発電機は絶対に屋外で使う

携帯発電機を室内で使用して一酸化炭素中毒になる事故の再現映像(製品評価技術基盤機構(nite)作成)

 冬場に長時間の停電が起きると、電化されている最近の住宅では暖が取れなくなることがあります。
 その時に備えてガソリン式やカセットガス式の発電機を備えている方もおられると思いますが、屋内では絶対に使用しないでください。
 発電機に限りませんが、燃焼するときには酸素が燃焼により二酸化炭素に変わっていきます。
 ただ、供給される酸素が不十分になると、二酸化炭素になれずに一酸化炭素が発生し始めます。
 この一酸化炭素は人間が吸い込むと中毒死するような危険な気体なのですが、寒いと屋内やテントの中で発電機や炭火などを使い、酸素不足で一酸化炭素が発生して中毒死する事故がほぼ毎年起きています。
 災害後に電気が再開するまでは発電機に頼ることも多いとは思いますが、発電機はいくらコンパクトでも絶対に外で使用すること。
 そしてできるだけ開放的な場所で空気がしっかりと流れるようにしておくことに注意しておいてください。
 発電機は絶対に外の風の良く通るところで使うこと。
 周囲が住宅地の場合には発電機の音が気になってしまうかもしれませんが、命にはかえられませんので必ず守るようにしてください。

燃焼器具と一酸化炭素

 冬には一酸化炭素中毒による死者が毎年出ています。
 原因は燃焼器具を換気不十分で使った事によることが殆どなのですが、この一酸化炭素ってどのようなものかご存じですか。
 今回は最近よく耳にする一酸化炭素について、ちょっとだけ考えてみたいと思います。

1.一酸化炭素とは

 化学式は「CO」で、炭素1つ、酸素1つが結びついてできあがる炭素化合物です。
 人間が何もなしに生存できる範囲では気体で存在し、無色、無臭で水にはほとんど溶けない性質を持っています。
 理論上、炭素を含む物質が完全に燃えるときには二酸化炭素と水蒸気になるはずですが、火の内部では酸素の供給が追いつかないために燃焼時には常に少量の一酸化炭素が発生しています。
 そして空気中の酸素が不足した状態で燃焼すると、不完全燃焼になって一酸化炭素が大量に発生します。

2.一酸化炭素中毒とは

 一酸化炭素は人が吸い込むと血液中のヘモグロビンに結合し、酸素を運搬する能力を極端に低下させます。そのため、吸い込み過ぎると、酸素欠乏の症状である頭痛や吐き気、眠気や錯乱などが起き、そのうちに昏倒して死に至ります。
 特に小さな異変に気付きにくい就寝中や酒に酔った状態では、気付いたときには逃げたくても身体が動かないような重篤な一酸化炭素中毒の症状に陥ってしまうことがあります。
 一酸化炭素中毒は、早期であれば新鮮な空気を吸うことで症状は改善されるようですが、ひどくなると入院治療が必要な上、さまざまな後遺症も起こるようです。

3.一酸化炭素中毒が発生する主な原因

 換気が不十分な状態で火気を使用したことによるものが多いようです。特に石油ストーブやガスコンロ、七輪などの燃焼機器では換気が不十分だと不完全燃焼が起きて一酸化炭素が発生することがあります。
 他にも、車庫など換気の悪いところでのエンジンや発電機など内燃機関の使用により一酸化炭素中毒が発生しています。過去には大雪による停電のため屋内で発電機を稼働させ、その排気で一酸化炭素中毒が起きて死亡する事故も起きています。

4.一酸化炭素中毒にならないためには

 燃焼器具を使う場合には充分な換気が一番の対策です。
 また、豪雪や大雨などで充分な換気ができない状況の場合には、燃焼器具を使わないようにすることです。
 それから、燃焼器具を使う場所には一酸化炭素警報器を取り付けておくことも有効です。その際、一酸化炭素は空気よりも比重が軽い(0.967)ため、警報器は部屋の上部に取り付けるようにしてください。

 燃焼機器の注意書きでほぼ必ず書かれている「定期的にしっかりと換気をする」というのは、この一酸化炭素の発生を防ぐためで、特に最近の高密閉住宅の場合には、より注意が必要なのではないかと思います。
 ちなみに、東京消防庁の資料によると、一酸化炭素中毒は空気中の濃度が0.5%を超えると数分で窒息死するそうです。
 これからの時期、寒いので窓を開けることはあまりないかもしれませんが、一酸化炭素中毒を避けるためにも、燃焼器具を使っているときにはこまめな換気を心がけていきたいですね。

煙の特性について(東京消防庁のウェブサイトへ移動します)