可能な限り体験してみる

 今年度はコロナ禍でさまざまな行事やイベントが中止の憂き目に遭っています。
 災害関係のイベントも例外では無く、コロナウイルスの流行が始まってから9月くらいまではほぼ全てといっていいくらい中止の話ばかり耳にしていました。
 10月に入って少しずついろいろな防災の研修会やイベント、体験会が増えてきてはいますが、必須ではありますが見方によっては不要不急な内容でもあり、ちょっとずつ様子を見ながらの開催になっていくのかなと感じています。
 ところで、防災に限りませんが、さまざまな行動が可能になるのは頭だけで無く実際に身体にしみこませているからだと考えています。実際に災害を体験した人は、しばらくは素早く動くことができることから考えても、しっかりと身についていると考えて良いと思います。
 そのため、体験型の研修会が増えてきているのですが、あなたはこれまでにどれくらいの防災関係の研修会に参加されたことがあるでしょうか。
 「対策しても役に経たない」「訓練に参加するのはかっこわるい」「必要だと思わない」「理解できているからやらなくていい」など、やらない理由はさまざまですが、やることを知っているのと実際にやってみるのとではかなり感じが異なります。
 やってみないとできるかどうかがわからないというのが、さまざまな防災の研修会や訓練に参加してきた筆者の乾燥です。
 例えば火事のとき「なるべく低い姿勢で呼吸は浅く移動しましょう」ということは消防署などの研修では必ず教わります。でも、そこで理解できたことと、人為的に作った「煙避難トンネル」を実際に経験してみるのとでは感じることが全く異なります。
 幸いにして、防災訓練は殆どがただかただに近い値段で開催されるものです。
 もし見かけたら、全部出なくて良いので少しでも参加してみてください。知っていることを行動に移すことがどれ位大変か、一度やってみると理解が可能だと思います。
 災害対策はやろうと思えば一人でもできます。ある部分はキャンプみたいなものなので、ハイキングやキャンプと同じ感覚でやってみればいいと思います。
 思わぬものが必要になったり、必要だと思っていたものが全く必要なかったりと、一度やるだけでもいろいろと出てきます。
 訓練や研修を重ねていくと、自分にとって必要な防災対策がわかってくるので無駄な備えや作業をしなくても済むようになります。せっかくあちこちで開催されている防災訓練なのですから、できる範囲で構いませんから、参加していろいろなことに気づいて欲しいと思います。

おうちの災害対策をやってみよう

 単身世帯でも大家族でも災害は等しくやってきますから、日本に住む以上はどんな人でも災害対策は必要です。
 定期的に自分やおうちの災害対策について見直し、検討しておきませんか。
 例えば、住んでいる家や部屋は、どのような災害になったときに避難をすべきなのかということは確認しておく必要がありますし、避難先についても経路も含めて確認しておく必要があります。
 また、避難の時に持参すべきものは準備できているか、劣化や期限切れで使えなくなっていないかなどの点検も定期的にしておく必要があります。
 単身者の場合には家においてある食べ物は酒のつまみだけ、飲み物はビールだけなどという人もいらっしゃるかもしれませんが、長期保存水に加えて、避難するときにはおつまみだけでもよいので持って逃げられると避難先で飢えに苦しまなくて済みます。
 災害対策はおうちの数だけ異なる準備があります。どんなおうちにもそのおうちオリジナルの災害対策が存在するものです。
 例えばアイテム。普段の生活の中でどんなものを使っていてどんなものが必要なのかを確認し、非常用持ち出し品のリストにそれを追加しておいてください。そうすることで、避難先での生活でもある程度快適に過ごすことが可能です。
 ちまたで大きな災害が起きると「こんなはずではなかった」となり、災害後には全国的に非常用持ち出し品の売れ行きがよくなります。でも、しばらくしてまた災害が起きたら「こんなはずではなかった」という方が少なからずいるのは、準備だけして安心してしまってそのうち準備したことも忘れてしまうからです。
 準備したら、定期的に見直して必要なものを入れ替えたり追加したりすることで、いざというときに非常用持ち出し品を思い出すことができ、持ち出すことも可能になります。買って安心してタンスの肥やしにするのではなく、準備し続けることが大切です。
 これ以外にも、ライフスタイルの変化で対策や準備はどんどん変化していきますから、せめて1年に1回はおうちの災害対策として、日を決めて災害対策の見直しをすることをお勧めします。

