災害ボランティアあれこれ

 大規模災害が起きると、その地域に住む人たちや行政だけではとても復旧作業ができないため、災害復旧ボランティアの要請をすることになります。
 最近は新型コロナウイルス感染症の流行があるためにあまり広域募集や大々的な募集はされていませんが、災害からの復旧は速度が必要ですので、最終的には人の数に頼らざるをえない状況になっています。
 ただ、この災害ボランティアはさまざまな人の思いが錯綜してしまって、必ずしもマッチングがうまくいっていない場合も多々あります。
 実際にボランティアしたい人とボランティアに助けてほしい人のミスマッチからトラブルになることもありますので、基本的なことを抑えておくようにしてください。
 まずはボランティアに助けてほしい人がしなくてはいけないことは次の通りです。

1.助けてほしい内容を具体的に伝える

 どのような状態になっていて、何を助けてほしいのかを具体的にしておきます。「土砂の撤去」というよりも「床下などからの土砂の撤去」と伝えるほうが、ボランティア側はイメージがしやすいです。

2.助けてほしい人のいる場所ではどのようなものが確保できているのかを明らかにしておく

 例えば、駐車場、トイレ、休憩スペース、水などが確保できるのか、できない場合にはどのような手当てができるのかを地域やボランティアセンターと詰めておきます。
 この部分がしっかりと決まっていると、ボランティアしたい人も何を持っていけばいいのかが明確にしやすく、結果的に早く支援がうけられることがあります。

3.人が来なくてもいらいらしない。

 ボランティアセンターは助けてほしい人とボランティアしたい人とのマッチングを行っていますが、当然一致しない場合もあり、その場合には翌日回しになります。
マッチングできるまでは人は来ませんので、自力で少しずつでも作業を進めておくといいと思います。

次にボランティアしたい人がしなくてはいけないことは次のとおりです。

1.現地でどんな作業が求められているのかを電話などで事前に確認する。

 例えば足腰の悪い人が山間部で土砂の片づけをするのはかなり厳しいと思います。でも、被災者の被災状況調査やボランティアセンターの受付ならできるかもしれません。
 出かけてから自分の条件にあう仕事がないといってボランティアセンターでトラブルになることもありますので、事前に自分に対応できる作業があるのかを聞いておきましょう。
 大規模災害では、人だけでなく各種資材や車両といったものが必要とされている場合もあります。
 もしもそういった資材の提供が求められていて出すことができるのであれば、自分ではなくそういった資材に仕事をしてもらうことも考えてください。

2.自分の持ち物で自己完結できるようにしておく

 被災地で活動する災害復旧ボランティアは自己完結していることが基本になります。現地に入る前に自分の食料や水、携帯トイレやお手拭きなどの衛生用品はきちんと確保して、作業後にはごみはすべて持ち帰る、そういう方でないと、現地でトラブルが発生します。

3.体調管理はしっかりとする

 ボランティアに出かけた先で倒れたり怪我をしてしまっては何にもなりません。自分の体調管理をしっかりとして、安全に作業ができる状態でボランティアに参加するようにしてください。
 災害復旧ボランティアはどのような仕事であれかなりきついものです。自分の体調がよくないときには無理してまでやるものではありません。
 まずはご自身の体調管理をしっかりと行って、安全に作業ができるようにしてください。

 ボランティアセンターは、全国的には社会福祉協議会が設置することが多いですが、地域によっては農協や生協、地縁団体が別に設置している場合もあります。
 そういった情報を事前に調べておいて、自分が活動できると思ったボランティアセンターに参加するようにしてください。
 現地に直接出かけて作業する人もいますが、割とトラブルになる場合が多いので、できるだけボランティアセンターを通した活動を行うようにしてください。

【活動報告】活動見本市に出展しました

イベント開始前のブースの様子。本番中は必死で写真が撮れませんでした。

 2022年5月27日に浜田市のいわみーるで開催された”人生100年時代”生きがいやりがい活動見本市に出展しました。
 意欲のある高齢者の方が学習しているくにびき学園西部校の主催で、石見地方で活動しているさまざまな団体の活動内容について受講生や卒業生の方などにお話をするという企画でした。
 当日は総勢19名の方にお話を聞いていただく事ができ、短い時間でしたが災害ボランティアについてのお話をしました。
 災害ボランティアはやろうという気持ちのある方には必ずなにがしかの仕事はあります。自分ができる事を見つけて上手にそれをボランティアセンターに伝える事で、ボランティアセンターに来るさまざまな仕事を手伝う事ができます。
 自分の強みを見つけて、ボランティアだけでなく日々の生活にも活かしてもらえるといいなと思いながら行事を終えました。
 時間管理がうまくいかなくてお話が最後までいかないこともありましたが、こういった機会に見ず知らずの人に当研究所の活動を知ってもらう事も大切なのかなと思っています。
 お声がけいただきました島根県社会福祉協議会石見支所の担当様、そして当日お話を聞いてくれた参加者の皆様にお礼申し上げます。

