【活動報告】高津小学校防災クラブを開催しました

 2023年9月20日に益田市立高津小学校で防災クラブを開催しました。
 今回は前回に引き続き救急救命のやりかたです。前回は心肺蘇生法とAEDの使い方をやりましたが、今回は外傷の手当てと安全地帯への搬送法です。
 夏休みが間に入ったので、まずは地震が起きた時にどうするのかということについて、過去のクラブの内容を思い出しながら実際に警報音を出して行動してもらいました。
 全員が机の下に入ったのですが、小学生は体の大きさがまちまちで、机の下にきれいに潜ることができた子もいれば、身体の大部分がはみ出している子もいて、いざというときどうしようという意見が出ました。
 なぜ机の下に入るのかを考えてもらったら、全員が「落下物から身を守る」と答えてくれたので、実際に頭上を確認し、どんなものが落ちてきそうなのかを確認してみました。
 大切なことは、警報が鳴ったら、すぐに頭の上や周りから落ちてきたり倒れてくるものがないかの確認をすること、そして、落下物から身を守るためには、とにかく頭を優先して守ることについて説明をしました。行動を教えることも大切ですが、なぜそうしなければいけないのかをしっかり理解してもらっておかないと、いざ地震のときには身を守れない行動につながってしまいますので、その行動を取る理由について、しっかりと考えてもらえたと思います。
 その後は、外傷の手当て。大地震が発生して大規模な被害が出ると、病院が非常時状態に入ることや、トリアージについて説明し、軽いけがは自分たちで応急処置することで悪化を防ぎ、結果的に助かる人が増えるということをお話しました。その後、二人一組で実際に圧迫止血法から包帯による固定までをやり、普段使ったことのない包帯に悪戦苦闘しながらも、なんとか無事に止めていました。
 それから、安全地帯への搬送ということで二人一組でやってみたのですが、これが案外と難しかったようで、あちこちでどうやると運びやすいかについて話し合っていたようです。
 最後は担架による搬送ということで、実際に学校に備えられている担架を使って搬送をしてみました。
 子どもたちからの要望で2回やってみたのですが、2回目の患者役が担架の上でじっとしていなかったことから危険と判断し、搬送を中止してスタッフがそれを引き取りました。
 参加した子供たちからは「担架に乗っている人が動くと運ぶのが難しい」という話から、「ケガで痛くて暴れる人をはこぶのは難しそう」「やってみないとわからない」といった意見を出してもらいました。
 時間いっぱいまでしっかりといろいろな体験をしてもらいましたが、本番時にケガをしたり、ケガしている人を見かけたら、今回のような技術を使ってうまく助かってほしいなと思います。
 今回参加してくれた子ども達、そして担当の先生、いつも手伝ってくれているスタッフに、こころから感謝します。

乳児がいるときは液体ミルクを備えておこう

乳児にとって、災害時だろうがなんだろうが、栄養補給のためには母乳またはミルクをのむことが必要です。
では、乳児のお持ちの親御さんがどれくらい備えているかというと、母乳や粉ミルクは常備していても、液体ミルクを常備しているところはまだまだ少ないようです。
液体ミルクは賞味期限が半年から18か月と、災害食として用意するには期限が短いですし、出しているメーカーも限られていますので、現状では少ないのかなという気がしています。
ただ、災害時にはこの液体ミルクはかなり力強い味方になることを覚えておいてください。
場所がどこだろうが、容器の中には常に完成されたミルクが入っているのですから、調製する必要もなく、そして衛生面でも有利なのは考えなくてもわかると思います。
WHOが出している粉ミルクの調製法では、細菌対策で70度以上のお湯で粉ミルクを作ることが推奨されていますが、被災直後ではそういう温度を作れる材料がないかもしれません。
液体ミルクであれば、人肌程度まで温めればそのまま使えて細菌対策も出来ていますから、汚染を心配する必要は少なくなります。
もっともいいのは母乳なのですが、さまざまな事情から、母乳が使えない場合に備えて、液体ミルクを2~3日分用意しておくといいと思います。
もちろん、事前に乳児に飲ませてみて、好みの味であることは確認しておきましょう。
災害時には、母乳か液体ミルクを乳児に与えるといいということと、粉ミルクは必ず70度以上のお湯で溶かす必要があるということを、知っておいてほしいと思います。

