避難所設営基本の「き」その2・管理者と運営者を決める

 前回は避難所のトイレ問題について書きました。
 今回は避難所の管理者・運営者のお話です。
 避難所に指定される施設というのは、学校や公共施設が圧倒的に多いのですが、避難所の管理者と運営者がきちんと定められている場所は少ないのではないかと思っています。
 集会所のような小さな地域の小さな施設であれば、その地域の自治会が管理者と運営者を兼ねることも多いと思うのですが、少し大きい施設になると管理者と運営者をしっかり決めておかないと、運用が開始されると途端に混乱が起きることになります。
 特に指定避難所の場合には「地域の被災避難者の住居」と「被災者の支援を行うための物資集積所」という二面の性格を持っていますので、なおさら整理しておかないとややこしい事態を招きます。
 例えば、避難者が自主的に避難所の管理運営組織を作ったとすると、被災避難者の住居としての維持管理はできるようになりますが、被災者の支援を行うための物資集積所の管理・運営は念頭にないので、送られてきた物資を巡って地域内にも配るのか、避難所だけで使うのかという判断に困る内容が一気にあふれ出ることになってしまいます。
 また、管理者や運営者がきちんと決められていない場合には、その施設の管理者がなし崩し的に施設運営者になってしまって、本来その施設の復旧をすべき立場の人達が避難所運営に手を取られて復旧ができなくなるという事態が起こります。
 避難所の設置者は市町村なのでよいとして、設置した後の管理者は誰か、そして運営者は誰がするのかについてあらかじめ決めておくことで、入り口以前での躓きを防ぐことができるのです。
 別に避難所になった場所の元々の管理者が管理・運営者になっても構いませんし、自主防災組織や自治会が管理・運営することになってもいいと思います。
 事前にここを決めておくのは、発災後に管理・運営者を決めようとすると絶対にトラブルが起きてまともに決まらないからです。
 管理者と運営者を明確化し、「避難所としての管理・運営」と「物資集積所としての管理・運営」が確実にできるようにしておきたいですね。
ちなみに、管理者と運営者を定めるときにはローテーションについても整理しておきましょう。
一人の人が毎日24時間避難所運営をし続けることは正直に言って無理ですので、一日8時間を目安に管理・運営部門の勤務交代を念頭に入れてローテーション表を組むようにしてください。
もちろん表の通りに進むことはまずないと思いますが、交代することがしっかりと認識されている場合には管理・運営に従事する人達の士気もそれなりに維持できます。
管理者・運営者をはっきりさせてから、避難所の設営についての検討を始めるようにしてくださいね。

