非常用持ち出し袋の非常食のお勧め品

 災害に備えて非常用持ち出し袋を用意されている人は結構いらっしゃるのではないかと思います。
 そして、非常用持ち出し袋で一番悩むものは、恐らく非常食をどうするかということではないでしょうか。
 よくあるものとしては、乾パンやクラッカー、ビスケット、あるいはアルファ米や乾燥食品といった保存がきいて軽いもの、あるいは羊羹やチョコレートといった甘みの強いカロリーの高いモノでしょうか。
 これらはそれぞれ非常食にふさわしいものではあるのですが、一つ大きな問題点があります。
 それは食べるのに「水」を必要とするということ。
 不安で口の中が乾燥しているときにこれらのものを食べようとすると、口の中でぱさついてしまうので、どうしても水で飲み込まなければいけないことになりますので、食料としての水ががそれなりに必要となってきます。
 一日3リットルの水を用意しろと言われてはいますが、実際のところ、それだけの水を持って歩くのはちょっと難しい気がします。

 そこでお勧めしたいのは「おかゆ」。缶詰やレトルトパックのものがありますが、おかゆの利点はしっか りと水分が含まれていて食べやすいこと。缶詰もレトルトパックも、封を切ればそのまま食べることができ、食料と水分を同時に摂ることができます。また、夏場の避難ではこれらに含まれた塩分や水分で熱中症を防ぐことも可能です。

 最近防災関係で人気らしいJA北大阪が販売している「飲めるご飯」。避難所での運用を考慮して、特定アレルゲンは使っていないことを明記している。海外向けにココア風味やシナモン風味も用意されている。

 缶詰だと3年~5年程度、レトルトパックだと半年~1年程度の保存期間で、保存期間は缶詰の方が長いのですが、お値段は圧倒的にレトルトパックに分があります。感覚としてですが、缶詰は行政などの住民支援用と考えた方がいいと思います。

レトルトパックのおかゆ。このまま封を切ればパックがそのまま容器になるのが利点。また、このままヒートパックで温めることができるのも強み。

 レトルトパックなら食欲の落ちたときの普段使いや防災週間などで気軽に試せることから賞味期限までに更新し続けることが可能だと思います。
 また、最近は白かゆだけでなく、梅干しかゆや雑炊など、さまざまな種類が発売されていますので、いろいろと試して、自分の好みを見つけておくとよいと思います。
 非常用持ち出し袋の非常食が全部「おかゆ」だとエネルギー量が足りない感じもしますが、水と食料を同時に補給できる食糧として、非常用持ち出し袋の中に加えてみるのもいいと思うのですが、あなたならどう考えますか?

イベント開催の判断を考える

 秋、いろいろなイベントが目白押しの季節となりました。
 同時に、台風や秋雨前線による大雨の季節でもあります。
 気象によるイベントの開催・中止判断は参加者の安全にも関わってくる大切なものですが、具体的に何をどのように見て判断すればいいのでしょうか?
 今回はイベント開催の可否について参考にすべき情報や判断基準を考えてみたいと思います。

1.イベントの性格を考えてデッドラインを決める

 まず、開催の可否を判断するイベントの性格を考えてみます。
 全国から大勢の人が集中するようなイベントの場合には、開催判断は早めに行う必要がありますし、地域の運動会のようなものであれば、当日の朝の判断でも大丈夫かもしれません。
 判断が速いに越したことはありませんが、予測は外れることもありますから、イベント中止による損害と、イベントを開催することにより発生が予測される損害を天秤にかけて判断の行うことになると思います
 他にも昼間やるのか、夜やるのか、宿泊なのか、参加する人はどのような交通手段で来るのか、どのような人が対象なのかなど、開催するイベントの性格によって最終判断をするデッドラインは異なりますので、まずはイベントの性格とここで最後の判断を誰がするというデッドラインを決定しておきます。

2.開催ができなくなる条件を考えてみます

 そのイベントの性格が見えてくると同時に開催できなくなる条件というのも見えてくると思います。
 例えば、川遊びのイベントだと当日の雨はもとより上流で雨が降っている場合や水量が多い場合にはできなくなるでしょうし、屋外の運動会なら雨が降ったらできませんし、地面が水浸しだと開催は難しいでしょう。ホールのコンサートでは、感染症が流行っているときには開催は難しいでしょうし、大風や大雨などによる施設への閉じ込めが起きる可能性もあるでしょう。
 「開催できなくなる条件=開催した場合のリスク要因」と考えて、条件を洗い出してみましょう。

