地震と準備

建物が耐震化されていても家具を固定していないと揺れで倒れてつぶされてしまう。そなエリア東京にて。

 他の災害と違って、地震は発生した時には勝負がついています。
 平時に家具を固定したり、建物の耐震補強をしたり、逃げるのであればどこへ逃げるのかなどの行動決定をしておくなど、しっかりとした備えが必要となります。
 それができていないと、地震が起きた時に倒れてきた家具や倒壊した建物のの下敷きになって圧死したり、大けがをしてしまったりします。
 重要だけれども、急ぎではないと考えている人が多い災害対策ですが、地震に関することは重要で急いで対策をしておいたほうがいいと考えます。
 誤解も多いのですが、地震そのもので死んでしまうことはほとんどありません。地震によって起きるさまざまな二次的な要因で人は怪我をしたり死んだりしてしまうのです。
 つまり、備えることができて、備えればけがや死ぬ危険性を低くすることができる災害なのです。
 あなたのお住いの建物や職場は、地震に対して対策をとっていますか。
 いざというときに怪我したり死んだりしないために、きちんと対策をとっておくことをお勧めします。

家具類の地震対策

よくある転倒防止装置。家具が動き出さないように設置するのがポイント。

 地震が続いていますが、あなたのおうちの家具の地震対策はできていますか。
 地震対策には二つあって、ひとつが家具そのものが倒れないようにすること、そしてもう一つが、家具の中身が落ちないようにすることです。
 家具そのものが倒れないようにするには、転倒防止用の固定器具を使うのが一般的で、例えば突っ張り棒や転倒防止用の固定器具、家具を壁にビスで固定するなどの方法があります。
 家具の中身が落ちないようにするためには、家具への中身の詰め方の工夫や、扉をロックするといった方法があります。
 でも、例えば借家などで簡単に家具の固定が壁にできなかったりする場合があると思います。
 もっとも簡単な家具の転倒防止は、家具の正面下、床と家具との間に折りたたんだ新聞紙などを入れて、家具を壁側に少しだけ傾斜させる方法です。

タンスの下の新聞紙。床がたわむような状態でもタンスが安定している。

 我が家では昔からばあちゃんが普通にやっていて、何も考えずに筆者自身もやっていたのですが、これをやると家具が簡単には転倒しなくなります。
 直下型地震のような大きな縦揺れを受けるとどうにもなりませんが、普通の地震の揺れなら、家具の上側が壁で支えられているために転倒することがなく、引き出しや扉が若干上を向いていることから、簡単には抜けたり開いたりしません。
 簡単にできて非常に効果的な地震対策ですので、もしもお引っ越しなどで家具を動かすことがあるのであれば、家具の下に折りたたんだ新聞紙を入れるとよいと思います。
 ちなみに、同じような機能を持った道具が百円均一ショップやホームセンターなどで売られているので、見た目を気にする方はそちらで調達してもいいと思います。
地震が起きたときに怖いものの一つが家具の転倒です。
 ちょっとした工夫で転倒が避けられるのであれば、やっておいて損はないのではないでしょうか。

家具の転倒防止対策はしてますか

 おうちの中の災害対策としてよく言われるものに家具の転倒防止対策があります。
 割と簡単で効果が高く、費用対効果もよいのでお勧めしているのですが、なぜかなかなか普及しないのが現実です。
 借家やアパートの場合、返すときに現況復旧条件がついている場合に、家具の固定をビスなどの穴が空くものでしていると、穴の痕を補修しなければいけないケースも多いようで、なかなか実際にするのは難しいとも聞きます。
 ただ、固定しなくても家具の転倒防止は可能です。
 もちろん壁や天井にビスなどでしっかりと固定してあるのが一番安全ではあるのですが、突っ張り棒を使えばある程度の安全を確保することも可能です。
 突っ張り棒で止めるときのコツは、突っ張り棒の天井などに面している部分を板などで補強してやることです。


 そうすることによって、突っ張り棒の棒の部分だけで無く、板全体で家具を支えることになるので、天井板が弱くても転倒を防ぐことが可能です。
 場所によっては突っ張り棒ではなくチェーンやL字金具などを使う場合もあると思いますが、しっかりと止めてあると地震のときだけでなく、水害で浸かったときにも家具が浮いて建物を壊すのを防ぐことができます。
 他にも、家具と天井の間に荷物を入れて家具が揺れないようにする方法もあります。
 一番良いのは普段居る場所に家具を置かないことなのですが、日本ではなかなか難しい条件ですので、寝室には背の高い家具は置かない、倒れる方向を考えて配置するなど、あなたが怪我しないような方法を考えてみて下さい。
 突っ張り棒やそれに使う板などは普通にホームセンターで売っていますので、少しずつでも固定を進めて、もし地震が来たときに家具の下敷きにならないようにしておいてくださいね。