乳児用調製粉乳の安全な調乳、 保存及び取扱いに関するガイドライン (厚生労働省のウェブサイトへ移動します)

【活動報告】救急救命講習会を開催しました

 2023年5月21日に益田市あけぼの西町にある(株)益田スイミング様を会場に、日本赤十字社島根県支部の方を講師にお招きして救急救命講習会を開催しました。
 当日は14名の方にご参加いただき、水難事故で気を付ける点や心肺蘇生法、AEDの使い方を3時間にわたってしっかりと講習をすることができました。
 心肺蘇生とAEDはほとんどセットでされることが多いので、今回の講習でも一連の流れとして行ったのですが、実際にやってみると非常に疲れてしまい、1分間でも圧迫する力が緩んでいくような大変さがありました。できる限りその場にいる人たちで交代で負担を軽くしながら命をつなぐことが重要だと感じました。
 今回の講習会でも、参加してくださった方からはさまざまな質問が出て、「夏の道路で短パン履いてる状態で膝立ちするのは難しい」とか「実際にどれくらい出くわす頻度があるのか」「心肺蘇生法をした相手が亡くなったら訴えられるのか」などといった質問も出て、講師の方も「周囲の協力を仰いでできるだけ怪我しないようにする」「講師自身はそういった現場には出会ったことはない」「心肺蘇生した相手が亡くなっても刑事訴訟にはならない」といった具体的な回答を一つ一つ丁寧に行ってくれました。


 毎回ご好評をいただいているこの講習会ですが、一年もたつと忘れてしまうというご意見も多く、できれば年内にもう一度やってみたいと考えていますので、興味のある方はぜひご参加ください。
 今回の講習会に参加してくださった皆様、そして丁寧に分かりやすい講習をしてくださった日本赤十字社島根県支部の講師の皆様にこころからお礼申し上げます。

【活動報告】塩づくり体験会を開催しました

 2023年5月20日に益田市高津町にある持石海陽王国様で塩づくり体験会を開催しました。
 当日は天気の変わり目で強い風の吹く中、6組の参加者がそれぞれ海水を汲んで煮立て、実際に塩づくりをしてみました。
 持石海岸の海水は不純物が少ないのか、やってみると非常にきめが細かくきれいな海水塩が取れます。
 参加者の皆様は「思ったよりもたくさん塩が獲れた」と驚かれていました。


 食べてみると「塩辛い! でも普段の塩とはだいぶ違う」という意見で参加者の皆さんが一致していました。
 また、手間暇と値段を考えた時に大手企業は絶えず企業努力をして、おいしい塩を私たちの食卓に提供してくれているのだなというお話もありました。
 今回の想定は「お子様連れの家族」を想定していたのですが、大人の方でも楽しめる体験会になっていたようです。
 イベント終了後には、海陽王国様のご好意でレストランでジュースも頂戴し、お時間のとれる方に楽しんでいただきました。
 コツさえつかめればどなたでも楽しくできる塩づくり。
 また機会を見てやってみたいと思っていますが、場所によっては出張体験会も行うことができますので、興味のある方はご連絡いただければと思います。
 今回参加してくださった皆様、イベントの周知やPRをしてくださった方々、そしてイベントに全面的に協力してくださいました持石海陽王国様にこころからお礼申し上げます。

持石海陽王国(持石海陽王国様のウェブサイトへ移動します)