災害時には最初の行動を一つの流れに決めておく

防災計画では、行動をどこまで単純化できるかが使ってもらえるかどうかの鍵になる

 学校や施設での防災計画ではさまざまな災害に対して対応する行動を決めています。
 特に火災と地震に対する計画は、殆どの施設や学校でしっかりと定めているのでは無いかと思います。
 ただ、拝見する学校や施設の防災計画の中の火災と地震の行動計画でちょっと気になる部分があり、なんとなくすっきりしないので、今回は少しそれに触れてみたいと思います。

 火災や地震が発生したときにどのような行動を取るのかというと、まずは安全確保となります。
 では、その次はというと、多くの場合にはなぜか「指示に従って避難を行うこと」とされています。
 それまでは「安全を確保しながら指示を待つ」という時間の浪費が行われてしまい、場合によっては避難できなくなる恐れが発生します。これは「不用意な混乱を防ぐ」ことが目的とされているようですが、安全な場所への移動は行動開始の時間が早ければ早いほど安全に避難完了ができるものです。
 責任者の指示により確実に避難できることの条件として、全体に確実な連絡が行き届き一糸乱れぬ行動がとれることが必要ですが、果たして作られている避難計画書でそのような理想が実現できているでしょうか。
 火災や地震の時に使う避難計画書を作ったことがある方ならイメージができるかもしれませんが、火災や地震の発生時には、責任者は短時間の間に非常にたくさんの判断をし、指示を下さなければいけない計画になっていることが非常に多いです。これは可能な限り状況を制御しようとして起きるもので、例えば軍艦などで行われるダメージコントロールなどの考え方がベースになっています。
 しっかりと訓練されている人達ならばそれでいいのですが、多くの場合には訓練はせいぜい年に一度、多い人でも数回程度では、どんな人であれ複雑な行動を取ることはまず無理だと考えなければなりません。
 ではどうすればいいか。
 答えは簡単で「発生条件に対する行動を単純化すること」です。
 例えば、学校の場合で考えてみると、地震が来て治まったら「とりあえず校庭へ全員避難させる」ことにします。この場合、震度の大小は関係なくそう行動することを決めておくのです。そうすると、何も指示がなくても校庭への避難までは自動化されますから、その間に情報を収集し、次の手順を考える時間が作れます。
 情報を集めた結果、もしもすぐに津波が来るのであれば校庭から高台や校舎の屋上に避難するようにすればいいのです。また、津波発生から到達までの時間が短いと考えられている地域であれば、避難先を高台や屋上にしておいてもいいでしょう。
 火災ではどうでしょうか。
 火災の場合にはどこで起きているのかが問題になります。火災警報器は管制板を見ればどこで火災を検知したかはわかりますから、火災発生箇所だけを放送するようにします。それが事実であるか誤報であるかは後で確認すればいいことなので、まずは避難する。その際に火災発生場所が分かっていればそこを避けて避難経路を選べばいいのです。
 優先すべきは「各自の身の安全の確保」であって「無駄な行動をしないこと」ではありません。
 誰でも安全を確保できるようにするためには、とにかく行動を単純化すること。そうすればとりあえずは何も考えずに行動をすることができます。
 「○○の場合には」というような選択肢は、各自の安全が確保されてから責任者が考えればいいことです。最初の行動が自動化されていれば、その間に責任者は次の安全確保のための行動を決める時間が作れますから最終的により確実な安全が確保されます。
 災害時における安全のための行動は大げさすぎるくらいでちょうどいいと思っています。
 各自の最初の行動が一つに決められている防災計画は、誰もが理解しやすいのではないかと思います。少なくとも、被災時に読み直さないと理解できない難しい防災計画よりもずっと現実的なのではないかと思うのですが、あなたはどう思いますか。

