防災ポーチと防災ボトル

 手軽に持ち歩ける防災アイテムとして「防災ポーチ」というのがあります。
 マスクやエマージェンシーブランケット、お手拭きや懐中電灯、ホイッスルなどが小さなポーチに入っているのですが、最近は防災ボトルというのが発売されています。
 プラスチックの飲料用ボトルを収納容器につかって、中に防災ポーチと同じようなアイテム類が収められているもので、防災ポーチに比べると場所を取りますが、重要な問題の一つである「水」を確保する容器がついている非常に実用的なアイテムだと思います。
 学校や外回り用のカバンであまり大きな空間が確保できない場合には防災ポーチ、お出かけカバンなどで収納に余裕があるのであれば防災ボトルと、持ち歩くカバンに併せて作ってみるといいと思います。
 どちらもあまりたくさんは入れられませんので、必要と思うアイテムを厳選し、どこにでかけるときでも最低限の防災用品が備わっているようになっているといいですね。

 ちなみに、12月18日に開催する「持ち出し用防災セットを作ろう」では、ポーチかボトルのどちらかを入れ物に選んで作成を行います。イメージがしにくかったら、そういった企画に参加して確認してみるのもいいと思います。

【お知らせ】「持ち歩ける防災セットを作ろう」を開催します。

 来る12月18日(日)に益田市の市民学習センターにて、ワークショップ「持ち歩ける防災セットを作ろう」を開催します。
 当日は普段のカバンに入れておくことのできる防災グッズを選んで自分だけの持ち歩ける防災セットを作ってみます。
 また、よくある防災グッズを実際に使ってみたり、選ぶ時のコツなども考えていきたいと思っています。
 詳しくは画像のチラシをご確認ください。
 資材の準備の都合上、できるだけ事前申し込みをしていただけると助かります。
 興味のある方のご参加をお待ちしております。

逃げるべきか留まるべきか

当研究所のある益田市市街地のハザードマップ。あなたのおうちは避難が必要ですか?

 避難という言葉を調べてみると、「災難を避けてその場から立ち退くこと」といった意味になるそうです。
 防災対策でよく使われるこの避難という言葉ですが、その中身を見ると「垂直避難」「水平避難」「その場で待機」という大きく3つに分けられています。
 「水平避難」は言葉の意味のとおり、災害が発生するであろう場所から災害が起きない場所への水平移動のことを指します。
 「その場で待機」は、そもそも避難の必要がない場合に使われるもので、自宅待機ともいわれます。
 そして、「垂直避難」は、「その場にいるが、なるべく高いところへ移動する」ということで使われています。


 確かにその場から移動はしているのですが、危険地帯から移動しているわけではないので、避難に該当するかどうかは正直疑問ですが、それでも例えば1階にいたら間違いなく溺れてしまうような場所の場合には、2階以上の場所へ逃げるのは一つの考え方なのかなと思います。
 ただ、垂直避難には限界があります。都会の何十階建ての建物ならともかく、田舎の一戸建てだとせいぜいあっても3階くらいまで。そんな場所で垂直避難することは、果たして正しいのだろうかとも考えてしまいます。
 自分が垂直避難でもなんとかなりそうかどうかは、お住いの場所のハザードマップを確認して判断するしかありません。ハザードマップを100%信用することは危険ですが、それでも一つの判断基準にはなります。
 さまざまな条件でそこから遠方へ逃げられない人や、逃げ損ねた場合には、上層階に逃げることで命をつなげるかもしれません。
 基本は水平避難ですが、もしも垂直避難になった場合に備えて、どのような条件だと危険なのかについて確認しておくことをお勧めします。

