【活動報告】ポリ袋クッキング体験会を開催しました

 去る8月20日に津和野町町民センターで津和野町女性消防団の皆様と災害時に備えたポリ袋クッキング体験会を開催しました。
 災害後に足りなくなるものの一つに清水があります。ポリ袋クッキングは、少量の清水で洗い物をなるべく出さずにおいしく調理する技術ですが、普段の調理法とちょっと異なるコツが必要となります。
 今回は、ハイゼックス炊飯袋を使ったご飯炊き、ホットケーキミックスを使った茹でパン作り、茹で卵焼き、そしておまけで水戻しパスタをやってみました。
 参加された皆様は、段取りを理解されたら、手際よく次々と調理をすすめてくださり、和気あいあいとした空気の中で調理ができました。


 完成した後、レトルトカレーをご飯にかけて実食となりましたが、思ったよりも良い出来だったようでした。
 一番受けがよかったのが、おまけの水戻しパスタで、普段使いでガス代の節約になるのではないかというお話と、レトルトカレーとの相性が抜群によかったという新しい発見もあったようです。
 ポリ袋にも種類があり、こういった調理に使えるものと使えないものがあるのですが、今回はその違いも含めてしっかりと覚えていただき、普段の調理でも登場するのかなという雰囲気のかたもいらっしゃいました。
 知っていることと、やってみたことは同じようでかなり違い、実際にやってみると結構いろいろなことに気が付くみたいです。
当研究所の研修会では、こういった災害時の調理法などの講習会もやっていますので、興味のある方はお問い合わせください。
今回お声がけいただきました津和野町女性消防団の皆様に、厚くお礼申し上げます。

【活動報告】外国人の方向け防災イベントの講師をしました

 2023年7月30日に益田市の人権センターで開催された災害時外国人サポーター養成研修&防災イベントの防災イベントの講師として外国の方向けに災害についてのお話をさせていただきました。
 当日は40名を超える方にご参加いただき、災害時外国人サポーター養成研修に参加された方たちと一緒になって、防災クイズや避難所でのお困りごと相談などを体験してもらいました。
 意外に知られていないのですが、当研究所のある益田市にもいろいろな国の方がいろいろな形で仕事をしています。
 ただ、普段は仕事以外では日本人との接触はあまりないことや、地域を見て回ることなどはあまりないようで、なかなか地域の情報、特に防災関係はうまく届いておらず、何をどうしたらいいのか、それ以前にどんな災害があるのかもわからないという方が多いようで、今回はそういった方向けに災害の種類や地震のときの身の守り方、ハザードマップの見方について初歩的な説明をしました。
 参加された皆さんは和気あいあいと言った空気の中でも真剣に考えたり調べたりしてくださり、密度の濃い時間になったのではないかと思います。
 外国の方向けの防災研修会は初めてだったのですが、普段使っている資料が案外とわかりにくいことがわかったり、伝え方に工夫が必要なことなど、今後の当研究所の研修会に反映できそうなことをたくさん学ばせてもらいました。
 ひょっとしたらこういった需要があるのかもしれませんので、当研究所ではご要望があれば引き続き外国の方向けの防災研修会も開催したいと思っています。
 今回お声がけくださった益田日本語ボランティアグループともがき様、そして災害時外国人サポーター養成研修を毎年企画されているしまね国際センター様にお礼申し上げます。

「避難生活&住宅再建ガイドブック」のご案内

ここ最近の大雨では多くの方が住んでいる家屋への被害を受けています。
復旧や復興支援についてはさまざまなウェブサイトでいろいろな紹介がされているので細かい部分はそれぞれご確認いただきたいのですが、避難所生活と自宅の再建についての流れをわかりやすくまとめた「避難生活&住宅再建ガイドブック」がNHKから出されましたので、そのご案内をします。
被災すると、避難所生活と自宅の復旧を行うことも多いのですが、それぞれの注意点がわかりやすくまとめられていて、被災者でなくても参考になると思います。
いざというときには、どこでどのような手続きをすればいいのかや、何を優先すればいいのか、どんなことに気をつければいいのかがなかなかわかりにくいものです。
こういった冊子を利用すれば、とりあえずの優先順位や注意点はまとめられていますので、手落ちなく復旧に進むことができると思いますので、興味のある方は一度ご確認ください。

