【活動報告】防災講演会の講師をしました

 2024年3月11日。東日本大震災が起こった日に、益田市の益田公民館様で防災講演会をやらせていただきました。
 今回のテーマは「地震と防災ポーチ」。
 参加してくださった方々はとても熱心に聞いてくださり、終わった後には個別に感想や質問もいただきました。
 地震は起きた時には勝負がついています。
 参加してくださった皆様が安全に過ごせるお手伝いができたなら、とても嬉しいです。
 今回ご参加くださいました皆様、お声かけくださった益田公民館様に厚くお礼申し上げます。

備蓄の種類

 災害時に備えるべきアイテム類は3日から1週間程度準備して備蓄しておくように国からは情報発信がされています。人によってはひと月程度準備しろと言っている方もいるようですが、都会地や消費地で生活している人の場合には、支援物資がどれくらいで届くのかまったく予測ができないので、国が言っているよりは長めに準備しておいた方がいいのかなとも考えます。
 ただ、どんなに少ない量でも1週間分のアイテムをリュックサックに詰めるのはかなり至難の業で、非常用持ち出し袋が嫌がられるのには物理的に無理だという誤解や錯覚があるのかもしれないと思うこともよくあります。
 もともと、備蓄には三種類あると筆者は考えています。
 一つ目は普段から持ち歩く防災ポーチ。本当の緊急時に自分の命をつなぐために必要な最低限のものが入っています。
 二つ目は、大雨や台風時などに1泊から2泊程度の生活必需品を詰めて避難に使う非常用持ち出し袋。
 最後は文字通りの備蓄で、5日から1週間程度家や倉庫などに保存してある状態の生活必需品となります。
 家に備えておく備蓄については、普段生活に使っているさまざまなアイテム類を少し多めに準備しておけば大丈夫です。特に食事と水に関しては普段使いである程度保存がきくようなものを重視して買い物をするようにしておけば、そんなに難しい話ではないと思います。
 住んでいる環境によって備えるべきものがかなり異なるので、家に置く備蓄品については各個人や家庭でそれぞれ備えるべきものを準備しておくようにしてください。
 避難に使う非常用持ち出し袋については、車などをお持ちの場合には、家と車の中の両方に準備しておけばかなり安心です。
 その際、車の中はかなり温度差が激しい空間ですので、クーラーボックスなど温度変化を緩やかにしてくれるような容器にいれておくといいと思います。
 そして、普段使いのカバンなどには、防災ポーチを入れておいてください。
 防災ポーチと飲料水が確保されていれば、一日程度は生命の維持が可能になります。
 一口に備蓄しろと言ってもさまざまな形がありますので、それぞれの目的に応じた準備をしておくことをお勧めします。

カサカサとボソボソ

体育館などでは思った以上に生活音がよく響く。

 避難所など人が集まっているところの夜に起きるトラブルが「音」です。
 その中でもポリ袋の「カサカサ」という音は非常に不快感を与えてしまうようで、避難所以外、例えば山小屋など多くの人が就寝している場所でトラブルになることがあります。
 非常用持ち出し袋などの防水対策としてポリ袋を使う人も多いと思いますが、できればかさかさしないタイプのポリ袋を使うことをお勧めします。
 また、たくさんの人が集まって就寝している場所では、緊張しているせいか寝ていない人のぼそぼそとした小さな話し声も気になるものです。
 アイマスクや耳栓など、周囲の光や音を押さえる道具もあるのですが、善意の人ばかりではありませんので、確実に安全が確認されていない場合には、そういったものを使うのもどうかと思います。
 対策としては、音が出ないようにすることと、人の声を気にしなくても済むような小型の自立型テントを持ち込むくらいでしょうか。
 しっかりと眠れないと、気力はどんどん失われていきます。
 あなた自身が他の人に被害を与えないように、そして周りから被害を受けないためにも、避難が必要な人は事前準備をしっかりとしておきたいですね。

避難所には何がある?

