災害時に不安や緊張を緩和する方法

 被災後には災害に対するトラウマやこの先どうなるのかと言った見えない恐怖からくる不安などにより、寝が浅くなったり食欲が落ちたり、逆に過食になったりする不安定な精神状態に陥ることがあります。
 その時に役に経つのが「タッピング」です。タッピングセラピーやタッピングタッチとも言われるようですが、指先を使って身体のあちこちを優しくタッピングしてほぐしていくという内容です。
 一人でもできますし、二人でもでき、道具もいらないため、被災地での災害支援の一つとして取り入れられています。
 別に災害時に限らず、日常生活でのちょっとした緊張などをほぐすのには便利ですから、やり方を知っておいて損は無いと思います。
 慢性的な肉体的・精神的病気はお医者様にお任せするとして、ちょっとした不調のときなどに試してみてはいかがでしょうか。

タッピングセラピー・ストレスケアの手順」(一般社団法人日本TFT協会のウェブサイトへ移動します)

タッピングタッチ・はじめてみよう」(一般社団法人タッピングタッチ協会のウェブサイトへ移動します)

72時間の意味

 エーゲ海で大きな地震が起きました。マスコミでは地震発生から72時間を過ぎると建物などに閉じ込められた要救助者の生存が殆ど絶望のような報道もされていますが、なぜ72時間なのか考えたことがありますか。
 今日はこの72時間という時間について考えてみたいと思います。

 72時間以内にできるかぎりの救助をしなければ生存者が極端に減ってしまうと言われています。これは阪神淡路大震災で倒壊した建物などから救助できた生存者の割合が、初日は74.9%だったのが2日目には24.2%、3日目、すなわち72時間後には5.4%となり、72時間を過ぎるとかなり下がってしまうことが示されたためです。(出典:「阪神・淡路大震災の経験に学ぶ」 国土交通省近畿地方整備局作成)
 もっとも検死報告書では死者の殆どは圧迫死による即死状態ともあるためこの数値をそのまま鵜呑みにすることもよくないようですが、被災後早ければ早いほど助かる人が増えるのは事実です。(出典:阪神・淡路大震災教訓情報資料集【02】人的被害 内閣府作成)
 また、水は3日飲めないと脱水症状を起こして死に至るからだという話もあります。これも72時間以内の救助が言われている原因でしょうが、通俗的に言われているものなので何か確証があるようなものでもなさそうです。
 最終的に生存できるかどうかは本人の体力や閉じ込められた環境、天候などにかなり左右されるので、72時間を超えたから生存者がいないというわけでもありません。

 ただ、救命率を表す72時間という表現は要救助者がいる人にとっては一つの目安になる数値です。さまざまな要因でこの時間内に救助が間に合わない場合には、あきらめがつくという効果もあります。
 マスコミは大規模震災が起きたときに批判的に使われることもありますが、これも数値があることで起きる一つの現象ではあります。
 ちなみに、この数値は人命救助以外に備蓄品の目安や自助でなんとかすべき時間の目安にもなっているので、いろいろな意味で災害対策とは切り離せない数字なのだと思います。

 消防の緊急消防援助隊や警察の広域緊急援助隊、自衛隊などの救助のプロ達は生存者がいると思われる場所で重点的に救助活動をします。
 つまり、生存者がいないと判断されてしまえば、そこに救助隊が来るのは72時間よりもずっと後になってしまいますから、閉じ込められたときに備えてホイッスルを準備しておくことをお勧めします。
 また、一番良いのはそもそも倒壊に巻き込まれたり閉じ込められたりしなくてもすむような環境を整えておくことです。おうちや周囲の地震対策をしっかりとやっておいてくださいね。