使うか使わないか、使えるかどうか

子供用非常用持ち出し袋の一例。必要なものは入っているが、個人装備としたら足りないものがたくさんある。市販品も自分にあわせたカスタマイズが必要。

 非常用持ち出し袋のことは防災の話をするときには必ず出てくるものですが、あなたは準備をしていますか。
 市販品もさまざまな種類や内容で作られていて、それさえ備えれば準備ができたような感じがして安心できます。
 もちろん、一つ一つ自分が吟味したアイテムで作る非常用持ち出し袋なら、何が入っているのかが把握できているので安心できます。
 ただ、どちらにしても大切なことが一つ。
 それは「そのアイテムはちゃんと使えますか」ということです。
 非常用持ち出し袋ではさまざまな便利アイテムが入れられていますが、多機能すぎてどうやって使うのかわからないものや、それなんで入ってるのといったものがセットされていることがあります。
 非常用持ち出し袋の一覧表には、基本的にそのアイテムをどうやって使うのかまでは書かれていないことが多いので悩んでしまうこともあるのですが、自分が使いかたのわからないアイテムは使わないと考えてください。また、居住環境によって備えないといけないアイテムもさまざまに変わっていきます。
 市販品であれ、オーダーメイドであれ、非常用持ち出し袋を作る時にはそれがどんな時にどんな使い方をするものなのかをきちんと確認して、自分が納得してからアイテムに加えるようにしてください

できることとできないことを見極める

できることを増やすのも一つの方法。小さい子でも、理解できていればたき火を安全に使うことはできる。

 災害が起きたとき、絶対にやってはいけないことが「無理をする」ということです。
 「非常時だから」といって人に頼ってはいけないと思ってしまうのは非常に危険です。非常時だからこそ、自分にできることをしっかりと見極めて、できない部分をできる人に助けてもらうということが必要なのです。
 誰しも得意なこと不得意なことがあり、できることできないことがあります。自分ができないことは助けてもらい、自分ができることで誰かを助ければいいのです。
 例えば、自主防災組織というのがありますが、筆者はこれができる範囲でお互いを助け合うために作られたものだと考えています。
 だから、何でもかんでも自主防災組織にやらせるのは間違っていると思っていますし、現在自主防災組織で機能不全を起こしているところが多い理由も、その辺にあるのではないかと思っています。
 できることとできないことの見極めとお互いに助け合うという前提。
 これが災害時には普段以上に必要となると思っています。

保温を考える

風よけの中で空気を逃がさないのが基本

 寒くなってきました。
 これからの時期、災害で被災したらほとんどの場合寒空の下に放り出されてしまうことになりますので、命の維持に必要なものの一つである「保温」について考えてみたいと思います。
 さて、保温といいますが、暖を取るには二つの方法がありますので、これを整理して考えてみましょう。
 一つは、体の熱を逃がさない方法です。
 人間の体は体表面から常に熱を発散していますので、この熱を体の周りに閉じ込めるだけでも随分と暖が取れます。
 羽毛やウールなどを使った防寒着や裏起毛の服が温かく感じるのは、体から逃げる体温を外部へ逃がさない働きを持っているからです。
 防災用品でよく登場する、銀色のエマージェンシーブランケットも同じで、羽織ることで体から逃げる熱をブランケット内に閉じ込め、温かさを確保する構造になっています。
 どちらもポイントは体の周りの温めた空気を逃がさないということです。
 実は、空気が非常に効率の良い断熱材になりますので、便利グッズがないときには、段ボールやくしゃくしゃにした新聞紙を身に着けても似たような効果を期待することができます。
 気をつけないといけないのは、これらのアイテムは熱を作り出しているわけではないので、体が低体温で熱を作り出せない状況になっているときには役に立ちません。
 二つ目は、熱を作り出すこと。
 おなじみなのは使い捨てカイロだと思いますが、体から出る微量の水分で化学反応を起こして温める構造のこのアイテムは温めるエリアは狭いですが、少々冷えていても使っているうちにぽかぽかになる便利なアイテムです。
 他にもたき火やストーブなど、火を使ったものであれば火が作り出す熱によって体が温められ、非常に助かります。
 ろうそくなどの小さな火でも、やり方によってはそれなりに温まりますので、この火というものは温まるのには効率がいいものだなと思っています。

直火はかなり温かい。気持ちも落ち着くのが不思議。

 この二つを上手に組み合わせると、少々寒くてもなんとか寒さをしのぐことができます。
 体から熱を逃がさないことと、熱を作り出す道具を準備しておくこと。
 それらを考えて災害対策用の道具を準備したいですね。