 結論から言えば、ほとんどの避難所には何もないと考えておいたほうが無難です。
 避難するタイミングや移動方法、避難先を想定してさまざまな訓練をしていると思いますが、避難した後、つまり避難所内での過ごし方についての想定はどうでしょうか。
 非常用持ち出し袋をきちんと準備できているか、その中で優先すべきものがきちんと入っているかは避難所に入ってから後の生活の維持に密接にかかわってきます。
 避難所に準備されているものがあればいいのですが、そうでないなら、しっかりと自分の生活が維持できるだけのものは持ち込む必要があるのです。
 そこで、あなたが避難することにしている避難所には、避難者のためにどんなものが準備されているか知っていますか。
 最初に書きましたが、身体一つで避難所に避難しても、多くの避難所には何もありません。基本的に避難所には物資は集積されていない場合が多いのです。
 地域によってはしっかりとした備蓄を備えている場合もありますが、そういったものは極めてレアケース。
 飲むもの、食べるもの、寝るものなど、生活を維持するのに必要なものは自分で持ち込まなければ着の身着のままで過ごすことになることに注意してください。
 そして、大規模災害になると、発災後に救援物資が届くのは早くても2~3日後。国は7日間分の備蓄を準備するように推奨しているくらいです。
 避難先で使用するものは自分で持ち込むこと。そして、早く避難してしまうことが大事です。
 避難所の状態にもよりますが、避難レベル3「高齢者等避難開始」の場合、まだ自動車による避難ができる場合が殆どだと思います。
 車であれば、自力で運ぶよりも多く荷物が運べ、収納場所にも困りません。
 避難所には何もないことが前提で、自分の命をつなぐための資機材について準備しておくようにしてください。

非常食を食べ比べてみる

同じ品名でも、味付けはかなり異なる。好みで選べるのが面白い。

 

 災害時の非常用持ち出し品に入っている非常食。
 アルファ米や缶詰、レトルト食品などさまざまだと思いますが、あなたはそれを実際に食べてみたことがありますか。
 気分の沈んでいるときや不安な時にはちょっとでも元気をつける必要がありますが、その元気のでる代表的なものの一つが食事です。
 普段食べなれているものや、普段あまり食べられない好物などをこういったときに食べると、案外と気力が持つものです。
 でも、口に合わない食事を毎食食べると考えてみたらどうでしょうか。
 恐らく、食事が気分が落ち込んでしまうものの一つになってしまうのではないでしょうか。
 ちょっとした気分の落ち込みかもしれませんが、少なくとも食事は一日何回も食べることになりますから、そのたびにちょっとずつ落ち込んでいくと、ちょっとやそっとでは復活できないくらいになってしまうと思います。
 食べなれたものを食べるのが一番いいのですが、どうせ非常食を準備するのなら、さまざまなメーカーのものを食べ比べてみることをお勧めします。
 缶詰やレトルトパウチ、アルファ米など、非常食を作っているメーカーさんはかなりありますが、各社とも自社が一番おいしいと思う味付けで売り出しています。
 そのため、同じ名前の商品でも味が全く違うことがあるのです。
 つまり、一つ食べておいしくなかったとしても、他の会社なら好みの味があるかもしれないのです。
 もちろん結果的にすべてのメーカーがダメなひともいると思いますが、各社を食べ比べして、自分の好みの味を探すというのも楽しみの一つではないでしょうか。
ちなみに、最近ではアルファ米もさまざまな味が出ていますし、一昔に比べるとかなり味もよくなっています。
 また、売っている場所も増えてきていますから、買い物に出かけた時にでも探してみて、もし見つけたなら、実食してみてはいかがでしょうか。

【活動報告】「はじめての防災キャンプ冬の陣」を開催しました

去る11月5日から6日にかけて、益田市北仙道公民館において「はじめての防災キャンプ冬の陣」を開催しました。
今回は13名の子供たちが参加してくれ、一泊二日で疑似避難所での避難体験をしました。
当日の夜はかなり冷え込み、子供たちもなかなか眠れなかったようですが、それでも最後まで元気いっぱいにさまざまな企画に挑戦していました。
「またやってほしい」というご意見をいただきましたので、春になったらまた企画してみたいと考えていますので、興味のある方はご参加ください。
今回参加してくれた子どもたち、参加を許可してくださった保護者の皆様、忙しい中を手伝ってくれたスタッフの皆さん、北仙道公民館様をはじめ、さまざまな形で支援してくれた皆様にこころから感謝します。
本当にありがとうございました。

