虻とブユ

 水遊びの楽しい季節ですが、水辺には大体の場合刺す虫が待っているので気を付けておいてください。
 特に上流部ではそれが顕著で、虻とブユはほぼ確実に出てくると思われますので、できるだけ肌を露出させないようにしたほうが無難です。
 虻もブユも血を吸うという点ではその辺の蚊と変わりませんが、これらが刺すとかゆい上にものすごく腫れます。
 そして腫れたら何をしてもなかなか治りません。
 薬もあまり効かないので、非常にやっかいな状態が続きます。
 彼らは肌の露出部を狙ってきますので、できるだけ肌を露出させない格好をしておいてください。
 実は先日の水難事故防止講習会&水遊びでも、当研究所のスタッフが1名、虻とブユの両方にやられてしまいました。
 写真を出せないような場所がやられてしまっているのですが、強力なステロイド系の塗り薬を使っても腫れは引かず、かゆみも収まらずないことから、なかなかてこずっているようです。
 虫よけはしっかりと吹いていたのですが、水遊びしたら流れてしまったようで、虫よけの効果にも限界があるようですから、肌の露出はなるべく避けることくらいしか手が思いつきません。
 特に川の上流部での水遊びではいかにして地肌を隠すかを意識するようにしてくださいね。

もしも被災してしまったら

 東北や北陸を中心として、全国的に大雨による被害が出ているのですが、被災された方にはお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧ができることを願っています。
 ところで、災害にあったらどのようにして復旧の段取りをつけていくのかを考えたことがありますか。
 いろいろと片付けていかないといけない問題があるのですが、内閣府広報でそれをある程度わかりやすくまとめたものが作られていますのでご紹介しておきます。

住まいが被害を受けたとき 最初にすること(内閣府広報のウェブサイトへ移動します)

また、勝手にやってきてボランティアのように見せかけて片づけを手伝おうとする人や、保険申請手続きを代行するなどと言って近づいてくる人は信用しないでください。
法外な手数料を請求された上に、後々までさまざまなトラブルに巻き込まれてしまいます。

ご用心 災害に便乗した悪質商法(国民生活センターのウェブサイトへ移動します)

もしも被災したらを考えて、普段から備えをしておくことをお勧めします。

猫の熱中症

 筆者の家には猫がいるのですが、この猫が大のエアコン嫌い。
 エアコンのスイッチが入ると、部屋から出てエアコンのない部屋で伸びているのが日常です。
 ただ、この間の酷暑の日、日中はそうでもなかったのですが、夜になるに従ってだんだんと息が荒くなって体も震えてきたことから、もしかして発熱かということで人間用の非接触式体温計で体温を計測してみました。

深部体温ならこれくらいあるが、冷却装置の耳でこれはちょっと問題。

 すると、38.4度という表示。普段この猫は耳で測定すると36度台ですから、耳でこの温度になっているということは十分に排熱できていない感じです。
 触ってみると、普段は割と冷たい肉球や鼻の頭がかなり熱くなっていて、こころなしか目もうつろ。単に眠いだけかもしれませんが、それにしてもちょっとしんどそうで、さては熱中症になってしまったかということで、体を冷やす対策を考えてみました。
 人間であれば太い血管のある場所に氷を当てて熱を冷ますのですが、猫の足の裏や耳に氷を当てたら、間違いなく猫に怒られます。
 うちの猫は毛がふもふもでかなり密度も濃いので、そもそも熱をため込みやすいようなのですが、全身毛刈りは最後の手段として取っておくことにし、まずはふもふもの毛を冷たい水で拭い続けるという作戦を取りました。
 水浸しではないものの、割と水を含んだ不織布で体の毛の上から、毛に水を含ませるように撫ででいくと、最初は不織布も毛も割と早く乾いていましたが、続けているうちに毛がしっとりとしてきて、猫の息も穏やかになってきました。
 試しに頭の上に濡らした不織布を置いてみたのですが、普段なら絶対に嫌がって落として逃げるのに、この度ばかりはご機嫌で頭に載せたままじっとしていました。

頭にのせた不織布はしっかりと湿らせてあり、耳を冷やすことで冷却効果を期待。

 結局1時間くらい全身を冷やす作業を続けていたのですが、なんとか猫も落ち着いたので、その日はそれで終了とし、就寝しました。
 こんな手当で正しかったのかどうかはわかりませんが、翌朝からはエアコンからなるべく離れた風の当たらない、それでいて涼しい場所を探して寝っ転がっている風景が追加され、どうやら好き嫌いよりも体が大切と学習したようでした。
 今年は風が吹いていても熱風が吹き込んでくるような熱い状態が続いてます。
 屋内にいても、窓を開けただけでは熱中症になる可能性が高いです。
 屋内で過ごす人が冷房を使うのはもちろんですが、同様に屋内で飼っているペットも体が冷やせるように考えてやるといいかなと思います。

