あなたは自分がいる場所が、どのような災害時にどのような危険があるのか知っていますか。
簡易的にそれがわかるのが、市町村が作成しているハザードマップです。
このハザードマップ、きちんと内容が理解できると非常に効果的に自分の安全確保ができるのですが、残念ながら配るだけで読み方の説明がきちんとされていないので、ちゃんと読まれていないことが多いようです。
今回は、危険や避難判断の基本となるこのハザードマップの読み方についてやってみたいと思っています。
「ハザードマップってなんだ」という方から「この部分はどう読めばいいのか」など、初歩の部分からちょっとマニアックな話まで、ハザードマップを見ながら一緒に学んでみたいと思っています。
準備の都合がありますので、できれば事前申し込みをお願いします。
興味のある方のご参加をお待ちしております。
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家具の固定の考え方
地震に備えて行う対策の一つに家具の固定があります。
家具が倒れてけがをしないために行うのですが、激しい揺れになると、いくら固定していても固定部分が外れて倒れてくる可能性はあります。
だからといって家具の固定をしないのは本末転倒ですが、この家具の固定は最初の大きな揺れで家具が倒れることを防ぐのが一番の目的だと考えてください。
一番最初の揺れが一番大きな力がかかりますので、そこで家具が倒れなければ、家具が倒れてこない場所まで逃げるだけの時間を稼ぐことができます。
なので、家具の固定の考え方としては、
1.いる時間の長い部屋にはできる限り家具を置かない
2.家具を置くなら座っているときの肩の高さ以下のものにする
3.家具の広い向きは倒れた時に扉の開閉を妨げない場所にする
4.固定具は複数使う
ということになります。
特に台所などは食器棚や冷蔵庫など、重量があって大きく倒れやすいものが多いですので、家具は必ず固定して、台所から逃げるための時間を稼げるようにしてください。
繰り返しますが、家具の固定は家具が倒れないようにするためではなく、家具が倒れてくるまでの時間稼ぎのために行うものです。
もちろん固定した結果倒れなくなるのが一番いいのですが、固定しても「倒れてくるかもしれない」と考えて倒れるまでの時間稼ぎ、そして倒れても出入口を封鎖しない配置を考えるようにしてください。
自分の安全を確保する
災害時に最優先すべきはあなたの命であることは昨日書きました。
災害が起きると、なぜか人の心配や災害後の生活の心配をしてしまう人が殆どですが、あなたの命が危険でないという保証はありません。
災害が起きたら、最初はあなたの安全確保が最優先です。
周辺の状況を確認してあなたの安全確保ができてから、はじめて他の心配をしてください。
そして、安全確保は災害が収まるまでは最優先であることが続きます。
一度安全が確認されたとしても、その安全が続くとは限りません。常に周囲の状況は確認しておく必要があります。
多くの人は無意識に自分は死なないと思っています。その前提で、他のことを心配してしまうのですが、自分が死ぬかもしれないという想定をもって行動するようにしてください。
伝言ダイヤルの鍵を決めよう
2023年の正月を無事に迎えることができ、皆様方には厚くお礼申し上げます。
引き続き、当研究所をよろしくお願いいたします。
さて、年末年始、ご家族や仲良しの方と集まることも多いのではないでしょうか。
せっかく集まるのですから、いざというときに連絡を取るための災害時伝言板およびweb171の鍵となる番号を決めておいてはいかがですか。
災害時伝言板は災害時に連絡が付きにくい状態でも伝言板を経由して情報交換ができる非常に便利なものです。
ただ、カギとなる電話番号が決まっていないとお互いにやり取りをすることが難しいので、災害時伝言板を使うときに指定する電話番号を決めて、共有しておきましょう。
普段は合わない人だからこそ、災害などが起きた時には生存や状況が気になるものです。
被災地内への電話はまず通じないと思っていいですから、災害時伝言板を上手に使って、生存情報や自分の状況などが心配している人たちに届くようにしておけるといいですね。
災害用伝言ダイヤル(NTT西日本のウェブサイトへ移動します)
発電機は絶対に屋外で使う
冬場に長時間の停電が起きると、電化されている最近の住宅では暖が取れなくなることがあります。
その時に備えてガソリン式やカセットガス式の発電機を備えている方もおられると思いますが、屋内では絶対に使用しないでください。