3.開催できなかった場合の代替案を考えてみます

 万が一そのイベントが開催中止になった場合、その後どのようにするのかを決めておきます。
 別な日に改めて開催するのか、それとも完全に中止するのか、それだけでも決まっていると、中止の際にアナウンスがしやすくなります。チケット販売されているものや塾などの習い事の場合には、返金をするのか、別な日に改めて枠を作るのか、あるいはそのままになるのか、この情報を出しておくことで、中止時の問い合わせや苦情をある程度まで減らすことができます。

4.開催できなくなる条件を満たすための情報を決めます

 開催できなくなる条件の洗い出しが終わったら、次にどの情報により開催をしないことを判断するのかを決めます。台風などの予測可能な自然災害の場合、気象庁が5日前に「早期注意情報(警報級の可能性)」を参考情報として発表します。これにより、いつ頃どのようなことが起こりうる可能性があるのかがある程度わかりますし、民間の気象情報会社でも、同じように予測をしていますので、お好みの情報を見つけておくといいと思います。

5.状況を確認していきます

 事前に決めたデッドラインまでに開催ができなくなる条件が満たされそうな場合には、最終判断を行う人の決定で、デッドラインまで待たずに中止を決定してもいいでしょう。
 天気図やアメダス、雨雲レーダーなどの情報や気象予報図、台風などであれば進路予想図などを確認して、いつ頃どのような影響が出るのかを見ていきます。
台風で進路予測に入っている場合、上陸地点の状況を見ることで、イベント会場での感じもそれなりに予測することもできます。
 最近では河川や道路などに自治体が敷設したカメラを見ることができるようになっているところもありますので、それらを見て監視するのもよいでしょう。
 いずれにしても、デッドラインを超えるまでに可否を決定しないといけないということは徹底しておきましょう。迷うようなら中止してしまうのも手です。より安全な方を選択する方が無難だと思います。

 開催するイベント内容によって、開催の最終判断をする情報や決定時期は変わります。
 ですが、「「いつ」「だれが」「どこがどうなったら」中止する決定をする」ということを決めておくだけでも、混乱を防ぐことができます。
 普段とは違うことを行う場合、混乱はどうしても発生します。ただ、判断基準を明確にしたり、どの情報を参考にするのかを決めておくと、混乱の規模を小さくすることは可能です。
 せっかく開催したイベントが災害に巻き込まれるようなことがないように、早めに確実に判断できるように基準を準備しておきたいものですね。

日焼けについて考える

日焼けで真っ赤になった所長の腕。割と繊細らしい。

 今年も暑かったですね。まだ暑さが続くかもしれませんが、もう9月半ばなのでとりあえず過去形を使ってみます。
 気温もそうですが、日差しの強さ。ひなたに出るとあっという間に干からびそうなくらい強烈な日差しでした。
 で、熱中症対策は言われ続けていたわけですが、日差し対策についても意識しておかないといけません。
 美容としてもそうかもしれませんが、夏場の災害での日焼け対策は非常に重要です。
 強烈な日差しのもとで復旧作業などを行っていると、あっという間に日焼けします。
 日焼けは、要するに肌がやけどしている状態なので、状況がひどくなると火ぶくれを起こしたりして病院での処置が必要になる場合がありますが、被災地域内の病院では満足なケアができない可能性があります。
 日焼けは事前に対策が可能な外傷ですから、事前にしっかりと対策をして災害復旧に当たりたいものです。

【本日のお品書き】
1.なぜ日焼けは起きるのか
2.日焼け対策の方法~事前準備~
3.日焼け対策の方法~事後対策~

1.なぜ日焼けは起きるのか

 日焼けが起きるのは、太陽光に人体に有害な紫外線が含まれるためです。
 紫外線が肌に当たると、体の防御システムとして皮膚の表面にメラニンが沈着して肌の色が濃くなり、これを防ぐ効果があります。
 ただ、普段日に当たらない人や肌の弱い人などは、メラニンの沈着が間に合わず、皮膚の内部が紫外線によって焼かれた状態になり、日焼けで起きる「火傷」という状態になります。

