電池は規格を統一しておこう

乾電池各種
乾電池には種類がいろいろとあるので自分が使えるものをしっかりと選んでおこう。

 最近は百円均一ショップの防災コーナーも充実してきていて、ある程度のものや基本のセットをお試しで作ってみるのにはとても便利だなと感じています。
 ところで、非常用持ち出し袋の中で電池が必要な二大アイテムが「懐中電灯・ランタン」と「携帯ラジオ」です。
 これらが一体型になったものも出てはいますが、使い勝手を考えると分かれている方がメリットが大きいのでは無いかと思うのですが、それはさておき、非常用持ち出し袋の重量をできるだけ増やさないために、必要な電池は共通化しておくことをお勧めします。
 百円均一ショップで売られている懐中電灯の中には非常にコンパクトで使い勝手のよさそうなものが結構あるのですが、コンパクトさにシフトしすぎて交換用電池がかなりレアな規格のものを使っていることがあります。

百円均一ショップでよく見るホイッスル付きの小型懐中電灯。小さい割に明るく使い勝手もいいが、電池がLR41という特殊規格。家電量販店でもいかないと置いていないのが難点。

 携帯型ラジオは基本的に電池の規格が単二、単三、単四、充電式のどれかの場合が殆どなので、こちらにあわせて共通化を進めておくといいと思います。

単三電池、単四電池のどちらでも使うことのできる懐中電灯もある。ランタンにもなるので避難から避難所生活まで幅広く使うことが可能。でも、お値段もそれなり。


 電池に関して言えば、サイズが大きいほど電池容量が大きくて重たくなります。コンパクトさを狙うなら単四ですが、電池容量がさほど大きくないので、持って歩く予備電池を多めにしておく必要があります。
 中庸な単三電池は非常に使い勝手が良いので、こちらをメインに準備しておくのがいいかなと考えます。
 充電式の乾電池もありますから、充電するための太陽光発電パネルと蓄電池の組み合わせを準備してあれば、充電式乾電池は非常に使い勝手のよいものになります。
 発電式の懐中電灯やラジオもありますが製品によって使える時間や使い方がまちまちなので、事前にしっかりと調べておかないといけません。
 また、発電式の中には発電機能はあるのになぜか蓄電機能がないものもあったりしますので、製品を選ぶときには充分に気をつけてください。
 ちなみに、サイズの小さい電池はスペーサーなどを使うことでサイズの大きな電池の代わりに使うことができます。電池容量が足りないのですぐに使えなくなってしまいますが、いざというとき、ちょっとした手間で使えることは知っておいてください。
 見落としがちな電池の規格。非常用持ち出し袋や備蓄品を準備するときには、なるべく規格を共通化して、いざというときに電池がないといった騒ぎにならないようにしてくださいね。

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【活動報告】防災ポーチを作ってみました

順調に進化しているS研究員の防災ポーチ。これに携帯ラジオが入って完成とのこと。

 持ち歩きのできる防災グッズというと防災ポーチを推奨している当研究所ですが、ふと思いついて防災ポーチのアップデートと防災ポーチの作成を行うことにしました。
 防災ポーチはいつもカバンの中に入っていて何かあったときに活躍してくれる便利なアイテム(某研究員は友人から「異次元カバンだ」と言われたそうです)ですが、たまに点検しておかないと電池が切れたり不足しているものが発生したりしますので、新規研究員に防災ポーチを作るついでに持っている人のポーチもアップデートしてしまおうというのが今回の試み。
 今回は100円均一ショップで売られているエマージェンシーシートと裁縫セットを追加してみました。
 向こうが透けそうなほど薄いエマージェンシーシートではありますが、軽量で邪魔にならないことからそれなりに使えるのではないかと思います。
 一つ問題があるとすればいろいろな便利アイテムを追加していくとポーチがどんどん大きくなっていくこと。
 気がついたら防災ポーチでは無く非常用持ち出し袋になっているような気がして、セットの作り方を考えてしまいました。
 ただ、防災ポーチは使い続けているとその人にあった形にカスタマイズされていきます。ある程度時間が過ぎたところで持っている人達の防災ポーチがどのように進化したのか見せ合うのも面白いのでは無いかと思っています。