避難所に持ってくるものはあらかじめお願いしておく

 平時から避難所運営委員会が機能している地域では、避難対象になるであろう地域の人達に「避難するときに持ってきてほしいものと持ってきてほしい量」についてあらかじめお願いをしているところもあるそうです。
 考えてみれば、避難所として指定されている場所のうち、どこを最初に使うのかやどんなものが使えるのかなど、知っているようで知らないことがたくさんあります。
 小さな集落で普段使っている公民館などが避難先であれば、ある程度どこに何があるかがわかっているので何を持って行けばいいのかイメージもつきやすいと思うのですが、例えば学校や体育館、行政施設といった場所だと、何があるのか何が必要とされているのかイメージが沸かないことも多いと思います。
 避難所が避難所として機能するためには避難が長期化したときにも対応できるだけの設備が必要となりますが、残念ながら大きな場所になればなるほど、避難者用に使える道具がなくなっていくというのが実際のところで、避難時には家からさまざまなものを持参しなくてはいけないことになります。
 でも、例えば「食料はそのまま食べられるものを2日分」とか「水は一日1リットルとして2リットル」といった風に具体的に避難所に持って行くものが指示されていれば、準備する方はそれに従って準備すれば良いのでかなり気分が楽になります。
 いつ避難所が設置され、いつまで耐えればとりあえずの救援物資が届くのかがわかっていればそれまでの命を繋げばいいだけなので、避難所運営委員会の人達も具体的な目安を指定でき、初動は各自が賄ってくれることが基本になっているので、避難所の設置初期におきるさまざまなトラブルの一部でも心配をしなくても済むようになります。
 災害時にその避難所が避難所として機能できるのかということは、恐らく災害が起きてみないとわからないところはあります。
 ですが、地域の避難者を安全確実に受け入れて困りごとをなるべく減らすためには、平時からさまざまな約束事を地域全体で共有しておくことです。
 せっかく地域に避難所が指定されているのであれば、その地域で避難者を受け入れるための避難所運営委員会を普段から開催してお互いの顔つなぎをし、さまざまな約束事を決めておくようにすることをお勧めします。
 避難所に非常用持ち出し袋を持って避難することは自助ですが、避難所の設営や補給物資の管理、そして避難者に持ってきてもらうものを消えておくのは地域における共助になります。
 自助と共助を上手に組み合わせて、避難後に飢えや渇き、睡眠不足で苦しむことがないように準備しておきましょう。

【活動報告】「災害時外国人サポーター養成研修」を受講しました

 10月4日に江津で開催された島根国際化センター主催の「災害時外国人サポーター養成研修」に当所から2名参加し、研修をうけてきました。
 「災害時外国人サポーター」というのは、主催者の説明によると災害時に島根県と島根国際化センターが共同で設置する多言語支援センターからの依頼を受けて、「掲示物の日本語をやさしく分かりやすく翻訳する」「被災した日本語がうまく使えない外国人の困りごとを聞き出す」といった仕事をするボランティアなのだそうです。
 日本語しか話せなくても大丈夫なボランティアだということで、筆者も登録していたりします。
 災害後、避難所に掲示される情報は日々更新されていきますが、日本語がしっかりと読める人が対象の文書が多く、言い回しも特殊なものが多くなります。
 それらの文章をわかりやすく、やさしく、必要な情報に絞った日本語への再翻訳を行うことで、簡単な言葉なら理解できる外国人等に正確に情報を伝えることができます。
「やさしい日本語」といわれるこの翻訳は、普段使っている言葉の意味をわかりやすく書かなければいけないということで、結構頭を使います。正解はないのですが、どうやったらうまく伝わるのかを考えていくのはなかなか面白いものです。ある部分では普段使っている言葉を再発見しているのかもしれません。
 また、避難所へ巡回して日本語がうまく使えない外国人の困りごとを聞き出すという仕事ですが、これは避難所内での意思疎通をうまく図るために必要なことでもあります。
 避難所は避難所運営委員会が設置されてその避難所に関する必要なものや情報を避難者に提供することになるのですが、このときにどうしても少数派の意見は通りにくくなります。
 例えば、大きな声で自分の意見を主張できる人の意見は簡単に通っても、言葉がよく理解できない外国人他の、いわゆる「言葉がうまく通じない人」のニーズは聞き取るのに手間なので放置されがちですし、「言葉がうまく通じない人」は自分のニーズを自分で上手に伝えることもできません。そのため、例えば災害時外国人サポーターが避難所に立ち入って「言葉のうまく通じない人」のニーズを聞き取り、避難所運営委員会や行政などに繋いでいく必要があるのです。
 また、状況や何が起きているかわからないことからさまざまな方法で自分たちを守ろうとしますが、その姿勢が他の避難者にはうまく理解されずに軋轢が生まれてくることがあります。これらは情報がうまく伝わらないことから発生しているものなので、無用な軋轢や誤解を生まないためにも、情報を全ての人にきちんと伝わるようにする。そのために避難所巡回という形を取って被災した日本語がうまく使えない外国人の困りごとを解決する必要があるのです。
 最近では「VoiceTra」といった優れた翻訳アプリもいろいろとありますから、通信環境が使えるのであれば、日本語しか話せなくても何とかなると思います。
 ただ、気になったことが一つ。最近はコロナ禍で自宅避難が特に推奨されていますので、避難所だけで無く自宅避難している人達のニーズのくみ上げまで考えておく必要がありますが、対象となる人がどこに住んでいるのかがわからないと手のうちようがありません。その情報がどのように提供されるのか、されないのかが不明なため、自宅で放置される外国人被災者が発生するかもしれないと感じています。
 避難所は地域の災害支援の拠点となるところです。そこを拠点としてきちんと機能させるためにも、あらゆる被災者に目を向けてニーズを吸い上げる手段を確保しておく必要があると思います。
 ところで、今日の説明では島根県内でこの制度ができて3年目。そしてサポーターは55名だそうでまだまだ支援を行うには人が不足している現状です。
 近いうちに島根県東部会場でも開催されるような話でしたし、おそらく来年も県西部で同じような研修があると思いますので、どのようなものか興味のある方は、是非一度参加して研修を受けてみてください。
 「災害時外国人サポーター養成研修」とありますが、受講後に登録書を提出して初めて登録されるので、「受講=必ず登録」ではありません。あくまで話を聞いてから判断できるようになっていますので安心して参加してください。
 そして、災害時にはさまざまなボランティアがありますが、こういうボランティアもあるのだということを知っておいて欲しいと思います。