2.日焼け対策の方法~事前準備~

 よく言われるのは「日焼け止めを塗る」ですが、日焼け止めは使う人によって体質に合う合わないがありますので、使うのならば事前に目立たない場所に塗る「パッチテスト」を行ってください。
 また、塗り忘れた部分がないように、塗るときにはしっかりと塗っておきます。首の後ろや耳、鼻の頭などは塗るのを忘れやすい上、日焼けするととてもいたい場所でもありますのでご注意ください。
 確実なのは「直射に当たらない」こと。
 長袖、長ズボンはもとより、つばの広い麦わら帽子等を被り、首の後ろはタオルや手ぬぐいなどで直射に当たらないようにします。発汗製素材+冷却素材を使った服であれば、暑いさなかであってもさほど問題なく過ごすことができると思います。
 特に災害復旧をする場合には、日焼けだけで無く怪我の防止のためにも、肌の露出は防ぐ必要がありますので、肌を出さないように意識しておきましょう。

3.日焼け対策の方法~事後対策~

 日焼けしてしまうことはよくあることではありますが、例えば焼けた場所が真っ赤になったりひりひりしたりする場合があると思います。
 これは日差しによる火傷ですので、まずは冷やすことが基本になります。保冷剤や氷などで赤くなったりひりひりしたりしている場所をしっかりと冷やしましょう。
 火照っている程度でも油断は禁物。炎症が起きている状態なので、とにかく冷やすことを心がけてください。よく使われているジェルタイプの冷却剤、たとえば「冷えピタ」などは、人によってはかぶれを起こしたりすることもあるので、こういうときには使わない方が無難です。
 また、水ぶくれになったりすることもありますが、うかつに破ると感染症の心配がありますので、しっかり冷やした後は病院の受診をお勧めします。
 火照りやひりひりがある程度収まったら、保湿効果のある化粧水などをたっぷりと肌にやさしく付けていき、肌荒れしないようにケアしておきます。
私自身は面倒くさがりなので、以前は痛いまま放っていたのですが、肌の状態を見かねた知り合いの薬剤師さんに勧められ、資生堂の「カーマインローション」というのを冷やしておいて、真っ赤になったりひりひりしたり、火照っていたりする場所にしっかりと塗るようにしています。

この「カーマインローション」、炎症を抑える成分も配合されているそうで真っ赤になった部分も割としっかり痛みが取れます。
体質によるものもあるのでしょうが、私の場合にはあっているようで、日焼けしたときにはよくお世話になっています。値段も安くて非常にいい製品だと思うのですが、なぜか周りでは見かけることがないのが残念です。

資生堂 カーマインローション N(260mL)【資生堂】

価格:378円
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 繰り返しますが、日焼けは火傷と一緒です。
 日に焼けるのは仕方ありませんが、なるべくひどいことにならないように防護を忘れないことと、日焼けした後のケアをしっかりすることで、日焼けによる体へのダメージを減らすことはできます。
 きちんとしたケアをして、今シーズンの残りと、来シーズン以降の酷暑も乗り切るようにしたいものですね。

避難保険ができるかもしれません

 今日のNHKニュースの中で、災害時に避難するためのタクシーやバスを手配・避難できる保険が作れないかあいおいニッセイ同和損保さんが検討しているというものがありました。
 この保険、とりあえず検討段階だそうですが、同じようなことを考える人がいるものだなとすこしうれしくなったので記事にしておこうと思います。
 当方の記事では、出産時の予約タクシーの考え方を災害時に応用できないかという軽い発想程度のものでしたが、今回のニュースの内容は、災害時の避難に出動したタクシーやバスの運賃を保険で賄うという画期的なもの。
 タクシー会社やバス会社への支払いの金額や頻度にもよりますが、これは商売になるのではないかと思います。
 今回は県立広島大学大学院の江戸教授の提案に保険会社が検討を始めたということのようで、避難するときに運転手が災害に巻き込まれたりしたらどうするかや、避難開始のタイミングや避難先、避難するための車両が確実に確保できるかなど問題も山積のようです。
 ただ、行政が手配するのでは無く、損害保険の一つとして、いざというときに避難するための手段が確保できるということは非常にありがたいと思います。保険は何か起きた後に使うというイメージがありますが、何か起きるのを未然に防ぐというのもこれからの保険に求められる仕事なのかなとも思います。
 西日本豪雨で避難しなかった人の意見の中では、「避難するきっかけがつかめなかった」「避難する手段が確保できなかった」「避難したくてもできなかった」といった意見が、特に高齢者や要支援者の方から出ていたようですが、強制的に迎えに来てくれるのであれば、少なくとも避難するタイミングやきっかけ、避難方法は確保できそうです。
 要支援者の方の場合には介護タクシーや支援サービスの車両でもよいと思いますし、あらかじめ指定しておいた近所の人に対してでもいいと思います。
 なるべく多様な窓口を確保してもらって、多くの人が安全に避難できるようになればいいなと思います。
 もっとも、多くの人が無事に避難所に避難できたら、今度は避難所のさまざまな問題が立ちはだかっているのですが・・。