TPOで判断は変わる

 災害や置かれた条件で、取るべき行動の正解はかなり変わってきます。
 同じ災害でも、いる場所や置かれた条件によっては、正解が真逆になっていることもありますので、置かれた状況を判断する力をつけておく必要があると思います。
 例えば、非常用持ち出し袋。
 水害や台風など、災害が起きることが予測される状況であれば、必ず持って避難すべきですが、地震に伴う津波がくるような状況だと、非常用持ち出し袋を持つよりも高台への避難行動が優先されます。
 また、地震の時に机の下にもぐるのは、落下物が少ない場所なら有効ですが、建物が崩れそうなら屋外への避難を最優先にしないといけません。
 どれが正解かなのではなく、いる場所と置かれた状況によって正解が変わってくるのです。だから、判断を間違えないためには、普段想定している状況ではなく、今遭遇している現状を受け入れることが大切です。
 今優先すべきはなんなのかをしっかりと考えたうえでの行動となりますが、優先度の判断というのは慣れていないと非常に困難を伴います。
 普段の生活のちょっとした判断を求められる状況で、判断とそう考えた根拠を意識する練習をしておきましょう。
 この判断というのはなかなか難しいものですが、正しくても違っていても、よくわからなくても、判断をする練習をしておくことで、いざというときの判断も的確になる可能性があがります。
 災害時に優先されることは常に同じではなく、いる場所や状況で変わるということ。
 そしてそれを踏まえたうえで、自分の命がどうやったら守れるのかを常に考えるようにしてくださいね。

避難時に持って行くもの

非常用持ち出し袋にはいろいろなものが必要だとされているけれど・・・?

避難には大きく分けると自宅避難と自宅以外のどこかへ避難する立退き避難があります。
自宅避難では、自宅が災害にあう危険性の無い人と、何らかの事情で立退き避難ができない人に別れますが、どちらにしても被災後には数日は単独で生活できるだけの品を準備しておく必要があります。
自宅以外のどこかへ避難する場合も、持って行ける範囲にはなりますが、一日から二日支援なしで凌げるだけの品は用意しておいた方が安心です。

自宅待機の場合には自宅が安全であることが前提にはなる。
危ないところに住んでいる場合には、基本は立退き避難(水平避難)。


 避難してから支援物資が届き出すまでの間をつなぐものとして非常用持ち出し袋を持って避難することが必要なのですが、内閣府や日本赤十字社などが出している非常用持ち出し袋のリストを見ると、全部揃えると持ち運びできない状態になってしまうことも考えられるくらいたくさんのアイテムが必要だとされています。
 また、市販品の非常用持ち出し袋を見られた方は、そのアイテムの量にぎょっとされたのではないかと思います。
 これらの非常用持ち出し袋は、過去に被災した経験者の聞き取り調査で「なくて困ったもの」や「あったほうがよかったもの」などが書かれていますが、よく内容を見ると、ある場所では重要でもある場所ではそこまででもないといった品もそれなりにあったりします。
 とはいえ、いつどこで役に立つか分からないことを考えると、なかなか「それはいらない」というのも勇気がいるものです。
 そんなときは、割り切って自分がそれがないと生活できない品に絞ってみるのも手です。
 例えば、高齢者の方だと入れ歯や補聴器、老眼鏡、持病の薬など、他の人のものが借りられないものは必須ですし、赤ちゃんならミルクやおむつは絶対に必要です。
 支援物資の届く順番は、より多くの人が必要としている緊急性のあるものが優先されますので、必ず自分が使えるものが届くとは限りません。
 個人的な相性で使えたり使えなかったりするものもこの中に入ります。例えば生理用品などは合わないものだとかぶれや湿疹などが出るようですので、自分に合ったものを準備しておく必要があるでしょう。
 次に、水とトイレ。のどの渇きと排泄要求は止めることがかなり難しいです。
 水道が使えれば大丈夫なのですが、被災すると停電が起き、そうすると給水がストップしてしまう場合も多いです。
 そうなると、飲料水、生活用水、トイレの水は自前で準備しないといけませんが、特にトイレの水は一回流すごとに最低7リットル程度は必要になりますので、水の確保ができない場合には、流しきれずに汚水が溜まり、トイレが大惨事になることが予測できると思います。
 少なくとも、飲み水と携帯トイレは準備しておいて、飲み水の確保とトイレを汚物の保管場所にしないようにしましょう。
 あとは着替えや歯磨きなどの衛生用品、非常食、そして暇つぶしの道具くらいがあれば、最低限必要な装備にはなります。
 非常用持ち出し袋はしっかりと品物を準備した方がいいですが、持っていくのには限界がありますから、迷ったときには0からの足し算で準備するようにしてください。
 最後に、一つだけ注意してほしいのは、お酒は持っていかないこと。
 不安な環境での飲酒は身体にも精神的にも悪い影響が出ます。
 お酒は避難が終わってからゆっくり楽しく飲むことにして、避難所ではお水やお茶で過ごすようにしてください。

避難するときには何がいる?

