被災したときの写真の撮り方

悲哀判定
被災状況判定では、第一次は外回りだけ調査します

 建物が被災した後、お片付けにかかるまでに被災状況の写真をしっかりと撮っておこうという話は最近よく出ている話です。
 被災度判定する行政職員や保険会社の職員が現地に来るよりも写真を使った判定のほうが判断が早いため、被災した時に出る罹災証明や保険金も早く出ることになります。
 ただ、撮り方を間違えるとせっかく写真を撮っても使えないといった状況になることがありますので、写真を撮る時にはちょっとだけ意識しておくといいことを今回は書いてみたいと思います。

1.外構は正面と斜め、遠景と近景を複数枚撮っておく

 おうちの外回りの写真は各面を正面から撮影するのと、それから2面を入れて撮影すること、そして被災した部分を全体が入るようにと、被災している部分がはっきりわかるような写真を撮るようにします。
 判定する人は写真だけで判断できるように、全体がどんな感じで、どこがどのように被災したのかがわかるようにしておきます。
 もしも建物が傾いてしまっている場合には、これにプラスして紐の先に重りを付けたものを傾いた部分に垂らし、垂直からどれくらいずれているのかを分かるような写真も撮っておきましょう。

2.比較物を入れておく

 撮影する際に全体や被災部分の写真には被災している場所の大きさがわかるものを一緒に写しておきましょう。
 例えば人物、あるいは指差しや手のひら、足などを一緒に入れる、または近景でメジャーなどの目盛りが読み取れるようなものであれば、目盛りを一緒に写し込んでおくと判断がしやすいです。

3.被災している部分は全て写真で近景を撮る

 外構、建物内ともに被災している部分は遠景だけでなく近景を写しておきます。屋内の場合にも、可能な限り異なる場所から被災状況の写真を撮っておきましょう。

4.写真は日付を入れておく

 スマートフォンやデジタルカメラで撮影をすると、撮影した写真が持っているexifデータに日付が記録されますので、写真を印刷するときには必ず日付も表示させておきましょう。
 誤った日付にならないように、撮影前にはスマホやカメラの日付を確認しておいてください。
 もしも誤った日付で撮影したとしても、exifデータは改ざんしないこと。また、写真にも手を加えてはいけません。
 ちょっとしたことで写真を偽造したといわれてしまうこともありますので、ありのままで提出するようにしましょう。

5.片づけを開始する前に評価をする市町村役場や保険会社に了解をもらっておく

 写真が証拠として採用されない場合もあるので、しっかりと写真を撮ったら、片付ける前に罹災証明を発行する該当の市町村と保険会社には片づけを始めていいかの確認を必ず取りましょう。
 写真がしっかりと撮影してある場合には、基本的にはどちらも片づけ開始を認めてくれると思います。
 ただ、お片付けが始まったら証拠はあなたの撮影した写真だけです。あとで認定されないということがないように、しっかりと写真を撮っておいてください。

 大規模災害になると、人的資源の不足からどうしても被災度判定が遅れてしまいます。早めに判定を完了して罹災証明や保険金の手続きを行うためにも、写真の撮り方をしっかりと覚えておいてくださいね。

災害に係る住家の被害認定(内閣府防災のウェブサイトへ移動します)

食材管理はしっかりとしておこう

思いついて備蓄庫の片づけをしてみた。使っているようでも、期限切れを起こしてしまっていた。

 非常用持ち出し袋や防災ポーチの中に入っているものは割とよく点検するのですが、備蓄庫に入っている食料品はあまり点検していません。
 というのも、我が家では備蓄庫のものはローリングストックということで普段の生活の中で管理しているということになっていて、期限切れは起こさないと考えていたからです。
 もちろん、長期保存できるものばかりなので、あまり気にしていないということもありますが、先般、久しぶりに中の片づけをしてみたら、期限間近、期限切れのものがごろごろと出てきてびっくりしました。
 普段ローリングストックをしていると考えていても、日ごろの調理ではあまり使わないものは、そのまま備蓄され続けます。魚などは普段は生のものを普通に使っているので、なかなか缶詰の出番がないということもあります。
 また、大好きだけど高価でなかなか食べられなかったというのもありました。
 缶詰はともかく、他のものは劣化が進んでいくので、思い付きで消費のディキャンプをすることに。
 「これ、どうやって使う気だったっけ?」と買った当時のことを思い出しながら、調理しておいしくいただきました。

