災害で起きる問題と事業継続化計画(BCP)

 災害時に備えて事業継続化計画(BCP)を作る理由はいろいろとありますが、その大きな目的の一つに「発生する問題を可能な限り早く解決する」ことがあります。
 問題というのは、発生したのに無視し続けると、多くの場合は問題が問題を生んでしまって収拾がつかなくなります。
 特に災害などの緊急時においては、一つの問題放置が後々大問題になることもありますから、できる限り一つの問題のときに対応して処置しておかなければなりません。
 災害時に発生する問題は多岐に及ぶので、どんなにBCPを作っても100%問題は起きないと言い切ることは無理ですが、過去のさまざまな災害から、災害が発生したときに自分たちが対応すべき問題は何かと言うことはある程度予測が可能です。
 予測した問題には予め解決方法が考えられているわけですから、それに従って手順を踏めば、基本的には対応者が誰であれ解決できるはずです。
 BCPの手順書は、そういった目線で作成する必要がありますので、「わかりやすく」「明確に」を考えて作成してください。
 そして、BCPがあれば、その場の指揮官は突発的に起きる事態に対応を専念させることができます。その結果、さまざまな問題が小さいうちに終息できて、復旧や復興が予定通り、または予定以上に早く完了できることになり、そのために作成するものです。 BCPを作っておくことは、今ある戦力でどれだけのことができるのか、そして何を優先して対応するのかを明確化することと、問題対応の手順を予め定めておくことです。
 現状を維持する方法ではなく、何から優先して対応すべきなのかを常に頭に置きながら作成するようにしてください。

先生は子どものプロだけど・・・

 学校や学童保育、保育園、幼稚園など子どもを預かる施設で先生と呼ばれている人達は「子どものプロ」だと思われています。
 なので、子どもを預けても大丈夫と思われているわけですが、災害発生時には一つ問題が起こります。
 それは「子どものプロ」は「災害時に子どもを守るプロ」ではないことです。
 そのため、普段から意識していない場合には、災害が起きると思考停止して動けなくなったりします。
 でも、子どもを預けている側から見ると、「子どものプロ」=「災害時に子どもを守るプロ」という認識になっているので、先生が子どもを守ってくれていると考えてしまうことが殆どです。
 そして、困ったことに先生方も同じ勘違いをしています。
 「子どものプロ=災害時に子どもを守るプロ」と考えてしまうので、誤った判断をしていても子どもを意見に従わせようとしてしまうことも起こります。
 東日本大震災では、子どもの判断を阻止した結果、命を失ってしまうことも起きてしまいました。
 災害対策は「重要だが緊急性は低い」という場所に位置づけられていることが多いので、普段から忙しい先生方にとっては
 「やらなければいけないがやりたくないもの」によく分類されています。
 また、一度作ったら手直しされないままということもよくあります。ところによっては「作ったけどどこにしまった?」という感じのところもあります。パソコンの中にデータとしてのみ存在しているのでは、発災時にとっさに使うことができず、まったく役には立ちません。
 発災時には、非常事態の対応の訓練をしている人でない限り、基本的には頭の中が真っ白になると考えて間違いありません。その真っ白な頭でも見たらすぐに行動に移せるように準備しておくのが防災計画です。
 先生方が「子どものプロ=災害時に子どもを守るプロ」になれるように、防災計画をしっかりと整備しておきたいですね。