非常用持ち出し袋に関する記事を見ると、これでもかというくらいさまざまなものが書かれていて、それを全部一つの袋に収めると結構な大きさと重量になります。
とはいえ、必要なものを集めていくとそうなるわけで、持って行くなということも言えません。
ただ、絶対に必要になるものはある程度わかりますので、今日はそれを紹介していきたいと思います。
まず、絶対にいるものの筆頭はあなたの個人装備です。
例えば、入れ歯、眼鏡、補聴器、杖といった道具類、常備薬や生理用品といった衛生用品といった、自分には必要だが他の人にとってはそうでもないものや手に入りにくくなるものだが、自分にとっては必要なものがこれに該当します。
これは自分で用意しておかないと誰も用意してくれませんので、必ず用意するようにしてください。
次は携帯トイレです。大小兼用のものが望ましいですが、なければ小専用でも構いません。一日にトイレに行く回数を確認し、その回数分は持参するようにしてください。
飲むことや食べることは我慢できても、排泄は我慢できません。災害時に断水するとトイレが使用不能になる場合がほとんどですので、トイレを汚物で汚染しないためにも準備しておいてください。
三つ目は飲料水です。一人1日3リットル準備しようといった記事も見かけますが、そんな量を持って移動するのは困難な人もいますので、500mlペットボトル2本程度を用意してください。
傷の洗浄やものを濡らしたりすることもあるので、お茶やジュースでは無く、水を準備しておくことをお勧めします。
四つ目が身体を冷やさないための道具です。例えば非常用持ち出し袋ではお馴染みになっているエマージェンシーブランケットや使い捨てカイロなどです。着替えや下着も一組は用意しておいてください。
脱ぐことは簡単にできますが、着込もうとすると着るための服が必要です。ただ、避難所にはそんなものはありませんので、自分で自分のものを持ち込む必要があるのです。
何も無ければ、せめて雨合羽くらいは準備しましょう。体温が保たれているのであれば、必要なのは周囲から体温を奪う風を防ぐ道具になるからです。
五つ目は時間を潰せるアイテムです。いきなり災害後から始まる地震はともかく、台風や水害といった事前に避難の可能な災害の場合、避難完了から家に帰ることができるようになるまでには半日から数日はかかります。
ただ寝ているだけだと、人間はだんだん不安になってくるものですから、余計なことを考えなくても済む、暇つぶしのアイテムを複数準備しておくといいと思います。
そして、最後が自分の好きな食べ物です。そんなに長い期間避難するわけではないので、自分が楽しめる食べ物を持参していきましょう。
臭いの強いものや煙の出るものは無理ですが、自分の楽しめる食べ物があれば、それだけで不安な避難所の時間が解消されると思います。
これらを準備した上で、あとはあなたの好みや必要性にあわせてさまざまな道具を準備するようにしてください。

おしりふきは万能です

 おむつ替えの時におしりをきれいに吹くために使うおしりふき。
 防災セットには必需品の一つではないかと筆者は考えています。
 ウエットティッシュでもいいのですが、おしりふきは厚手の不織布を使っているので、非常に破れにくくしっかりと使えます。
 ウエットティッシュと同じように、水や消毒用アルコールなどが染みこませてあるのですが、肌触りがよく、湿り気があるのに吸水力もあるので、非常に多用途に使えて便利です。
 例えば、身体を拭くのに使ったり、テーブルや食器類を拭いたり、もちろんおしりを拭くときにも使うことができますし、使った後も快適です。
 防災セットに入れるおしりふきは、多目的に使うことを考えて影響の少ない水だけを染みこませたものを使うようにします。
 本来のお尻ふきが必要な人は、一日で一パック程度は使ってしまうようですが、ちょっとした用途ならば一人最低一袋あれば支援物資が届くまでのつなぎには充分だと思います。
 名称で抵抗のある方もいるかもしれませんが、何かを拭くという行為には最適のおしりふき。
 防災セットだけでなく、普段使いでも便利な気がします。