温めて食べるより常温のほうがおいしかったりするものもある。使ってみないとわからない。


 非常用持ち出し袋や防災ポーチの中身は意識することが多いと思いますが、普段使いしているはずの備蓄品も、時にはチェックすることが必要だなと思いました。

【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました。

 2022年9月21日に益田市立高津小学校で第3回目の防災クラブを開催しました。
 本当は7月に開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により中止となり、9月の開催となってしまいました。
 今回は前回に引き続いて応急処置法と搬送について行いました。
 応急処置は心肺蘇生法に次いで大切な処置で、傷の種類や手当の方法について説明し、実際に包帯を巻いてみてもらいました。

直接圧迫法が基本であることを理解して包帯を巻いていく。

 最初は手こずっていたようでしたが、要領がわかると一人で自分の手に上手に巻いた子もいました。
 それから、毛布を使った搬送法、そして担架を使った搬送法を行いましたが、全体を上手に見て声をかけるリーダー役がなかなか難しかったようです。

力を合わせて担架で搬送します。

 災害時に怪我をしたとき、大人子ども関係なく、応急処置できる人が対応をする必要があります。
 こういった技術は使わないに越したことはありませんが、万が一に備えて、しっかりと覚えておいてほしいなと思います。
 今回参加してくれた子供たち、そして担当の先生、支援に来てくれたスタッフに感謝します。

被災家屋のお片付けで気を付けること

昭和58年島根県西部水害の後の復旧の様子

 災害で被災した家屋をお片付けするのは生活再建の第1歩になります。
 ただ、お片付けをする前にしっかりとした準備をしていないとお片付けが原因の感染症などにかかってしまうことがありますので、気を付けてください。
 まずはできる限り肌を露出しないこと。
 長袖、長ズボン、長靴にゴム手袋、帽子かヘルメットを頭にかぶって、マスクとゴーグルをつけることが原則です。
 特にマスクとゴーグルはのどや鼻、目の粘膜を守るために必須です。
 また、手袋や長靴は防刃性能のあるものが適切です。破片や釘などで刺し傷や切り傷ができると、そこから菌が入って炎症を起こします。
 特に破傷風にかかると最悪の場合死んでしまいますので、できる限り怪我をしないような対策をしておきましょう。

災害復旧支援ボランティアが被災した場所のお片付けの格好の一例(政府広報オンラインから)

 また、洪水や水害などで被災した場合には、しっかりとした換気も必要です。
 放っておくとカビが発生し、そのカビで呼吸障害を起こすこともありますので、窓や扉は全て開け、できれば扇風機や送風機などで床下や壁といった場所をできるかぎり乾燥させましょう。
 最後に、全体にしっかりと消毒をしておくこと。
 床下や建物につかう消毒はいろいろと違いますので、確認したうえて適切な消毒薬を使うようにしてください。
 お片付けのときの換気と消毒をサボると、せっかく片付いた後でさまざまな問題が発生します。
 家とあなたの生活を守りたいのであれば、お片付けのときに徹底的にされることをお勧めします。

家屋が浸水したら感染症に注意 水害後の清掃で気を付ける3つのポイント(ウェザーニュースのウェブサイトに移動します)

台風には気を付けて

 台風14号はどうやら本州縦断コースをたどる気配です。
 2022年9月18日14時現在のこの台風の勢力は「大型で非常に強い」となっていますが、この台風の大きさの表現がどのようなものなのかは、以下のリンクからご確認ください。

台風の表現を知ろう」(当研究所のウェブサイトへ移動します)


 また、台風の進路予想図には見方があり、これを間違えると本来とは違う予測の見方になってしまいます。
 台風の進路予想図の見方は、以下のリンクからご確認ください。

台風の進路予想図の見方」(当研究所の該当ページに移動します)
 九州から中国地方に向けて移動していくこの台風の影響が出る前に、周囲のお片付けや、場合によっては日のあるうちの避難など、適切に命を守るための行動をとってほしいなと思います。

台風対策を考える

 毎年毎年大きな台風がやってきますが、どうも今年もその季節になったようです。
 毎年のこととはいえ、台風は季節のものなので、去年どうやっていたかはなかなか思い出せないもの。
 そこで、今日は台風対策についてやっておいたほうがいいことを書き出してみましたので、参考にしてください。

1.屋根とアンテナの点検

 台風は風も雨も強いことが多いのですが、屋根が壊れていたり、瓦がずれていたりすると、そこから屋根全体に被害が広がることがあります。
 屋根が飛ばされてしまうと、家としての居住環境が失われてしまいますので、台風が来る前、というよりも風が強くなる前にきちんと点検しておきましょう。
 テレビアンテナがある場合には、そちらも状態を確認しておいたほうが安心です。

2.雨どいの点検と掃除

 屋根に降った雨を上手に排水するためには雨どいがきちんと流れなければ困ります。
 雨どいの点検をして、もしもゴミがあるようならそれらは全て取り除き、雨がきちんと雨どいを流れるようにしておきましょう。

