普段から災害について考えている人は、あまりいないと思います。
でも、災害発生時にもそれではちょっと困りもの。非常時には非常時に備えた準備や行動をとることが重要となりますが、常時と非常時の切り替え、あなたはどの時点でスイッチを切り替えていますか。
このスイッチをいつ切り替えるかによって、災害時に生き残れるかそうでないかが決まってくるので、普段からこのスイッチ切り替えについては意識するようにしてください。
具体的には、スイッチを切り替える基準を作っておくといいと思います。
例えば、「近所の川の水の水位が2/3を超えた時」や「裏山の〇〇から水が噴き出したら」、「家の向かいの側溝から水が溢れてきたら」など、身近にあるものを基準にするのがコツです。
切り替える基準を複数作っておくのもいいことですし、行政の避難レベルに頼らない自分の中の基準を作っておきましょう。
さて、自分のスイッチが非常時に切り替えたら、行動も考え方も非常時のものに従うことで、より安全に早く行動をすることができるようになります。
例えば、水害などで作ることが推奨されているマイタイムラインなどは、このスイッチ切り替えのタイミングで開くことになると思います。
慣れていないと、そういったスイッチは簡単に切り替えることができません。
日常生活でもオン・オフを意識しておくことで、常時と非常時のスイッチも切り替えやすくなるのではないかという気がしますので、自分の中のいろいろなスイッチの切り替え、ちょっとだけ意識してみてください。
カテゴリー: その他
【お知らせ】中国労働金庫様から支援金をいただきました。


2023年6月1日、中国労働金庫様から社会貢献を積極的にしている団体ということで、支援金を贈呈していただきました。
当日は中国労働金庫島根県営業本部の仲田様より目録を頂戴し、より一層防災の普及啓発、自然体験、有害生物対策に取り組んでいきたいと思っています。
中国労働金庫様、当団体を選んでいただきました推進委員会の皆様、そしてこの仕組みにご参加されている皆様に、心からの感謝を申し上げます。
ありがとうございました。
災害に対応する職員の衣食住

災害が発生すると、あらゆる機関が非常態勢に入って非常時の活動を開始します。
周囲は被災しているため、基本的にあるもので何とかしなければいけない状態になるのですが、現時点に至るまで、被災者の中の一般人の食料や水は確保されていますが、災害対応をする職員のものは確保されているという話はほとんど聞きません。
企業はともかく、施設や行政機関ではほとんど日常の延長戦で非常時への対応を行っているのではないでしょうか。
目まぐるしく変わる状況の中では、しっかりと食べ、しっかりと飲み、そしてしっかりと睡眠をとることが事故を防ぐのにとても重要なことなのですが、自分の手持ちにあるもので何とかしろというのが今の日本の現状です。
では、職員に対して支援物資が来るのかというと、支援物資は被災した一般住民が最優先。災害対応する職員にはまず届きません。
自衛隊やよそから派遣されてくる応援部隊も、自分たちのものは当然持ってきていますが、最初から対応に当たっている職員の分までは当然考えられてはいません。
災害対応している職員が披露し衰弱すると、最終的にその地域の復旧や復興が遅れる上にいらない事故が発生します。
非常時に待ったなしで対応しなければいけない施設、例えば行政、警察、消防、施設、学校といったところは、一般被災者よりも災害対応にあたる人に対する備蓄をしっかりと整えておくことが、その後の対応に大きな差が出るということを知っておいてください。
「頑張れ!」という精神論ではお腹は膨れませんし、疲労も取れません。災害対応は長期戦です。食事、給水、睡眠、衛生といったものは、本来は最優先で対応されるべきものです。
防災計画は、被災後に起きる長期的な生活部分のことをしっかりと決め、食べ、飲み、出し、寝ることがきちんと計画的に運用されるためにこそ作成すべきものです。
残念ながら、そういった点に目が向いている組織のトップはまだまだ少ないので、できる人に仕事が集中して潰してしまうという状況は変わらないのかもしれませんが、災害対応する職員ができる限り生活レベルを落とさなくてもすむように、被災後の対応計画についてしっかりと設計しておいてほしいと思います。