被災した時これだけは知ってほしい 「避難生活&住宅再建ガイドブック」(NHKのウェブサイトへ移動します)

被災後は暇にしない

日本の災害では、被災者の方をお客様にしてしまうことがよくありますが、被災者の方を完全なお客様にするのは止めた方がよさそうです。
というのも、やることがある人はともかく、「被災して大変だから」と何もさせない状況にしてしまうと、人間ロクなことを考えなくなるものです。
特にお年寄りにはこの傾向が強いのではないかと感じていますので、できることをどんどんお願いしていくような体制を早い段階で構築しておくとみんなが幸せになれます。
日中、家や職場の片づけや仕事がある人はそちらに専念してもらって、やることがない人は避難所の運営や地域の仕事にどんどん協力してもらいましょう。
忙しいと、悪いことを考えている暇が無くなりますし、なによりも仕事をやっているという充実感があるものです。
どんな人でも、大抵何かはできます。
避難所の運営者や地域のまとめ役をしている人は、誰がどんな仕事なら、どうやればできるのかについて考えて、どんどん仕事を振り分けていきましょう。
そうすることで、相対的に自分でないとできない仕事だけが手元に残りますし、仕事が回りだすと状況もよくなるものです。
被災後の基本は、できる限り暇な状態にしないこと。
精神的なことが原因の災害関連死を防ぐためにも、意識しておきたいことの一つです。

乳児がいるときは液体ミルクを備えておこう

乳児にとって、災害時だろうがなんだろうが、栄養補給のためには母乳またはミルクをのむことが必要です。
では、乳児のお持ちの親御さんがどれくらい備えているかというと、母乳や粉ミルクは常備していても、液体ミルクを常備しているところはまだまだ少ないようです。
液体ミルクは賞味期限が半年から18か月と、災害食として用意するには期限が短いですし、出しているメーカーも限られていますので、現状では少ないのかなという気がしています。
ただ、災害時にはこの液体ミルクはかなり力強い味方になることを覚えておいてください。
場所がどこだろうが、容器の中には常に完成されたミルクが入っているのですから、調製する必要もなく、そして衛生面でも有利なのは考えなくてもわかると思います。
WHOが出している粉ミルクの調製法では、細菌対策で70度以上のお湯で粉ミルクを作ることが推奨されていますが、被災直後ではそういう温度を作れる材料がないかもしれません。
液体ミルクであれば、人肌程度まで温めればそのまま使えて細菌対策も出来ていますから、汚染を心配する必要は少なくなります。
もっともいいのは母乳なのですが、さまざまな事情から、母乳が使えない場合に備えて、液体ミルクを2~3日分用意しておくといいと思います。
もちろん、事前に乳児に飲ませてみて、好みの味であることは確認しておきましょう。
災害時には、母乳か液体ミルクを乳児に与えるといいということと、粉ミルクは必ず70度以上のお湯で溶かす必要があるということを、知っておいてほしいと思います。

乳児用調製粉乳の安全な調乳、 保存及び取扱いに関するガイドライン (厚生労働省のウェブサイトへ移動します)

ペットたちも自助共助?

 ペットを飼っているおうちでは、自分が避難しなければならないときにペットをどうするのかということを考えることが出てきます。
 人によっては、ペットがいるから避難しないという選択をする人も出てくるので、ペットを連れて避難してもいいですよということに、最近はなりつつあります。
 ただ、ここで想定されているペットは、犬や猫、せいぜい鳥くらいまで。
 その他のペットについては、まったく考えられていない状況です。
 最近ではさまざまな生き物がペットとして飼われていますが、最低限、ペットの種類ごとに収容場所を作らないと大きなトラブルが発生します。
 その他のペット、というひとくくりにしてしまうと、例えばカエルと蛇とコオロギを同じ部屋に置くというとんでもない事態が発生してしまうのです。
 避難所あるあるですが、その存在が少数であればあるほど、避難所の運用想定からは除外されることが多いです。
 人間でも、身体障がい者の方や精神疾患を持つ方、補助具や装備がないと動くのに制限がある人などであっても、避難所での収容では特別な配慮はされません。
 一般の人と同じ扱いになってしまうので、そういった人にとってはさまざまな困難が発生するのですが、少数意見のために「我慢しろ」で終わってしまいます。
 これがあまりにひどいので、福祉避難所を最初から作って、支援のいる人や何らかの補助がいる人をそちらへ収容するという風に法律は変わりましたが、現状、ほとんどの自治体がさまざまな理由から対応していないと思います。
 これと同じで、ペットも多数派である犬や猫、鳥は恐らく避難所でも飼育スペースが確保されると思います。しっかりと検討されているところなら、一緒に生活できる同伴避難になっているかもしれません。
 でも、ほとんどの避難所では犬、猫、鳥くらいのくくりでしかしわけられていないので、その他の生き物はそもそも想定されていないという事実があります。
 そうすると、ペットもその飼い主も避難所に避難するという選択肢はなくなります。
 安全な場所にあるペットホテルや獣医など、ペットを安全に収容してくれる施設にお願いするか、あるいは知り合った同好の士が安全な場所に住んでいるなら、そこに避難するか。あるいは、キャンピングカーやワンボックスカーなどでの車中避難をするか。
 かなりの自助や共助が必要となっています。
 ペットも自分も、安全に災害をやり過ごしたいですから、自分たちが少数派であることを考えての、自助や共助を準備しておくようにしてください。