発電機に限りませんが、燃焼するときには酸素が燃焼により二酸化炭素に変わっていきます。
ただ、供給される酸素が不十分になると、二酸化炭素になれずに一酸化炭素が発生し始めます。
この一酸化炭素は人間が吸い込むと中毒死するような危険な気体なのですが、寒いと屋内やテントの中で発電機や炭火などを使い、酸素不足で一酸化炭素が発生して中毒死する事故がほぼ毎年起きています。
災害後に電気が再開するまでは発電機に頼ることも多いとは思いますが、発電機はいくらコンパクトでも絶対に外で使用すること。
そしてできるだけ開放的な場所で空気がしっかりと流れるようにしておくことに注意しておいてください。
発電機は絶対に外の風の良く通るところで使うこと。
周囲が住宅地の場合には発電機の音が気になってしまうかもしれませんが、命にはかえられませんので必ず守るようにしてください。
【お知らせ】「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用が始まりました
2022年12月16日12時から、北海道三陸沖後発地震に関する注意情報の運用が始まりました。
これは北海道三陸沖でマグニチュード(Mw)7程度の地震が発生した際、その後1週間以内にそれ以上の大規模な地震となるマグニチュード(Mw)8以上の地震が起こる可能性があることから、大きな地震の後により大きな地震に備えるための注意を促すためのものだそうです。
最近では2016年4月14日、16日と立て続けに大きな地震が起きた熊本地震がこのケースにあたるのかなと考えますが、マグニチュードが1上昇すると揺れる力は32倍になるので、とてつもない地震が起きる可能性があるということが言えます。
そういった事態に備えて、大きな地震が起きた後、より大きい地震が起きる可能性があるということを周知するのが、この北海道三陸沖後発地震注意情報なのだそうです。
報告書では実際に北海道三陸沖地震が起きて、その後1週間以内にさらに大きな地震が起きる確率は100回に1回とされていますが、たとえ空振りになっても危険性を周知したいということで、こういった注意情報が発表されることになりました。
ただ、これを受けてどうするかは各人に任されていますので、避難するもより強い地震への対策をするも、そして何もしないのもすべてそれぞれの考え方や判断に任されることになります。
そう考えると、大きな地震の際に気象庁が出す「今後1週間程度は大きな揺れに警戒する必要がある」という発表とどこが違うのだろうかというのがいまいちよくわからないのですが、地震が発生したらより大きな地震が来る可能性があることは事実。
どこで起きる地震についても、大きな地震の後にはより大きな地震が来るかもと考えて備えをしておいたほうがよさそうです。
日本海溝・千島海港沿いの後発地震への注意を促す情報発信に関する検討会報告書(気象庁のウェブサイトへ移動します)
【お知らせ】1月開催のイベントのご案内
石西防災研究所では、1月に一般向けワンコイン研修会を2回開催します。
1回目は1月14日で、「ハザードマップの読み方を知ろう」。
これはハザードマップに書かれている情報はどのようなものがあるのかということに始まるハザードマップの見方の研修会です。
2回目は1月24日で、「マイタイムラインを作ろう」。
これはハザードマップを読める人向きの研修会で、ハザードマップを元に、自分が置かれた状況や環境からどのような行動をすべきなのかについて時系列に整理し、それを行動計画書、防災ではマイタイムラインといわれるものですが、それを作って行動手順をみてわかるようにしていきます。
どちらも災害への備えに対して有効な研修会ですので、興味があって都合のつく方はぜひご参加ください。
参加費は500円/人。
いずれも準備の都合上事前申し込みをお願いします。
詳細は付属のチラシをご覧いただくか、事務局までお問い合わせください。
機内モードとモバイルバッテリー
災害が発生すると、被災地内では輻輳を防ぐために通信規制が行われます。
そのため、なかなか電話やメールがつながらない状態になるのですが、基地局の電池設備が使えなくなると同時に通信そのものができなくなります。
ただ、スマートフォンや携帯電話は基地局の電波を探そうとしますので、電池をいつも以上に消費することになり、繋がるようになったころには電池切れというパターンが多くなります。
それを防ぐためには、モバイルバッテリーを持ち歩くことです。
できれば2回以上フル充電できるくらい大きな容量のものがあると安心できます。