防災訓練で思うこと

避難訓練の一コマ。津波に備えて階段を駆け上る。ただ、このとき揺れたらどうなるかは想定されていないし訓練もされていない。

 学校や施設の防災訓練を見学させていただくときにいつも考えてしまうことがあります。
 それは、放送によって状況や行動を説明すること。
 地震や火災の場合、何らかの原因で放送設備が損壊する可能性があります。行政の防災無線のように災害対策がきちんと取られていればよいのですが、学校や施設の放送設備でそこまでの対策が取られているものがどれくらいあるでしょうか。
 放送が使えなくなった状況下の訓練をしておかないと、本番で逃げ遅れたり混乱が起きたりするのではないでしょうか。
 どんな状況下にあっても避難をすることができるような体制、それぞれが自律的に判断して動けるようにしておくことが、訓練だからこそやっておかないといけないことだと考えます。
 防災訓練は失敗することが必要だと、筆者は考えています。
 さまざまな想定をし、その状況に応じてさまざまな判断をし、自律的な安全確保をできるようにするために、防災訓練では大いに失敗をしておくこと。
 本番では失敗は許されないのですから、訓練で失敗をして経験をしっかり積んでおくことが非常に重要です。
 防災訓練は、やることが目的ではありません。やった結果、身を守れるようになることが目的なのです。
 災害ではどのようなことが起きるか誰にもわかりません。
 だからこそ、さまざまな状況を想定して訓練を行うことが必要なのです。
 「訓練は嘘をつかない」という言葉があります。しっかりとした訓練は必ず本番で役に立ちます。
 せっかく実施する防災訓練だからこそ、少しだけ予定調和でないものを入れる必要があるのではないか。
 筆者はそう考えています。

世代間格差と情報格差

 いろいろな人を相手に防災のお話をしていると、防災に関する知識に世代間格差があるなと感じることがよくあります。
 例えば、「地震が起きたら最初にどうする?」と尋ねると、年齢が高くなるほど「火を消す」という回答が多くなり、年齢が低くなるほど「身の安全」という回答が多くなります。
 蘇生法で見てみると、心臓マッサージだけすればいいと教わった人、心臓マッサージと人工呼吸を併用すると教わった人、これにAEDまで含めるとさまざまな流派が存在します。どれが間違っているというわけでは無くどれも正しいですし、積み重なっていく実際の運用から変化しているだけなので、そうでなければならないということではないのですが、教わったことと異なることを他人がやっていると、やはり違和感が拭えないようです。
 要するに防災の知識は日々変化していて、適当な時期にアップデートしておかないと時代にそぐわなくなっていくということで、定期的に研修や訓練を受けることは必要なのだろうなと思います。
 ただ、一般的に学生の間は避難訓練や防災訓練、授業などで防災に関する知識をアップデートすることはできるのですが、社会人になると途端にその機会が減ってしまいますから、どれくらいそういった機会を作ることができるのかが、防災教育をし続けるための一つの問題になってくると思います。
 人を助けることや災害に備えることは世代を超えて必要なことです。そのためには、意識的に研修や訓練に参加したり、あるいは自分の子や孫、地域の子どもに質問してみるというのも面白いと思います。
 そういえば、以前小学生にダンゴムシのポーズを質問したことがあったのですが、ある学年を境に見事に分かる子と分からない子に分かれてしまいました。
 地元の小学校ではダンゴムシのポーズを教えないため、保育園や幼稚園で防災教育に重点が置かれ始めた時期でできる子とできない子に分かれてしまったというのが本当のところのようです。
 できる限り世代間格差や情報格差を埋めてみんなが命を守り、命をつなげるように、当研究所もお手伝いをしていきたいなと考えています。