避難所の準備はできているか

日本の災害でもっとも進化していない部分は、ひょっとしたら避難所なのかもしれません。
写真や絵が残っている1888年の磐梯山噴火の写真と、1959年の伊勢湾台風、そして2011年の東日本大震災、それぞれを比較すると、ほとんど同じ状況であることがわかると思います。
体育館などの広い施設に避難者が雑魚寝。プライバシーもなく、情報も生活用品の配布もでたらめ。トイレは汚くて衛生環境もかなり劣悪。
新柄コロナウイルス感染症の蔓延によってソーシャルディスタンスという言葉が生まれ、初めて避難所がすし詰めにならない状況が生まれましたが、今度は避難所に避難できない避難所難民が発生している事態になっています。
最近では自宅避難が前提だということになって、できるだけ避難所への避難者を減らす方向で国も広報を進めていますが、自宅避難できない地域もたくさんありますので、避難所にどのように収容するのか、そして避難所での生活環境をどれくらい快適なものにできるのかは引き続きの課題になっていると思います。
人によっては避難所を快適にすると避難所から出ないという人もいますが、災害という非常事態で、さらにプライバシーがなく、生活用品や生活リズムが自分の思うようにできない環境では、心身ともに疲弊してしまうのは、災害からの復旧には大変なマイナスになるということを忘れないでほしいと思っています。
海外では、大規模災害が起きるとすぐに仮設住宅などが設置され、長期にわたって避難所での生活を余儀なくされるケースは年々少なくなっています。
これは災害からの復旧にはその人が疲弊しない生活環境の確保が必要だと考えられているからではないでしょうか。
避難所を現状のまま長期間運用する気であるなら、それなりの生活環境を維持できるような整備が必要となります。
避難所の準備、当事者も管理者も、平時にしっかりと考えて準備しておく必要があるのではないでしょうか。
【活動報告】定時総会を開催しました

2023年5月21日18時30分から、益田市民学習センター103会議室において、第3回定時総会を開催しました。
当日は9名の方にご参加いただき、新たに追加された活動内容やブレないための中期計画などについて確認をしていただきました。
特に大きな騒動もなく無事に総会も終了し、新年度の始まりを無事に迎えることができました。
引き続きさまざまな防災普及・啓発活動、自然体験活動、有害生物対策を行っていきたいと思っていますので、皆様方のご支援、ご協力をお願いします。
なお、当研究所では賛助会員様やボランティアスタッフを募集していますので、興味があって詳細が確認したい方は、当研究所までご連絡ください。
一緒に活動していけることを楽しみにしています。
また、正会員様や賛助会員様、ボランティアスタッフだけでなく、ご支援いただいているすべての皆様に感謝します。
【活動報告】雲南市のチームあそぼうさい様のイベントを見学しました
2023年5月14日に雲南市のいいしへいわの里(旧雲南市立飯石小学校)で開催されたぼうさい親子ラリーを、主催のチームあそぼうさい様からお誘いいただいて見学に伺いました。
チームあそぼうさい様は若い人たちが試行錯誤しながら地域の防災活動をしている団体で、ご縁をいただき、今回の見学となりました。
当日はたくさんの親子連れがクイズや防災体験をし、こどもたちも親御さんもとても楽しそうに活動しておられ、当研究所のプログラムにも組み込んでいきたいと思う内容もいろいろとあって、見学をしているこちらも非常に楽しいひと時を過ごすことができました。
他の団体様がされる防災イベントを第三者的に見る機会はなかなかないのですが、運営のやり方や目の付け所がいろいろと違っていて、そういった方法があるのかという刺激をたくさんいただきました。
イベント終了後にランチミーティングさせてもらいましたが、こういったイベントを子供会の行事にあらかじめ組み込んでもらうことや、他の防災イベントとセットで行うことなど、いろいろな情報交換をし、話のなかで思わぬ共通の知り合いが出てきたりして、非常に楽しかったです。
防災活動では、その地域での普及啓発はもちろんですが、いざというときに備えた横の連携もかなり重要ではないかと思っています。