二重遭難は絶対に避ける

 災害が起きたとき、逃げ遅れた人を救助するような場面に出会うこともあると思います。
 その場合には、冷たいようですがまずはあなた自身の安全を確保することが最優先。
 危険がなければできる限り人命救助に協力すべきだと思いますが、周囲が何らかの理由でその場にいる人たちが危険な状態になっていたり、安全か危険かの判断ができない場合には、ひどいようですが逃げ遅れた人の救助を諦めて自分の命を優先させてください。
 災害で逃げ遅れた人を救助していて一緒に死んでしまったのでは、せっかくの命が無駄になります。
 災害救助のプロである消防や自衛隊の人たちも、災害救助でまず優先すべきは自分の命であることを訓練で叩き込まれています。
 それはその場で死んでしまうことで、本来なら助けられてはずの大勢の人も道連れにしてしまうことになるからです。
 ひどい言い方になりますが、まずは自分の命を最優先すること。ほかの人の命は、自分の安全が確保されている範囲で救助に参加するようにしてください。

災害ボランティアあれこれ

 大規模災害が起きると、その地域に住む人たちや行政だけではとても復旧作業ができないため、災害復旧ボランティアの要請をすることになります。
 最近は新型コロナウイルス感染症の流行があるためにあまり広域募集や大々的な募集はされていませんが、災害からの復旧は速度が必要ですので、最終的には人の数に頼らざるをえない状況になっています。
 ただ、この災害ボランティアはさまざまな人の思いが錯綜してしまって、必ずしもマッチングがうまくいっていない場合も多々あります。
 実際にボランティアしたい人とボランティアに助けてほしい人のミスマッチからトラブルになることもありますので、基本的なことを抑えておくようにしてください。
 まずはボランティアに助けてほしい人がしなくてはいけないことは次の通りです。

1.助けてほしい内容を具体的に伝える

 どのような状態になっていて、何を助けてほしいのかを具体的にしておきます。「土砂の撤去」というよりも「床下などからの土砂の撤去」と伝えるほうが、ボランティア側はイメージがしやすいです。

2.助けてほしい人のいる場所ではどのようなものが確保できているのかを明らかにしておく

 例えば、駐車場、トイレ、休憩スペース、水などが確保できるのか、できない場合にはどのような手当てができるのかを地域やボランティアセンターと詰めておきます。
 この部分がしっかりと決まっていると、ボランティアしたい人も何を持っていけばいいのかが明確にしやすく、結果的に早く支援がうけられることがあります。

3.人が来なくてもいらいらしない。

 ボランティアセンターは助けてほしい人とボランティアしたい人とのマッチングを行っていますが、当然一致しない場合もあり、その場合には翌日回しになります。
マッチングできるまでは人は来ませんので、自力で少しずつでも作業を進めておくといいと思います。

次にボランティアしたい人がしなくてはいけないことは次のとおりです。

1.現地でどんな作業が求められているのかを電話などで事前に確認する。

 例えば足腰の悪い人が山間部で土砂の片づけをするのはかなり厳しいと思います。でも、被災者の被災状況調査やボランティアセンターの受付ならできるかもしれません。
 出かけてから自分の条件にあう仕事がないといってボランティアセンターでトラブルになることもありますので、事前に自分に対応できる作業があるのかを聞いておきましょう。
 大規模災害では、人だけでなく各種資材や車両といったものが必要とされている場合もあります。
 もしもそういった資材の提供が求められていて出すことができるのであれば、自分ではなくそういった資材に仕事をしてもらうことも考えてください。

2.自分の持ち物で自己完結できるようにしておく

 被災地で活動する災害復旧ボランティアは自己完結していることが基本になります。現地に入る前に自分の食料や水、携帯トイレやお手拭きなどの衛生用品はきちんと確保して、作業後にはごみはすべて持ち帰る、そういう方でないと、現地でトラブルが発生します。

3.体調管理はしっかりとする

 ボランティアに出かけた先で倒れたり怪我をしてしまっては何にもなりません。自分の体調管理をしっかりとして、安全に作業ができる状態でボランティアに参加するようにしてください。
 災害復旧ボランティアはどのような仕事であれかなりきついものです。自分の体調がよくないときには無理してまでやるものではありません。
 まずはご自身の体調管理をしっかりと行って、安全に作業ができるようにしてください。

 ボランティアセンターは、全国的には社会福祉協議会が設置することが多いですが、地域によっては農協や生協、地縁団体が別に設置している場合もあります。
 そういった情報を事前に調べておいて、自分が活動できると思ったボランティアセンターに参加するようにしてください。
 現地に直接出かけて作業する人もいますが、割とトラブルになる場合が多いので、できるだけボランティアセンターを通した活動を行うようにしてください。

炭酸水で髪を洗う

今回使ったのは右側のほう。さっぱりしたのは冷たいから?それとも炭酸のおかげ?

