おしりふきは万能です

 おむつ替えの時におしりをきれいに吹くために使うおしりふき。
 防災セットには必需品の一つではないかと筆者は考えています。
 ウエットティッシュでもいいのですが、おしりふきは厚手の不織布を使っているので、非常に破れにくくしっかりと使えます。
 ウエットティッシュと同じように、水や消毒用アルコールなどが染みこませてあるのですが、肌触りがよく、湿り気があるのに吸水力もあるので、非常に多用途に使えて便利です。
 例えば、身体を拭くのに使ったり、テーブルや食器類を拭いたり、もちろんおしりを拭くときにも使うことができますし、使った後も快適です。
 防災セットに入れるおしりふきは、多目的に使うことを考えて影響の少ない水だけを染みこませたものを使うようにします。
 本来のお尻ふきが必要な人は、一日で一パック程度は使ってしまうようですが、ちょっとした用途ならば一人最低一袋あれば支援物資が届くまでのつなぎには充分だと思います。
 名称で抵抗のある方もいるかもしれませんが、何かを拭くという行為には最適のおしりふき。
 防災セットだけでなく、普段使いでも便利な気がします。

防災グッズと代用品

代用品作りの一つとして防災クラブでやっているゴミ袋で作る防寒着作成の一コマ。あるのなら普通に合羽の方が確実で安心。あくまでも代用品を知ることが目的の講座。

 防災グッズは防災用のためにだけ準備すると考えると場所をとってしまう厄介者になってしまいます。
 ローリングストックという言葉もありますが、必要なものを少し多めに準備することである程度以上はものを増やさず、生活の質も下げずにすむような災害への備えができると思っています。
 ここでよく聞かれるのが代用品の話ですが、代用品はあくまでも代用品でしかなく、そのために作られた道具と比べるといろいろな意味で不便を生じることになるので注意してください。
 よくあるのが、おむつの作り方。
 おむつがないときにビニール袋とタオルで作るよう書かれているものが多いのですが、避難生活を過ごすときにその代用品で凌ぐとすると、いったいどれ位の材料が必要になるでしょうか。
 タオルは吸水力はそこまで大きくありませんし、ビニール袋は蒸れて子どもの肌がかぶれたりします。汚れたタオルはそのままにしておくと汚臭が出てきますので、その処理についても対応が必要となります。
 本当に緊急時何も無い状態ならともかく、手間や発生する問題を考えると、紙おむつを1週間分くらい余計にストックしておいた方が役に立ちます。
 布おむつ派の人も、災害時には布を洗うことが難しい場合もよくありますから、数日程度凌げるだけの紙おむつを準備しておくようにしておきましょう。
 そして、心配だからといって大量にストックするのも御法度です。
 おむつが必要な年齢の子どもは、あっという間に大きくなりますので使える期間は短いです。そのため、目安としては1週間または普段使っているおむつを一袋多く準備しておくといいと思います。
 サイズアウトしたおむつは、例えば子どもの通っている保育園や子育て支援センターなどで使ってもらえないか聞いてみて下さい。割と喜んでもらってもらえることが多いです。
 そして、引き取り手がなかったからといって捨てる必要はありません。給水部分を何枚か重ねると、大人用の非常用トイレを作ることができます。これも代用品の一つですね。代用品のことは知っておいた方が絶対にいいですし、作り方もマスターしておいたほうがいいです。
 でも、最初から代用品で対応することは考えず、可能な限り普段使っているもので対応できる方法を考えておいてください。
 ちなみに、代用品としてよく出てくるビニール袋は、最近では地球温暖化やエコ問題から災害時に確実に手に入るとは限らない状況になっていますから、必要があれば非常用持ち出し袋に備えておくことをお勧めします。