いろいろと教えていただきましたチームあそぼうさいの皆様にこころから感謝します。今後ともよろしくお願いいたします。
地震の時の防御姿勢

あちこちで地震が起きていますが、あなたがお住いのところは大丈夫ですか。
さて、地震が起きた時に最も怖いのが怪我をすることです。
転倒したり、落下物の下敷きになったりして怪我をしないように、例えば小学校では「机の下に入る」や「ダンゴムシのポーズ」などを教え、姿勢を低くして頭を守る行動を教えています。
迅速に動けない方でも、姿勢を低くすることはできる人が多いと思いますので、できる範囲で姿勢を低くすること、そしてそれも無理なら周りの丈夫なものにしがみつくなどして、揺れで体がひっくり返らないようにしておきましょう。
ところで、こういった防御姿勢ができていても、頭上から防御力以上の落下物が落ちてくると怪我をしますので、防御姿勢をとる前には周囲の安全確認をしっかりとしておきましょう。
例えば、瓦やブロック塀、自販機のある周りにいたら、そこからは離れることや、駅やデパートなど吊り天井のところでは、できるだけ柱や壁などしっかりした部分に近づくなど、落下物から身を守る場所を選ぶようにします。
また、職場や家などでは、そもそも落下物ができるだけ発生しないように、棚は低めにすることや、高いところに重たいものを置かないなどの対処をすることが大切です。
周囲の安全確認と自分の防御姿勢をとることを一瞬で判断して行動するのは難しいですから、なんでもないときから周囲の安全確認をするくせをつけておくといいですね。
ともあれ、地震の揺れで怪我をしないように、事前の対策をしっかりととるようにしてください。
災害対策に否定的な人をどうするか
災害対策を考えるとき、できるだけ多くの人が一堂に会して対策について話し合うことが必要です。
とはいえ、こと災害対策に関しては否定的な意見を言う方が非常に多く、そういった人たちは全てを行政の責任にするか、自分以外の何かに責任を押し付けたがるもの。
そういった方を相手にするのは疲れますし時間の無駄なので、災害対策を前向きに考えられる人を集めて話し合いはすべきです。
否定的な人のことを考える必要はありません。災害対策を前向きに考えられる人達がどうやって命を守るのかについて検討し、行動をしてください。
行政機関や自治会ではそういうわけにいきませんが、自主防災組織や地区防災計画では、あくまでもそこに参加する人が対象となるので、あまり難しく考える必要はありません。でも、なぜか自主防災組織も地区防災計画も自治会と同じ考え方で構成しようとするので無理がくるのです。
あくまでも自分の命を効率的に守りたい人が集まって構成するのが自主防災組織なので、他人に文句しか言わずにすべてお任せの人は放っておいて問題ありません。
現在福祉と防災を連携させて災害時に支援の必要な人に対してどのような支援をするのかという個別支援計画を策定するようになっていますが、これも同じこと。
対象者の全てではなく、必要と考えている人に対して行動すればいいのです。
個人情報や世間体を気にしている方は、それぞれ自分で対策をしてもらえばいいわけで、全ての人が対象者である必要性もないのです。
行政がこの部分に大きくタッチしない理由は、行政はその地区にいるすべての人を助けなければならない義務があるからです。
不平・不満・思考停止・他力本願の方を救う能力は、行政にはありません。なので、わざわざ自治会ではなく自主防災組織、あるいは地区防災計画という形で災害時の対応をすることになっているのです。
かなり極端なことを書いていますが、実際のところ助かりたい人だけが自分たちの命を救う行動をとれば済む話で、否定的な人は何をどうやっても否定されるので、そもそも声をかけるだけ無駄なのです。
やっているうちにやっている人たちの方を向いてくれれば、そのときに初めて一緒に対策を考えていけばいいので、そうでない間は放っておいてください。
最終的に災害から助かるかどうかは運次第のところもあります。
たすかりたい人は、その運をできる限り助かる側に傾けるために努力しているのです。否定的な人を助けるのは行政や宗教に任せて、まずは助かりたい人たちから行動を始めるようにしてください。
地震が起きた後
