一昨年くらいから、石西地方でも土砂災害特別警戒区域、これを「レッドゾーン」と呼ぶそうですが、その指定についての説明会が進められています。
現在は土砂災害警戒区域というのが指定されているのですが、このうち家などの建築物に損害がでそうな区域を土砂災害特別警戒区域として指定をし、建築制限などの規制を行うことになったそうです。
現在の土砂災害警戒区域を「イエローゾーン」、土砂災害特別警戒区域を「レッドゾーン」として指定し、被害を未然に防ぐ対策を取っていくとのことで、人的被害の防止を最優先に取り組んでいくとのことでした。
自分が住んでいる場所や地域がイエローゾーンやレッドゾーンに当たっているかどうかは、市町役場や支所、一部公民館、島根県の各県土整備事務所に備え付けてある地図で確認ができるそうです。
また、島根県の運営する島根県危険箇所検索システム内の「土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域」でも地図の確認が可能だそうですので、一度確認をしておくことをおすすめします。
イエローゾーンやレッドゾーンは大雨が降ったときなどに土砂崩れや地滑りが起きる可能性の高い地域ですので、もしもあなたの住んでいる場所や避難経路にこれらの土地が含まれていた場合には早めの避難や避難路に組み込まないなどの対策が必要となってきます。
なお、イエローゾーン、レッドゾーン等、土砂災害防止法の細かい内容については島根県土木部の該当ページのリンクを張っておきますので、そちらをご確認いただければと思います。
投稿者: 所長@管理人
【活動報告】避難訓練を見学させていただきました【益田市立高津小学校】
10月23日に益田市立高津小学校で実施されました避難訓練を見学させていただきました。
この避難訓練は毎年されているそうですが、去年から定型通りのものではなく、実際に災害が起きて避難したらどうなるかということで、想定に基づいて避難先まで避難する訓練をされているそうです。
今回の想定は地震から津波が発生、4分以内に屋上へ避難という設定で、実際に屋上まで想定時間内に避難が可能かどうかを確認されていました。
生徒たちの動きはかなり素早く、段取りよく避難がなされていましたが、狭い廊下で人が合流する場所ではどちらが優先になるのかを迷ったり、各所の点検で未確認の場所があったりと、予定調和ではない訓練なのでさまざまな小さな問題が起きていました。
これらの問題を解決することで、より確実に避難できる、安全確保をすることができる方向に進んでいくとよいなと思います。
人間はやったことしかできないし、知っているだけでは実際には動けないものです。本気で実施する訓練は駄目出しの繰り返しですので、どんなに回数を重ねても完璧ということはありません。 難しい想定はいらないと思いますが、誰もが何か起きたとき、無駄のない動きと判断を行えるようになるといいなと思います。
お忙しい中、見学について快諾いただきました益田市立高津小学校の大橋校長先生、担当の岩田先生始め各先生方と生徒の皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。
スマートフォンを使うための3点セット
災害時には、ネットワークが寸断されなければスマートフォンをはじめとする通信情報端末は非常に役立つものです。
でも、情報をとり続けていると、電池切れを起こす心配があります。
そこで、防災用品の準備では充電池が推奨されているわけですが、あと二つ追加しておくといいなというものがあります。
一つは、充電用ケーブル。
当たり前のような気がするのですが、この充電用ケーブル、案外と忘れることが多いものです。 最近はずいぶんと規格がそろってきてはいますが、それでもマイクロUSBのAタイプ、Cタイプ、iphone用のライトニングケーブルなどいろいろな種類があり、いざ人に借りようと思ってもなかなか貸してもらえないものでもあります。 充電池と充電用ケーブルは自分のスマートフォンの充電口の形状にあったものをきちんと用意しておくことです。
最後はイヤフォン。