避難所設営基本の「き」その1・まず何をするか

 避難所の設営についてご質問をいただくことがあります。
 その時に最初に確認する内容、なんだかわかりますか。
 それは「施設の水源とトイレ」です。
 災害が発生して避難所を設営するとき、一番盲点になる部分であり、そして一番最初に問題が発生し、場合によっては最後まで問題になるもの。
 それがトイレ問題です。
 極端なことを書けば、くみ取り式で水を使わないストレート式、いわゆるボットン便所ならば通常使用で問題ありませんし、タンクレスの便器を使った下水道方式の2階以上のトイレであれば、問答無用で使用禁止を言い渡します。
 わかりやすく書くと、排泄物の処理に水が必要なのかどうか、そして一回に必要な水の量はどれくらいで、どの程度、どうすれば確保できるのかが問題になるということです。
 どんな人でもトイレは我慢できませんし、避難してきた被災者はトイレが使えなくなるということはまず考えていませんので、断水するとあっという間にトイレが汚物まみれの不衛生な場所になってしまいます。
 それを防ぐためには、災害時にトイレを使うことが可能なのかどうか、使えるとするとどうやったら使うことが可能になるのか、また、使えないのであればどのような手段を使ってトイレを作るのかということを事前に準備しておく必要があるのです。
 ざっくりとしたイメージですが、水洗トイレの場合、通常8~18リットルの水が一回の利用で必要となります。
 安全を考えると、10リットル以上の水が常時確保できないのであれば、水洗トイレは使うべきではありません。
 中途半端な水量だと、使用したトイレットペーパーが詰まって汚水があふれ出してしまうからです。水に溶けやすく作られているトイレットペーパーではありますが、それも水量が充分にある場合のこと。そうでなければ、溶け残ったものが固まってしまって汚水管を詰まらせてしまう原因になります。
 もしも水洗式のトイレであれば、タンク式でなんらかの方法でタンクを常に満水にできる条件が整っているのであれば、1階部分のトイレは使用可としてよいと思います。
 地震に限っては、2階以上は使用不可。これは汚水管が破損して漏水していた場合には階下が汚物まみれになってしまうからです。汚水管の点検が終わるまでは、2階以上のトイレは使わないようにしてください。
 最近は節水型と言うことでタンクレスの水洗トイレも増えていますが、タンクレスの場合には便器に直接水を入れるとうまく流れないものもあるようですので、あらかじめ便器メーカーにバケツで水を流した場合にきちんと排水ができるかどうかを確認しておいてください。
 ではトイレが使えない場合にはどうするかですが、トイレを閉鎖して、別に簡易トイレを設営するしかありません。
 これは、使ってはいけないトイレの中に簡易トイレを設置すると、通常通りの使い方をしてしまった場合に汚物が溢れて仮設トイレごと駄目になってしまうことが起こり得るためです。
 簡易トイレキットを複数準備し、設営場所を確保し、取り扱いにも習熟しておくことをお勧めします。
 飲食は我慢できても、人間の生理として、排泄は絶対に止めることができません。
 衛生環境を少しでも維持するため、まず避難所のトイレ問題からしっかりと検討し、備えておくことをお勧めします。

ケミカルライトをカバンに1本

 災害が起きた後はちょっとしたことで不安に陥ってしまうものです。
 電気や水道が止まっているかもしれません。避難したら、普段と異なる場所で場合によっては見知らぬ人達と長時間過ごさないといけなくなるかもしれません。
 そういうときにこころが折れてしまうと立ち直れなくなりますので、気分を落ち着けるための温かい飲み物が飲めるような準備、しっかりとした睡眠をとるための睡眠セット、そして正しい情報を集めるためのラジオは非常用持ち出し袋に入れておきたいものです。
 そして、明るさを確保することも実は気分を落ち着けるためには非常に有効だと言うことを知っておいてください。
 懐中電灯やランタン、ヘッドライト、ロウソクなど、灯りはいろいろとあるのですが、普段のメンテナンスがどれくらいできているかということと、発生した災害が何かによって使える道具が変わってきます。
 例えば、地震が起きたときなどは火は絶対に使ってはいけません。ガス漏れなどで爆発したり、揺れでひっくり返って火事が起きたりする可能性があるからです。
 懐中電灯やヘッドライト、電池式ランタンがあればいいのですが、勝手にスイッチが入っていて電池が切れていたり、きちんとメンテナンスできてなくて電池が入ってない、液漏れして使えないなどが問題として起こり得ます。
 また、非常用持ち出し袋を持って逃げている暇がない場合もあると思います。
 そんなときに備えて、普段使いのカバンにケミカルライトを1本入れておくといいと思います。
 コンサートなどでファンが振っている明るい棒、一般的にはサイリュームと呼ばれているものなのですが、化学反応で光を得るため総称としてはケミカルライトというそうです。熱も出さず、保管の危険性もさほどなく、常温保存できることから、非常に便利なものです。そしてその用途に応じてさまざまなものが存在します。
 強力な光で30分程度照らしてくれるものから、そこまで光は強くはないが半日以上光り続けてくれるものなど、ご自分の利用スタイルで準備しておくといいと思います。
 さほど重くなく、場所もとらないサイリューム。気をつけないといけないのは衝撃ですが、カバンの中でひどい扱いにならない限りは勝手に光っていたと言うこともない優れものです。
 そんなに高くもない便利なアイテム。あなたの普段使いの袋に一本入れておくと安心ですよ。

