停電とライフライン

 先日、当研究所のある地区の一部で停電があったそうです。
 幸い当研究所では影響はなかったのですが、電気が止まってしまうと、現在の私たちの生活は非常に困ったことがたくさん発生します。
 例えば、オール電化のおうちだと、大型の蓄電池が設置されてでもいない限り、家の中のライフラインは水以外止まってしまいます。
 田舎などではまだまだ多くのご家庭が使っているガスも、ガスコンロは使えますが、ガスボイラーは電源が必要なため使うことができません。
 また、火災の危険性や手軽さから暖房器具を電化製品に頼っているおうちも多いと思いますが、これから寒くなる時期に停電になると、当たり前ですが電気を使う暖房器具は一切使えなくなります。例えば、普通の灯油ストーブなら使えますが、灯油ファンヒーターは電源が使えないので駄目だということ。
 こんな状態になったとき、あなたはどうやって暖を取りますか。
 寒くて暗い状態は、人間の精神にも身体にも良い影響は与えません。
 布団に湯たんぽを入れたり、使い捨てカイロなどで身体を冷やさないようにすることが大切です。気をつけたいのは、身体が冷え切ってしまうとどれもあまり効果がないということ。身体が冷え切る前に、温めるための手を打って下さい。
 ちなみに、湯たんぽは専用の道具がなくても、瓶やペットボトルで代用できます。温かいものを入れても大丈夫であることと、密閉性があることが前提条件になりますので、使う前にはしっかりと確認しておいてください。
 私たちの生活で非常に重要な位置を占めている電気。
 できる限り停電にならないように電力会社の方々は日々頑張ってくれてはいますが、万が一停電になった場合に備えて、身体を冷やさなくても済む方法を準備しておきたいですね。
 最後に、停電したからといって、屋内で炭や発電機の使用はは絶対に止めてください。現在の家は非常に密閉性が高いので、炭の燃焼や発動機の排気ガスに含まれる一酸化炭素で死んでしまいます。

災害の真偽

ここ2年ほど、高津川では避難レベル4が発表されていて、その回数が少しずつ増えている。

 夏に近くの川で避難レベル4「避難指示」が発令されているにもかかわらず、なぜか川を確認しに行ってしまうような行動を取ってはいませんか。
 これを書いている筆者もそうなのですが、川の堤防まで出かけると、同じような人がたくさん川を見ていて、それぞれにどうしたものかという表情で川を眺めています。
 防災活動をしている人間としては、避難レベル4で速やかに避難しないといけないことは頭ではわかっているのですが、自分でもなぜすぐに避難せずに状況を確認しに川を見に行くのかがよくわかりませんでした。
 ただ、これはどうやら情報の真偽を確認しようとする人間の習性のようです。
 地震のように、災害発生時に明らかに身体や周辺に影響を及ぼすようなものであればともかく、大雨や洪水、津波といった災害の場合には、即座に目で見てわかるものではありません。
 そこで、大雨であれば窓の外の様子、洪水であれば近くの川の様子など、発表されている災害情報の真偽を確認しようとしてしまうのだそうです。
 災害発生が予測される情報の出所が行政機関からの直接のものであったとしても、SNSで流れてきた出所不明の情報にしても、恐らくこの行動は変わらないのだろうなと思います。
 悪い情報に関しては、自分の目で見るまで信用しないという人は多いようです。
 とはいえ、あいにくと現場を見に行くことが危険だと頭では理解している筆者自身も毎回同じように川を見に行くという行動を取っていますから、やっぱり確認にいって災害に巻き込まれる危険よりも、実際にどうなっているのかを確認したいという気持ちが優先しているのだと思います。
 ただ、自分の目で確認できたときには避難が困難になっていたり、確認できたときには災害に巻き込まれていたりすることもありますので、人間の習性とは言え何とかしたほうがいいような気がするのですが、あなたはどう考えますか。

車と道路の冬支度

 山頂のほうでは雪が観測されるようになり、山沿いの道ではみぞれも降ったりしてきていますが、車の冬支度はお済みですか。
 夏タイヤをスタッドレスタイヤに履き替えることや、ウォッシャー液の濃度を変更するといった機械的な作業に加えて、冬場に山越えをする方については念のためのタイヤチェーンの確認と、不幸にして動けなくなった場合の生存対策、例えば毛布やカイロ、水や非常食などもしておいてくださいね。
 ところで、道路の冬支度も進んでいますから、冬期通行止めの路線の閉鎖が進み、冬季限定の道路カメラの運用も始まって道路の降雪、凍結の有無などをインターネットで見ることができるようになりました。
 お出かけの際にはそういった情報もしっかりと取得して、状況に応じてさまざまな準備を進めておいてくださいね。
 ところで、冬場に急カーブの続く場所や凍りやすいところ、傾斜の厳しい場所などでは冬タイヤ規制が行われますが、いくつかの条件が揃うとタイヤチェーンを装着していない車は走行ができないチェーン規制区間も存在しています。

