被災後の中高生の居場所をどうするか

 大災害になると、障がい者や高齢者、乳幼児は割と早い段階から救援や支援の手が届きます。
 そして、それよりは遅れても、小学生まではいろいろなNPO団体などが被災地に入って預かりや学習支援、あそび場作りなど、さまざまな支援をしてくれるのですが、置き去りになっているのが中学生、高校生の処遇です。
 大人ではないので仕事に出るわけではなく、かといってどこかに預かってもらうこともなく、学習ができる体制があるわけでもない。
 何かしようと思っても、その場所が確保されていないことが非常に多いです。
 自治会や自主防災組織などで事前に検討される避難所の設営マニュアルにも、ペットの取り扱いについては記載がされているところも出てきましたが、中高生が学習したり息抜きができるような場所の確保はされていないのが現実です。
 目立たず、声を上げるわけでもないのであまり意識されていないと思いますが、中高生も被災者であり、学習支援や心のケアが必要なのではないかと思います。
 乳幼児や小学生、高齢者や障がい者と同じような時期に支援体制が作れるのなら非常にいいのですが、とりあえずは避難所の一角に最初からそう言った場所を設定しておくことができれば、その後の支援も随分と変わってくるのではないかと思います。
 大人ではないが子供というにはちょっと大きい中高生。
 彼らの日中の居場所についても、しっかりと検討しておきたいものです。

【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました

去る1月18日に益田市立高津小学校で防災クラブを開催しました。
今回は「正解のない答え探し」と題して避難所に届いた収容者よりも少ない食料品の受け入れをするかしないか、するならどうやって分けるのかを考えてもらったり、「避難所は必要? いらない?」という議題で、「いる」と「いらない」にわかれてそれぞれ考えて発表してもらいました。
災害時の対応では、100%の正解はほとんどなく、どちらがよりましかといった判断をすることになります。
命が守られるための説明がきちんとできるなら、どのような選択肢を選んでも決して間違いではないことがわかってもらえると嬉しいなと思います。
参加してくれた子ども達、そして担当の先生、手伝ってくれたスタッフにこころから感謝申し上げます。
なお、今回は写真を撮るのを忘れてしまって写真がありません。文章だけであることをお詫びします。

電源確保を考える

蓄電池。準備しておいて損はない。

 被災した後、生活の質をなるべく落とさないようにしようとすると、どうしても電気が必要になります。
 ただ、電源の回復は大規模災害になればなるほど遅くなるものですから、あらかじめ何らかの準備をしておいたほうがいいと思います。
 手っ取り早いところでは、蓄電池と太陽光発電パネルの組み合わせを用意しておくこと。
 保管できるサイズだと、大した発電量にはなりませんが、それでもスマートフォンの充電やラジオやテレビの電源などに使うことができます。
 お日様があれば充電が可能なので、一組準備しておいてもいいかもしれません。
 避難所や住宅だと、発電機があると電源はかなり安定します。
 エアコンや電子レンジなど大きな出力が必要とされるものは難しいですが、家電がある程度まとめて使えるのは大きいです。
 手回し発電機などの人力発電機を準備されている方もいますが、実際に使えるかというとかなり厳しいのではないかと思います。
 電気を作る方法を準備しておくことと、自分にとって必要最低限の電化製品にはなにがあるのかということ、そしてそれらの電気使用量をきちんと確認しておいて、いざというときに慌てないようにしたいですね。
 ちなみに、太陽光発電システムが最初から組み込まれているおうちには、非常用電源コンセントが用意されている場合があります。
 太陽光発電システムの蓄電池からの給電をする場合には、非常用電源コンセントにつながないと使えませんので、取り扱いには気を付けてください。

避難所には何がある?