H研究員の基本の防災ポーチ。大きなメモ帳がセットされているのがポイント。
M研究員の防災ポーチ基本セット。ライトがヘッドライトに変わっているのと、シールと磁石が入っている。本人の趣味と興味の結果らしい。

手動式シャワーを使ってみた

 お盆を過ぎたとは言え、日中はまだまだ暑い日が続いています。そんなときにはどうしても水遊びがしたくなるものですが、プールはコロナ禍で閉鎖中。
 では海遊びということで、当研究所も海に遊びに行くことがあるのですが、普段遊ぶ場所はあいにくとシャワーなど塩を流す設備のないところです。
 いつもは4リットルの焼酎の空きペットボトルに水を詰め込んで、遊び終わったら頭からかぶっているのですが、どうにも使うお水の効率が悪いのと、ある程度の勢いがないと塩が落ちている気がしない。というわけで、20リットルのポリタンクに手動加圧式のシャワーを用意して使ってみることにしました。

上についているポンプで空気を圧縮し、そのチカラでシャワーを出す構造。下側に見えるオレンジのボタンは圧抜用

 ポリタンクの吸水口にポンプを取り付けて、あとはひたすら加圧すると、シャワーが出てくるという単純な仕掛けなのですが、これが結構便利。
 ポリタンクの色を吸熱性の高い茶色にしてしまったせいか、圧をかけすぎると怪しい膨らみ方をしたので、膨らみ方をみながらの加圧となり、使う人にはちょっと水圧が物足りなかったようです。

水道ほどではないが、それなりにしっかりシャワー感じられる水流はある。


 ただ、吊り下げ式に比べると使える水量が多く、電動式と違ってバッテリーが不要で軽いという利点は素晴らしいなと思いました。
 15リットル入れて試してみたのですが、上手に使って3人ちょっとくらいは塩を落とすことができましたので、世帯や家族程度ならそれなりに汗を流すことが可能だと思われます。
 お値段も安く、維持管理も殆ど不要の手動式シャワー。
 防災用品の一つとして準備しておいてもいいのかなと感じます。
 ちなみに、準備するのであれば、できれば目隠し用のブルーシートや杭なども用意しておいた方がいいかなと思います。

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台風に備える

 台風が日本にやってくるシーズンに入りました。
 今年もかなり暑いので、やってくる台風は勢力がさほど落ちずに来るのでは無いかと思っていますが、台風に備えた準備はできていますか。
 台風で備えるのは風と雨。いつ頃襲来するのかは分かっていますから、そういう意味では非常に対応がしやすい災害だと思っています。
 大きな台風が来たとき、最終的にどのような被害を被るのかは正直なところわからないところがありますが、それでも備えておくことで、ある程度までの被害を防ぐことが可能です。
 今日は台風シーズンに入る前にやっておいた方がいいことについて考えてみたいと思います。

1.台風対策、まずは掃除から

 台風がやってきて問題になるのは、溢れてくる水とそれに流されるもの、そして風で飛ばされてくるあれこれです。
 ですので、水を可能な限り排水させるために側溝や水路の掃除をしておきましょう。また、周囲に側溝などに詰まりそうなものがあれば、あらかじめ撤去しておくことも大切です。
 それから家の雨樋。ここの掃除もしっかりとしておくことで、排水能力の確保や貯まった水による雨樋の破壊を防ぐことが可能です。
 あと、見落としがちなのがテレビアンテナ。強い風雨にさらされると、劣化したテレビアンテナが壊れて落下したり飛んだりすることが起きます。
 筆者の家でも、何度かの台風でテレビアンテナがぼろぼろに壊れてしまったことがありますので、シーズン前に電気屋さんに点検してもらい、破損が起きないようにしておくことが大切です。
 家の周囲にも注意を向けておきましょう。
 風が吹くと落ちたり飛んだりしそうな場所に、物干し竿や植木鉢、プランターなどは置いていませんか。
 大風が吹くと、一見大丈夫そうな場所に置いてあるものでも簡単に飛んでしまいます。物干し竿などは飛びそうにないように見えますが、過去には物干し竿が飛んでよその家の窓ガラスを割ったというような礼もあります。
 飛びそうなものは、屋内に入れておくか、もしくは風が通らない場所に置いてください。
 家庭ゴミなども同じで、飛んだり散ったりするとあちこちでトラブルが起きます。これらも屋内または風や雨の当たらないところにおいてください。

