消火器を備えていますか

 火災の時にとても大切だと言われているのが初期消火です。
 どんな火でも最初は小さいですから、他に燃え移る前に消せれば火事になることを防ぐことができます。
 消火方法はいろいろと言われていますが、誰にでもできて確実に消そうとすると消火器が一番確実です。
 後片付けの問題はありますが、火事でさまざまなものを失うことを考えれば許容範囲だと思いますが、あなたの家には消火器が備えてありますか。
 また、備えている消火器の使用期限は大丈夫ですか。
 使用期限を過ぎたり、外観が痛んでいるものは速やかに交換をしてください。
 最近では消火器を取り扱っているホームセンターなどでも回収してくれるみたいですから、更新するときに相談してみてもいいと思います。
 そして、使い方も覚えておきましょう。
 慣れると簡単なのですが、間違って消火剤を撒かないように、消火器はその手順を守らないと消火剤を発射できないようになっています。
 備えて使えるようにしておくことで、おうちの安全を高めることができますから、一家に一本、備えてみてはいかがでしょうか。

地震の時には頭上に注意

吊り天井の内部。

 地震の時に怖いのは、とにかく落下物です。
 頭は非常に重たい上に支えている首は細いので、何か重たいものが頭に当たるとそれだけで首が折れてしまいます。
 また、頭に怪我をするとその後の避難判断や行動にも支障が出てきますので、とにかく頭を守る行為をしておくことが大切です。
 手持ちにカバンなどがあれば頭の上にかざして頭を守るようにし、ない場合には、手で守るようにします。
 揺れ始めたら頭上を最初に確認し、ものが落ちてきそうにないことを確認してからダンゴムシのポーズなどの防御姿勢を取るようにして下さい。
 ちなみに、ビルなどでは天井が吊られているつり天井になっていることがありますが、この場合天井が落下してくることが予測されますので、充分に注意して下さい。
 必ずとはいえませんが、天井に点検口が作られていたり、照明が天井に埋め込まれている場合にはつり天井であることが多いので、一つの目安にしてみてください。
 劇場や映画館など、天井が高い建物では落下する速度もつきますのでより危険になります。その場合には、座席の間に身を隠すなどして、落下してくる天井の直撃を避けるようにしてください。

【活動報告】防災研修会を開催しました。

新型コロナウイルス感染症対策で充分な間隔と換気をしながらの研修会でした。

 2021年8月28日、益田市市民学習センターで防災研修会を開催しました。
 今回は「避難所設営、基本の「き」」というタイトルで、避難所を設営するまでの前手順について、従事する人や対象となる施設でどのような準備をしておかないといけないのかについてお話をさせていただきました。
 また、後半では避難所運営ゲーム(通称「HUG」)の最初だけを体験していただき、避難所開設で事前準備がどれ位重要なのかについて知っていただきました。

HUGで避難者をどこへ収容するかで頭を悩ませています。正解はありませんが、事前に決めておくと判断がものすごく楽になることを体験してもらいました。


 いただいたコメントでは「事前準備をかなりしっかりとやっておかないと対応が難しそう」「地元の集会所の対応がどうなっているのかを確認してみる」など、拙い説明でしたが何かを感じていただけたのかなと思っています。
 市内で新型コロナウイルス感染症が流行しているため、参加者の皆様同士の自己紹介や意見交換が充分にできなかったのが心残りですが、参加していただいた方の地域の避難所の運営が少しでも楽になるといいなと考えています。
 当研究所では、今後もこういったちょっとした研修会をやっていきたいと考えていますので、興味のある方は、よかったら事前申し込みの上で一度覗いてみてください。
 今回の研修会にご出席いただきました皆様に、厚くお礼申し上げます。

感震ブレーカーとスイッチオフ

 感震ブレーカーというものがあります。
 代表的なものは配電盤についていて地震の際に電気を止めて電気器具による火災を防ぐ装置ですが、このほかにも、ガスのマイコンメーターやストーブの耐震消火装置などもこれに該当します。
 要するに、揺れを感知したら電気やガス、灯油と言った燃料の供給を止めて火を消す装置なのですが、この装置が働いて消火された後、それぞれの器具のスイッチを確実にオフにしておくことが必要です。
 電気なら、機材のコンセントを抜いておく、ガスならコンロや給湯器のスイッチを切る、ストーブであれば確実に消火しておくなど、緊急時に対応してくれた安全装置を保管する作業をしておきましょう。
 電気もガスも異常がある状態で供給を再開しようとしても供給ができないようになっていますが、復旧作業をしてもうまく動かないのは、このスイッチを切るという作業がされておらず、診断装置が危険だと判断した結果復旧しないことがよくあるからです。
 耐震安全装置が正しく起動すれば消火は確実にできますので、地震の際にはまず身の安全の確保、そして落ち着いてからのスイッチオフという作業を忘れないようにしておきたいですね。