危険を予知する

 子ども達と話をしていると、年齢が高くなるに従って危険の予知力が落ちてきている気がします。
 小さい子だと素直に危ないと感じることでも、年齢が高くなるといろいろな理由を考えて「危なくない」という結論を出そうとしているように見えるのです。
 「怪我は許さない」「危険な目に遭わないように」という世の中の方針が間違っているとは思いませんが、ありとあらゆる危険を排除して生活していると、危険を感じる能力が低下してしまいます。
 子どもだけでなく大人も同じで、危ないということが理解できない人達が増えています。
 その結果が、増水する川の中州でバーベキューしたり、雨の山の鎖場で滑落したりすることに繋がっているのではないでしょうか。
 筆者個人としては、無防備な危険は避けるべきだと思いますが、制御された危険は小さいうちにしっかりと体験しておくべきだと考えています。
 死なない程度の危険を繰り返して体験しておくことで、自分で安全か危険かの判断ができるようになっていきますから、危険なことは危険であることを教えた上で体験させておく必要があるのではないでしょうか。
 「刃物は危険だから使わせない」が進むと、いざ刃物を使うときにやってはいけない危険で致命的なことをやってしまいがちです。
 川や水の流れの怖さを知らないと、増水している川で平気で遊んだりします。
 危険を予知する能力は、ある程度危険な体験をしないと育たない。そのために制御された危険をしっかりと体験すべき。
 災害対策も同じで、そのために体験型の防災センターや起震車などが活躍しています。体験をしておけば、いざというときに必ず役に立ちます。
 危険を予知する能力を上げるためにも、さまざまな野外活動に参加したり、防災体験をしてほしいと思います。

災害対策で考えておかないといけないこと

 災害対策で個人が考えておいた方がいいことは、災害に遭わなくて済む場所を選ぶと言うことです。
 例えば住家を始めとする生活の場なら、ある程度は自分の意思で決めることができます。住む地域を災害に遭いにくい場所にすることで、いざというときでも家に立てこもれば数日は凌げるという状態にしておくことが理想です。
 それからトイレと水の備え。飢えは我慢できても、排泄を我慢することは非常に困難ですし身体にもよくありません。
 災害に遭っても排泄が確保できるトイレを考えておくといいでしょう。
 それから渇きにも耐えるのが難しいですから、飲料水も準備しておきます。住んでいる地域によって準備すべき量は異なり、田舎で水場が多ければ一日から数日分、都会地で水道に頼る環境であれば一週間は確保したいところです。
 暑さ寒さや濡れることにも備えておいた方がいいですから、簡単に使える保冷パックや携帯カイロ、タオルや替えの服などもあると便利です。
 まずは身の安全。そしてどうやれば衛生的に命を繋ぐことができるのかを考えておくと、災害時にも安心して生活することが可能です。
 災害対策でいろいろなものを準備するように言われるところではありますが、全て準備することが困難な方は、とりあえず安全な環境、トイレ、水、季節により保冷パックや携帯カイロ、タオル、そして下着を含む替えの服を準備しておけば避難先でも困ることはあまりないと思います。
 災害発生後に送り込まれてくる救援物資は誰もが必要としているものしか運ばれてきません。
 自分には必要だが全ての人が必要としているわけではないものについては、自分で準備しておくようにしてください。