 結論から言えば、ほとんどの避難所には何もないと考えておいたほうが無難です。
 避難するタイミングや移動方法、避難先を想定してさまざまな訓練をしていると思いますが、避難した後、つまり避難所内での過ごし方についての想定はどうでしょうか。
 非常用持ち出し袋をきちんと準備できているか、その中で優先すべきものがきちんと入っているかは避難所に入ってから後の生活の維持に密接にかかわってきます。
 避難所に準備されているものがあればいいのですが、そうでないなら、しっかりと自分の生活が維持できるだけのものは持ち込む必要があるのです。
 そこで、あなたが避難することにしている避難所には、避難者のためにどんなものが準備されているか知っていますか。
 最初に書きましたが、身体一つで避難所に避難しても、多くの避難所には何もありません。基本的に避難所には物資は集積されていない場合が多いのです。
 地域によってはしっかりとした備蓄を備えている場合もありますが、そういったものは極めてレアケース。
 飲むもの、食べるもの、寝るものなど、生活を維持するのに必要なものは自分で持ち込まなければ着の身着のままで過ごすことになることに注意してください。
 そして、大規模災害になると、発災後に救援物資が届くのは早くても2~3日後。国は7日間分の備蓄を準備するように推奨しているくらいです。
 避難先で使用するものは自分で持ち込むこと。そして、早く避難してしまうことが大事です。
 避難所の状態にもよりますが、避難レベル3「高齢者等避難開始」の場合、まだ自動車による避難ができる場合が殆どだと思います。
 車であれば、自力で運ぶよりも多く荷物が運べ、収納場所にも困りません。
 避難所には何もないことが前提で、自分の命をつなぐための資機材について準備しておくようにしてください。

プロがすること、アマチュアでもできること

地震対策では、屋根のブルーシート張りは覚えておいたほうがいい作業。

 大災害時にはなかなか救援は来ない、というのが多くの人の認識になってきているのではないかと思います。
 それに備えて、個人や企業に始まって、自治会や自主防災組織、消防や警察、自衛隊などのさまざまな組織が訓練やシミュレートなどをしているわけですが、訓練を見ていてちょっと違うんではないかと思うことがあります。
 もちろん、さまざまな想定に備えて準備することは大切ですし、できる限り訓練しておくことはとても大切です。
 ただ、個人レベルやアマチュア集団がいくら頑張ってもプロには勝てないという分野が厳然と存在しているので、そういった分野では、アマチュアはどうやってうまくプロに引き継ぐかという視点で訓練をしたほうが効率的なのではないかと考えることがあります。
 例えば、倒壊家屋からの救助訓練。よくマスメディアで警察や消防が訓練したことが報道されていますが、同じような訓練を個人や自治会、自主防災組織がやることはあまり意味がないと思います。
 個人や自治会、自主防災組織が考えるべきはいかに倒壊家屋を出さないかという部分の実践や普及、啓発活動であり、倒壊することが前提というのは本末転倒なのではないでしょうか。
 同じように、応急処置もそうです。専門家に届けるまでに命をつなぐために行うのが応急処置であり、そこで専門的な処置まで行う必要性はありませんし、知識だけの素人が手を出すと悪化してしまう場合も多々あります。
 アマチュアが持つべきは、発生することが予測される被害をいかに少なくするかという事前の対策の徹底と、発生した被害をそれ以上拡大させずにプロに引き継げるかという部分をどうするかという視点です。
 自主防災組織設立の発端となった阪神淡路大震災で、建物倒壊により即死しなかった人たちの多くが地域の人に助けられたということは事実です。
 ただ、その当時は消防団がしっかりと機能していたことや地域コミュニティがきちんと確立していたこと、そして例えば家の構造や住人の行動、周りの資機材の存在をある程度地域の人が知っていたことが救助ができた根本部分にあります。
 当時できたからといって、高齢化が進み、人の交流が途切れがちな現在で同じことができるとは思えません。
 同じことをやろうとするなら、まずやるべきなのは地域コミュニティ、つまり顔のわかる関係を取り戻すこと。そして、地域に住み、地域で仕事をしてくれる若い人を増やすことです。そして、自分たちでできることとできないことの線引きをしっかりと確認しておくことが求められます。
 自分たちでできることは日ごろからきちんとこなしておくことで、プロの仕事がしやすいようにしておくことが、災害対策のプロ以外のすべての人、つまりアマチュアがやるべきことなのではないでしょうか。