タイヤチェーン規制の表示。この看板が出ると、タイヤチェーンの装着が必須となる。


 近くでは浜田道の「大朝IC~旭IC」間。それから国道54号線の赤名峠も対象になっていますから、そういった道路を利用する人はきちんと備えておくとともに、万一の通行止めに備えて一般道の確認もしておくといいと思います。
 それから、タイヤチェーンは持っているだけでは駄目ですから、チェーンの点検もかねてシーズン前に装着の練習もしておくようにしてください。
 いざというときに困らないように、しっかりと準備しておきましょう。

島根県道路カメラ情報(島根県のウェブサイトへ移動します)

大雪と昆虫

 そろそろあちこちで雪の声を聞くようになってきましたが、今年はラニーニャ現象が発生しているそうで、大雪になるかもしれないという話が雑誌などにちらほらと出ています。
 気象庁の「ラニーニャ現象発生時の日本の天気の特徴」の中では冬の気温と降水量に有意な差はないそうで、そこまで神経質になる必要もないのかなと考えています。
 ところで、大雪を予測するのに民間伝承では結構虫が登場します。
 例えば、「カメムシが家の中にたくさん入ってくるときには厳冬」「カマキリの卵が高い位置にあると大雪」「蛾が大量発生するときは大雪」「クマケムシの背中の縦線が太いほど寒冬」など、その地域によっていろんな伝承があるようです。
 あなたのお住まいの地域にはどのような伝承が伝わっているか、内容を確認して天気を予測してみるのも面白いかもしれません。
 ちなみに、今年当研究所のあるところでは屋内ではほとんどカメムシを見かけません。それから考えると、極端な寒い冬にはならない気がするのですが、果たしてこの伝承が当たるのかどうかは、来年春のお楽しみです。

ラニーニャ現象発生時の日本の天候の特徴(気象庁のウェブサイトへ移動します)

便利になると不便になる

 世の中はどんどん便利になっているのですが、その便利さはさまざまな技術によって維持されています。
 特に電気やガス、水道、通信といったライフラインは安全で確実に提供されていて、できるだけ危険が起きないように設計されています。
 ただ、災害が発生すると、普段は「安全で確実」に守られているため、自分ではライフラインの確保ができずに途方に暮れてしまうことになってしまいます。
 例えば、災害が起きて火を焚こうとしたとき、あなたはどうやって火をつけますか。
 普段なら、ガスコンロのスイッチを入れれば火は簡単につきますが、災害時にガスが使えなければ、たき火を作らないといけません。
 阪神淡路大震災や東日本大震災では、あちこちに喫煙者がいてマッチやライターもたくさんありましたが、最近の嫌煙の流れを考えると、今は事前準備しておかないと簡単に火をつけられないと思います。
 非常用持ち出し袋に、通常の保管でも劣化のしにくいファイヤスターターや火打ち石などを準備している方もいると思いますが、それを上手に使うことができますか。
 それらの道具があっても、実際に作ったことがないと災害時に作ることはかなり難しいと思います。
 缶詰はどうでしょうか。最近はほとんど缶切り不要のものになっているのですが、大規模災害で海外から届く缶詰では、缶切りが必要なものがまだまだ主流です。
 では、あなたは缶切りを使うことができますか。
 こんな風に、世の中が便利になるのはありがたいことなのですが、非常時にはそれが自分の生活の質を落とすことになるかもしれません。
 いざというときに備えて、いろいろな道具は使えるようになっておきたいですね。

絆創膏で滑り止め

使うのは絆創膏。かかと側にも貼ると効果的とのこと。

タイル張りの床や濡れている路面などでは、滑って転んでしまうことがあります。
以前「雪道の歩き方」の中で「滑り止めに包帯を使う」というのを書いたことがありますが、絆創膏も使えるのだとか。
また、靴底がビブラムソールなど凹凸の大きなものは絆創膏は剥げてしまうので使えませんが、パンプスや紳士靴など靴底が平たいものには有効なようです。
ポイントは絆創膏を貼る部分の靴底の泥や水滴をしっかりと取って絆創膏がしっかりと貼り付くようにすること。
泥や水滴があると、絆創膏の接着力がなくなってあっという間に剥がれてしまうので、これだけはしっかりとやるようにしてください。
つま先やかかと付近に1枚貼ることで滑りにくくなるそうですので、雨の日や凍った路面を歩くとき、滑るようなら試してみてはいかがでしょうか。