2.おうちの対策をしておく

 瓦屋根のお宅では、風で瓦が飛んだりしないように点検をしてもらっておきましょう。またトタン屋根などではめくれている部分や破損している部分がないかどうかを点検しておき、できれば修繕しておきましょう。
 窓は飛散防止フィルムが張ってあればいいのですが、そうでない場合には、ガラス窓にはガムテープなどで飛散防止対策をしたうえで厚手のカーテンを引き、ガラスが飛散しないようにしてください。
 側溝や水路に面しているお宅では、状況によりますが土のう袋が必要な場合もあるかもしれません。あふれそうな場所があらかじめ分かっているときには、土のうを作って置いておくのもいいと思います。
 停電に備えて、乾電池式のランタンや懐中電灯、およびそれらに使う乾電池も準備しておきましょう。また、オール電化のおうちでは、念のためにカセットガスコンロも準備しておいた方がよさそうです。
 非常用持ち出し袋の点検をし、着替えや靴なども準備しておきましょう。また、断水に備えてお風呂などに水をためておくことも忘れずにやっておきましょう。

3.台風の進路の情報収集しておく

 台風の進路は、昔に比べると読みづらくなってきています。そのため、前の日の予想進路と今日の予想進路が変わっていることが起こりえますので、天気予報は定期的に見ておいてください。
 台風の強さと家の状況によっては、台風の勢力圏に入る前に安全と思われる避難所に避難してしまうことも検討しておきましょう。
 また、状況によっては学校や会社に行けても帰れなくなる可能性がありますので、天気予報を見た上で、場合によっては自主休業・自主休校することも視野にいれておいてください。
 どうしても出社や登校しなければならない場合には、職場や学校で待機しなくてはならないことを想定して非常食を用意しておくことをお勧めします。
 台風そのものは、1日程度あれば勢力圏から抜けることが殆どですから、その期間が凌げるだけの準備をしてあれば大丈夫です。

4.情報共有しておく

 家族のいらっしゃる方は、当日は誰がどこにいるのかをお互いに確認しておきましょう。
 いざというときにどんな行動を取るのかについて確認しておき、例えば最悪家に子どもだけしかいなくても大丈夫なような準備をしておくことが大切です。
 非常食、避難所に行けない場合どうするのか、連絡手段をどうするかなど、しっかりと詰めておきましょう。

 災害対策はいくら準備をしてもしすぎるということはありません。
 幸い、台風は進路予測ができますから、それに対応して準備をすることが可能ですから、直撃したときに自分や周囲に被害がないように、あらかじめしっかりと準備しておきましょう。

