世代間格差と情報格差

 いろいろな人を相手に防災のお話をしていると、防災に関する知識に世代間格差があるなと感じることがよくあります。
 例えば、「地震が起きたら最初にどうする?」と尋ねると、年齢が高くなるほど「火を消す」という回答が多くなり、年齢が低くなるほど「身の安全」という回答が多くなります。
 蘇生法で見てみると、心臓マッサージだけすればいいと教わった人、心臓マッサージと人工呼吸を併用すると教わった人、これにAEDまで含めるとさまざまな流派が存在します。どれが間違っているというわけでは無くどれも正しいですし、積み重なっていく実際の運用から変化しているだけなので、そうでなければならないということではないのですが、教わったことと異なることを他人がやっていると、やはり違和感が拭えないようです。
 要するに防災の知識は日々変化していて、適当な時期にアップデートしておかないと時代にそぐわなくなっていくということで、定期的に研修や訓練を受けることは必要なのだろうなと思います。
 ただ、一般的に学生の間は避難訓練や防災訓練、授業などで防災に関する知識をアップデートすることはできるのですが、社会人になると途端にその機会が減ってしまいますから、どれくらいそういった機会を作ることができるのかが、防災教育をし続けるための一つの問題になってくると思います。
 人を助けることや災害に備えることは世代を超えて必要なことです。そのためには、意識的に研修や訓練に参加したり、あるいは自分の子や孫、地域の子どもに質問してみるというのも面白いと思います。
 そういえば、以前小学生にダンゴムシのポーズを質問したことがあったのですが、ある学年を境に見事に分かる子と分からない子に分かれてしまいました。
 地元の小学校ではダンゴムシのポーズを教えないため、保育園や幼稚園で防災教育に重点が置かれ始めた時期でできる子とできない子に分かれてしまったというのが本当のところのようです。
 できる限り世代間格差や情報格差を埋めてみんなが命を守り、命をつなげるように、当研究所もお手伝いをしていきたいなと考えています。