ペットの避難所問題

 岡山県総社市でペットとの共生を掲げてペット避難所を作ること、そして行方不明になったペットの捜索を掲げた条例が議会で否決されたそうです。
 記事によれば、市長さんは「ペットの問題で毎回現場が揉めるので明文化しようとした」ということだったのですが、議会では「人命救助に支障が生じる」「人的資源がない」などといった理由で現状維持でいこうという判断をしたようです。
 避難所の収容人員がコロナ禍でかなり減っており、この上ペットの収容まで考えるとパンクするという考え方も、そうでなくても手が足りない災害時に行方不明になったペットの捜索をするのは物理的に無理です。
 ただ、ペットと避難については、いつの災害でも必ず避難所運営者を悩ませる問題になってしまっていて、関係性を明文化しておくということは大切なことなのではないでしょうか。
 その避難所がペット避難可なのか、ペット可だとして、同行避難なのか同伴避難なのか、収容する場所や収容できる動物は何かなど、考え出すと結構問題がたくさんあるのですが、現状でうまくいっていない状態はどうにかしないといけないと思います。
 とはいえ、ペット問題は本当に多岐に及ぶので、一律的に決めるのも難しいことは事実。さまざまな団体や避難所運営者が試行錯誤していますが、なかなかこれだという解決策は出てきていません。
 ペットは家族の一員であり、人によっては家族以上の存在になっている場合もあります。そしてペットの避難ができいのであれば自分も避難しないという人が多いのも事実です。
 人間が一時避難所で難を避けた後、指定避難所に移動するように、ペットも一時避難したあと、しばらく過ごせるような場所について選択肢を作っておくのは一つの方法なのではないかという気がしています。

発電機は絶対に屋外で使う

携帯発電機を室内で使用して一酸化炭素中毒になる事故の再現映像(製品評価技術基盤機構(nite)作成)

 冬場に長時間の停電が起きると、電化されている最近の住宅では暖が取れなくなることがあります。
 その時に備えてガソリン式やカセットガス式の発電機を備えている方もおられると思いますが、屋内では絶対に使用しないでください。
 発電機に限りませんが、燃焼するときには酸素が燃焼により二酸化炭素に変わっていきます。
 ただ、供給される酸素が不十分になると、二酸化炭素になれずに一酸化炭素が発生し始めます。
 この一酸化炭素は人間が吸い込むと中毒死するような危険な気体なのですが、寒いと屋内やテントの中で発電機や炭火などを使い、酸素不足で一酸化炭素が発生して中毒死する事故がほぼ毎年起きています。
 災害後に電気が再開するまでは発電機に頼ることも多いとは思いますが、発電機はいくらコンパクトでも絶対に外で使用すること。
 そしてできるだけ開放的な場所で空気がしっかりと流れるようにしておくことに注意しておいてください。
 発電機は絶対に外の風の良く通るところで使うこと。
 周囲が住宅地の場合には発電機の音が気になってしまうかもしれませんが、命にはかえられませんので必ず守るようにしてください。

避難所は土足厳禁が基本

段ボールベッドと避難所用テントを組み合わせる。

 避難所では、生活空間は土足禁止にしたほうが健康を保ちやすいのでお勧めです。
 というのも、避難所の就寝場所がすべて床面から20cm以上の高さがある場所ならいいのですが、そうでない場合、土靴から落ちた汚れやごみ、ウイルスや雑菌などを吸い込んでしまい、呼吸器系の病気を発症することが多くなります。
 日本では床に直接寝る習慣があるために靴を脱いで生活空間に入るという習慣ができたのだと思いますが、これは理にかなっています。
 地表に舞っている病気の元であるゴミやほこりなどを吸い込まないために、靴を脱ぐ習慣になっているのです。
 逆に靴を脱ぐ習慣のない国では、寝る場所の高さを上げてベッドというものになっていて、地表で舞っているさまざまな雑菌から呼吸器系を守るようになっています。
 とはいえ、避難所は人の出入りも多く、土足を禁止してもしっかりとした衛生面の確保は難しいと思います。できるなら土足は禁止したうえで、床から少しでも高さを上げたところで寝ることにするようにしてほしいと思います。
 避難所の生活空間での土足を禁止することは、避難所で大きな病気を出さないためには大変重要なポイントです。