避難判断は自分で決めておく

 大雨や台風であちこちで浸水や土砂災害の被害が起きています。
 被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復旧復興を願っております。
 普段であれば災害支援ボランティアとして出動するところですが、昨今のコロナ禍でそういうわけにもいかず、ただ願うだけとなってしまっているのが少しだけ歯がゆいところがあります。
 ところで、災害が起きると毎回問題にされるのが行政からの避難指示です。
 マスコミ報道やSNSで「避難指示が早い、遅い、出ない、出ても何も無かった」と、自治体が何をしても叩かれてしまっている現状を見て、なぜ自治体が避難を判断しないと個人が避難しなくていいと考えられるのか、正直なところ理解に苦しむところがあります。
 避難指示はその地域に住んでいる該当の災害で危険な場所に住む人に対してその場から避難するようにという指示ですが、避難指示が出るまで対象地域で災害が起きないという保障はありません。
 地域という「面」では異常が無くても、あなたの家という「点」では事態が異なっているかもしれないのです。
 言ってしまえば、行政の出す避難レベルがどうあれ、危険かどうかは自分で判断基準を持っておくしかないということです。
 判断基準を作るためには、ハザードマップや過去の伝承、地域の地形や普段の天気での変化など、さまざまなことを知っておかないといけません。また、自治体が避難情報を出すために参考としている気象情報や土砂災害警戒情報、河川情報といった基礎情報は、今はインターネット上で誰でも見ることができますから、情報がないから判断できないという話はできないと思っています。
 逆に、現在は読み込めないくらいさまざまな情報が提供されていますから、その中から自分がどのような状態であれば被災するのか、そして避難しなければいけないのかを考え、そして避難が必要であれば避難開始の鍵をきちんと決めておくことは事前に準備ができることです。
 あなたの命はあなたが守るのです。自治体や町内会が守ってくれるわけではありません。避難するかどうかの判断は、あくまでもあなたの中にあります。
 避難しないのなら避難しないという選択をしても構いません。ただ、災害に巻き込まれたときに「想定外だった」とか「思ってなかった」という台詞が出ないようにしておいて欲しいと思います。

【お知らせ】令和3年8月島根県大雨災害義援金の募集が開始されました

 少し前に令和3年7月大雨の義援金をご紹介したところですが、8月12日からの大雨で被災された方への義援金の募集が開始されましたのでお知らせします。
 期間は8月25日から9月30日まで。
 詳しくはリンク先をご確認ください。

令和3年8月島根県大雨災害義援金について(島根県のウェブサイトへ移動します)

防災に完全なマニュアルはない

 防災については最近どうやら流行のようで、本屋さんやネット通販でもさまざまな本や道具が販売されています。
 「これがあれば大丈夫」とか「こういうときはこうする」などといったテクニックや災害時の行動マニュアルもずいぶんと紹介されるようになりました。
 ただ、ちょっと気になるのが、ノウハウ系、マニュアル系の本が増えるに従って、「こうしなければならない」という風潮が出てきているように感じていて、それはどうなのかなと思っています。
 もちろん、当研究所の研修会でもさまざまなノウハウはお伝えしますし、基本的な考え方自体は変わらないので「このときはこうする」というお話もしているのですが、前提なるものを必ず最初にお話ししています。
 それは、「何のためにそれを行うのか」「何のためにそれを準備するのか」を考えてもらうということ。
 毎度書くことですが、例えば市販品の非常用持ち出し袋をあなたが買ったとして、それで備えが充分かというとそんなことはありません。
 人の数だけいるものいらないものがある。そう考えると、市販品の非常用持ち出し袋はあくまでも基礎的なアイテムで、それにプラスして自分に必要なものを加えたり、必要ないものを外したりしてカスタマイズする必要があると言うことです。
 もっと書くと、都会では水や食料をしっかりと準備しないといけませんが、田舎だとわき水や井戸、貯蔵している米、野菜があったりして、そこまで優先度が高くないこともあり得ます。
 また、洪水では垂直避難もありだとされていますが、海抜0m以下のところだと、洪水が起きると3階建ての最上階でも水没することが起こり得ますし、富士山のてっぺんで洪水対策を考えるのはナンセンスです。
 ノウハウやテクニックがいけないというわけではありませんが、状況と置かれた環境によって、自分に必要な行動や準備はかなり異なってきます。
 マニュアルに書いてあるとおりにしたからそれで大丈夫ではありません。
 ノウハウ本やマニュアル本はあくまでも参考にして、自分の置かれている状況や環境を考え、その上で、自分にあった備えや準備をするようにしてください。