新型コロナウイルス感染症と災害避難

新型コロナウイルス感染症が地方でもじわじわと広がっているようですが、そんな状況でも災害は発生します。
梅雨入りして、ここで起きやすいのは大雨と水害ですが、お住まいの場所はそういった災害でも安全を確保できる環境でしょうか。
さまざまな事情で、災害が起きそうなときに避難所へ避難する場合、新型コロナウイルス感染症対策はしっかりとして避難をするようにしてください。
具体的には、非常用持ち出し袋に避難所で使用するマスクと、使用後に捨てるための密閉できるゴミ袋のセット、消毒用アルコール、体温計を入れておくようにしましょう。
また、衛生環境を考えると直接手で触れずに食べられる非常食も準備しておいた方が安心できると思います。
毎回書くことではありますが、避難所は場所貸しですので避難者用の設備は何もありません。必要なものは自分で持って行くことを忘れないで下さい。
そして、避難所ではできるだけ間隔を開けて待機場所を確保します。段ボール製やプラスチックなどでできた間仕切りがあれば一番良いのですが、ない避難所も相当数ありますので、その場合にはソーシャルディスタンスをしっかりと取ることです。
勘の良い方はお気づきだと思いますが、新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと行っている避難所では収容人員が想定よりもかなり少なくなります。
ひどいところになると、収容者が1/10になるようなケースも想定されますので、天気予報や気象庁発表の注意・警戒情報で逃げた方がいいと判断したら、早めに避難することをお勧めします。
レベル4避難指示が発令されるときには、小さな避難所はほぼ定員オーバー状態になっていると考えて間違いありません。
早めに避難すれば、思った避難所への避難ができる可能性が高いですし、仮に定員オーバーでも他の避難所を探す時間的余裕ができます。
あなたの命を守るために、不安を感じたら避難をすることをお勧めします。

靴のにおいを減らす方法

 長時間靴を履きっぱなしだったり、かなり激しい運動をしたりした後に靴を脱ぐと思わず眉をしかめてしまいそうな臭いになっていることがあります。
 足をきれいにしたり、きれいな靴下に履き替えたりするとそこまで気にならない状態になりますが、避難所生活ではそういうわけにいかない場合もあります。
 ストレスの多い避難所生活では、靴のにおいが喧嘩の元になりかねませんから、ちょっとした消臭の方法を知っておくと便利ですよ。
 今回は2つの方法をご紹介します。

1.使用済みの使い捨てカイロを使う

使い捨てカイロには活性炭が含まれていますので、カイロとして使用した後、靴に入れておくと脱臭と湿気取りの効果があります。
湿気も靴のにおいの原因になりますから、これを活用することでにおいを消すことができます。

2.10円玉を使う

 10円玉を靴の中に入れると、10円玉の銅イオンでにおいの元となる細菌を殺菌し、においを消すことができます。10円玉1枚では効果が薄いので、靴1足に5~10枚程度入れておくと効果的です。
 ただし湿気まではとってくれませんので、定期的に陰干しするなどして靴の中を乾燥させるようにするといいでしょう。

 ひょっとすると、一番効果的なのはこの両方を一緒にすることかもしれません。
 においの元を絶ち、湿気を取り去ればにおいが籠もることもありませんので、災害時に限らず、気になる方は一度試してみて下さい。

大雨への備えをしておこう

2020年の氾濫危険水位まで上昇した高津川高角橋付近。このあと雨がやんで事なきを得たが、今年はどうなるかわからない。

 令和3年5月15日、中国地方は梅雨入りしました。観測史上、2番目の早さだそうです。
 ちなみに、一番早かったのは1963年5月8日だそうで、その次が2011年5月21日となり、今回の梅雨入りが2番目の早さとなったということでした。
 さて、ここ最近の雨の傾向を見ると、短時間にピンポイントで大雨が降るというのが続いています。
 排水能力を超えて内面越水をしてしまうケースも増えていますので、家の雨どいや側溝の掃除は早めにしておいた方がよさそうです。
 その上で、水没しそうな環境にあるのであれば、土のうや水嚢の準備、そして貴重品の階上への移動は早めにやっておきましょう。
 そして、線上降水帯には要注意です。これが発生すると、局所的な大雨が降り続くことになり、水害の危険性が増してきます。
 避難所だけでなく、安全な宿泊先への移動など早めの避難をするようにしてください。特に高齢者の方や普段の生活に人の支援が必要な方については、災害時に備えて万が一の受け入れ先や受け入れ体制、被災後の生活場所について予め詰めておきましょう。備えて使わなくてすむことを目標にして避難計画を作ることです。人や地域によっては備えることが害悪のようなことを言われる方もいらっしゃいますが、考えたくないから備えないというのはあなたや周囲の人の命を危険にさらす行為です。
 できる範囲でしっかりと備えて、いざというときにも命を守る、命をつなぐ行動ができるようにしておきたいですね。