また、携帯電話は通信が使えなくなったらスイッチを切っておくようにすると電池の持ちがよくなります。スマートフォンの場合には、画面の明るさを見られる範囲で暗くするのと同時に、できるだけ機内モードにするようにしてください。
機内モードにすることで、スマートフォンは基地局の電波を探しに行かなくなりますので、その分電池の消費を抑えることができます。
スマートフォンや携帯電話はさまざまな形で情報を集める手段として有効なアイテムです。このアイテムを活かすために、まさかの電池切れを起こさないように、二重三重の対策をしておいてください。
ちなみに、乾電池式の充電器はスマートフォンへの充電はしっかりとはできないことが多いです。ただ、支援物資として乾電池が届くことがありますので、荷物にならないようであれば乾電池式の充電器も用意しておくと安心だと思います。
ハザードマップが読めますか
市町村などが作っているハザードマップですが、完成したり改訂があると、多くの場合は各家庭に配られているようです。
ただ、その中身の説明がないために、次の資源回収日には大量に出されているケースもあるとか。
本来なら災害から身を守るために作られたはずのハザードマップがただの資源になってしまっているのは、ようするに見方がわからないからです。
見方さえわかれば結構役に立つのですが、配られているハザードマップに書かれている解説を読んでも、よくわからないという方が多いのではないでしょうか。
研修会などで説明すると「ああそういう意味なのか」と言ってもらえることも多いのですが、わからないから資源にされているのです。
また、中途半端に細かいサイズになっているため、かなり使いにくいものも多いです。見やすいだろうと思って冊子にしていても、実際には非常に使いにくくわかりにくくなってしまっている残念なケースもよくあります。
見方さえわかれば、あとは更新されても改訂されても大きく表示方法が変更されることもないですから、見方をしっかりと周知してほしいと思います。
見方と用語。
これがきちんと理解できるような機会の提供が少ないような気がするので、結果として理解が進まないという状態が続いている気がします。
せっかく大金をかけて作ったハザードマップです。
しっかりとハザードマップが役立つような、そういった心配りがいるのかなと感じています。
「個別支援計画」ってなんだろう
災害時に命を守る行動をとるのは自分自身です。
ですが、例えば妊産婦や乳幼児、障碍者の方、お年寄りなど、自分ではすべての行動ができない人もいると思います。
そういった支援が必要な場合には、あらかじめ周囲の人や介護事業者、民生委員などに助けてもらうための段取りをつけておきましょう。
この段取りを「個別支援計画」と呼んでいますが、防災と福祉の狭間にあることや個人情報保護の観点から、なかなか計画作成が進んでいないようです。
つまり、放っておくといつまでも自分を助けてもらうための計画ができませんので、支援が必要な人が自身で自分を助けてほしいこと、そしてなにをどんな風に助けてほしいのかについて、支援をしてくれそうな人に伝えておく必要があります。
普段からさまざまな支援を受けていると、災害時にも支援がしてもらえると思いがちですが、非常時には非常時の段取りをつけておかないと誰も助けてくれません。
普段助けてくれている行政は、災害時にはそちらの対応で手いっぱいになってしまい、支援が必要な人の救助まではとても手が回りません。
ですから、普段から支えてくれている介護事業者や民生委員といった人たちや、地域の人たちに助けてもらうようにお願いしておくのです。
それが個別支援計画であり、これなしに災害時に必要十分な支援は受けられないと考えてください。
もちろん、災害の情報収集や避難のタイミング、避難先の選定から避難後の生活に至るまで、全部自分でできるという人は個別支援計画などは作らなくても問題ありません。
でも、助けが必要な場面で助けがないと、生活をするのに困難が生じてしまうと考えられる人は、すぐにでも個別支援計画を作るようにしてください。
個別支援計画は、普段やり取りをしている介護事業者やケアマネジャー、民生委員といった方に相談すると段取りをしてくれます。また、地域の自治会や自主防災組織などが機能していれば、そちらにも相談をしておくとやりやすくなります。
自分が自分の命を守る行動が取れなくても、段取りをつけて助けてもらえるように準備をしておくこと。
それをしておくことが、自分の命を守ることにつながりますが、あなたは大丈夫ですか。