「危ない」の考え方

 どんなことでもそうなのですが、「危ない」と感じる感覚は人によってかなり異なります。
 その結果、同じ出来事を見ても「危ない」と思ったり「それくらいで」と思ったりとさまざまな感想が出てきます。
 この感覚、大きな出来事になればなるほど人によって大きな差違が出てくるものみたいで、特に災害などの話になってくるとびっくりするくらい異なる状態になっています。なぜなら、この感覚はその人の経験や体験が元になっていて日常生活での判断などに無意識に活用しているのですが、災害時にはこの感覚が非常時への対応を妨げてしまうことが多いです。
 災害というのは非日常であり、普段の生活の中での経験や体験は基本的に役に立たないと考えた方がいいです。まして、災害は「テレビの向こうの他人事と」いう感覚がありますから、自分が被災するという感覚がありません。
 結果的に「自分は大丈夫」や「川が氾濫するはずはない」「誰かがなんとかしてくれる」といった根拠のない判断をしてしまい、よく被災者のコメントに出てくる「こんな大災害になるとは思っていなかった」に繋がっていきます。
 「危ない」から「自分で安全を確保する」という普段からの生活習慣を身につけておかない限り、どこで災害が起きても同じ事が繰り返されるでしょう。
 とはいえ、非日常を日常に落とし込んでいくのはなかなか難しいものです。
 対策として作っておきたいのが、「マイタイムライン」という災害発生時にどのような行動をするかを決めておく行動計画表です。
 マイタイムラインを作っておくと、非日常が起きたとき「どうなったらどのようにどうして自分の安全を確保するのか」について考えずに行動をすることができます。
 災害という非日常が起きたとき、すぐに非日常対応に頭を切り換えることは訓練されていないと難しいことですが、非日常で思考停止していても行動だけは取れるように、マイタイムラインをつくっておくことをお勧めします。

非常食で気力を維持するには

 当研究所のS研究員が防災キャンプに参加した感想で二つの感想を言っていました。
 一つは「新聞紙食器だとテンションが下がる」ということ。
 そしてもう一つは「防災食では量が足りない」というものでした。
 災害時にはいかに自分の気力を維持できるかが結構重要な問題としてあるのですが、気力維持の源の一つである食事で気力を維持するために必要なことについてちょっと考えさせられました。
 今回は非常食でどうやって満足度を上げるかということについて考えてみたいと思います。

1.食器類を考える

容器直食いもちょっと悲しくなる。

 防災訓練だと、新聞紙食器の作り方とそれを使っての試食というのはかなりよくある内容です。
 新聞紙食器は、そのままでは湿気で新聞紙が濡れて用をなさなくなるので、内部にビニール袋を入れて食器として使用します。
 でも、ビニール袋から食事を取るというのは、普段経験がないことですし、気分が上がるようなことでもありません。
 そこで考えたのは、やはり食器類はきちんと準備しておくということです。プラスチックの食器類+ラップであれば、新聞紙+ビニール袋よりも貧しさは格段に減りますから、非常用持ち出し袋には食器とラップを加えておくとよさそうです。
 新聞紙食器+ラップにならないのは、新聞紙食器はラップの引っ張り強度に耐えられないからです。そのため自立するビニール袋が重宝されています。
 ちなみに被災時には水道が使えなくなるという前提で、食器類にラップやビニール袋をつけることで洗い物を出さず、ゴミを減らすという働きを狙っています。
 お湯を沸かすことやコップのことも考えると、アウトドア用のコッヘルを準備するのもありかもしれません。

2.量の問題を考える

アルファ米+レトルトカレー+市販のごぼうチップスで満足感UP!

