで、非常用持ち出し袋の中で電池が必要な二大アイテムが「懐中電灯・ランタン」と「携帯ラジオ」です。
 これらが一体型になったものも出てはいますが、使い勝手を考えると分かれている方がメリットが大きいのでは無いかと思うのですが、それはさておき、非常用持ち出し袋の重量をできるだけ増やさないために、必要な電池は共通化しておくことをお勧めします。
 百円均一ショップで売られている懐中電灯の中には非常にコンパクトで使い勝手のよさそうなものが結構あるのですが、コンパクトさにシフトしすぎて交換用電池がかなりレアな規格のものを使っていることがあります。

百円均一ショップでよく見るホイッスル付きの小型懐中電灯。小さい割に明るく使い勝手もいいが、電池がLR41という特殊規格。家電量販店でもいかないと置いていないのが難点。

 携帯型ラジオは基本的に電池の規格が単二、単三、単四、充電式のどれかの場合が殆どなので、こちらにあわせて共通化を進めておくといいと思います。

単三電池、単四電池のどちらでも使うことのできる懐中電灯もある。ランタンにもなるので避難から避難所生活まで幅広く使うことが可能。でも、お値段もそれなり。


 電池に関して言えば、サイズが大きいほど電池容量が大きくて重たくなります。コンパクトさを狙うなら単四ですが、電池容量がさほど大きくないので、持って歩く予備電池を多めにしておく必要があります。
 中庸な単三電池は非常に使い勝手が良いので、こちらをメインに準備しておくのがいいかなと考えます。
 充電式の乾電池もありますから、充電するための太陽光発電パネルと蓄電池の組み合わせを準備してあれば、充電式乾電池は非常に使い勝手のよいものになります。
 発電式の懐中電灯やラジオもありますが製品によって使える時間や使い方がまちまちなので、事前にしっかりと調べておかないといけません。
 また、発電式の中には発電機能はあるのになぜか蓄電機能がないものもあったりしますので、製品を選ぶときには充分に気をつけてください。
 ちなみに、サイズの小さい電池はスペーサーなどを使うことでサイズの大きな電池の代わりに使うことができます。電池容量が足りないのですぐに使えなくなってしまいますが、いざというとき、ちょっとした手間で使えることは知っておいてください。
 見落としがちな電池の規格。非常用持ち出し袋や備蓄品を準備するときには、なるべく規格を共通化して、いざというときに電池がないといった騒ぎにならないようにしてくださいね。

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【活動報告】防災ポーチを作ってみました

順調に進化しているS研究員の防災ポーチ。これに携帯ラジオが入って完成とのこと。

 持ち歩きのできる防災グッズというと防災ポーチを推奨している当研究所ですが、ふと思いついて防災ポーチのアップデートと防災ポーチの作成を行うことにしました。
 防災ポーチはいつもカバンの中に入っていて何かあったときに活躍してくれる便利なアイテム(某研究員は友人から「異次元カバンだ」と言われたそうです)ですが、たまに点検しておかないと電池が切れたり不足しているものが発生したりしますので、新規研究員に防災ポーチを作るついでに持っている人のポーチもアップデートしてしまおうというのが今回の試み。
 今回は100円均一ショップで売られているエマージェンシーシートと裁縫セットを追加してみました。
 向こうが透けそうなほど薄いエマージェンシーシートではありますが、軽量で邪魔にならないことからそれなりに使えるのではないかと思います。
 一つ問題があるとすればいろいろな便利アイテムを追加していくとポーチがどんどん大きくなっていくこと。
 気がついたら防災ポーチでは無く非常用持ち出し袋になっているような気がして、セットの作り方を考えてしまいました。
 ただ、防災ポーチは使い続けているとその人にあった形にカスタマイズされていきます。ある程度時間が過ぎたところで持っている人達の防災ポーチがどのように進化したのか見せ合うのも面白いのでは無いかと思っています。

H研究員の基本の防災ポーチ。大きなメモ帳がセットされているのがポイント。
M研究員の防災ポーチ基本セット。ライトがヘッドライトに変わっているのと、シールと磁石が入っている。本人の趣味と興味の結果らしい。

手動式シャワーを使ってみた

 お盆を過ぎたとは言え、日中はまだまだ暑い日が続いています。そんなときにはどうしても水遊びがしたくなるものですが、プールはコロナ禍で閉鎖中。
 では海遊びということで、当研究所も海に遊びに行くことがあるのですが、普段遊ぶ場所はあいにくとシャワーなど塩を流す設備のないところです。
 いつもは4リットルの焼酎の空きペットボトルに水を詰め込んで、遊び終わったら頭からかぶっているのですが、どうにも使うお水の効率が悪いのと、ある程度の勢いがないと塩が落ちている気がしない。というわけで、20リットルのポリタンクに手動加圧式のシャワーを用意して使ってみることにしました。