災害にあったらどうするかの対応をまとめてみた

 災害にあった後何から手を付けたらいいかというのは悩むものです。
 参考になるかどうかはわかりませんが、当研究所で以前に書いた記事をまとめたものを作ってみましたので、気になった記事があればご覧ください。

20181216 災害時の情報の集め方

20181218 被災物件の調査と証明のあれこれ

20190121  り災証明書・被災証明書の使い道

20190122 通電火災を防ごう

20190423  家にある飲料水を探そう

20190602 蚊対策を考える

20190622 懐中電灯を即席ランタンにする方法

20190628 災害後は子どもの過ごせる場所を作っておく

20190707 災害保険の申請は自分で行うこと

20190810 寝床に使える段ボール

20190821 口腔ケアに気をつけよう

20190831 家屋が浸水した後の処理

20190917 生ゴミの臭いを消すあれこれ

その後の防災ポーチ

 以前に防災ポーチ研修を受けたことを書いたことがあります。
 あれから半年。我が研究所の防災ポーチはどうなっているのか、少し気になったので当時同行したS研究員に尋ねてみました。
 彼が取り出したのは、非常用持ち出し袋。防災ポーチはその中に入っていました。
 普段は出かけるときに持ち出すカバンに入れ、帰ってきたら非常用持ち出し袋に戻しているそうです。

最初に作った防災ポーチ。必要最低限のものが組まれている。
S研究員の防災ポーチ。小銭に1円、5円が混じっているのは買い物の時に必要と判断したためとのこと。

 中を拡げてみると、彼なりにカスタム化されたアイテムが追加されています。
 鉛筆と消しゴム、小銭、それにハイドロコロイド素材の絆創膏。あとはガム。
 半年間の運用実績で、自分が必要とするものを組み込んで使いやすくしてきているようです。
 ただ、あめ玉に関しては夏場に溶けてしまうので入れておくのが難しいという話で、代わりにガムを追加しているということでした。
 カロリー0のあめ玉は入れていても溶けないそうですが、目的考えると役に立たないということをぼやいていました。
 ラムネ菓子や他のもので代用することも考えた方がいいかもしれませんが、そこらへんは現在試行錯誤討をしているようです。
 ともあれ、持ってあるか無ければ意味が無い防災ポーチ。
 使っているうちにだんだんと取捨選択が進んでいくようです。
 ちなみに、所長の防災ポーチは殆ど中身が変わっていませんが、消耗品は入れ替わっています。
 普段使いできるものを入れておけば、使用期限をあまり考えること無く使えますから、一度作ってみることをお勧めします。
 中身については、防災ポーチ作り講座の項を参考にしてください。

台風の時の風対策

 台風シーズンです。
 台風の勢力については以前にも触れたことがありますが、今回は風対策に特化して考えてみましょう。
 風対策で最初に出てくるのは、家の周囲のお片付け。
 台風の時には普段とは違う風が勢いよく吹き付けてくるので、家の周囲に置いてある植木鉢やバケツ、物干し竿、段ボール箱といった普段はなんともないようなものが勢いよく飛んでいったりします。
 そのため、屋外に置かれたこれらのものは、屋内に収納するか飛んでも周囲に迷惑をかけないような場所に収納しておく必要があります。
 次に、雨に備えた雨樋の掃除と点検もしておく必要があります。
 雨樋に詰まっているゴミの撤去はもちろんですが、取付を確認し、強風によって外れたり壊れたりしないかを点検しておきましょう。飛びそうだったり壊れそうな感じなら、いっそ撤去して、台風が過ぎてから修繕するのも方法です。
 また、窓ガラスの飛散防止についても必要です。
 合わせガラスや飛散防止フィルムが貼り付けられていればよいのですが、そうで無い場合、布テープを窓ガラスに「米」状に貼り付けて万が一窓ガラスが割れても破片が飛散しないようにしておきます。細かいところは以前触れていますので、そちらをご確認いただければと思いますが、できれば厚手のカーテンやブラインドなどを閉めて、もし破片が飛び散ってもカーテンなどで止められるようにしておきましょう。
 それから、台風シーズンに入る前にはテレビアンテナの点検を忘れずにしてもらっておきましょう。
 台風が来ると、かなりの確率でテレビアンテナが破損することがありますが、これは経年劣化により起きることが多く、定期的な点検と交換で破損を未然に防ぐことが可能です。
 ここまで見ていただけば分かると思いますが、風で被害を出さないためには、とにかくものが飛ばないようにしておくことです。台風の進路はかなり精度が高く予測されていますから、発表される台風情報を元に早めに手を打つようにしましょう。
 最後に、不用意に出歩かないことも大切です。
 風速15m/sを超える風になると、歩いている人でも風に逆らって歩くことが難しくなります。
 気象庁が風速と人や建造物への影響を一覧表にしていますので確認していただきたいのですが、台風などで突風を受けると、風に飛ばされて建物にたたきつけられてしまうことも起こりえます。
 そのため、必要なものがあればあらかじめ準備しておき、台風の勢力圏内にいる間は外出は止めましょう。