冬用タイヤの準備はしていますか

いつこんな風景になってもおかしくない季節です。

 雪がいつ降ってもおかしくない時期になりました。
 もしあなたが車をお持ちで降雪や圧雪、路面凍結など普通タイヤでは危険な状態になる場所にお住まいだったりお出かけするようなことがあるのなら、冬用タイヤの準備をすることをお勧めします。
 暖冬とはいいますが、雪が降るときには一気に降って動きが取れなくなるような大雪になることも多いです。
 今年はラニーニャ現象が発生しているということで、いつもの年よりも冷え込むのではないかという話もありますので、早めに装備しておいた方がいいかもしれません。
 四輪駆動車に乗っているからといって普通タイヤのままの人もいますが、オールシーズンタイヤで無い場合にはいくら四輪駆動車でも雪道は走れません。
 接地面であるタイヤが滑るのですから、駆動形式はあまり関係ないのです。
 ちなみに、冬タイヤは交換してもいきなり全性能が発揮できるわけではなく、ある程度走って皮を剥いておかないと、カタログどおりの性能は期待できません。
 早めに交換して慣らし運転をしておくことで、いざ降ったときにもきちんと性能が発揮できます。
 また、冬タイヤは普通タイヤよりも寿命が短いですから、交換しようとしたときにゴムが劣化していたり溝が浅くなっていたりして期待している性能が発揮できない状態になっている可能性もあります。
 早めに交換することで、そういったタイヤで発生する問題にも余裕をもって対応することができます。
 安全に車を運行するためにも、早めのタイヤ交換をお勧めします。

イメージは異なるもの

 「雪が積もる」と聞いて、あなたはどんな光景をイメージするでしょうか。
 よく雪の降る地方の人であればメートル単位の雪を想像するでしょうし、雪の降らない地域の人だと、屋根がうっすらと白くなっている状態を想像するのではないでしょうか。
 「雪が積もる」という一言でも想像する光景が異なるのですから、しっかりとした会話をしない限りは人によって災害のイメージが異なってくるのは仕方が無いことなのかもしれません。
 水害になる可能性が高まる「時間雨量50mm」という基準も、言葉で聞いて雨の降り方が想像できる人はほとんどいないのではないでしょうか。
 人によって、使っている言葉のイメージは千差万別です。
 防災のことを地域等で取り組むときには、まずは参加してくれた人の持つイメージを統一しておくこと。
 それが災害対策を地域で進め、継続していくための第一歩ではないでしょうか。

南岸低気圧

 気象情報で「南岸低気圧」の名前を聞くようになってきました。
 南岸低気圧は日本列島の太平洋側沿岸部を進みながら発達する低気圧で、日本列島の南側の沿岸を進むことから南岸低気圧と呼ばれていますが、主に冬から春にかけて発生しますので、筆者は冬を告げる季節の変化のようなイメージを持っています。
 勢力が極端に強くなると「爆弾低気圧」と呼ばれたりもしますが、太平洋側での大雨や大雪はこの低気圧によってもたらされることが多いようです。
 この南岸低気圧、気象台を始めとする天気を予測する人達も降水・降雪予報を当てるのはなかなか難しいとのことで、太平洋岸で予想外の大雨や大雪が降ることもままあるようですので、天気予報でこの低気圧の名前が出てきたときには天候に注意が必要です。
 ちなみに、日本海側で雪が多いのは大陸から吹く冷たい季節風が日本海から熱と水蒸気を受け取って雪雲となり降るもので、こちらは比較的予測しやすいようです。
 とはいえ、地球の温暖化による影響が天気にもさまざまな影響を与えていますので、どこで何が起きても不思議ではありません。
 お出かけ前には天気予報の確認。できれば習慣づけておきたいですね。

稲むらの火

 今日、11月5日は世界津波の日です。
 津波という言葉は、あまり他の言語では存在しないようで、国際的にも「TUNAMI」と呼ばれているようです。
 ところで、あなたは稲むらの火という故事をご存じですか。
 江戸時代に起きた安政南海地震のとき、夜に村を襲ってきた津波から逃げるため地元の商人だった濱口梧陵という人が丘にあった稲わらに火をつけて村人達に避難の方向を教えたというものです。
 元々はラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が採録したお話だそうですが、この出来事が旧暦の11月5日だったことから、この日が世界津波の日になったそうです。
 いくつかの大陸プレートで構成されている日本列島は地震大国ですが、津波大国でもあります。
 最近東海・東南海地震が起きるような話が出ていますが、これに限らず、津波の影響のある地域にお住まいであれば、こういった日にご自身の避難経路や避難方法について考えてみて欲しいと思います。
 ちなみに、坂口梧陵さんの地元である和歌山県広川町のウェブサイトで紹介されている「稲むらの火」の話は、伝えられている物語とはちょっと異なっているようですので、興味がある方はそちらもぜひ覗いてみてください。

資料室【稲むらの火】~安政地震津波の顛末~(和歌山県広川町「稲むらの火の館」のウェブサイトへ移動します)