避難所のニーズと避難者のニーズ

 災害で開設される避難所は、災害で住む場所を失った人にとって生活の核となる場所です。
 また、支援物資や情報の集積地であり、場合によっては復旧支援の拠点ともなる、非常に多機能な場所でもあります。
 最近はコロナ渦で在宅避難が推奨されていますが、それでもさまざまな事情で住むところを失い、避難所へ逃げ込む人がいなくなるということは考えにくいことです。
 その時に少し注意をしなければいけないことは、避難所における支援物資の要求を始めとするさまざまな支援要請の仕方です。
 避難所での避難者が多いほど必要とされる物資やサービスは多岐におよぶことになりますが、その際にその避難所でそれを必要とする人が多いほど要求の優先順位があがるということが起こります。
 逆に言うと、そのアイテムがないと生活が立ちゆかなくなる人であっても、そのアイテムを必要とする人が少数であれば、避難所としての優先順位は下がると言うことです。例えば、乳児用のおむつが欲しいと思っても、その避難所で多くの人が必要としているのが大人用おむつであれば、届くのは大人用おむつが優先されて乳児用はいつまでも届かないことになります。
 また、避難所では避難所を運営するための運営委員会が結成されますが、その委員達が不要と判断すれば支援物資の要求さえされないということになり、過去には生理用品を始めとする衛生用品が運営委員により不要とされてしまってその避難所で生活する人達が困ったというようなことが起きています。
 こういった隠れてしまうさまざまな要求を発掘するためには避難者から直接意見を確認できる場が必須となりますが、行政はどうしても平等という部分に拘って後手に回ってしまうため、NPOや支援団体がそれぞれに立ち入ってそれぞれの対象者からニーズを引き出すという作業を行っています。
 これはどちらがいいというわけではなく、避難所としてのニーズと、避難者としてのニーズが異なっているだけですから、対応が異なってくるのも仕方が無い部分があります。
 最近ではSNSで避難所で不足しているものの支援要求をすることも増えていますが、そのSNSでの発信は「避難所のニーズ」なのか「避難者個人のニーズ」なのかをしっかりと見極めないと、SNSを見た人が一斉に支援に動くと避難所に同じものが大量に届いて逆に困ったと言った事態も起きます。
 支援要求をする際には、それが誰のニーズなのか、いつ時点のニーズなのかをはっきりさせ、具体的に必要とする数量もあわせて発信する必要があるということを情報を出す側も受け取る側もしっかりと考えておく必要があると思います。
 一番いいのは、できるだけ避難者のニーズは自分の非常用持ち出し袋に詰めておき、ある期間は自分のニーズを出さなくても大丈夫なようにしておくことです。わかっているものはあらかじめ避難所にある程度ストックしておくことも一つの方法でしょう。
 避難所のニーズと避難者のニーズは異なり、それぞれに分けた対応が必要なのだと言うことを前提にして、支援物資やサービスを届けたいですね。
 余談になりますが、避難所の支援でもっとも問題となってくるのが水です。避難した時点では確かに不足しているものなのですが、給水車や行政の支援物資として真っ先に供給されるのも水ですから、遠方で飲料水を買って宅配便などで送ったとしても届く頃には充足していることが殆どです。
 もし送るのであれば、それが本当に支援になるのか、現地の場所取りになってしまうのではないかを充分に考えた上で送られることをお勧めします。
 また、避難所支援といって古着を大量に送る人もいますが、被災者はほとんど着ません。逆の立場になってもらえればわかると思うのですが、さまざまな形で新品が供給されることが多いので、古着はただのゴミです。
 災害ゴミを処分しなければならない環境にさらなるゴミを追加することは絶対に止めましょう。

【活動報告】「災害時外国人サポーター養成研修」を受講しました

 10月4日に江津で開催された島根国際化センター主催の「災害時外国人サポーター養成研修」に当所から2名参加し、研修をうけてきました。
 「災害時外国人サポーター」というのは、主催者の説明によると災害時に島根県と島根国際化センターが共同で設置する多言語支援センターからの依頼を受けて、「掲示物の日本語をやさしく分かりやすく翻訳する」「被災した日本語がうまく使えない外国人の困りごとを聞き出す」といった仕事をするボランティアなのだそうです。
 日本語しか話せなくても大丈夫なボランティアだということで、筆者も登録していたりします。
 災害後、避難所に掲示される情報は日々更新されていきますが、日本語がしっかりと読める人が対象の文書が多く、言い回しも特殊なものが多くなります。
 それらの文章をわかりやすく、やさしく、必要な情報に絞った日本語への再翻訳を行うことで、簡単な言葉なら理解できる外国人等に正確に情報を伝えることができます。
「やさしい日本語」といわれるこの翻訳は、普段使っている言葉の意味をわかりやすく書かなければいけないということで、結構頭を使います。正解はないのですが、どうやったらうまく伝わるのかを考えていくのはなかなか面白いものです。ある部分では普段使っている言葉を再発見しているのかもしれません。
 また、避難所へ巡回して日本語がうまく使えない外国人の困りごとを聞き出すという仕事ですが、これは避難所内での意思疎通をうまく図るために必要なことでもあります。
 避難所は避難所運営委員会が設置されてその避難所に関する必要なものや情報を避難者に提供することになるのですが、このときにどうしても少数派の意見は通りにくくなります。
 例えば、大きな声で自分の意見を主張できる人の意見は簡単に通っても、言葉がよく理解できない外国人他の、いわゆる「言葉がうまく通じない人」のニーズは聞き取るのに手間なので放置されがちですし、「言葉がうまく通じない人」は自分のニーズを自分で上手に伝えることもできません。そのため、例えば災害時外国人サポーターが避難所に立ち入って「言葉のうまく通じない人」のニーズを聞き取り、避難所運営委員会や行政などに繋いでいく必要があるのです。
 また、状況や何が起きているかわからないことからさまざまな方法で自分たちを守ろうとしますが、その姿勢が他の避難者にはうまく理解されずに軋轢が生まれてくることがあります。これらは情報がうまく伝わらないことから発生しているものなので、無用な軋轢や誤解を生まないためにも、情報を全ての人にきちんと伝わるようにする。そのために避難所巡回という形を取って被災した日本語がうまく使えない外国人の困りごとを解決する必要があるのです。
 最近では「VoiceTra」といった優れた翻訳アプリもいろいろとありますから、通信環境が使えるのであれば、日本語しか話せなくても何とかなると思います。
 ただ、気になったことが一つ。最近はコロナ禍で自宅避難が特に推奨されていますので、避難所だけで無く自宅避難している人達のニーズのくみ上げまで考えておく必要がありますが、対象となる人がどこに住んでいるのかがわからないと手のうちようがありません。その情報がどのように提供されるのか、されないのかが不明なため、自宅で放置される外国人被災者が発生するかもしれないと感じています。
 避難所は地域の災害支援の拠点となるところです。そこを拠点としてきちんと機能させるためにも、あらゆる被災者に目を向けてニーズを吸い上げる手段を確保しておく必要があると思います。
 ところで、今日の説明では島根県内でこの制度ができて3年目。そしてサポーターは55名だそうでまだまだ支援を行うには人が不足している現状です。
 近いうちに島根県東部会場でも開催されるような話でしたし、おそらく来年も県西部で同じような研修があると思いますので、どのようなものか興味のある方は、是非一度参加して研修を受けてみてください。
 「災害時外国人サポーター養成研修」とありますが、受講後に登録書を提出して初めて登録されるので、「受講=必ず登録」ではありません。あくまで話を聞いてから判断できるようになっていますので安心して参加してください。
 そして、災害時にはさまざまなボランティアがありますが、こういうボランティアもあるのだということを知っておいて欲しいと思います。