刃物に気をつけて

 非常用持ち出し袋や備蓄品のリストの中に、ないと困るアイテムが一つ含まれていないことにお気づきでしょうか?
 それは包丁やハサミといった刃物です。
 刃物については持ち歩くとそれだけで逮捕される可能性のあるものです。
 特に刃渡り6cmを超えるものは銃砲刀剣類所持等取締法という法律で「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、これを携帯してはならない」(銃砲刀剣類所持等取締法第22条)と決められており、明確な使用目的が説明できない場合には取締りの対象となります。
 また、刃渡りが6cmを超えなくても、正当な理由なく刃物を持って歩いている場合には軽犯罪法(軽犯罪法第1条第2項)によりやはり取り締まりの対象となってしまいます。
この「正当な理由」は具体的でなくてはならないため、例えばこれからキャンプに行くので包丁を持っていることはOKでも、いつ起きるかわからない災害に備えて十徳ナイフを持っているというのは正当な理由にはならないのです。
 文房具としてのはさみやカッターなども同じで、すぐに取り出せるようにしていると、軽犯罪法で取り締まられてしまう可能性があります。
 よくある話ですが、よくキャンプに行くのでなたを車に積みっぱなしにしている状態だと、例えば検問などで発見されると、必要も無く持っているとされて取締りを受けてしまいます。
 そんなわけで、非常用持ち出し袋や備蓄品などには必要なはずの刃物がセットされていませんので、刃物については、面倒でも「現在災害が発生、または発生が予測される状態であり、これから避難所へ移動し、場合によってはそこである期間生活をしなくてはならずそのために必要な状態」になったときに荷物に加えて避難するようにしてください。また、防災ポーチを作るときにはその中に十徳ナイフなど入れないようにしてください。
 細かい内容は、以下のサイトでご確認ください。

刃物の話」(警視庁ウェブサイトへ移動します)

【終了しました】災害時外国人サポーター養成研修が開催されます。

 令和2年10月4日13時から江津市の江津パレットにおいて災害時外国人サポーター養成研修が開催されます。
 この研修は災害時に被災した日本語が不自由な人に対してさまざまな支援を行うサポーターを育成するための研修会で、島根国際化センター様が主催されています。
 自治体が出す文書のやさしい日本語への翻訳や、避難所巡回訓練などを行ったりする実践的な研修会です。
 事前申し込みが必要で、募集定員は30名。募集締め切りは令和2年9月24日となっています。
 詳細は島根国際化センターのウェブサイトにてご確認ください。

災害時外国人サポーター養成研修(西部)
(島根国際化センターのウェブサイトへ移動します)

一時避難先と避難経路をいろいろな天候の時に実際に歩いてみる

 災害が起きたら、危険な場所にいる人は安全な場所へ避難しないといけないことは多くの人が知っているところだと思います。
 ではその安全な場所というのはどんなところなのか、イメージができていますか。
 あなたのお住まいの場所で、例えば地震が起きたとき、あるいは水害が起きそうなときで家がその災害に耐えられそうにない状態になったときにどこへ一時避難すればいいのかを決めていますか。そして、そこまでの避難経路は決めていますか。
 ここまでの内容でも、それなりの方が災害に応じた一時避難先や避難するための経路を作っているのでは無いかと思います。
 では、その計画に従って実際に移動と避難を試してみた人はどれくらいいるでしょうか。避難は避難訓練のように常に良い条件で避難ができるわけではありません。晴れや曇りのときだけでなく、雨や雪の時にも避難しないといけない事態が起こりうるのですが、それに近い気象条件で自分が決めた避難経路を歩いてみた人がどれくらいいるでしょうか。
 図上で決めた内容も、実際にやってみるとさまざまな問題があるのが普通です。
 例えば、大雨で避難する経路上に水没するアンダーパスがあったり、津波対策で避難するのに川のすぐそばを延々と移動していくような経路だったり、実際に歩いてみないとわからないことがいろいろと出てきます。
 一時避難先と避難経路を知っていることと、そこが一時避難先や避難経路として利用できることを知っていることとは違います。
 図上でさまざまなことを決めたら、あとは実際に歩いてみて、自分の目で見て経路や避難先を確認し、その上でどのような物を持って避難する必要があるのかについて確認していく。
 そうすることで、使える避難計画になってくるのです。
 あなたの一時避難先とそこまでの避難経路について、一度悪天候の時に移動して状況を確認してみてはいかがでしょうか。