避難所の準備はできているか

日本の災害でもっとも進化していない部分は、ひょっとしたら避難所なのかもしれません。
写真や絵が残っている1888年の磐梯山噴火の写真と、1959年の伊勢湾台風、そして2011年の東日本大震災、それぞれを比較すると、ほとんど同じ状況であることがわかると思います。
体育館などの広い施設に避難者が雑魚寝。プライバシーもなく、情報も生活用品の配布もでたらめ。トイレは汚くて衛生環境もかなり劣悪。
新柄コロナウイルス感染症の蔓延によってソーシャルディスタンスという言葉が生まれ、初めて避難所がすし詰めにならない状況が生まれましたが、今度は避難所に避難できない避難所難民が発生している事態になっています。
最近では自宅避難が前提だということになって、できるだけ避難所への避難者を減らす方向で国も広報を進めていますが、自宅避難できない地域もたくさんありますので、避難所にどのように収容するのか、そして避難所での生活環境をどれくらい快適なものにできるのかは引き続きの課題になっていると思います。
人によっては避難所を快適にすると避難所から出ないという人もいますが、災害という非常事態で、さらにプライバシーがなく、生活用品や生活リズムが自分の思うようにできない環境では、心身ともに疲弊してしまうのは、災害からの復旧には大変なマイナスになるということを忘れないでほしいと思っています。
海外では、大規模災害が起きるとすぐに仮設住宅などが設置され、長期にわたって避難所での生活を余儀なくされるケースは年々少なくなっています。
これは災害からの復旧にはその人が疲弊しない生活環境の確保が必要だと考えられているからではないでしょうか。
避難所を現状のまま長期間運用する気であるなら、それなりの生活環境を維持できるような整備が必要となります。
避難所の準備、当事者も管理者も、平時にしっかりと考えて準備しておく必要があるのではないでしょうか。

避難先はどこですか?

 災害で最優先されるべきは人の命であり、ハードもソフトもその前提で対策をとっています。
 ただ、いろんな大人の事情があるみたいなので「避難=避難所」という図式を変えずに表現しようとして、「自宅避難」などという不思議な言葉が登場してきています。
 「避難」という言葉の意味は「難を避ける」ということなので、「自宅避難」という表現でも問題はないという見解をしているみたいですが、「避難=屋外退避」ということを言い続けていたのが行政だったわけで、その見解を変えずに無理やりつじつま合わせをしているような、なんともいえない気分に「自宅避難」という言葉を聞くたびになってしまいます。
 言葉遊びをするのではなく、前提条件として、そもそも「避難」は自宅にいると何らかの命の危険がある場合に自宅以外の場所に逃げるのだということをはっきりと言わなければなりません。
 過去には自宅は安全だったのに、避難勧告が出たので避難を開始してその途中で遭難してしまった人がいます。
 まずは安全なら自宅待機。自宅が危険だという人だけが避難行動をとらなければいけないということをあらゆる機会に言わなければいけません。
 ともすれば、防災関係者でも簡単に「避難所に避難しましょう」などと言ってしまっていますが、その結果として、避難所は人であふれかえって収容ができなくなり、いくつもの避難所をめぐる避難所難民が誕生します。
 もともと流域人口を考えずにテキトーに割り振られているのが避難所や避難場所なので、避難所難民が出てくるのは当たり前なのですが、それらの人たちの命も当然守られなければなりません。
 ではどうするかといえば、まずは「自宅が安全であるかどうかを確認する」ことから始めて、安全であれば自宅で待機、危険であれば、そこで初めて避難するという選択肢が登場するのだと考えてください。
 避難でも、例えば親せきや友人が安全な場所に住んでいるのなら、そこに移動するのが一番確実です。普段から良い関係であるなら、あらかじめお願いしておくことでトラブルを防ぐこともできるでしょう。
 予算に余裕のある方は、被害地域から出てしまうのも手です。影響のないところに移動して、状況が収まってから戻れば、心身ともに元気な状態で復旧作業に入ることができます。
 また、安全な場所にある宿泊施設などに移動して、そこで過ごすのもいいと思います。経費はかかりますが、避難所と違って宿泊するための設備があるので、かなり快適に避難生活を送れると思います。
 最後に、何らかの理由で今まで書いてきた避難先が確保できない人だけが避難所に避難する。こうすることで、避難所に集中する人数はそれなりに減ると思います。
 「避難=避難所」ではなく、避難所は「どうにもならない場合の最後の砦」という意識で、避難所以外の避難先を平時から探しておくことをお勧めします。