非常用持ち出し袋と嗜好品

 災害が起きると、甘味や酒、たばこといった嗜好品が手に入りづらくなります。
 特に酒やたばこは支援物資としてはまず来ませんので、流通が再開されるまではいずれもお預けとなってしまいます。
 ただ、酒はともかくたばこが手に入らないといらいらする人も多いのではないでしょうか。
 この際「禁煙」といけばいいのですが、なかなかそれは難しい。
 そうであるならば、あらかじめ非常用持ち出し袋にセットしておく必要があります。
 甘味やたばこは愛好者にとっては精神安定にかなり有効ですので準備していても損はないと思います。ただし、嗜むときには周囲の人が困らないように配慮することは重要です。
 酒については、判断が鈍ったり他者に迷惑をかけたりといった事態が起こりえますので非常用持ち出し袋には入れない方が無難ですが、許す範囲で自分の精神安定に役立つものをいれておくといいですね。
 ちなみに、嗜好品と同じようなものにゲーム機があります。スマホゲームなどもそうなのですが、避難先で自分が楽しめるものを持って行くのは大切なことです。
 ただし、こちらでよく問題になるのは音。ゲームで流れている音はゲームをしている本人以外にとっては非常に耳障りで、場合によってはケンカや殺傷事件に発展しかねない危険性をはらんでいます。
 ゲーム機を持って行く場合には、かならずイヤホンなどの音が周りに漏れない装備も必ず一緒に準備しておき、遊ぶ場合には必ずそれをつけ、周りを困らせないようにしておいてください。

【お知らせ】島根県立古代出雲歴史博物館で企画展「大地に生きる ~しまねの 災(さい)と幸(さち)~」が開催中です

 コロナ禍でなかなかお出かけも難しい状況ではありますが、島根県立古代出雲歴史博物館では、現在企画展「大地に生きる ~しまねの 災(さい)と幸(さち)~」が開催中です。
 展示内容は見ていないので詳細は書けませんが、案内文を読む限りでは、県内で発生した災害、そして災害とつきあってきた歴史についての展示がされているようです。
地震などを表す絵として「鯰絵(なまずえ)」がありますが、こういったものも展示されているようです。
 会期は9月6日まで。もうあまり期間がありませんが、災害とそれに関する歴史という切り口は非常に面白いのではないかと思っています。
 興味のある方は、コロナウイルス対策をしっかりした上でお出かけいただければと思います。また、ウェブ上でオンライン講座もあるようです。
 内容の詳細について、以下の島根県立古代出雲歴史博物館の企画展のページを参照いただければと思います。

企画展「大地に生きる~しまねの災と幸~」(島根県立古代出雲歴史博物館のウェブサイトへ移動します)