 自分が食べる量というのは案外と把握していないものですが、普段自分がどれくらいの量を食べているのかを知ることは、非常食を準備する上では非常に重要なことになります。
 よくあるアルファ米は1食が230gから300gになるのですが、小食な人には多いですし、食べる人には物足りない量です。
 最近のコロナ渦ではあくまでも自分の非常食は自分で準備し、自分で食べるという設定になっていますので、、結果的に余る人と足りない人が発生することになります。また、余る人の場合には、ジップロックなど密閉できる容器に分けて作ればいいですし、足りない人は大盛り設定のあるアルファ米もあります。
 非常食ではあまり考えられていないみたいですが、副菜をつけることで満足感も栄養バランスも取ることができたりもしますので、缶詰やフリーズドライの汁物などを準備しておくとよさそうです。
 重量物をあまり持てない人でも、ふりかけくらいはあるといいと思います。

 非常食は文字通り非常時に食べるものと言うことで、カロリーがあって食べられればいいというイメージになりがちですが、食事で満足することは気力の維持に非常に重要です。
 軍隊の携行食がわざわざバラエティーに富んでいる理由は、食べる楽しみを知っているから。
 非常事態に使う非常食だからといって、普段食べ慣れない美味しくないものをわざわざ準備するのではなく、自分が知っていて自分がおいしいと感じる非常食を準備しておきたいですね。

お薬手帳とかかりつけ

お薬手帳の表紙
お薬手帳だけでは過去の副作用はわからない。

 かかりつけ医とかかりつけ薬局を持とうということで、健康保険組合がさまざまなところでPRをしています。
 防災の目から見ると、持病を持っている人はかかりつけ医とかかりつけ薬局は持っておくべきだと思っています。
 というのが、かかりつけ医やかかりつけ薬局を作ると、過去にどのような病歴があってどのような薬を使い、その結果どのような問題が発生したのかについてがきちんと記録されるからです。
 非常用持ち出し袋にはお薬手帳の写しを入れておくようにと言われていますが、情報は変わっていくものですから、薬や量の変更などがあったときにはきちんと写しも変更しておかないといけません。
 最近ではデジタルお薬手帳というのも普及してきてはいますが、お薬手帳では投与された薬や量はわかるのですが、使った結果発生した過去の副作用まではわからないのが現実です。
 そんなとき、かかりつけ医やかかりつけ薬局を持っていると、過去にどのような薬でどのような副作用の記録が残っていますので、その時にその薬が無い場合の代わりの薬で使ってはいけないものがはっきりとわかります。
 最悪、広域避難となって避難先で巡回医による診察でも、そういった情報があれば的確な診断を下すことが可能になりますので、かかりつけ医やかかりつけ薬局はできる限り持つようにしましょう。

車のワイパーを冬期に上げる理由

 自動車に乗らない人には関係のない話ではありますが、冬場の冷えが予測される日には車のワイパーブレードは上げておくことをお勧めします。
 また、リアワイパーに関してもワイパーがリアガラスの下にある場合には、上げておいた方が無難です。
 理由は二つ。一つは窓が凍ったときにワイパーブレードが窓に貼り付いてしまう危険性があること。凍っている状態でワイパーを動かすと、ブレードのゴムがちぎれたり傷ついたりしてガラスの拭き取りがうまくいかなくなってしまいます。
 もう一つは、ワイパーの破損です。特にリアワイパーは重たい雪が降り積もった場合、窓に降り積もった雪の重さがワイパーのアームにそのままかかってししまい、その重さに耐えきれずに折れたり曲がったりすることがあります。
ワイパーを上げておくことによって、アームの損傷を防ぐことができます。

雪をどけると凍っていることもよくある。

 最後に、凍結や降雪を溶かすため、たまに熱湯をガラスにかける方がいらっしゃいますが、急激に熱を加えるとガラスが割れてしまうことがあります。
 かけるなら、ぬるま湯。お風呂の残り湯などを使うといいと思います。
 また、外側のガラス面に凍結防止用シートなどをかけるのもいいと思います。
 いずれにしても、車の破損を防ぐようにきちんと対策をしておくようにしたいものですね。

【活動報告】自然体験会を開催しました。

これは何の足跡だろう?

