食べ物と水

 高齢者の避難においてネックになるものの一つに、飲料水があります。
 非常用持ち出し袋を作ったことのある人であればわかると思いますが、一番重量があり、そして量もある程度必要という水は、推奨されている量1日3リットルを持って避難するのは非常に難しいです。
 ただ、少し視点を変えると問題が解決することがあります。
 地震のときはともかく、災害が起きると予測のできるときの避難では、避難から災害発生までに時間の余裕があります。
 そのため、避難するときには避難中に飲むだけの水を持ち、避難した先で水袋や空のペットボトルに避難先の水道から補充するという方法をとることが可能です。
 もちろん避難先の施設管理者の同意は必要ですが、重量物を抱えて避難することを思えば、避難先で水を確保するというのも一つの手です。
 この方法であれば、食料をアルファ米にしておいても戻すための水が確保できるので、水と食料が軽い状態での避難が可能になります。
 避難後の命をつなぐのに優先度の高いものは、状況が許せばあらかじめ避難先に置いておく方法もあります。
 大規模避難所では難しいかもしれませんが、集会所や公民館などの小さな地域単位であれば、可能な場所もあるかもしれません。
 避難時に気を付けるのは、命をつなぐアイテムを可能な限り持参することですが、避難の途中で動けなくなっても困るので、さまざまな代替え手段を考えておくといいと思います。

被災地の片付けで病気や怪我をしないために気をつけること

 大雨が収まると待っているのはお片付けですが、作業するときの格好に少しだけ気をつけてもらえると事故が減ると思います。
 水害でみんな流れてしまったらあるもので作業をするしかないのですが、できる限り長袖長ズボンで、底の厚い長靴と同じく厚手のビニール手袋、それにマスクとあればゴーグルを着用してください。
 というのも、水害で片付けなくてはいけない汚泥にはさまざまな雑菌が含まれており、ちょっとしたかすり傷でも膿んだりすることがあります。
 また、汚泥の中には壊れた家具や建具が埋もれていることがあります。それらについている釘や鋲、ねじなどが足や手に刺さると、その部分から破傷風菌が入って破傷風になってしまうこともあります。
 破傷風については、以前に「災害ボランティアと破傷風」で少し触れているのでよかったら参考にしてください。
 そして汚泥が乾いてくると細かな砂のような感じになって辺りに舞うことになりますから、それが呼吸器や目、鼻と言った粘膜に付着すると結膜炎や炎症を起こしたりします。作業終了後は顔や手をしっかりと石けんで洗ってきれいにしておきましょう。可能であれば、着ていた服もしっかりと洗濯していただきたいと思います。
被災後は衛生環境を維持するのが大変になりますので、なるべく怪我しない、病気にならないための対策を取ることが必要です。
 余談になりますが、建物や家具、建具については洗って乾かすことが基本です。特に建物の床下はそのままにしておくとカビの温床となってしまいますので、汚泥をどけたらしっかりと消毒して乾かしておきましょう。
 参考までに厚生労働省のウェブサイト「被災した家屋での感染症対策」をリンクしておきます。上記に書いたような内容のより詳しいものや消毒液の作り方なども出ていますので、そちらの記事をご確認いただき、怪我や病気をせずに復旧に向けて進んでいただければと思います。