イベント開催の判断を考える

 秋、いろいろなイベントが目白押しの季節となりました。
 同時に、台風や秋雨前線による大雨の季節でもあります。
 気象によるイベントの開催・中止判断は参加者の安全にも関わってくる大切なものですが、具体的に何をどのように見て判断すればいいのでしょうか?
 今回はイベント開催の可否について参考にすべき情報や判断基準を考えてみたいと思います。

1.イベントの性格を考えてデッドラインを決める

 まず、開催の可否を判断するイベントの性格を考えてみます。
 全国から大勢の人が集中するようなイベントの場合には、開催判断は早めに行う必要がありますし、地域の運動会のようなものであれば、当日の朝の判断でも大丈夫かもしれません。
 判断が速いに越したことはありませんが、予測は外れることもありますから、イベント中止による損害と、イベントを開催することにより発生が予測される損害を天秤にかけて判断の行うことになると思います
 他にも昼間やるのか、夜やるのか、宿泊なのか、参加する人はどのような交通手段で来るのか、どのような人が対象なのかなど、開催するイベントの性格によって最終判断をするデッドラインは異なりますので、まずはイベントの性格とここで最後の判断を誰がするというデッドラインを決定しておきます。

2.開催ができなくなる条件を考えてみます

 そのイベントの性格が見えてくると同時に開催できなくなる条件というのも見えてくると思います。
 例えば、川遊びのイベントだと当日の雨はもとより上流で雨が降っている場合や水量が多い場合にはできなくなるでしょうし、屋外の運動会なら雨が降ったらできませんし、地面が水浸しだと開催は難しいでしょう。ホールのコンサートでは、感染症が流行っているときには開催は難しいでしょうし、大風や大雨などによる施設への閉じ込めが起きる可能性もあるでしょう。
 「開催できなくなる条件=開催した場合のリスク要因」と考えて、条件を洗い出してみましょう。

3.開催できなかった場合の代替案を考えてみます

 万が一そのイベントが開催中止になった場合、その後どのようにするのかを決めておきます。
 別な日に改めて開催するのか、それとも完全に中止するのか、それだけでも決まっていると、中止の際にアナウンスがしやすくなります。チケット販売されているものや塾などの習い事の場合には、返金をするのか、別な日に改めて枠を作るのか、あるいはそのままになるのか、この情報を出しておくことで、中止時の問い合わせや苦情をある程度まで減らすことができます。

4.開催できなくなる条件を満たすための情報を決めます

 開催できなくなる条件の洗い出しが終わったら、次にどの情報により開催をしないことを判断するのかを決めます。台風などの予測可能な自然災害の場合、気象庁が5日前に「早期注意情報(警報級の可能性)」を参考情報として発表します。これにより、いつ頃どのようなことが起こりうる可能性があるのかがある程度わかりますし、民間の気象情報会社でも、同じように予測をしていますので、お好みの情報を見つけておくといいと思います。

5.状況を確認していきます

 事前に決めたデッドラインまでに開催ができなくなる条件が満たされそうな場合には、最終判断を行う人の決定で、デッドラインまで待たずに中止を決定してもいいでしょう。
 天気図やアメダス、雨雲レーダーなどの情報や気象予報図、台風などであれば進路予想図などを確認して、いつ頃どのような影響が出るのかを見ていきます。
台風で進路予測に入っている場合、上陸地点の状況を見ることで、イベント会場での感じもそれなりに予測することもできます。
 最近では河川や道路などに自治体が敷設したカメラを見ることができるようになっているところもありますので、それらを見て監視するのもよいでしょう。
 いずれにしても、デッドラインを超えるまでに可否を決定しないといけないということは徹底しておきましょう。迷うようなら中止してしまうのも手です。より安全な方を選択する方が無難だと思います。

 開催するイベント内容によって、開催の最終判断をする情報や決定時期は変わります。
 ですが、「「いつ」「だれが」「どこがどうなったら」中止する決定をする」ということを決めておくだけでも、混乱を防ぐことができます。
 普段とは違うことを行う場合、混乱はどうしても発生します。ただ、判断基準を明確にしたり、どの情報を参考にするのかを決めておくと、混乱の規模を小さくすることは可能です。
 せっかく開催したイベントが災害に巻き込まれるようなことがないように、早めに確実に判断できるように基準を準備しておきたいものですね。