ちょっと便利な水電池

 あなたは乾電池についてはどのように備えをされていますか?
 長期保存に対応している乾電池「エボルタ」や充電池である「エネループ」、あるいはローリングストック方式で電池を確保されていると思いますが、今回は水電池をご紹介したいと思います。

20年未満は大丈夫とあるが、製造年月日が書かれていないのでできてどれくらい経過しているのかがこの製品ではわからなかった。新しいものでは改良されていてほしい。

 写真の水電池は、地元のスーパーの店頭にずいぶんと長い間置かれていたもので、ごらんのとおりパッケージはすっかり色あせてしまっています。
 この水電池をこの店で最初に見たのは東日本大震災の後だったと記憶していますので、それが本当なら8年は経過している計算になると思いますが、この電池はそれでも問題なく使うことができるようです。
 「20年未満の長期保存が可能」と大々的に表示されており、これだけ色あせているにもかかわらず定価販売されていました。
 この水電池、使うときには同封のスポイトで何らかの水分を電池に注ぐだけ。それだけで水電池は発電を始め、使うことができるようになります。
 電池が切れても水分を注ぎ直せばまた発電を再開してくれ、少なくとも2~3回は繰り返し使うことが可能だとパッケージには記載されています。
 水分ですので、飲料水で無くても、雨水やどぶ川の水でも大丈夫ですし、水に限定しませんのでお茶やジュース、小水でも発電を行うことが可能なようです。
 難点としては、発電量が小さいこと。懐中電灯で普通の乾電池と比較すると明らかに暗いです。構造上マンガン電池に近いので、アルカリ電池を推奨しているような機材には向かないと思います。
 ただ、保存期間も長く放電現象も液漏れも起きない非常に便利な水電池。値段も手頃ですし、先日の台風15号のような長期間にわたる停電のような状況だと、水分さえあれば使える水電池は非常に助かるのではないかと思います。

災害時用 水を入れるだけで使える電池!NOPOPO 水電池 単3形3本パック NWP-3-D

 もしも見かけることがあったなら、普通の電池に追加してこの水電池も一組準備しておくとよいのかなと思います。そしてその時には「購入年月日」を記載しておくことも忘れないでくださいね。

リュックサックを背負いやすくする

 防災用リュックサックは、非常に持ち歩きがしにくいものが多いです。
 最近でこそだいぶ改良されてきてはいますが、背中に当たる部分や肩に食い込みやすい構造など、やっぱり背負いにくいというのが私の印象です。

市販品の子ども用非常用持ち出し袋。胸当てなのか腰ベルトなのかわからない位置にチェストベルトがついている。

 登山用のリュックサックなら、元々荷物を入れて歩くために設計されたものですから、少々の重量物を入れても問題なく歩くことができますが、デザイン的に普段使いできるものが少ないなと言う印象を受けます。
 街中では、かわいいリュックサックを見かけることも多いのですが、これらのリュックサックは、デザイン重視のために中にものを詰めて歩いたときに非常に重たく感じることが多いです。
 リュックサック全体のバランスの問題もありますし、リュックの重量を全て肩で受けるような構造をしているので、長い距離を重たいものを入れて歩くのには向きません。
 また、背中に当たる部分を保護するものが無いためにリュックサックの中身が背中に直接当たって痛い思いをすることもあります。
 重たいものを入れて歩く登山用リュックでは、こうした点の対策が取られていて、腰を固定するベルトや胸当て、背中板や肩パットがついていて歩きやすくするための工夫がされています。