ペットの避難先を考える

輸送用バッグに入れっぱなしは無理。どうやってペットの心身の健康を維持するのかも問題となる。

 住んでいる場所から避難すべき地域のお住いの方でよく問題になるのが飼っているペットの扱いです。
 実際に避難を呼びかけた時、ペットがいるからという理由で避難をしない人やペット連れで避難所に避難してトラブルになるケースもよくありますので、平時にしっかりと話を決めておかないといざというときに逃げ遅れることになってしまいます。
 実際、環境省などの呼びかけではペットとの同行避難が推奨されていますが、同行避難は同じ避難所に避難できるというだけで、同じ空間にいることができるわけではありません。
 そして、一緒の空間で避難ができる同伴避難を受けいれている避難所は、そんなに多くないのが現実です。
 最近ではペットのみ受け入れるペット用の避難所も出てきていますが、絶対的な受け入れ数が少ないことと有償であることが基本なので、事前にきちんと打ち合わせをしていない限り、いきなりの受け入れはかなり難しいものがあります。
 一緒に過ごすという点では「車中泊」という選択肢もありますが、しっかりした宿泊設備がない状態だと、飼い主にもペットにもかなりの負担を強いることになってきます。
 そして、一番の問題はペットの種類が非常に多岐にわたること。
 ペット可の避難所でも、想定は犬や猫で、例えば蛇や昆虫といったものを想定しているところはないと思います。
 ではどうするか。
 正直なところこれだという解決策はないですが、まったく違う場所に住んでいる人とお互いに応援協定を結んでおくか、それとも安全な場所をもう一か所確保しておくか、いずれにしてもペットが安全に避難できるための場所を確保しておく必要があります。
 自分の身を守るために、ペットの行き先についてもしっかりと考えておいてほしいと思います。

自主防災組織のお悩み

 防災の仕事をしていると、自主防災組織の方から組織運営について相談をいただくことがあります。
 最初は地域の人を災害から守るという熱い思いで結成された自主防災組織も、時がたって災害が起きなければ、だんだんと熱も冷め、次世代への承継もうまくいかないことが多いようです。いただくご相談は、今後どうやればうまく活動ができるのかとか、人がいない、集まらない、動けないといった内容で、あまり明るい内容ではありません。
 ただ、聞いていると不思議に思ってしまうことが一つあります。
 それは、なぜ身の丈にあった計画に変更しないのかということ。
 ご相談いただくときの前提が「この活動計画ができなくなっている」というのが大半なのですが、できないのであれば、できるような活動計画に変更すればすむのではないかと思います。
 自主防災組織の中には、非常に立派な行動計画を作って毎年それを更新しながら組織をうまく運営しているところもあります。
 でも、地域によってはその行動計画を実行するだけの力がなくなっているところもありますので、そういった状況で持っている行動計画をやろうとするとどうしても無理が来ます。
 自主防災組織はあくまでも「共助」のために結成されている地域のボランティア的な組織ですから、実行することが難しい行動計画でできないというのであれば、行動計画自体を変えてしまえばいいのです。
 基本的な考え方は「できることをできる範囲で」です。
 理想を掲げても物理的にできない場合にはできませんので、できることをできる範囲で設定しなおすことで、無理のない自主防災組織の運営が続けられることになります。
 もちろん、人が増えたりやる気のある人たちがたくさんいる状況になれば、活動計画を組み替えて大きなものにすればいいだけなので、その時々に応じてやる活動を変動させるくらいの気持ちでいればいいと思います。
 よく誤解されているのですが、自主防災組織は自主防災組織に所属する人たちを守るために存在しています。
 自治会や自治体とは異なる任意組織ですので、あくまでも自主防災組織に加入している人をどうやって守るのか、を基礎にしてください。加入していない人を相手に考える必要はないのです。
 自主防災組織に加入している人達が、お互いにできる範囲でできることをして助け合うだけでいいと考えると、何となく肩の荷がおりませんか。
 自主防災組織を難しく考える必要はありませんん。地域の人間関係がしっかりと生きているなら、存在しなくてもいいくらいの組織であり、あくまでもお互いをできる範囲で助け合うために作られているのです。
 できることをできる範囲で、無理なくやり続けること。
 これからの自主防災組織はそれを前提にして活動計画を作ったほうがいいのではないか。そんな風にお話をしています。