上についているポンプで空気を圧縮し、そのチカラでシャワーを出す構造。下側に見えるオレンジのボタンは圧抜用

 ポリタンクの吸水口にポンプを取り付けて、あとはひたすら加圧すると、シャワーが出てくるという単純な仕掛けなのですが、これが結構便利。
 ポリタンクの色を吸熱性の高い茶色にしてしまったせいか、圧をかけすぎると怪しい膨らみ方をしたので、膨らみ方をみながらの加圧となり、使う人にはちょっと水圧が物足りなかったようです。

水道ほどではないが、それなりにしっかりシャワー感じられる水流はある。


 ただ、吊り下げ式に比べると使える水量が多く、電動式と違ってバッテリーが不要で軽いという利点は素晴らしいなと思いました。
 15リットル入れて試してみたのですが、上手に使って3人ちょっとくらいは塩を落とすことができましたので、世帯や家族程度ならそれなりに汗を流すことが可能だと思われます。
 お値段も安く、維持管理も殆ど不要の手動式シャワー。
 防災用品の一つとして準備しておいてもいいのかなと感じます。
 ちなみに、準備するのであれば、できれば目隠し用のブルーシートや杭なども用意しておいた方がいいかなと思います。

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台風に備える

 台風が日本にやってくるシーズンに入りました。
 今年もかなり暑いので、やってくる台風は勢力がさほど落ちずに来るのでは無いかと思っていますが、台風に備えた準備はできていますか。
 台風で備えるのは風と雨。いつ頃襲来するのかは分かっていますから、そういう意味では非常に対応がしやすい災害だと思っています。
 大きな台風が来たとき、最終的にどのような被害を被るのかは正直なところわからないところがありますが、それでも備えておくことで、ある程度までの被害を防ぐことが可能です。
 今日は台風シーズンに入る前にやっておいた方がいいことについて考えてみたいと思います。

1.台風対策、まずは掃除から

 台風がやってきて問題になるのは、溢れてくる水とそれに流されるもの、そして風で飛ばされてくるあれこれです。
 ですので、水を可能な限り排水させるために側溝や水路の掃除をしておきましょう。また、周囲に側溝などに詰まりそうなものがあれば、あらかじめ撤去しておくことも大切です。
 それから家の雨樋。ここの掃除もしっかりとしておくことで、排水能力の確保や貯まった水による雨樋の破壊を防ぐことが可能です。
 あと、見落としがちなのがテレビアンテナ。強い風雨にさらされると、劣化したテレビアンテナが壊れて落下したり飛んだりすることが起きます。
 筆者の家でも、何度かの台風でテレビアンテナがぼろぼろに壊れてしまったことがありますので、シーズン前に電気屋さんに点検してもらい、破損が起きないようにしておくことが大切です。
 家の周囲にも注意を向けておきましょう。
 風が吹くと落ちたり飛んだりしそうな場所に、物干し竿や植木鉢、プランターなどは置いていませんか。
 大風が吹くと、一見大丈夫そうな場所に置いてあるものでも簡単に飛んでしまいます。物干し竿などは飛びそうにないように見えますが、過去には物干し竿が飛んでよその家の窓ガラスを割ったというような礼もあります。
 飛びそうなものは、屋内に入れておくか、もしくは風が通らない場所に置いてください。
 家庭ゴミなども同じで、飛んだり散ったりするとあちこちでトラブルが起きます。これらも屋内または風や雨の当たらないところにおいてください。

2.おうちの対策をしておく

 瓦屋根のお宅では、風で瓦が飛んだりしないように点検をしてもらっておきましょう。またトタン屋根などではめくれている部分や破損している部分がないかどうかを点検しておき、できれば修繕しておきましょう。
 窓は飛散防止フィルムが張ってあればいいのですが、そうでない場合には、ガラス窓にはガムテープなどで飛散防止対策をしたうえで厚手のカーテンを引き、ガラスが飛散しないようにしてください。
 側溝や水路に面しているお宅では、状況によりますが土のう袋が必要な場合もあるかもしれません。あふれそうな場所があらかじめ分かっているときには、土のうを作って置いておくのもいいと思います。
 停電に備えて、乾電池式のランタンや懐中電灯、およびそれらに使う乾電池も準備しておきましょう。また、オール電化のおうちでは、念のためにカセットガスコンロも準備しておいた方がよさそうです。
 非常用持ち出し袋の点検をし、着替えや靴なども準備しておきましょう。また、断水に備えてお風呂などに水をためておくことも忘れずにやっておきましょう。