子供とラジオ体操をしていて、ジャンプの時に膝を痛めました。
もともと壊れ気味の膝なのでケアをしているのですが、今回は痛みが引かないので、整形外科に行って膝の処置をしてもらい、当日は入浴不可、シャワーもダメという指示をいただきました。
ただ、あいにくこの日は暑くて汗だくになってしまっていて、全身がべたべた。
とりあえず体はおしりふきで拭き、頭をどうしようと考え、以前に炭酸水で洗うとすっきりすると聞いたことがあったので、試しにやってみました。
結論から行くと、ものすごくさっぱりします。
500mlのペットボトルに半分残っていた炭酸水を使って頭を洗ったのですが、冷たかったこともあってか、驚くくらいさっぱりして、気持ちよく寝ることができました。
そういえば冷たい炭酸水を使ったヘッドスパなんかがあったなと思い出しながら、非常に快適な状態を手に入れることができたのは本当にありがたかったです。
筆者は髪の毛が微妙な状態なので半分くらい飲みかけのペットボトルで十分でしたが、500mlのペットボトルが1本あれば、髪の毛が多い人でも洗髪できるのではないかと思います。
十分な水が手に入らないときには、こういった手段もあるということを覚えておくといいかなと思います。

頭と足の裏を守る

頭と足の裏を守るポーズというと、こんな感じ?

 地震で守るべき場所として必ず挙げられるのが頭です。
 腕や足を怪我しても生き残るための判断や行動はできますが、頭を怪我してしまうと行動不能に陥ってしまうからで、頭に物がぶつからないように防御姿勢を取ることが基本になっています。
 そして地震の後ですが、筆者は足の裏を守ることを推奨します。
 というのも、大きな地震の後は家の中にはさまざまなものが散乱しています。
 また、外にいてもガラスや倒壊した建物などで道もかなり危険になっていると思います。
 頭を守ることは引き続きの基本ですが、安全な場所への避難は、足が動くことが前提になり、特に足の裏を怪我してしまうと、足の他の部分が無事でもまともに移動ができなくなってしまいます。
 屋内では、破片から足を守るために屋内シューズ、せめて靴下屋やスリッパは履きたいですし、屋外では足元がはっきりしている場所を選んで移動することと、できれば靴の中に安全中敷きを入れておきたいものです。
 体のどこを怪我しても困るのは困るのですが、頭と足の裏、これを守ることを意識しておくといいと思います。

新型コロナウイルス感染症と備蓄品

アルファ米の五目御飯、各メーカーの食べ比べ。かなり味が違っていて面白い。

 新型コロナウイルス感染症がまたまた蔓延していますが、あなたの体調は大丈夫ですか。
 当研究所のある島根県では、県が感染した時の自宅療養に備えて、5日分程度の生活物資の備蓄を呼び掛けていますが、どれくらい効果が出ているのかは不明です。
 ただ、もしも非常用持ち出し袋などが準備してあって自宅療養をしなくてはいけなくなったら、非常用持ち出し袋に入れてある防災食を食べてみてください。
 防災食にも当然賞味期限がありますから、それまでには消費しておく必要があります。もしも自宅療養になると、買い物に出るわけにもいかなくなりますので、準備してある備蓄品を使って、その使い心地をしっかりと確認しておいてください。
 アルファ米でも缶詰でも、同じ名前のものでもつくっている会社が異なると当然味も違います。こういったときに備蓄をしっかりと食べてみて、あなたの口に合うかどうか、そしてどうすると食べやすくなるのかなどを調べておくと、いざ本番のときにも安心できます。
 また、ウェットタオルや消毒なども備蓄品には入っていると思いますので、そういったものを活用してプチ避難生活を試してみるといいと思います。
 もちろん体調が悪い、または気が乗らないときに無理にやる必要はありません。
 ただ、せっかく自宅に閉じ込められているのですから、同じような条件になる非常用持ち出し袋を使っていろいろと試してみると本当にさまざまな発見があると思います。
 もし中身を使ったら、使った分はしっかりと補充。そして自分の好みにあった食料品でいざというときをしのげるようにしておいてくださいね。