【お知らせ】令和3年7月大雨災害義援金を募集中です。

令和3年7月6日からの大雨により被災した人達を支援するための義援金を募集中です。
島根県共同募金会及び日本赤十字社島根県支部が窓口となって9月30日まで受付をしています。
詳細はリンク先をご確認ください。

令和3年7月島根県大雨災害義援金の募集について(島根県のウェブサイトへ移動します)

ケミカルライトの明るさを比較する

 化学反応で発光するケミカルライト、サイリュームとも言われていますが、コンサートなどではお馴染みのアイテムです。
 熱を出さず、燃料も電気も不要なため、非常用持ち出し袋に入れておくと万一のときの灯りとして使うことが可能です。
 もっとも、光量はそこまで強くはありませんので、場所のマーキングや障害物の注意表示に使うことが主になりますが、読書するのにも使えるというのがどこかの記事にありました。
 ご存じとは思いますが、ケミカルライトの色はさまざまです。色によって用途を分けることもできるのではないだろうか。
 そう考えて、今回は色で見える範囲を比べてみることにしました。

1.緑色


 見ての通り、かなり明るく発色しています。
 背後は地元の誇る水族館アクアスのうちわですが、文字もQRコードもかなりしっかり読み取ることができます。

2.青色、桃色


 下にある文字は読めません。
 近づいていくとぎりぎり読めるかもしれないというレベルの光量です。

 反応が始まってからの時間もあるので一概には言えませんが、黄色や緑色は割と読みやすく、桃色や青色はちょっと見にくいといった感じです。
 どの色も目立つのですが、読書や手元のごそごそに使うのなら黄色や緑色、マーキングや誘導路として使うのであれば桃色や青色が使いやすいのかなと思いました。
 もちろんこれは一つの事例でしかないので、いろいろと試してみて自分に向いたケミカルライトを準備しておくといいと思います。
 今回の比較があなたの準備の参考になれば幸いです。

避難時の思わぬトラブル

 避難訓練と実際の避難で違っていたなと考えるのに、家に残していく大切なものをどうするか、ということがありました。
 避難訓練では何を置いてもまず避難となりますが、実際の水害で災害発生までにまだ余裕があると思うと、避難の前に自分にとって大切なものをできるだけ上階に避難させておきたいという感情が働くようです。
 今回は時間にかなり早い段階で家族での避難判断をしたのですが、避難判断をしてから避難準備完了までに実は40分かかっています。
 その理由は、子ども達が自分にとって大事なものを上階に避難させていたから。
 「大事なもの」の定義がみんな違っているのはいいのですが、大事なものが何かと考え込んでしまって行動が遅くなったということもあったようです。
 非常用持ち出し袋は準備していたので着替えを入れたら終わりだったのですが、考えついた自分にとっての大事なものをあれこれと上階に避難させているうちにそれだけの時間がかかってしまいました。
 その様子を見ながら、自分にとって大事なものをきちんと決めておくこととそうでないものの整理を普段からしておかないといけないなと感じました。
 避難先から帰宅しての反省会では、自分にとって大事なものは何かを決めておくことと、それ以外はあきらめることを確認し、次回があればそれを実践してみることになりました。
 水害では、氾濫危険水位から実際の氾濫までそれなりに時間の余裕が作られています。本来それは避難用の時間なわけですが、中途半端に時間があると、逆にあれこれ考えてしまって手遅れになってしまうのかなと感じました。
 そういった意味では、避難判断から避難開始の間の最大所要時間を決めておき、それを過ぎたら問答無用で避難開始でもいいのかもしれません。
 今後家庭で行う避難訓練では、実際に大事なものを上階に避難させる訓練も取り入れた方がより実戦的になるのかなと思いました。