石川県珠洲市を中心とする地域の地震が頻発しているようで、現地の方は落ち着かないと思います。
規模の大きな地震の場合、発生後数日~数か月は揺れが断続しておきますので、怪我をしないように十分気を付けてください。
おうちのお片付けのときには、なるべく高いところに荷物を片付けないようにすることや、壊れやすいものはなるべく低いところに置く、寝るところには家具や落下物になりそうなものは置かないなど、怪我をしないことに注意してください。
また、被災家屋の応急判定がされていると思いますが、貼られた張り紙の色が赤だけでなく、黄色のおうちも続く揺れに耐えられないことがありますので、十分に気を付けてください。
それと、家と家の周りの点検も必要です。
揺れが何度も起きると、柱や屋根にも損傷が起きることがあります。特に屋根は損傷すると雨漏りが発生し、そうなると家自体にも悪い影響が出ます。雨漏りしないようにしっかりと点検をし、損傷があるなら手当をしておきましょう。
家の周りでは、亀裂などの変化に気を付けてください。庭や家の基礎が上がったり下がったり動いたりしている場合には、続く揺れで思わぬダメージが発生することがありますので、早めに業者さんに点検してもらうようにしてください。
地震だけであれば、現在の日本の建築基準にあっていれば大きな損害は起きにくいです。慌てずに、落ち着いて状況を確認して、自分の安全確保を第一に行動するようにしてください。
我が家のBCPを作ろう
防災用語として割と定着した感じのあるBCP、事業継続化計画といわれますが、何か不測の事態が起きた時にでも事業を継続できるような段取りを可視化しておくものです。
学校や施設、企業などで作っているはずですが、行政や業者の作ったひな型に文字を入れて、内容の確認も検証もせずに備えていますというところが山ほどあります。
実態に即していないBCPはいざというときに助けにならず、逆に邪魔になることが多いのですが、今回はそれに対する文句を言いたいわけではありません。
今回は、おうち版のBCPを作ってみないかというお話です。
おうち版BCP、一時期FCP(ファミリー・コンティニュー・プラン「家族継続化計画」)と呼ぶ人もいましたが、結局定着していないようなのでおうち版BCPとしてここでは説明をします。
内容は「誰がどこにいるのか?」「どこにいるときにはどこへ避難するのか?」「災害が落ち着いたら、どこで合流するのか?」「連絡手段はどうするか?」「収入はどのようにするか?」など、被災しても家族が安心して避難し、災害後、日常生活を取り戻すまでに必要な段取りをきちんと決めておくことです。
これを作ることによって、いざというときに自分がどこへ避難するのかや他の人がどこに避難するのか、どうやって連絡を取り合うのか、どこで家族がまた一緒になるのかといった、災害後に問題になる部分が解決できます。
家族と普段から生活している場合には、災害発生時にどうしても自分以外の家族が気になるものです。
子どものいるおうちだと、子どもを引き取りに学校などに出向くということがあるかもしれませんが、迎えに行く人や迎えを待っている人が被災するかもしれません。
でも、もしも災害発生時に子どもがどこかへ避難することを決めているのであれば、子どもはそれに従って避難しますし、危険を冒して迎えにいかなくても、状況が落ち着いてから避難先に迎えにでかけてもいいのです。
BCPと避難計画が決定的に違うのは、避難計画は避難完了までが目的であるのに対して、BCPは避難完了後、日常生活を取り戻すまでの手順を作っておくことが目的であることです。
作る時には、ご家族みんなであれこれ話しながら作ってください。そうすることで、参加した人は自分のこととして受け止めることができ、いざというときにもきちんと行動をしてくれます。
我が家のBCP、作るのは結構大変ですが、ご家族の行動範囲や活動内容、生活習慣を再確認することができるので、作った後は悩んだり迷ったりする必要がかなり減ります。
作ることが難しいなと感じたら、BCPについて書かれた書物を調べたり、BCPを取り扱っている業者などに相談してみてもいいと思います。
当研究所でもお手伝いできますので、興味のある方がおられたらご連絡をください。
我が家のBCP、作ってみてくださいね。