要支援者ほど早く避難しろという意味

 風水害の警戒レベル3は「避難準備・高齢者等避難開始」ということになっています。レベル4には「避難勧告」と「避難指示(緊急)」が同居していて訳がわからなくなっているということでどうやら修正がされるという話も聞いていますが、ともあれレベル3が発令されると「高齢者等」は準備ができ次第安全な場所、例えば避難所等に避難を開始することになります。
 この「高齢者等」には、高齢者だけで無く妊婦や乳幼児を含む家族、障がいを持っている人、その他避難する準備がかかる人達、いわゆる要支援者のことで、手間のかかる人は早く準備して早く避難しろというのがこのレベル3の趣旨です。
 ではなぜ普通の人よりも早く避難した方がいいとされているのでしょうか。
 何かあったときにすぐ避難できないから避難するというのは大きな理由ですが、それ以上に「早く避難して自分のスペースを確実に確保しておけ」という意味があります。
 過去に起きた様々な災害では、声の大きく元気な人ほど避難所で生活しやすい良い場所を占拠し、支援品や補給品を優先して受け取るという傾向が一貫してみられます。
 そうすると、本来は支援が必要な人達は避難所の片隅または避難所から追い出されてしまって、車や倒壊した家屋などで生活することを余儀なくされてしまうのが現状です。
 支援の必要な人が先に避難所に入って条件の良い場所を使っている場合には、いくら元気な人でも押しのけてその場所を奪い取ることはなかなか難しそうなのですが、実際には後から来た人の方がいろいろな意味で本人の状況が悪くなっているので、それを盾にして先住者を追い出すということが発生したりしています。
 大きな街ほどそういった傾向が見られるので、本当のことを考えると支援がいる人は支援がいる人専用の避難所を作ってしまった方がいいと思うのですが、いろいろと理屈をつけてそこまではしないというのが現在の行政の限界でもあります。
 そうすると、普段の生活に何らかの支援がいる人、支援があった方がいい人は早めに避難して避難所を占拠するくらいの行動力を見せないと自分たちが路頭に迷うことになってしまいます。
 実のところ、他人様に迷惑はかけられないと避難を渋る人達が大勢いるのですが、収容先のない要支援者が路頭に迷うことの方がよっぽど迷惑ですから、ひどくなりそうな気配を感じたらさっさと非常用持ち出し袋を持って避難所に避難し、良い場所を占拠してしまいましょう。
 避難所運営スタッフからスペースとして使って良い場所を確認しておけば、あとは安心して事態が収まるのを待てば良いのです。
 普通の人と同じように行動していると、要支援者はかならずひどい目に遭います。
 普通の人よりも早く動くことで、自分の安全を早く確保することができますから、準備ができたらそのまま避難するようにしましょう。
 なお、特殊な医療用設備が必要な要支援者のかたもいらっしゃいますが、そう言った人は避難所では無く、できれば被災しないであろう地域まであらかじめ避難しておく方が無難です。
 そういった事態に備えて、かかりつけのお医者様といざというときに支援してもらえる医者を決めて準備してもらうようにしておきたいですね。
 繰り返しになりますが、状況を見て早めに避難し、自分の居場所を確実に確保することが、要支援者が生き残る道です。
 他の人の動向など気にすること無く、自分が決めた避難計画に従って避難してくださいね。

大雨などで溝に溺れる理由の一考察

 水害の時、田や川の様子を見に行くといって出かけた方が水死体となって発見されることがあります。
 素人では無く、長年田を作ったり、川の様子を見てきた人が溺れてしまっていることが、正直なところ筆者には理解ができませんでした。
 離れて見ていれば落ちることなどはいはずなのに、いったいどうしてなんだろうと不思議に思っていたのですが、先日ふと流れの速い溝を覗いていてその原因がわかったような気がしました。
 試しに、その時の画像を見てみてください。

 この流れの速さを見ていると、なんとなく吸い込まれてしまいそうな気がします。
 ある程度距離を置き、足場を確保して動かない状態の筆者でさえそう感じるのですから、近くを移動したり、側溝をのぞき込んだ人が中に吸われても不思議ではないなと感じたのです。
 筆者だけの感覚なのかなと思い、その場にいた当所の研究員に側溝を覗いてもらったのですが、やっぱり吸い込まれそうな気になったと言っていました。
 何かの錯覚が引き起こしている現象だと思うのですが、こういったものに巻き込まれないように、見慣れた場所であっても意識して注意して、充分安全な距離を取って様子を確認するようにしないといけないのだと思いました。

スズメバチに気をつけよう

 スズメバチの被害が増える時期になってきました。
 ちょうど巣別れや捕食が盛んになる時期になってきますので、この時期はスズメバチに気をつける必要があります。
 今年はコロナ禍であまり人が山野を歩いていないこと、そして酷暑による昆虫の動きの活性化などで、普段なら巣をかけないような場所に巣がある可能性があります。
 今回はスズメバチについて考えてみたいと思います。