【活動報告】「はじめての防災キャンプ冬の陣」を開催しました

去る11月5日から6日にかけて、益田市北仙道公民館において「はじめての防災キャンプ冬の陣」を開催しました。
今回は13名の子供たちが参加してくれ、一泊二日で疑似避難所での避難体験をしました。
当日の夜はかなり冷え込み、子供たちもなかなか眠れなかったようですが、それでも最後まで元気いっぱいにさまざまな企画に挑戦していました。
「またやってほしい」というご意見をいただきましたので、春になったらまた企画してみたいと考えていますので、興味のある方はご参加ください。
今回参加してくれた子どもたち、参加を許可してくださった保護者の皆様、忙しい中を手伝ってくれたスタッフの皆さん、北仙道公民館様をはじめ、さまざまな形で支援してくれた皆様にこころから感謝します。
本当にありがとうございました。

【活動報告】小学校の避難訓練支援を行いました

 去る10月27日に益田市立高津小学校様で実施された避難訓練の支援を行いました。
 当日は大きな地震が発生し、津波が来るために高台へ避難するということで、実際に実際に避難先である県立翔陽高校まで全校生徒が避難して、流れを確認しました。
 今年からは避難先は翔陽高校、児童の引き渡しは状況が落ち着いてから指定避難所である隣の高津中学校に移動して保護者へ引き渡すということに整理されたそうで、今後は翔陽高校まで駆け足で移動することになるそうです。
 400名を超える児童のいる学校が実際に一斉に避難するというのは大変なことなのですが、見ている限り非常にスムーズに流れていて、先生たちも児童たちも毎年のこととしていい意味で訓練慣れしているなと感じました。
 今回もいろいろと気づいたことはありましたが、そういった部分を見つけて改善していくのがこういった訓練の大きな目的です。
 後日今回の訓練に関する報告書を提出しますが、こういった訓練を当事者ではない第三者がチェックして改善を進めていくことでより効果的な訓練が実施できるのではないかと思っています。
 欲をいえば、休憩時間や登下校時に避難しなければいけなくなったときにどう判断するかというところまでできるといいなと思っていますが、学校で授業中である限り、恐らくはきちんと対応がしてもらえるのではないかと感じる訓練内容でした。
 今回避難訓練についてお声がけいただきました高津小学校の皆様に感謝いたします。

【活動報告】保育園の避難訓練支援を行いました

粛々と避難する園児たち。でもすれ違った人へのあいさつは忘れないのが素敵です。

 去る10月26日に益田市東町のすみれ保育園様で実施された避難訓練の訓練支援を行いました。
 当日は平常時よりも少ない職員で地震から津波発生、高台への避難ということで実際に避難先である益田東中学校まで全園児が避難して、流れを確認しました。
 保育園では月1回の避難訓練を実施しているそうですが、園児たちも予想していたよりもはるかに機敏な動きで、避難開始から避難完了までわずか13分で行えたのはとてもすごいことだと思っています。
 もちろん途中でさまざまなトラブルはありましたが、そういったトラブルを見つけて改善していくのが訓練の大きな目的です。
 後日訓練に関する報告書を提出しますが、こういった訓練を当事者ではない第三者がチェックして改善を進めていくことでより効果的な訓練が実施できるのではないかと思っています。
 いざというときに何も考えなくても体が動くように、訓練の時にはしっかりと自分の行動を確認しておきたいですね。
 今回避難訓練について見学の許可をくださったすみれ保育園の皆様に感謝いたします。

地震と準備

建物が耐震化されていても家具を固定していないと揺れで倒れてつぶされてしまう。そなエリア東京にて。

 他の災害と違って、地震は発生した時には勝負がついています。
 平時に家具を固定したり、建物の耐震補強をしたり、逃げるのであればどこへ逃げるのかなどの行動決定をしておくなど、しっかりとした備えが必要となります。
 それができていないと、地震が起きた時に倒れてきた家具や倒壊した建物のの下敷きになって圧死したり、大けがをしてしまったりします。
 重要だけれども、急ぎではないと考えている人が多い災害対策ですが、地震に関することは重要で急いで対策をしておいたほうがいいと考えます。
 誤解も多いのですが、地震そのもので死んでしまうことはほとんどありません。地震によって起きるさまざまな二次的な要因で人は怪我をしたり死んだりしてしまうのです。
 つまり、備えることができて、備えればけがや死ぬ危険性を低くすることができる災害なのです。
 あなたのお住いの建物や職場は、地震に対して対策をとっていますか。
 いざというときに怪我したり死んだりしないために、きちんと対策をとっておくことをお勧めします。