 去る1月9日、雪が降ったので、万葉公園において自然体験会を開催しました。
 思いつき開催だったため、一部の方に限定したものになってしまいましたが、万葉公園内にある動物の痕跡や植物観察などを行いました。
 が、気がついたら雪遊び大会に。
 広場では雪合戦。坂道ではうっすらと積もった雪を使ってそり遊び。こどもも大人も夢中で遊ぶひとときでした。

 防災の視点で見ると、雪で遊ぶことで雪の特性を知ることができます。
 それによって危険を避けることができるようになるといいなと思いながら、しっかりと雪遊びを楽しみました。
 いきなりの声かけにもかかわらず、快く集まり参加してくださった皆様にお礼申し上げます。

【お知らせ】Youtubeによる動画配信を開始しました。

 当研究所がいろいろとやっている実験や工作について動画にしてみました。
 1つあたり1~2分程度でまとめてある短くて簡単なものですので見やすいとは思いますが、あまり内容は濃くないかもしれません。

 今後座学や野外活動、活動報告なども追加して、できる範囲で少しずつ内容を増やしていきたいと思っていますので、興味のある方は一度ご覧ください。

https://www.youtube.com/channel/UCAc2P8BFRrjXWhxKOdoCTXA

(石西防災研究所のYouTube動画サイトへ移動します)

災害遺構を訪ねて14・石碑「益田川災害復旧竣工記念碑」

「益田川災害復旧竣工記念碑」と書かれており、益田川災害復旧工事が完了したことを記念して建てられたもの。

 災害に関する碑には大きく分けると3つのタイプがあると思っています。
 1つ目は死者や行方不明者に対する慰霊碑。2つ目が後世に教訓を伝える碑、3つ目が復旧に関わった人達を称える碑です。
 個人的な感想としては、碑の大きさ、立派さは3、1、2の順番になっているような気がしますが、今回ご紹介するのは3のタイプの碑です。
 昭和58年の水害で氾濫した益田川の河川復旧工事が完了したことを記念して建てられた碑ですが、碑のお隣には河川改修が終わったことを称える文字と、それに関わった期成同盟会の人の名前が彫られた石が置いてあります。

益田川改良復旧期成同盟会のお歴々のお名前が記された石版。災害復旧は普通に行われると思うが、このお歴々の活躍で無事に終わったと言うことなのだろうと考える。

 確かにこの河川復旧工事と益田川ダムの完成もあって、益田川は越水していないのですが、わざわざ工事を施工したわけでもない人達の名前を刻む理由がよくわかりません。
 行政機関が復旧工事をすると必ずこの手の碑が設置されるのですが、どうせお金をかけるのであればもう少し何かの役に経つ碑が作れないのかなと思ったりします。
 この竣工記念碑は、「災害遺構を訪ねて1」で紹介した「58災害防災祈念碑」の川向こう、益田川を挟んで反対側に置かれており、道路脇にありますのですぐわかると思います。

雪道の歩き方

 普段雪になれている地域はともかくとして、普段雪の降らない地域で雪が降ると大騒ぎになります。
 公共交通機関のマヒや交通事故の増加はともかく、歩くときに雪や氷で滑って転倒、救急搬送になってしまうのは、本人の注意次第で防げると思いますので、今回は雪道の歩き方について考えてみたいと思います。

1.滑るワケ

雪道や凍った道でなぜ滑るのかというと、靴の裏の接地面と地面の間にある雪や氷が接地圧によって溶けて水になり、その水によって滑っています。
逆に言えば、靴底と地面との間にできる水を上手に排水できれば、滑りにくくなるということになります。

2.滑らないようにするには

1)雪道では歩幅を狭くする

 慣れている人にとっては当たり前以前に身体が覚えていることなのですが、雪道や凍った道を歩くときには歩幅を小さくするのが基本です。

2)接地には足の裏全体を使う

 いろんな歩き方があるのですが、凍結した道や雪道に関して言えば、足の裏全体で地面を踏むように歩きます。
 蹴り出すのではなく、足の裏全体で移動させるといった感じで歩くと、滑りにくくなります。

3)両手は空けておく

 歩くときにバランスが取りやすいように両手は空けておきます。もし転倒したときにも、手が出ることで身体本体へのダメージを減らすことができます。

4)裏にパターンがしっかりとある履き物を使う

 革靴や女性用の靴などではよく裏が真っ平らの靴がありますが、雪道や凍った道でそのような靴を履いていたら水の逃げ場がありませんから滑らない方がおかしいです。
 長靴や登山靴などの靴底のようなビブラム形状の靴底か、そこまでいかなくてもしっかりと凸凹のある靴底のある靴を履くようにしてください。