1.スズメバチの種類

 一口にスズメバチと言いますが、種類はいろいろとあります。
 どこででも見かけるものにはオオスズメバチ、キイロスズメバチ、クロスズメバチなどがいますが、国内には3属16種類のスズメバチが生息しています。
 最近外来種であるツマアカスズメバチが確認されて勢力範囲が広がっているようですが、これを加えると3属17種類となります。

2.スズメバチの営巣場所

三瓶自然館サヒメルに展示されているキイロスズメバチの巣。
近づくと羽音や警告音が出るようになっている

 軒下に立派な球形の巣ができることがありますが、そういった感じの巣をかけるのはコガタスズメバチやキイロスズメバチです。
 ヒメスズメバチやモンスズメバチは床下や天井裏、樹洞や時によっては空っぽの植木鉢の中などに作っていることもあります。
 オオスズメバチやクロスズメバチは土中に巣を作るため、気づかずにスズメバチの警戒線を超えてしまって襲われることが多いです。

3.スズメバチの避け方

オオスズメバチの標本。三瓶自然館サヒメルの展示物。

 スズメバチは確かにどう猛ではありますが、巣が近くに無い限りすぐに刺すことはありません。
 大きな羽音でびっくりしますが、基本的には移動中か偵察かという状態なので、慌てずに距離をとればそのうち離れていきます。
 いつまでも飛んでいるような場合には、近くに巣がある可能性が大なので、ゆっくりとその場から離れるようにしてください。
 また、聞き慣れないカチカチ音がするときにはスズメバチが威嚇している可能性があります。その場で止まって周囲を確認してみてください。
 彼らは黒い色に反応する習性がありますので、できるだけ白や明るい色の服を着ること、そして頭部などに防止をかぶるようにしてください。

4.もしも刺されたら

スズメバチに刺されたらすぐにその場から蜂が追ってこない場所まで避難してください。
刺された場所に送り込まれている蜂の毒は、同時に蜂を引き寄せる警戒フェロモンを出していますので、巣が近くにあった場合仲間が集まってきて二次三次被害が発生してしまいます。
安全が確保されたら、患部を確認します。もし針が残っているようであれば、直接手で触れずピンセットなどで取り除きます。
なにもないようなら、患部を流水で冷やします。蜂の毒は水溶性のため、流水で冷やすだけでも毒素を薄めることが期待できます。
できれば流水で患部を冷やしながら、指で患部をつまんで毒を絞りだします。ポイズンリムーバーなどを使うのもありですが、口で吸い出すことはしないでください。
その後、保冷剤などで患部を冷やしながら、できるだけ早く病院で診察を受けてください。
ハチ毒によるアナフィラキシーショックは1時間以内に発症しますので、発症する可能性のある人はできるかぎり早く病院へ行って処置をしてもらってください。

なお、ハチ毒は刺されてから10~15分程度で刺された部分が腫れてくるなどの症状が出始めます。
腫れ、痛み、かゆみ、水ぶくれなど、刺された人の体質によって出てくる症状も千差万別なので、応急処置が終わったら病院で処置をしてもらってくださいね。

溺れそうなときは浮いて待つ

両手両足を広げて背浮きすると、泳げない人でもなぜか浮く。でも練習していないと溺れてしまう。写真は去年当研究所で実施した着衣水泳体験での一コマ。

 まだまだ水の事故が多いようですが、少し前にはライフジャケットは必須であることを書きましたが、今回は溺れたときにどうやって助かるか、ということを考えてみたいと思います。

1.まずは慌てない

 溺れると、とにかく意識だけが助かろうと慌てますが身体がそれについてきません。
 まずは慌てないこと。これが実は一番難しいのですが、助かるのはそんなに難しいことではありません。
 溺れた人のうち、子どもは75%、大人で50%の人は助かっています。