3.家の周囲の飛びそうなもののお片付け

 家の周りの飛びそうなものを括り付けておくか、屋内に取り込むようしておきましょう。
 よく飛ぶものとしては、物干しざおやごみ箱、自転車がありますので、これらは屋内に取り込むか、地面に倒しておくかして風に当たって飛ばないようにおきましょう。

4.窓ガラスや出入り口の補強をしておく

 窓や出入り口は、開かないようにしっかりと鍵をかけておきましょう。
 割れて中に風や雨が吹き込まないように、ガラス部分には飛散防止フィルムや養生テープによる飛散防止をしておきましょう。
 また、割れた破片が屋内に飛び散らないように、窓側のカーテンやブラインド、障子などはきちんと閉めておきましょう。

5.停電対策をしておこう

 台風でよく起きるのは停電です。充電池の充電を済ませておくことや、カセットガスの準備、電池式ランタンや懐中電灯の電池の確認をしておきましょう。倒れたり飛ばされたりする危険性があるので直火であるろうそくは使わないようにしてください。

6.水の確保

 停電になると、水道も止まることがあります。1日~2日程度の飲料水は確保するようにしておきましょう。

7.避難判断の確認をしておく

 台風が襲来すると、その勢力圏にいる間は基本的に外出できないと思ってください。
 高潮や河川氾濫、がけ崩れがおきる可能性のある場所や普段から強風の吹き付けるような場所にお住いの方は、どの時点で避難判断するのか、避難先はどこにするのか、避難の手段はどうするのかについて事前に決めていることを確認しておきましょう。

 台風自体は数時間から1日程度で影響がなくなることが多いですが、気象情報などを確認し、勢力圏にある間はできる限り外出しないようにしましょう。
 また、事前に公共交通機関は運休や間引き運転、運航打ち切りなどの判断をしていることも多いですので、お出かけの予定がある場合には早めにどうするのかを判断してください。
 年々台風の勢力は強くなっている感じがしますが、対策をしっかりとしておけば何とかなるものです。
 台風情報をしっかりと確認して、ご安全にお過ごしください。

参考までに、台風のメッカである宮古島を管轄する気象庁の宮古島地方気象台が「台風への備え」をわかりやすく説明してくれていますので、よかったらそちらもご確認ください。

台風への備え」(気象庁宮古島地方気象台のウェブサイトへ移動します)

おうちの水害対策

土のうをブルーシートで包んで即席の堤防を作る。土のうだけであれば土砂やごみの流入を防げるし、ブルーシートを敷くと水そのものの流入を防ぐこともできる。

 台風、そして秋の長雨の季節がやってきたみたいですが、あなたの雨と風の対策は進んでいますか。
 もしもあなたが何らかの条件で水があふれてしまったときに浸かってしまう地域にお住いの場合には、家の完全な水没を防ぐため、土のうや水のうの準備をしておくことをお勧めします。
 土のうは、土を入れた袋を積み上げて水の侵入を防ぐもので、ある程度までは水の流入と、土砂やごみが流入してくるのを防ぐ効果があります。
 土のうは重いので、小さいものをたくさん積み重ねるか、あるいはプランターなどを使って重しを作り、ブルーシートを巻き込むことで水を防ぐ効果を期待できます。
 もちろん土のうの高さ以上に水が出てしまったら役には立ちませんが、しっかりとやっておくと水害後の片づけが格段に楽になります。

玄関に積んでいく水のう。直接水に当たると流されてしまうので、玄関の内側など、建物内部の水の流入を防ぐのにつかう。
凹凸に上手にはまり込むので、屋内への水の流入防止には役立つ。ただし入ってくる水の勢いが強くなってくると役に立たなくなる。

 また、土のうと同じようなものに水のうがあります。
 こちらは二重にしたビニール袋を玄関などの扉の内側に積んでいくもので、袋の中の水が玄関の空間に沿って塞いでくれるので、かなりの効果が期待できます。
 ただ、こちらもかなり重いので、事前の準備をしっかりとしておく必要があります。
 吸水ポリマーを使った土のうもあるのですが、こちらは水を吸うまでは簡単に流されてしまうので、水が流れてきてから水に投げ込んでもあまり役には立ちません。
 土のうと水のうのどれをするにしても、作業完了から逆算して、どの段階にになったら作業を始めるのかというしっかりとした判断を作っておく必要となります。
 また、完全に水没するような場所の場合、開き直って扉や窓を全部外してしまうのも一つの方法です。
 抵抗がなければ建物が壊れることもないので、かつては水害多発地帯ではふすまや障子を外し、畳や床板を外して水害に備えたという話を聞いたことがあります。
 そうそう、基礎にある通風孔もきちんと塞いでおきましょう。