防災グッズを揃える優先順位

 立て続く災害のせいか、防災グッズや災害対策の本や特集を見かけることが増えているような気がしますが、これらの記事を見ていくと、さまざまなものが取り上げられていて、全部揃えようなどと思えないような金額に積み上がってしまうこともしばしば。「防災グッズを揃えたいけれど、何から準備したものやら・・・」と途方に暮れてしまうことも起きてしまいます。
 当研究所で「防災グッズ、何から準備をすべきか」ということを聞かれたとしたら、まずは「絶対に必要なものの備蓄を増やす」ことから始めてほしいと思います。
 例えば、紙おむつや生理用品、常備薬、眼鏡やコンタクトレンズ、アレルギー対応のあれこれなど、各家庭、各個人で絶対に必要なものの種類は変わってきますが「絶対にないと困るもの」はないと困るのですから、ある程度の補給が期待できるまでの物資は備蓄しておく必要があると思うからです。また、自動車の燃料であるガソリンもないと困るものの代表格です。
 当研究所の記事もそうなのですが、防災関係の記事では代替手段や代替品の紹介をすることが非常に多いです。
 そのため、代替品があればなんとかなると考えてしまいがちなのですが、防災関係の記事の大前提は「絶対に必要なものは前もって準備しておくこと」です。
 例えば、おむつでよく紹介されるのはビニール袋とタオルを使った代替品ですが、実際にこれを使うとなると、赤ちゃんのおしりが蒸れてしまったり、交換用のタオルが大量に必要になったりと、紙おむつを準備しておいた方が楽だったというような結果になってしまいます。
 また、赤ちゃん用ミルクでは、味によっては赤ちゃんがいやがって飲まないという場合もあるでしょう。ですが、行政が手配して届いた赤ちゃん用ミルクがあなたの赤ちゃんが嫌がっているミルクだとしたら、どうしますか?
 無理矢理飲ませようとして赤ちゃんとあなたが疲労困憊するよりも、普段使っているものが準備してあれば、ミルクの問題により発生するあれこれを気にしなくてもすみます。余談ですが、母乳の場合でもショックやストレスで一時的に母乳が出なくなることもありますので、折に触れて赤ちゃんが飲める赤ちゃん用ミルクを見つけて慣らしておいたほうが安心です。
 生理用品も全く同じで、災害が起きたことによるショックで生理が始まってしまうこともあるようですから、自分の普段使っている生理用品を1周期分は用意しておくと、これも安心です。
 長袖シャツとキッチンペーパーなどで代替品を作るというような記事もあるのですが、普段でさえ、少しデリケートな方は合わない生理用品でかぶれたりすることもあるようですから、いっそう衛生的な環境を意識する必要のある災害時には、提案されている代替品は正直なところ現実的ではないと思います。
 今書いてきたような代替品は、別に嫌がらせやネタとして考えられたわけではなく、どちらかというと「どうにもならない状態なのでないよりはまし」という前提で考えられた代替品ですので、それを作ればいいんだから安心とは、絶対に思わないようにしましょう。
 また、常備薬として普段から飲んでいる薬がある人は、その薬はなくなると困るはずです。これは他のもので代替が効くものではありませんから、絶対に必要なものの最右翼と言えるでしょう。
 日々の生活の中では、他に代替の効かないものや、代替品を作るまたは維持することによって他に発生する数々の問題が生じてしまうものは、できるだけ必要なものそのものを用意しておきます。そのことによって、そうでなくてもさまざまなストレスにさらされてしまう災害後の生活でよけいなストレスをため込まなくてすみます。
 さまざまな防災用のあれこれを準備するときには、まず最初に自分の日々の生活の中で使うもののうち、「絶対に必要でないと困るもの」を最優先で多めに備蓄していくと間違いがないと思います。

安全ピンと洗濯ばさみ

 災害後の生活ではいろいろなものが不足して知恵を出さなければいけない状態になりますが、安全ピンと洗濯ばさみを非常用持ち出し袋や非常用備蓄品に加えておくと、いろいろな場面で役に立ちます。
 例えば、着替えをするときや授乳するとき、それ用の場所が準備されていない状態であっても、目隠しに使えるサイズの布やエマージェンシーシートと安全ピンや洗濯ばさみがあれば、簡単に体を覆う目隠しを作ることができます。
 また、洗濯したものを干すことや、医療器具の代わり、服のサイズの調整、ペットボトルなどへの穴開けや、メモや注文票をを目立たせたりすることもできたりと、あれば何かと便利な品物です。
 防災用の備蓄品の中に加えられていることが少ないアイテムですが、そんなに大きなものでもありませんので、数個ずつ用意しておくと、不足を補ってくれる強い助っ人になってくれると思いますよ。