5)滑り止めを使う

 どうにもならない場合には、滑り止めを使いましょう。市販品の滑り止めもありますし、なければ包帯や麻縄といったものでも十分に滑り止めになります。
 滑るのは接地面と地面の間に水の膜ができることによって滑るので、膜となる水をどけてやれば格段に滑りにくくなります。
 ただ、上記(1)から(4)までがうまくできていないと、滑り止めをつけても大きく滑ることがありますのでご注意下さい。

 最後の滑り止めについては、包帯を巻いたもので歩いてみた映像がありますのでリンクしておきます。
 興味がある方はご覧になって下さい。

羽毛のベストの暖かい着方

 強烈な寒気のせいで一気に寒くなっていますが、あなたのところの暖房は大丈夫ですか。
 暖房器具で部屋をしっかりと暖めることは大切ですが、もしも停電などで暖房がうまく使えないときや寒い中を過ごさなければならない状態になったとき、手元に羽毛ベストがあれば試してみて欲しいことがあります。
 それは、羽毛ベストを下着の上に着て、その上に服や外套を着るということです。

こんな風に肌着の上に羽毛ベストを着込む。この上に服を着ると服の上にベストを着るよりも格段に暖かい。

 羽毛は体温で温めることによって膨らみ、羽毛の間に空気を貯めて冷気を遮断する構造になっています。
 体温を感じられるところに近づけば近づくほど冷気を遮断しやすいので肌の上に着るのが一番なのですが、羽毛系の着る物は簡単に洗濯できないという欠点があるので、下着の上に着込んでください。
 それからその上に服などを着て羽毛ベストが外気に触れないようにすると、かなり暖かくなります。
 寒くてたまらないときには、一度試してみて下さい。

除雪用スコップあれこれ

 除雪用スコップは素材と形状で異なる使い方をする必要があります。
 ご存じだとは思うのですが、今回はこの除雪用スコップについて整理したいと思います。

1.形状

 スコップの形状は2種類あります。
 一つが「平スコップ」と呼ばれる先端が平らになっているもの。
 もう一つが「剣先スコップ」と呼ばれる、尖っているものです。
 平スコップは柔らかいものを大量に運ぶのに向いており、逆に剣先スコップは堅いものを突いて破壊し、掘り出すのに適した形になっています。
 積もりたてなどの柔らかい雪であれば平スコップ、圧雪や凍結で堅くなっている場合には剣先スコップが向いています。

2.素材

 剣先スコップは殆どが金属でできています。これは堅いものを突いて破壊し掘り出すために使うため、必然的に金属を使わないと役に立たないからです。
 平スコップは、柔らかいものをたくさん運ぶという目的から、除雪用スコップではいくつかの素材があります。

1)プラスチック

耐久性はありませんが、とにかく軽くて取り回しがしやすいです。
少し堅い雪や氷だとまったく歯が立ちませんし、掘ったら壊れてしまうこともありますが、先端が金属で補強されているものであれば、それなりに使えます。

2)ポリカーボネート

プラスチックと同じく軽く、プラスチックよりも丈夫に作られており割れにくいのが特長です。ただ、プラスチック同様圧雪や氷には歯が立ちません。

3)鉄

とにかく丈夫。曲がっても叩けば直せますし、少々手荒く使っても大丈夫です。ただ、重たいのが難点。

4)アルミ

 鉄には劣るがやはり丈夫。重量は鉄に比べると軽いが、耐久性も鉄には劣る。

 金属製のスコップは、全部が金属でできているものと持ち手や柄の部分が木や他の素材のものがあります。
 全金属製のものは持ち手や柄が木製のものに比べると重量が軽くてよいのですが、持つときに凍傷にならないように断熱のしっかりとした手袋などを着用してください。

 除雪用スコップはさまざまなものがあります。自分の住んでいる地域の雪質にあわせて準備しておきましょう。