3.台風の進路の情報収集しておく

 台風の進路は、昔に比べると読みづらくなってきています。そのため、前の日の予想進路と今日の予想進路が変わっていることが起こりえますので、天気予報は定期的に見ておいてください。
 台風の強さと家の状況によっては、台風の勢力圏に入る前に安全と思われる避難所に避難してしまうことも検討しておきましょう。
 また、状況によっては学校や会社に行けても帰れなくなる可能性がありますので、天気予報を見た上で、場合によっては自主休業・自主休校することも視野にいれておいてください。
 どうしても出社や登校しなければならない場合には、職場や学校で待機しなくてはならないことを想定して非常食を用意しておくことをお勧めします。
 台風そのものは、1日程度あれば勢力圏から抜けることが殆どですから、その期間が凌げるだけの準備をしてあれば大丈夫です。

4.情報共有しておく

 家族のいらっしゃる方は、当日は誰がどこにいるのかをお互いに確認しておきましょう。
 いざというときにどんな行動を取るのかについて確認しておき、例えば最悪家に子どもだけしかいなくても大丈夫なような準備をしておくことが大切です。
 非常食、避難所に行けない場合どうするのか、連絡手段をどうするかなど、しっかりと詰めておきましょう。

 災害対策はいくら準備をしてもしすぎるということはありません。
 幸い、台風は進路予測ができますから、それに対応して準備をすることが可能ですから、直撃したときに自分や周囲に被害がないように、あらかじめしっかりと準備しておきましょう。

要支援者ほど早く避難しろという意味

 風水害の警戒レベル3は「避難準備・高齢者等避難開始」ということになっています。レベル4には「避難勧告」と「避難指示(緊急)」が同居していて訳がわからなくなっているということでどうやら修正がされるという話も聞いていますが、ともあれレベル3が発令されると「高齢者等」は準備ができ次第安全な場所、例えば避難所等に避難を開始することになります。
 この「高齢者等」には、高齢者だけで無く妊婦や乳幼児を含む家族、障がいを持っている人、その他避難する準備がかかる人達、いわゆる要支援者のことで、手間のかかる人は早く準備して早く避難しろというのがこのレベル3の趣旨です。
 ではなぜ普通の人よりも早く避難した方がいいとされているのでしょうか。
 何かあったときにすぐ避難できないから避難するというのは大きな理由ですが、それ以上に「早く避難して自分のスペースを確実に確保しておけ」という意味があります。
 過去に起きた様々な災害では、声の大きく元気な人ほど避難所で生活しやすい良い場所を占拠し、支援品や補給品を優先して受け取るという傾向が一貫してみられます。
 そうすると、本来は支援が必要な人達は避難所の片隅または避難所から追い出されてしまって、車や倒壊した家屋などで生活することを余儀なくされてしまうのが現状です。
 支援の必要な人が先に避難所に入って条件の良い場所を使っている場合には、いくら元気な人でも押しのけてその場所を奪い取ることはなかなか難しそうなのですが、実際には後から来た人の方がいろいろな意味で本人の状況が悪くなっているので、それを盾にして先住者を追い出すということが発生したりしています。
 大きな街ほどそういった傾向が見られるので、本当のことを考えると支援がいる人は支援がいる人専用の避難所を作ってしまった方がいいと思うのですが、いろいろと理屈をつけてそこまではしないというのが現在の行政の限界でもあります。
 そうすると、普段の生活に何らかの支援がいる人、支援があった方がいい人は早めに避難して避難所を占拠するくらいの行動力を見せないと自分たちが路頭に迷うことになってしまいます。
 実のところ、他人様に迷惑はかけられないと避難を渋る人達が大勢いるのですが、収容先のない要支援者が路頭に迷うことの方がよっぽど迷惑ですから、ひどくなりそうな気配を感じたらさっさと非常用持ち出し袋を持って避難所に避難し、良い場所を占拠してしまいましょう。
 避難所運営スタッフからスペースとして使って良い場所を確認しておけば、あとは安心して事態が収まるのを待てば良いのです。
 普通の人と同じように行動していると、要支援者はかならずひどい目に遭います。
 普通の人よりも早く動くことで、自分の安全を早く確保することができますから、準備ができたらそのまま避難するようにしましょう。
 なお、特殊な医療用設備が必要な要支援者のかたもいらっしゃいますが、そう言った人は避難所では無く、できれば被災しないであろう地域まであらかじめ避難しておく方が無難です。
 そういった事態に備えて、かかりつけのお医者様といざというときに支援してもらえる医者を決めて準備してもらうようにしておきたいですね。
 繰り返しになりますが、状況を見て早めに避難し、自分の居場所を確実に確保することが、要支援者が生き残る道です。
 他の人の動向など気にすること無く、自分が決めた避難計画に従って避難してくださいね。