2.なるべく早く背浮きの姿勢になる

 とにかく助かるためには浮いていることが絶対条件です。そして、鼻や口が水面上に出ていなければ呼吸ができなくて死んでしまいます。
 慌てずに背中を水底にしましょう。人間には肺という身体に備わった浮きがありますから、空気が入っていれば必ず浮きます。
 また、浮力を稼ぐために両手両足を広げます。頭を水の上に出すと鼻や口が沈んでしまいますので、頭は水に浸けておきます。

3.服は脱がない

 溺れたら速やかに服や靴を脱ぐ、ということを教わった人も多いと思いますが、状況が落ち着いて救助が望めない場合以外は服を脱ぐのは止めた方が無難です。
 身体にまとわりついてる服は浮力を持っていますので、身体が浮くのを助けてくれます。
 服や靴は濡れていて身体に貼り付いていますから、これを脱ぐとなったらかなりの体力と泳力が必要です。
 浮いているだけであれば大きな邪魔にはなりませんから、服や靴は身につけたままにしておきましょう。

4.足が流れに向くようにしておく

ちょっとした流れに巻かれたとき、足を怪我することが多いので、流れが速くなってきたら気持ちだけ足を上げておくようにしたい。揚げすぎると頭が水に沈むので注意!

 川や海の離岸流では水の流れがありますから、水の流れる方向に足をむけて流れるようにしてください。
 浮くときにはお尻を浮かせ、流れが急な場所では足を浮かせて流れることで、大きな怪我を防ぐことができます。

5.助けてもらえることを信じて待つ

 最後は、必ず助けてもらえることを信じて待ちましょう。見ている人がいれば必ず助けてもらえます。
 助けてもらえることを信じて、とにかく浮くことに注意を向け続けましょう。

 テトラポットや何かの下に潜ってしまわない限り、浮力を常に発生させてくれるライフジャケットは生命線です。
 ただ、ライフジャケットがもし無い状態で助かるためにはどうしたらいいのか。
 最近では着衣水泳を教えてくれる水泳教室や学校も増えてきました。
 残念ながら大人向けはまだまだ少ないのですが、水で溺れるのはこどもに限った話ではありません。
 今年はコロナ禍で、当研究所も含めてそういった水難事故対策の教室がされているところは少ないようですが、機会があれば積極的に受講していざというときに命を守る練習をしておいてくださいね。

参考資料
令和元年夏期における水難の概況(警察庁生活安全局生活安全企画課のPDFファイルが見られます)

水風呂で暑さをしのぐ

 どうしたことか、これだけ暑い夏なのに、夏には付き物の入道雲と夕立を今年はあまり見ていない気がします。夕立が一降り来ると一気に地表の温度が下がってくれるのですが、夕立が降らないので夜も暑いまま。かくして気温が上がっていくのではないかと疑ったりしています。

 こんな暑いときには水遊びをしたくなるものですが、今年はコロナ禍で海や川、プールと言った場所は結構閉鎖されているところが多いです。そして、子どもに水遊びさせてやろうと思っても、団地やマンション、アパートなどに住んでいると子ども用のビニールプールを出すことが結構難しかったりします。
 また、汗をかいたときはシャワーを浴びるというのが定番ですが、汗を引かせるということを考えると、シャワーだと一時のしのぎにしかなりません。すぐにもわっとした暑さに包み込まれてしまいます。
 そこで水風呂はいかがでしょうか。水風呂と言っても本当に冷たいお水からお風呂よりも少し冷たいくらいまで、水の温度はお好みにして、ゆっくりと入って身体に溜まった熱を水に抜くとかなり快適な状態になります。
 世の中忙しい方も多いですからそこまでじっくり水に入っていることは難しいかもしれませんが、やってみると身も心も妙にすっきりとします。
 水風呂から上がった後で残り水の温度を見て、思っていたよりも熱が溜まっていたことに驚くかもしれません。もし時間がとれるなら、お気に入りの本を持ってゆっくり入れば、ちょっとしたリゾート気分を味わえるかもしれません。
 暑いときには涼しく過ごす方法をいろいろと考える必要がありますが、水風呂が難しくても、足を冷水に浸すだけでも感じる暑さはずいぶんと変わります。