防災グッズと代用品

代用品作りの一つとして防災クラブでやっているゴミ袋で作る防寒着作成の一コマ。あるのなら普通に合羽の方が確実で安心。あくまでも代用品を知ることが目的の講座。

 防災グッズは防災用のためにだけ準備すると考えると場所をとってしまう厄介者になってしまいます。
 ローリングストックという言葉もありますが、必要なものを少し多めに準備することである程度以上はものを増やさず、生活の質も下げずにすむような災害への備えができると思っています。
 ここでよく聞かれるのが代用品の話ですが、代用品はあくまでも代用品でしかなく、そのために作られた道具と比べるといろいろな意味で不便を生じることになるので注意してください。
 よくあるのが、おむつの作り方。
 おむつがないときにビニール袋とタオルで作るよう書かれているものが多いのですが、避難生活を過ごすときにその代用品で凌ぐとすると、いったいどれ位の材料が必要になるでしょうか。
 タオルは吸水力はそこまで大きくありませんし、ビニール袋は蒸れて子どもの肌がかぶれたりします。汚れたタオルはそのままにしておくと汚臭が出てきますので、その処理についても対応が必要となります。
 本当に緊急時何も無い状態ならともかく、手間や発生する問題を考えると、紙おむつを1週間分くらい余計にストックしておいた方が役に立ちます。
 布おむつ派の人も、災害時には布を洗うことが難しい場合もよくありますから、数日程度凌げるだけの紙おむつを準備しておくようにしておきましょう。
 そして、心配だからといって大量にストックするのも御法度です。
 おむつが必要な年齢の子どもは、あっという間に大きくなりますので使える期間は短いです。そのため、目安としては1週間または普段使っているおむつを一袋多く準備しておくといいと思います。
 サイズアウトしたおむつは、例えば子どもの通っている保育園や子育て支援センターなどで使ってもらえないか聞いてみて下さい。割と喜んでもらってもらえることが多いです。
 そして、引き取り手がなかったからといって捨てる必要はありません。給水部分を何枚か重ねると、大人用の非常用トイレを作ることができます。これも代用品の一つですね。代用品のことは知っておいた方が絶対にいいですし、作り方もマスターしておいたほうがいいです。
 でも、最初から代用品で対応することは考えず、可能な限り普段使っているもので対応できる方法を考えておいてください。
 ちなみに、代用品としてよく出てくるビニール袋は、最近では地球温暖化やエコ問題から災害時に確実に手に入るとは限らない状況になっていますから、必要があれば非常用持ち出し袋に備えておくことをお勧めします。

手洗い、できていますか?

 新型コロナウイルス感染症がなかなか終息しません。終息しないどころか何度目かの蔓延が起きているようです。
 アルコール消毒やマスクの着用、不要不急の外出自粛を続けていても感染が拡大していることには正直驚きを感じています。
 ところで、あなたは石けんでの手洗いはしっかりとできていますか。
一時期アルコール消毒液が不足したときに、石けんによる手洗いが推奨された時期があり、そのおかげでか、去年は普段流行る感染症各種が殆ど見受けられなかったようです。今年に入ってから、「コロナ疲れ」といわれるような状況になって、さまざまな感染症が小さい集団ですが流行始めているようです。
 アルコール消毒はあくまでも簡易的なもので、基本的には流水による石けん洗浄が衛生を確保するための要件なのですが、アルコール消毒液が潤沢に手に入るようになった結果、流水による石けん洗浄を忘れているのではないかという気がするのです。
 被災地で感染症が流行するのは、充分な水が手に入らないことに起因する衛生環境の悪化が原因です。いくらアルコール消毒液があっても、いつもしっかりとした消毒ができるとは限りません。
 石けんでウイルスを浮かせて流水で流す。災害対策から見た衛生管理ではそれが一番確実で効果的な感染症対策です。
 マスク着用やアルコール消毒、不要不急の外出自粛に加えて流水を使った石けん洗浄を忘れないようにしたいですね。
 参考までに、しっかりとした手洗いの方法について紹介されている動画の一つをご紹介しておきます。手洗い方法で悩んだら、一度確認してみてください。