 でも、腰ベルトや胸当てがついていないリュックサックでも、上の写真のような「チェストストラップ」というアイテムを肩ベルトに固定することで、胸当てや腰ベルトを作り出すことができます。この写真では胸当てとして取り付けています。

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 また、登山用で無いリュックサックは肩ベルトのパットがないか薄いため、リュックサックの重量が増えると肩にベルトが食い込んで痛いです。この食い込みを押さえるためのアイテムは「肩パット」。

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これを装備すれば、安いリュックサックでもある程度までは使い勝手の良いものに修正することができます。
 また、背中の部分はバックパックパッドというアイテムを使ったり、リュックサックの背中側に新聞紙や段ボールを入れておくことで痛いのを防ぐことができます。
もしお気に入りのリュックサックがあるのなら、こういった製品を使ってお気に入りをより使い勝手の良いリュックサックにするのも面白いのでは無いかと思います。

募金する先を考える

 災害が続くと、さまざまなところに募金の窓口が開設されますが、窓口の数が多すぎてどこへ募金すればいいのか悩むことも多くなってきました。
 東日本大震災のような大きな災害が起きると、街頭募金がめったやたらと増えて募金する人が募金疲れしてしまうようなことも起きたりします。
 また、募金した人の思いと募金が使われる目的が違っていたりすると、募金した人の違和感が発生したりすることも起きます。

そこで、今回は募金の窓口とその性質について考えてみたいと思います。

【本日のお品書き】
1.募金とはなんぞや?
2.募金の方法と募金先
3.思いと募金する先を一致させるためには

1.募金とはなんぞや?

 募金とは「浄財」、平たく言うと「お金の寄付」です。
 いろいろと大変な思いをしている人たちを助けたいけれど、一人でできる寄付金の金額はしれています。ですが、さまざまな人たちの寄付を集めればまとまったお金となって人助けができるため、共同募金会などの大きな公益法人は常時「募金」という形でお金を集めています。
 災害が起きると、あちこちの組織や団体がその災害限定の募金が立ち上げられることがあります。
 被災地で必要なものは時間や状況の経過によってめまぐるしく変わっていくため、物資を送るよりも募金として現金で届く方がより現地のニーズに合った対応が可能になることが多いです。
 被災地で物資が欠乏するのは、殆どの場合物資の輸送手段に問題が発生しているためなので、自分たちでの直接持ち込み以外の場合には、物資よりも義援金の方がいいと私自身は考えています。

2.募金の方法と募金先

 募金の方法は大きく分けると「募金箱による街頭募金」「寄付口座に振り込む」にわかれます。
 街頭募金はお手軽ですが、やっている団体や個人がいただいた募金をきちんと届けてくれるのかという疑問は残ります。街頭募金に募金するときには、集まった募金をどこへ届けるのかについて、募金する前に確認した方がいいかもしれません。
 街頭募金の届け先は、共同募金会か日本赤十字社になることが多いです。
 これらの団体は集まった募金をきちんと届けてくれるという信頼と実績があり、手続きも簡単なため、さまざまな募金が集まりやすくなっています。
 寄付口座への振り込みは、振り込み手続きをするという手間はかかりますが、間違いなく自分の思う募金先に募金ができるというメリットがあります。最近では被災自治体による「ふるさと納税」やNPOによる「クラウドファンディング」でも災害への募金が設定されることが増えてきており、より思いに即した対象に募金することが可能になってきています。また、募金する先によっては確定申告時の税額控除が受けられるようなものもあります。
 また、AMAZONでは「欲しいものリスト」というシステムを準備しています。
 これは東日本大震災や熊本地震のような大規模災害時、物流回復後に運用されるもので、避難所から出された「欲しいものリスト」の中の品目を支援者が購入すると、該当商品が避難所に届くようになっており、避難所のニーズと支援物資が一致しやすいという利点があります。
 大きな災害時にはそちらを確認してみるのもいいと思います。

3.思いと募金する先を一致させるためには

 募金する人にはさまざまな思いがあります。そして募金を届けるところにもやはり思いがあります。
 募金を届けるところがどのようなことを考えているのかは、それぞれのホームページを確認してみるとよくわかります。
 一般的には大きい組織は全体に広く浅く、特定のことを目的とする組織は狭く深く支援を行います。
 あなたが何のためにその募金をするのかを一度考えてもらって、あなたの思いに沿った組織や団体に募金し、効率的に募金が使われるように考えていただければと思います。