水に浸かった床下はしっかりと乾燥させよう

 あちこちで床下浸水したおうちは多いと思います。
 天気が安定しているうちにお片付けをするということで、急いで作業はしておられることと思いますが、居住空間の床下だけはしっかりと乾燥させておきましょう。
 床下浸水した場合、ほぼ100%汚泥が入り込んでいます。この汚泥はそのままにしておくとさまざまなトラブルを引き起こす元になりますので、大至急撤去しておく必要があります。
 排水と汚泥の撤去は、できる限り早急に丁寧に行います。これができないと、後に基礎が腐ったり朽ちたりして住むことができなくなりますから、面倒でもしっかりとやっておきましょう。
 自分で全部やるのは普通無理なので、支援ボランティアや知り合いの方にお願いして手伝ってもらって作業した方が負担が少ないです。
 きれいに落ちない場合には真水を使って洗い、しっかりと排水まで行います。
 その後、床下を露出した状態で扇風機などで風を送り込み、中をしっかりと乾かします。生乾きのままだと、カビが発生したり臭いが出たり虫が沸いたり体調を崩したりとろくな事が起こりませんので、徹底的に乾かしましょう。
 時期や天候にもよりますが、3日~1週間程度は乾燥させる時間が必要です。乾く時間を短縮させようとして熱を加えたり温風を使うと基礎の木材が反ったり伸縮することがありますので、止めた方が無難です。
 乾燥が終わったら、消毒液や消石灰を撒いて床を敷き直します。
 消毒の方法については地域や状況によって異なるのと、状況によっては自治体が配布していることも多いですので、自治体に確認をしてください。
 床下の乾燥はおうちの災害復旧での大きなポイントです。
 面倒くさがらずに、しっかりと対応しておきたいですね。

災害ボランティアをやってみる

 最近はあちこちで災害が起きており、災害ボランティアという言葉もすっかり定着した感じがします。
 8月に佐賀県を中心とする大雨により発生した水害の復旧にも、あちこちからボランティアが集まって被災地の支援を開始していますが、ボランティアをするためにはどんな装備や意識が必要なのでしょうか。

1.ボランティアの条件

 災害ボランティアをするに当たって特に必要な条件はありませんが、被災地や被災者を助けたいという気持ちは必要だと思います。
 そして、体調が万全でなければ被災者に迷惑をかけてしまうことになりますから、体の調子はしっかりと整えておく必要があります。
 また、災害ボランティアは自分のことは全て自分でやることが基本ですので、自律できていない人はやらない方がいいと思います。

2.ボランティアをするには

 大きく分けるとボランティアセンターを通して行うものと、個別に回って作業を手伝うものとにわかれます。
 それぞれにメリットデメリットがありますが、ボランティア参加者の身元確認及び安全確保という点から、行政等はボランティアセンターを通してボランティアに入ることをお願いしています。
 また、現地の混乱や危険が解消されつつあるという一つの目安がこのボランティアセンター設置ですので、ボランティアセンターが設置されるまでは、地元の支援なしでボランティアに入ることはかなり困難が伴うということも意識しておく必要があると思います。

1)ボランティアセンターを通して行うボランティア

 被災地のどこで支援を行うかという場所・内容選びをボランティアセンターが行ってくれますので、時間にボランティアセンターに行けば済むという点で楽です。社会福祉協議会がやっているボランティア保険も適用されるので、何かあったときにも最低限の担保はされています。また、作業に必要な道具類や状況によっては飲料水等の提供を受けられることもあります。
 デメリットは、自分の思うようにはならないということ。ボランティアセンターの指定した時間に指定した場所で指定した内容のボランティアのみをこなすことになりますから、お隣の人から作業を頼まれてもやることができないというジレンマを抱えることがあります。
 また、誰でもできる内容が多いので、特殊技能を持っている人は物足りなさを感じることがあるかもしれません。

2)ボランティアセンターを通さずに行うボランティア

 自分の思うように思った場所で思った時間、被災者が要望している内容を要望にそって提供できるということで、被災者、支援者ともに要求を満たせて素早い復旧が期待できます。
 デメリットはまず被災地のどこへ行くのか、誰に何を提供するのかを地元の要望を確認しながら事前に決めなければなりません。また、ボランティア保険の適応がありませんので、自分で保険会社に依頼して保険をかけておく必要があります。そして、独立して作業をするので、自分の食料や水といったものだけでなく、作業に必要とされる道具類も自前で準備しておかないといけません。

3.ボランティアの装備

 個人の装備としては、長袖、長ズボン、安全靴、なければ安全中敷きをいれた長靴や運動靴、防塵マスク、作業手袋、あれば防塵ゴーグルと帽子、ヘルメット。
 リュックサックにはタオル、ウェットティッシュ、2リットル程度の飲料水、食事、怪我をしたときに使える救急セット、雨合羽。
 日帰りボランティアならこれくらいあれば大丈夫だと思いますので、あとは季節に応じて日焼け止めや冷却剤、カイロや防寒着といったもの、また個人的に必要なものを持って行けばいいと思います。
 宿泊して現地でボランティアを続ける場合には、被災地外に宿泊地を設定し、被災地には通うようにした方が現地に負荷をかけずにすみますので、移動手段及び宿泊方法も考えておいた方がよさそうです。

 行政機関は面的、一律的な対応しかできませんが、災害ボランティアはややこしいことを抜きにして被災者を助けることのできる重要なボランティアです。
 ボランティアが動けば、その分現地の復旧は進みますので、興味があったり機会があったら、ぜひ一度経験してみてください。