 子どもから見ると、いつものお風呂の冷たいバージョンですが、いつもお風呂では許してもらえないいろいろなことをやってみると、それだけでも目線が変わって喜んでくれるのでは無いかと思います。
 エアコンだけで無く、さまざまな方法で涼をとることができないか、いろいろと考えてみるのは大切なことだと思います。もう少し続きそうな暑い夏を、あなたはどんな風にして乗り越えていきますか。

水分の取り方

 先日、スポーツドリンクと経口補水液について違いを書かせていただいたところですが、ある方から「普通に水を飲んでも熱中症にはならないでしょう?」というご意見をいただきました。
 確かにそのとおりです。ただ、普通のお水でも飲み方によっては「水中毒」と言われる症状を引き起こすことがあり、暑い時期の水分摂取では少しだけ気をつけないといけないことがあるので、今回はそれを踏まえて、もう一度水分摂取の方法について考えてみたいと思います。

 汗をかいたときに何も水分を摂取しないと脱水症状を起こします。それにより体温調節機能が損なわれた結果熱中症になりますので、運動をしていようがじっとしていようが、汗をかくようであれば水分はしっかりと摂取する必要があります。
 脱水症状というのは、体の体液が不足して体の中の調整がうまくいかなくなる状態を指し、放っておくと命の危険があります。
 ただ、激しい運動や屋外の作業をしているので無い限り、普通の水をこまめに飲めば脱水症状を防ぐことが可能です。熱中症及びその前段となる脱水症状を防ぐために、しっかりと水を飲むようにしましょう。
 さて、最初のところで「水中毒」と言ってはいますが、別に水を飲んだら中毒症状が起きるというわけではありません。
 汗をかくと、汗に混じってナトリウムなどのミネラル分も体外へ出ていきます。この状態で水だけを補給し続けると血中に残っているナトリウム分がどんどん薄くなって、けいれんや意識障害といった症状が起きます。
 これを「水中毒」と言い、それを防ぐためにナトリウムなどのミネラル分が入っているスポーツドリンクや経口補水液が夏場は推奨されているのです。
 では、スポーツドリンクや経口補水液に頼らず、水だけでうまくやる方法はというと、これは「こまめに水分を適量取りましょう」と言い方になります。
 喉が渇く前にコップ1杯程度の常温の水をゆっくりと飲むこと。そして食事はきちんと摂取すること。
 「水中毒」は「失われた水分の急激な摂取+ナトリウム分の不足」で起きるわけですから、失われた水分を水で摂取する場合、もう一つの失われたナトリウム分をどこで補うのかということになりますが、これは食事を普通に摂取すれば充分カバーできます。
 減塩食などの場合には別ですが、基本的には日本人の食事は塩分が多めだと言われていますので、普通に食事ができていればナトリウム分の補充は充分に可能です。
 ちなみに激しい運動や炎天下での屋外作業では、汗による水分とナトリウム分の喪失が急激に起きるため、それを同時に短時間で体内に吸収摂取できる工夫がされているスポーツドリンクや経口補水液が推奨されているのです。
 普通に考えるとあまり起きそうにない水中毒ですが、例えば気づかない間に脱水症状を起こしてしまって意識がはっきりしない状態の時に「水を飲め」と言われて水を飲み続けた場合、若しくは炎天下にいた人がおいしいからといって冷たい水を一気に大量に飲んだりすると発生しますので、飲み方に気をつける必要があります。
 そういえば、夏の風物詩の一つ「スイカに少しの塩」や運動部でよく見た「麦茶に塩」は水分やナトリウムなどのミネラル分をしっかりと摂取することができ、よく考えられているのだなぁと調べているうちに感心したことを思い出しました。妙に見えても、きちんと理にかなったことをしているのですね。
 最後に、糖尿病などの糖質制限や減塩指導されている方は、水、スポーツドリンク、経口補水液の摂取方法に注意が必要な場合がありますので、いろいろと自分で考える前にかかりつけのお医者様に確認して脱水症状を起こさないような水分補給をしていただければと思います。