スマートフォン用の充電池を持っていますか

 好き嫌いにかかわらず、最近ではさまざまな情報を得るのに使われているツールがスマートフォンです。
 電話、といいながら、さまざまなアプリで情報交換したり、音楽を聴いたり、写真を撮ったり、ゲームをしたりと、一台で何役も仕事をしてくれる優秀なアイテム。
 ないと困るという人も多いと思います。
 ところで、災害が起きると問題になるのがこのスマートフォンの充電方法。
 スマートフォンを大規模災害後もそのまま使えるようにするためには、スマートフォンを充電できる充電池を持ち歩いておくほうがよいでしょう。
 中には大容量のバッテリーを持つスマートフォンもありますが、そういったものでもない限りは、大規模災害後に電源を入れっぱなしにしておくと、びっくりするくらい電池を消耗します。
 これは基地局を探すためにアンテナの出力を自動的に上げることで起きるものだそうで、対策としては使わないときには機内モードにするか、あるいは電源を切っておくことが有効です。
 ともあれ、情報を集めるにしても安否確認するにしても暇つぶしするにしても、バッテリーが切れてしまってはただの箱。
 そうならないように、充電池を一緒に持ち歩くようにしてください。
 ちなみに、避難所では避難所にあるコンセントを勝手に使って充電することはできません。大規模災害の場合には、手持ちの電池で何とかするしかありませんので、充電池だけでなく、可能であれば太陽光発電装置なども用意しておいた方がよさそうです。
 自分のスマートフォンのバッテリーをどうやって持たせるのか、普段から意識して準備するようにしてください。

古い神社は避難所です

 もしあなたの周りに古い神社があったとしたら、そこはさまざまな災害からあなたを守ってくれる場所になるかもしれません。
 工事などで神社が移転した場合を除くと、古くから神社がある場所は周囲に比べて安全な場所にあるはずです。
 というのも、神社のご神体ががけ崩れで埋もれたり水害で流されたりした後、二度と同じ事態にならないように、多くの場合それらの被害に遭わなかった場所に神社が移転しています。
 その結果、古い神社は周りで一番安全な場所に動いていき、被害のない場所に鎮座したのです。
 そういう経緯から、氏神様を祭る神社は、少し前の時代までは避難所の性格も持っていました。いざというときに安全に逃げ込めるように、参道の掃除は欠かさなかったですし、避難所のような公共性のある建物だからこそ、建て替え時には周辺の家々に寄付が回ってきていたのです。
 太平洋戦争のあとの政教分離と、無神論の広がり等に伴って、多くの神社が宮司も氏子もおらずに朽ち果てていっている現状ですが、避難所と考えて、そういった場所の整備をするのもありなのかなと思います。
 宗教的なあれこれは置いておいて、もしあなたのいる場所が安全な避難場所や避難所から遠いのであれば、近くの古い神社を選択肢にしてもいいのではないでしょうか。
 ちなみに、古くても合祀などで移転している場合もありますので、事前にハザードマップなどで安全かどうかは確認しておいてくださいね。