まずは命を守ること

 日本は災害大国だということは、大きな災害が起きるたびに言われていることですが、災害が起きるたびに犠牲者が出るのはどうしてなのでしょう。
 災害大国というからには、日本のどこに住んでいても災害が起こる可能性はあるわけで、そうするとそれに対する備えをきちんとしておくことは常識なのではないかと思うのですが、実際のところはそうでもないようです。
 災害が起きないようにさまざまな物理的対策をとるのは行政が頑張っていますが、だからといってそれで100%の安全が確保されるわけではありません。
 物理的な対策は、あくまでも安全な場所へ避難するための時間を稼ぐために行われているものだと考えると、自分自身は何もしなくてもいいということにはならないということがわかると思います。
 では、自分自身は何をしたらいいのかというと、まずは自分の命を守るためにどのような行動をとったらいいのかをしっかり考えて備えておくことです。
 災害時に生き残るのは自分自身の判断がかなりのウエイトを占めることになります。災害が起きそうなときには早めに安全なところへ移動したり、災害が起きたら速やかに自分の安全を確保するための行動は、普段から意識していないと本番でも当然できません。
 そのために必要なのが訓練であり、備蓄であり、マイタイムラインと呼ばれる災害時行動計画なのです。
 「起きたらその時」とか「やる意味がない」といったことを考えている人は多いのですが、そういう人に限って、実際に災害が起きると「こんなはずではなかった」というセリフを言います。「こんなはずではなかった」と言えるならまだマシで、災害で命を落とすのは圧倒的にこういった人が多いのです。
 災害発生時に自分の命を守るのは、自分自身しかできません。警察も消防も自衛隊も行政も、災害が発生するその時にあなたを助けてくれるわけではないのです。
 自分の命を守るのは自分自身。そのことを忘れずにしっかりとした準備をしておきたいですね。

出かけた先の避難を気にしていますか?

 大規模商用施設や宿泊施設などでもし災害に出会ってしまったら、あなたはどのように避難するのかを意識したことがありますか?
 災害が発生したときには、原則としてその場所の従業員がお客の誘導をしてくれるはずです。
 ですが、それが必ず行われるとは限りません。
 最近は従業員がパートやアルバイトが殆どというお店も珍しくありませんし、外国籍の日本語が通じない方がお仕事をされている場合もあるかもしれません。
 従業員がいても、きちんと誘導がしてもらえない場合も想定しておかないといけないのです。
 一般的に、避難誘導灯は必ず設置されていますから、それを確認すること。


 そして、出入り口や階段の近くには殆どの場合避難経路を記した案内図が掲示されているので、それを確認しておくことをお勧めします。

ホテルでは客室のドアに避難経路図が貼ってあることが多い

 また宿泊施設などでは、チェックインの際に必ず避難経路の確認をするように指示もされますし、宿泊室の扉の内側には避難経路を示したものが貼られていることが多いと思います。
 それらを確認し、面倒くさがらずに一度避難経路をたどってみること。それだけで、災害時の生存確率はかなり上昇します。
火災や地震といった大規模な災害が発生するたびに、命を守るためのさまざまなことが追加され続けています。
 ですが、それを活かすも活かさないもあなたの行動にかかっています。
 上手に活用して、いざというときに備えたいものですね。