床下の換気口。ここを塞がないと床下に簡単に汚水が入り込んでしまうので注意が必要。

 せっかく土のうや水のうでおうちへの水の流入を防いでも、通風孔がそのままだとそこから汚水が床下に流れ込んできます。
 そうならないためにも、基礎の通風孔の周りもしっかりとした水対策を取るようにしてください。

TPOで判断は変わる

 災害や置かれた条件で、取るべき行動の正解はかなり変わってきます。
 同じ災害でも、いる場所や置かれた条件によっては、正解が真逆になっていることもありますので、置かれた状況を判断する力をつけておく必要があると思います。
 例えば、非常用持ち出し袋。
 水害や台風など、災害が起きることが予測される状況であれば、必ず持って避難すべきですが、地震に伴う津波がくるような状況だと、非常用持ち出し袋を持つよりも高台への避難行動が優先されます。
 また、地震の時に机の下にもぐるのは、落下物が少ない場所なら有効ですが、建物が崩れそうなら屋外への避難を最優先にしないといけません。
 どれが正解かなのではなく、いる場所と置かれた状況によって正解が変わってくるのです。だから、判断を間違えないためには、普段想定している状況ではなく、今遭遇している現状を受け入れることが大切です。
 今優先すべきはなんなのかをしっかりと考えたうえでの行動となりますが、優先度の判断というのは慣れていないと非常に困難を伴います。
 普段の生活のちょっとした判断を求められる状況で、判断とそう考えた根拠を意識する練習をしておきましょう。
 この判断というのはなかなか難しいものですが、正しくても違っていても、よくわからなくても、判断をする練習をしておくことで、いざというときの判断も的確になる可能性があがります。
 災害時に優先されることは常に同じではなく、いる場所や状況で変わるということ。
 そしてそれを踏まえたうえで、自分の命がどうやったら守れるのかを常に考えるようにしてくださいね。

食べ物と水

 高齢者の避難においてネックになるものの一つに、飲料水があります。
 非常用持ち出し袋を作ったことのある人であればわかると思いますが、一番重量があり、そして量もある程度必要という水は、推奨されている量1日3リットルを持って避難するのは非常に難しいです。
 ただ、少し視点を変えると問題が解決することがあります。
 地震のときはともかく、災害が起きると予測のできるときの避難では、避難から災害発生までに時間の余裕があります。
 そのため、避難するときには避難中に飲むだけの水を持ち、避難した先で水袋や空のペットボトルに避難先の水道から補充するという方法をとることが可能です。
 もちろん避難先の施設管理者の同意は必要ですが、重量物を抱えて避難することを思えば、避難先で水を確保するというのも一つの手です。
 この方法であれば、食料をアルファ米にしておいても戻すための水が確保できるので、水と食料が軽い状態での避難が可能になります。
 避難後の命をつなぐのに優先度の高いものは、状況が許せばあらかじめ避難先に置いておく方法もあります。
 大規模避難所では難しいかもしれませんが、集会所や公民館などの小さな地域単位であれば、可能な場所もあるかもしれません。
 避難時に気を付けるのは、命をつなぐアイテムを可能な限り持参することですが、避難の途中で動けなくなっても困るので、さまざまな代替え手段を考えておくといいと思います。

【活動報告】防災研修会の講師をさせていただきました

 9月7日に益田市市民学習センターにおいて、NPO-MASUDA様主催のけやき学園の防災講座の講師をさせていただきました。
 このけやき学園は年齢を重ねた方がさまざまなことを学習する機会の場として提供されているもので、今回はその一コマとして、防災に関する研修会をしました。
 初めて防災の話を聞く方向けということで、あまり深い内容についてはできませんでしたが、約1時間半に渡って受講生の皆様が熱心に聞いてくださいました。
 今回は展示物の一つとしてエマージェンシーシートを実際に身に着けてみてもらうものをやってみました。

エマージェンシーシートと毛布、どちらがいいかは状況によって変わる

 最近何かと話題になるエマージェンシーシートですが、実際に使ったことのない方がほとんどでしたので、実際に使ってみて、どうやって使うのかやどんな感じになるのかについて体験してみることは大切だなと感じています。
 また、こういう研修会は「知らないということを知る」というものでもありますので、気の付いた部分からいろいろと動いて準備してもらえればいいなと思っています。
 今回研修に参加してくださった皆様、そしてこの研修の機会をくださいましたNPO-MASUDAの皆様に感謝します。