【活動報告】高津小防災クラブで「経口補水液を作ろう」を開催しました

 去る5月17日に益田市の高津小学校で今年初めての防災クラブを開催しました。
 本来は初回なので「災害ってなんだ?」というタイトルで災害の定義や種類について考えてみる回なのですが、前日から気温30度超えで熱中症が心配されたことから、急遽熱中症対策と経口補水液づくりをやってみることにしました。
 熱中症対策としては、まずは暑さに体を慣らしてしっかりと汗をかくようにすることと、こまめに水分補給をすること、できれば水や麦茶がよいというお話をし、経口補水液は脱水症状を起こしているときや起こしかけのときに使ってほしいという説明をしました。
 実際に経口補水液を作ってみたのですが、飲んでみた感想は全員「まずい!」でした。これがおいしく感じると脱水症状が始まっていますので、とりあえずは一安心。次にレモン果汁を加えて飲んでもらうと、感想がいろいろと変わって「ポカリみたい」とか、「よくわからん」「さっきよりまし」といった感じで、「まずい!」ではなくなりました。脱水症状を防止するために経口補水液を使うときには、ある程度何か味がついているほうが飲みやすいようです。
 最後は、もし熱中症で倒れたらということで、急速冷却材の説明と、冷やすのは大きな血管が肌に近いところにある場所ということで、わきの下や足の付け根、首の下などを冷やすことをお話し、意識がはっきりしていない場合には、点滴が必要となるのですぐに救急車を呼ぶことを重ねて説明し、終了しました。
 今年度初めての子ばかりで、17名中過去に参加したことのある子が1名だけという、なんとも捉えどころのない今年の防災クラブですが、そのうちには今年の個性が出てくるのかなと楽しみにしています。
 次回は改めて「災害ってなんだ?」というお話をしたいと思っていますが、状況によっては、またメニューが変わるかもしれません。
 参加してくれた児童の皆さん、そして担当の先生にこころから感謝いたします。

【活動報告】長浜まちづくりセンターで防災研修会の講師をしました

 2023年5月13日、浜田市の長浜まちづくりセンターで地震に対する備えを中心とする防災研修会の講師をしました。
 当日は18名くらいの方にご参加いただき、予定していた起震車が雨天で来れなかったので、みっちり2時間に渡って研修をさせていただきました。
 長浜地区は山あり海ありで地区内でもさまざまな条件があり、それぞれに備えが変わってくるところです。
 参加者にはご家族連れ、特にお子様が多く、プログラムを子供向けに急きょ振りなおして、台車を使った揺れ体験や、地震の時の防御姿勢、部屋の見取り図を描いて危険な場所を探してもらう「おうちの安全チェック」などを体験してもらいました。
 休憩時には、参加してくれていた子供から「地震のとき、机の下でどんな格好したらいいか教えて」というご質問をいただき、その場にあった会議机を学校の机に見立てて、机の下での防御法を説明しましたが、実物があるともっとわかりやすかったかなと思いました。
 いざというときに自分の身を守るのが、大人でも子供でも変わりません。
 「地震の時には先生の言うことを聞きましょう」と学校では教えていますが、それでは先生がいないときには子供は自分の命を守ることができませんので、きちんとした地震の時の防御姿勢やその後の避難の方法などを、子ども達が自らできるように、しっかり伝えていきたいなと思っています。
 今回お声がけいただきました、浜田市の長浜まちづくりセンター様に、こころからお礼申し上げます。

マニュアルはできるかぎり具体化する

 学校や施設、企業などでは、基本的には災害時の対応マニュアルが作られているはずですが、あなたはそれに目を通したことがありますか。
 もしも目を通したことがあるなら、書き方がどうなっていたのかを思い出してください。例えば避難なら「近くの公園や施設に避難」といった抽象的な書き方か、「〇〇公園の〇〇に避難」といった感じで具体化されていたでしょうか。
 面倒くさいことと時間が取れないこと、そしてわからないことや責任問題に発展することを恐れてだと思うのですが、防災マニュアルではとにかく抽象的な書き方をすることが非常に多いです。
 ただ、抽象的に書くと、いざ災害の時には非常に悩むことになってしまいます。例えば、具体的にどこへいつまでにどのように避難するのかがしっかりと明記されていないと、避難すべきタイミングを失ってずるずると逃げ遅れることになります。
 緊急時に備えたマニュアルでは、より具体化し、単純化しておくことが大切です。
 防災マニュアルを備える前提は「命を守ること」、そして「被害を軽減化する」ことですので、何を最優先するのかを取り決めたうえで内容を具体化してマニュアルは作成しておきましょう。
 作るまでは非常に手間がかかりますが、一度作ってしまえば毎年きちんと見直すだけで災害時の行動基準となるマニュアルが手元にあることになり、災害時から復旧、復興時の手順がはっきりとわかり、手順が組みやすくなります。
 また、もしもその防災マニュアルを使うことがあったなら、状況が落ち着いてから内容に足りないものがなかったかや段取りはうまくできていたかなど、次回に備えた検証と反映をしっかりと行っておきましょう。
 担当する各省庁がそれぞれの所管に応じて防災マニュアルのひな型を作っていますが、あれは必要最低限の記載がされているだけですので、実際には自分のところにあわせたカスタマイズが必要になります。
 ひな型に文字を入れて出来上がり、ではなく、その内容も含めてしっかりと検討し、自分のところにあった具体化されたマニュアルを備え付けるようにしてください。
 マニュアルができたなら、そのマニュアルはしっかりと所属する全職員に情報を共有化しておかなければなりません。全部覚えることができないとしても、マニュアルがどこにあってどのページを使うのかがわかれば、非常時には心強い存在になりますので、作成から共有化する作業までを一連の流れとして、しっかりと整えてほしいなと思います。