避難所と段ボールベッド

 毎回書いていることではありますが、避難所や避難場所(以下「避難場所」とします。)は避難者をおもてなしするための施設ではありません。
 単なる「場所貸し」ですので、自分が必要と考えるものは自分で準備して持っていく必要があります。
 その中で見落としがちなのが就寝設備。毛布や布団、マットやシート、枕や耳栓など、寝るために必要なさまざまな道具は、避難場所で一夜を過ごすのには絶対に必要なアイテムです。
 避難できた避難場所で獲得したスペースが土足禁止できれいに掃除されている場所であればそこまで気にしなくてもいいのですが、一般的にはゴミやチリ、埃といったものが床に舞っていることが多いものです。
 これはいくら掃除をしても避難者が土足でどたばたすれば必然的に撒き散らすもので仕方ないと言えば仕方が無いのですが、こういったものが舞ったり散ったりしている場所に直接寝ると、鼻や口から吸い込むことになります。
 ゴミやチリ、埃などだけでなく、それらについている雑菌や病原体まで呼吸器に吸い込んでしまうと、肺炎を始めとするさまざまな病気をもらってしまいます。
 対策は、完全土足禁止にした上で、床に直接寝ないこと。ほんの少しでもいいので床から高さを上げて寝ることです。
 そのために必要とされているのが空気マットや段ボールベッドで、寝るのを楽にすることだけが目的ではないことを知っておいてください。
 過去、とある避難所で高齢者の方用に届いた段ボールベッドに何故かボランティアスタッフが寝ているというようなことがありました。
 高齢者の方が床で寝起きしていてベッドは怖いといったことからこうなってしまったようですが、その避難所の床は土足禁止ではなく、床には細かいほこりが舞っているような状態でしたので、呼吸器疾患を招く可能性がありました。そこで高齢者の方とボランティアスタッフの両方に説明して高齢者の方にそこで眠ってもらうようにしました。
 避難する人だけでなく、避難所を運営するスタッフも、なぜ段ボールベッドが必要とされているのかについてしっかり理解していただければなと思います。

災害支援は人が多いところから始まる

 災害後、さまざまな支援が行われますが、その支援体制は被災地全体に均等ではありません。
 支援の効率上、どうしても被災者が多く被害状況のひどい部分から着手されることになり、被災者の少ない地域は後回しになってしまいます。
 特に道路の開削や物資の供給などはどうしても遅れてしまうので、そういった地域の人は一度物資が確実に届く場所の避難所に避難し、開削や物資補給の体制が整ってから改めて住んでいる地域に戻ることになってしまいます。
 そのため、その地域で農畜水産をやっている場合には世話ができなくなって収入が絶たれてしまうという事態になりますので、被災したときにどのようにするのかについてはあらかじめ考えておく必要があります。
 また、救助の手も遅れることが多々あるので、生活備蓄のうち、買わないといけないものについては少し多めに準備しておいたほうが無難です。
 復旧・復興支援についても同様で、ボランティアなどの支援も遅れたり、または来てくれなかったりします。
 できる限り自分で復旧するか、緊急性を要する部分に限定してお手伝いをお願いしたり、地縁、血縁、SNSなどを使ったボランティアのお願いなど、ボランティアが来るのを座して待つのではなく、来てもらえるようにいろいろと働きかける方法を考えておいた方がいいでしょう。
 どちらにしても、災害支援は人が多くて目立つところから始まります。
 そのことを頭に置いた上で、自分の暮らしを復旧・復興するためのBCPを検討するようにしてください。