地震対策、何からしよう(前編)

 地震対策で困るのは、地震はいつ起きるのかわからないということです。
 地震以外の災害はなんらかの形で予兆があるのですが、地震だけは突然やってきますので普段の生活の中で備えをしておかないといけません。
 地震対策は、本気でやろうとするとかなり費用も時間もかかりますので、何をどこまでやるのかということを考えながら作業を進める必要があります。
 大きく分けると、お住まいの建物と、その建物の中身を分けて考えることになりますが、今日と明日の二回に分けて対策方法を考えてみたいと思います。

1.建物の耐震強度を上げる

 まずはお住まいの建物の耐震診断をしてもらうところから始めてください。
 もしお住まいの建物が建築から10年以上経っているのであれば、一度確認してもらっておいたほうがいいと思います。その結果、問題なければ安心ですし、倒壊する危険性があるのであれば、耐震補強工事をすることになるでしょう。
 自分が保有する家の場合には、耐震化工事を行うことが一番無難ですが、予算の都合上難しい場合には、居間や寝室など、過ごす時間が長かったり、揺れたときにすぐに動けない状況になっている場所だけでも補強しておくことをお勧めします。
 屋根を軽くしておくこともお勧めです。
 トイレや風呂など柱の多い場所に逃げろという話もあるのですが、これらの場所は閉じ込められやすい場所でもありますので、そこを避難先として考えるのであれば、閉じ込められたときに扉や壁を壊せるような道具を備え付けておいた方がいいと思います。
 次に、借家の場合です。
 アパートやマンションといった高さのある建物の場合、耐震化がされていないと高確率で1階は潰れます。
 耐震化されているのであれば問題ないのですが、そうで無い場合には、居住者に打てる手はそこから引っ越すくらいしかありません。
 いくら家具などを地震対策していても建物そのものが潰れてしまうとどうしようもないので、まずは潰れない建物に引っ越すところから考えてください。
 借家を選ぶときも同じで、耐震化されていること、または平屋建てで屋根が軽いことなどを選ぶ基準にすると、強い地震の時でも建物は崩れにくいです。

2.家具などを固定する

家具が地震で倒れるとこうなる。

 建物が崩れなくても、家の中で家具などの下敷きになってしまうと大けがをしたり死んでしまったりしますから、家具などが倒れてこないようにしておく必要があります。
 一番いいのはなるべく物を置かないことです。ものがなければ、そもそも下敷きにはなりません。
 それから、作り付けの家具であれば転倒する危険性はありませんから、どうしても家具が必要な場合には家を改装して作り付けの家具にしてしまうというのも一つの手でしょう。
 また、重心の低い家具にすれば、家具の転倒で下敷きになる可能性はかなり低くなりますから、最低限のものをなるべく重心の低い家具に納めていくというのが基本と考えてください。
 さて、そうは言っても家具を全部処分して入れ替えるというのも実際には難しいものですし、捨てるのも大変です。今度は背の高い家具でできる耐震化を考えてみましょう。
 まずは配置する方向です。
 その家具が揺れたときにどの方向に向けて倒れるかを考えてみます。その倒れる方向に人がいると潰れてしまうので、人がいない方向に倒れるであろう面を向けましょう。
 例えその家具が固定してあったとしても、引き出しが飛び出したり、観音開きの扉の場合には扉が開いて中身が散乱するといったことが起きますので、倒れる面は人のいる方向に向けないことです。
 次に、可能であればその家具が動かないように固定しておきましょう。
 固定の方法としては、壁や床、天井などにビスで固定、突っ張り棒、転倒防止ジェルやチェーンなどがあります。
 持ち家なのか借家なのかによって使える方法、使えない方法があると思いますが、複数の手段で止めておくと、さまざまな揺れに耐えられるのでお勧めです。
 固定する考え方の基本は「動き出す支点をなくすこと」です。
 動き出す支点がなくなれば簡単には動かなくなるので、どこを止めれば動き出さないかを考えて、効率的に固定を行いましょう。
 また、完全に固定できない場合もあると思いますが、その場合にもあきらめず、仮止めでもいいので固定をします。
 この場合の考え方は、そこから逃げる数秒を稼ぐということです。
 倒れる方向に気をつけて家具が配置されていれば、稼げる数秒で充分に逃げることは可能ですから、向きはしっかりと意識してください。