【終了しました】救急救命講習会を開催します

来る5月21日13時から、益田市の益田スイミング様において、日赤島根県支部の方を講師にお招きし、救急救命講習会を開催します。
誰もがいつどこで必要になるかわからない心肺蘇生法やAEDの使い方などを、丁寧にしっかりと教えてもらうことができます。
普段なかなか接することのない救命法について、こういった機会を通して学んでみませんか。
詳しいことはチラシをご覧ください。
興味のある方のご参加をお待ちしております。

当日の様子はこちら

眼鏡の確保

 視力の悪い人にとって視力矯正具は生活するのにかかせないアイテムです。
 それが眼鏡の場合もコンタクトレンズの場合もあると思いますが、どちらにしろ、寝ているときには外していると思います。
 自分の安全を確保するためには視力の確保は必須となりますので、寝るときに眼鏡をしまう場所は何かあったときに備えて、無くならないような場所にしてきましょう。
 枕元に置いている場合が多いと思いますが、それだと地震の時に揺れると飛んで行ってしまいます。破損を防ぐために、眼鏡ケースにしまうことと、できるなら眼鏡ケースに夜光塗料のついたシールなどを貼り、夜でも所在がわかるようにしておきましょう。
 できるなら、眼鏡は複数個用意しておき、寝室だけでなく、非常用持ち出し袋や玄関などにも準備しておくと安心です。
 災害後の衛生環境の悪い状態では、コンタクトレンズは使うのをやめたほうが賢明だと思いますので、普段眼鏡を使わない人でも、準備をしておいてください。
 ものが見えないというのは、非常に生活しずらいものです。
 使わなくなった古い眼鏡でもないよりはマシですが、できるなら視力がきちんと出ている眼鏡を複数個準備しておいてください。

防災計画は現実的ですか

 東日本大震災における大川小学校の損害賠償請求事件では原告が全面勝訴しています。このことは割と有名な話なのですが、この中で裁判所が「事前防災の予見と不備」を大きな理由にしていることはご存じですか。
 人が集まっている学校などでは、想定されうる災害についてきちんと精査し、条件変更のたびに防災計画をきちんと見直すことが必須とされています。
 詳細は裁判所の判例をご確認いただきたいのですが、筆者の解釈では、この判例の前提にあるものは、学校に限らず、人が集まる施設では起こりうる災害とその対策についてしっかりと精査したうえで可能な限り犠牲者を出さないための対策を行う必要があるということなのではないかと思っています。
 学校や病院、介護施設、保育所やこども園などでは、ほとんどの場合防災計画が作られていると思います。ただ、それはきちんとそれらがある場所の状況を反映し、的確に安全確保ができるものになっているでしょうか。
 特に介護施設などでは、筆者の知る限りでは防災計画のひな型を適当に手直ししたものが備え付けられていることが多いですし、見直しや改訂もまったくされていないものもよくあります。
 法律上は防災計画が立てられていて計画書が備え付けられているので問題がないと判断されるのですが、それで安全がきちんと確保されているでしょうか。
 防災計画を一から作れというのは結構ハードルが高いと思うのですが、これらの施設に義務付けられている避難訓練の状況や結果を防災計画書に反映させることはできると思います。
 もしあなたが防災担当をしているのであれば、今からでも遅くはありません。
 自分の担当している防災計画書を見直し、地域の災害リスクや要件をきちんと満たせているか、そして実際に安全確実にできるような計画になっているかを確認し、しっかりとした安全を確保してください。
 余談ですが、介護施設は特に地域の中では危険な場所に建てられていることが多いです。立地からすでにリスクがあるのですから、しっかりとした対策を作って実行できるかどうかを確認することをお勧めしておきます。

大川小学校津波訴訟判例文(裁判所のウェブサイトへ移動します)