ローソクは必要か否か

 非常用持ち出し袋の中身もいろいろと変遷してきていますが、ローソクについては賛否両論あってなかなか判断しづらいのかなと考えています。
 人によって必要という人といらないという人が極端なアイテムですが、大きくわけると照明としての直火と、直火による暖、そして同じく直火による精神的安定が挙げられると思います。
 賛否両論のどちらも、問題にしているのがこの直火ということです。
 確かに地震などで停電してしまったとき、ローソクを使っていると余震でひっくり返り、火事になるかもしれません。
 また、ガスの配管が損傷しているときに直火をつけると、気化したガスに引火して大爆発になるかもしれません。
 それから、ローソクに着火するためのマッチやライターなどの保管が結構難しいということもあります。
 昔はそこかしこに煙草を吸う人がいて、普通にマッチやライターが存在していましたが、嫌煙権が広がって、煙草を吸う人でも電子タバコとなり、火を持っていないのが普通になりました。そのため、着火するための火も自前で準備しておかなくてはいけないわけで、その管理に結構気を使うことになってしまいます。
 ただ、直火だからこそ、見たら精神的に落ち着くということがあります。そして、小さな火ですが暖を取ることもできます。ローソクを使うと、簡単な煮炊きができますし、ローソクそのものはそんなに重たいわけでも場所をとるわけでもありません。
 ローソクをめぐる議論は、この両面から見て賛否を考えていて、そのどちらの主張もなるほどと思えるものがあるのは確かです。
 筆者はローソクと着火道具はセットでジップロックなどに入れて非常用持ち出し袋に入れておけばいいのではないかと考えています。
 火をつけた状態で持ち歩くのには向きませんが、安全が確保されている状態ならさまざまな使い道があってとても便利だからです。
 地震時、そしてガス漏れに注意するような状況では使わないことを袋に明記しておけば、うっかりと使ってしまう可能性も少なくなると思います。
 あなたがもしもこの論争で意見を持っているとしたら、それは貴重なことだと思います。でも、非常用持ち出し袋の中身には「所有者の精神的安定が確保されるもの」も入っているべきだと思っていますので、必要だと考えている人にまで必要ないとは言う必要はありません。また、必要だと思っている人も、必要ないという人に意見を押し付けるべきではないでしょう。
 ローソクに限らずですが、非常用持ち出し袋は所有者が避難時に必要だと思うものが入っていることが重要です。
 その前提で、ローソクの必要性について考えてほしいなと思います。

バリアフリーを考える

技術の普及や周囲の理解もあってか、日常生活に支援が必要な人でも地域で暮らすことができるようになってきています。
生活の支援といってもさまざまですが、自分で自分が生活する場所を選ぶことができるようになったことは非常に喜ばしいことだと思っています。
ただ、生活の支援がいる人は、全てを自力でできる人たちに比べると、どうしても避難の判断や準備、行動が遅れがちになってしまうので、対策としては事前に決められることを全部決めて、いざというときにすべてが自動で動くようにしておく必要があると思います。
さて、今回のお題のバリアフリーですが、避難所におけるバリアフリーというと、どうしても車いすや足の不自由な人が移動しやすいようにスロープや傾斜を準備するというのが最初にイメージされることが多いようです。
でも、バリアフリーというのは、そもそもがバリア、つまり「障害」がフリーの状態、障害がない状態といった意味合いになりますので、一般的に思い浮かぶような物理的なものだけではないはずです。
一般的には、生活するときのバリアには4種類あるそうで、「物理的バリア」「制度的バリア」「文化情報面のバリア」「意識上のバリア」がそれにあたります。
災害時には普段のあれこれが先鋭化してしまいますので、どうしても生活に支援が必要な人たちには厳しい状態になりがちですから、事前にさまざまなケースを考えて想定し、備えておく必要があります。
先ほどのスロープ一つとってみても、健常者が考えるスロープと必要な人の考えるスロープでは出来上がりが違うかもしれません。
同じように、避難所に掲示される情報が難しく書かれていてわからない人がいるかもしれません。
状況がわからず、一人一つの配給品をたくさん取ってしまう人がいるかもしれません。
できあがった仮設トイレが使えない人や、仮設トイレがわからない人がいるかもしれません。
そこで生活する人たちがお互いの家庭の文化が可能な限りぶつからず、必要最小限のストレスで済むような避難所にするためには、開設してからさまざまな人の意見を吸い上げる仕組みを作ることも大切ですが、事前にバリアを持っている人たちに参加してもらって実際の避難や避難所の設営や運営で気づいた点を教えてもらい、改善を続けていくしかありません。
バリアはストレスに直結しますし、へたをするとバリアを感じる人の生死にも影響してきます。
その地域に住む人たちがどのようなバリアを持っていて、どのように支援すればとりあえずの生活が確保できるのか。
避難所のバリアフリーはそういうことをしっかりと考えることが大切です。