エマージェンシーブランケットを準備しておく

左側が数千円、右側が百均のエマージェンシーブランケット。高い方は人工衛星に使われているものと同じもので断熱性は確か。百均のものも値段にしては使える。

 防災グッズにはいろいろとありますが、その一つにエマージェンシーブランケットがあります。
 名前を聞いてもピンとこないかもしれませんが、銀色の毛布の代わりになるやつというとなんとなくイメージが沸くのでは無いかと思います。
 このエマージェンシーブランケット、価格はピンキリで安いものは百円均一ショップ、高いと一万円近くするものまであり、その値段の違いは主に厚さと丈夫さとなっています。
 値段の高いものは厚みがあってしっかりしており、少々使い回してもこすれてもなんともありませんが、百円均一ショップのものは、ものによってはブランケットの向こう側が透けて見えたり、ちょっとしたことで破けてしまったり、基本使い捨てのような感じのものもあるようです。
 このエマージェンシーブランケット、風を通さないのと熱を反射してくれる効果があり、非常時の体温の調整がしやすいという便利グッズ。
 一枚あると、被災地では目隠しや簡易的に雨風をしのいだり、暑さ寒さをしのぐのに役立ちますから、非常用持ち出し袋だけでなく、防災ポーチに入れておいてもいいかもしれません。
 百円均一ショップのものでも役に立たないわけではありませんから、一度どのようなものなのかを試してみるのが一番です。
 何も起きていないときだからこそ、さまざまな防災グッズを試せます。高いものが多い防災グッズの中でも、百円均一ショップで売っているものは多いですから、ぜひいろいろと試してみて欲しいなと思います。

災害対策は自分で考えて自分で準備することが一番大事

災害が起きるときには、さまざまな情報がさまざまな行政機関から発表されます。
ですが、自分を守るための対策は自分以外の誰もやってはくれません。
災害が起きて避難した先で「毛布がない」「食料がない」などといって避難先の担当者に文句を言う方が一定数おられるそうですが、自分が自分を守るための備えをせずに誰かが自分を守ってくれるというのは甘すぎる考えです。
例えば、益田市の食料備蓄量を見てみることにします。令和元年度の益田市の防災計画に出ている非常食のうち、一番多いアルファ米の五目ご飯は6,650食となっています。
ぱっと見るとそれなりの量に見えますが、これを政府推奨の3日間3食分と考えるとどうでしょうか。わずか738人分の分量でしかありません。益田市の人口が45,836人ですから、大規模な地震でも起きたら備蓄食料が食べられるのはよほど運のいい人だけと言うことがわかると思います。
この備蓄量は、あくまでも事情があって自分のための食料品を避難先に持参できなかった人に対する支援用であり、住民を食べさせるために備蓄しているわけではないということがわかると思います。
毛布や生活資材についても同様で、毛布は1,333枚、調理用のコンロはリストに出ていない状況であり、避難した人のものを全て避難所や行政機関が準備してくれているなどと言うことは考えられないと言うことがご理解いただけるのではないでしょうか。
同様に、避難すべきかどうかの判断は行政機関がすべきものではありません。避難勧告や避難指示(緊急)という名前でもわかるように、避難するかどうかの判断はあくまでも各個人にゆだねられているのです。
幸いにして東日本大震災以降、ハザードマップなど予防的な情報が提供されるようになり、避難すべきかどうかや避難する経路、避難できそうな場所にいたるまで事前に検討できるようになってきました。
自分の食べるものや排泄物の処理の準備、どんな災害で避難しないと身の危険があるのか、避難するならどこへどんな経路で移動すればいいのかなど、自分が生き残るためには与えられている情報を元にして自分でしっかりと考えておかなければなりません。
あなたの命を守り、あなたの命を繋ぐのは行政機関でも自治会でもありません。あくまでもあなた自身が行動しなければならないのです。
最近の地震や大雨、大型台風の情報や被害を見ると他人事にしておくわけにもいかないということはご理解いただけると思います。
あなたを守るために、あなたはどんな準備をしておけばいいのかをしっかりと考えて準備し、いざというときに備えておいていただければと思います。

【参考資料】
食料備蓄の数字:出典元・益田市防災計画付属資料P231(https://www.city.masuda.lg.jp/uploaded/attachment/13217.pdf
益田市の人口数:益田市の人口統計【令和2年度】(5月末現在)(https://www.city.masuda.lg.jp/soshiki/3/detail-56083.html