スマートフォンのスピーカーを使い続けていると、その音が他の人に迷惑をかけることもありますが、イヤフォンを使うことで、自分が必要な情報を自分の好きなときに聞くことができるという利点があります。
また、スマートフォンによっては、このイヤフォンを使うことでそれを受信アンテナ代わりに使うことができる機能を持っているものもあるようです。
これらを一つの袋に入れて普段から持ち歩くようにしておくと、いざというときも慌てなくてすみますよ。
余裕があれば、これにUSB付きコンセントを加えると、避難所で許可があれば充電することだってできます。
せっかく準備するのでしたら、それを使えるような装備も一緒に用意しておけるといいですね。
くどいようですが、防寒の考え方
日中日差しがある間はまだ暑いときもありますが、だんだんと寒くなってきました。
寒い時期に災害が起きると、その寒さが最大の敵となります。
寒さを感じないためには、焚き火などの大きな熱源の近くにいるか、暖かい食事や飲み物などで体内から暖めるか、それとも体から発生する熱を逃がさないようにするかというどれかになりますが、避難所の運営開始時点では、一番有力なのは体から発生する熱を逃がさないことが自分でできる一番の寒さ対策です。
そのためにはどうすればいいのか。
それは体の周りに空気の層を作り、その空気を体温で暖められるように風が当たらないような対策をしておくことです。
よくある羽毛のジャケットなどは、別に羽毛尾が暖かいわけではなく羽毛の間にある空気が体温で暖められて暖かく感じるのです。ですから、羽毛の入っている防寒着を着るのであれば、その羽毛を潰さないような着方をしないと意味がないということになります。
風が当たらなければ体の周りの空気の層は逃げないわけですから、雨合羽でも充分に保温ができます。使い捨て雨合羽で激しい動きをした後にカッパの中が蒸し風呂になってしまうのでは保温がしっかりとできているからなわけで、これを利用しない手はありません。
薄い服でも、重ね着をすれば服と服の間に空気の層ができるので、分厚い服一着よりも保温効果が高いこともありえます。
もしそれもなければ、大きなゴミ袋に頭を出す穴を開けてそれを上着としてきてみたり、新聞紙を着てみることもいいかもしれません。
とにかく風を防ぐことと、体から出る熱を逃がさないこと。
頭なども面積が広く毛細血管も多いですから、しっかりと保温をしておきましょう。
この対策をした上で、できることなら体がしっかりと熱を作れる食べ物や飲み物を取れば、ある程度までなら充分に防寒ができていると思います。
飲み物は、あまり取り過ぎると用足しの回数が増えてそのときに排泄物が体の熱を持って出たりするので、取り方に気をつける必要があります。
ドラマなどで出てくるような肌を合わせて体温を確保するという方法は、あまり現実的ではありませんのでご注意ください。
また、毛布やエマージェンシーシートがある場合には、体→毛布→エマージェンシーシートという風に、空気の層を確保できる順番で身にまとうようにしてくださいね。
子どものお出かけセットはすぐ使えるようにしておこう
子どもがある程度の年齢になるまでは、着替えやおむつ、ミルクやちょっとしたおやつ、お茶、おもちゃといったものを一つの袋にまとめて入れて、子供用のお出かけセットを作っているのではないでしょうか。
このお出かけセット、持ち歩くのは少々面倒くさいところはありますが、いざというときに子どもの命を守る大切な仕事をしてくれます。
子どもの年齢や性別、好みによって準備するものがかなり変わるので一概に何を準備しろということは書けないのですが、子どもの衣食住を一つのバッグに収まるように、おそらくは無意識で準備されていると思います。
着替えやおむつ、ミルクや毛布などをセットされたバッグは結構かさばりますし重量もありますが、いざというときにこれがあれば子どもの命を数日確実に守れるので、精神的にかなり楽になると思います。
小さな子は思った以上に保守的な生き物です。避難などで生活環境が変わって普段食べ付けないものを食べさせられると、こどもが異変を感じて落ち着かなくなり、泣いたり寝なくなったりして、親も一緒に参ってしまう状況になるかもしれません。
それを防ぐためにも、お出かけセットには普段から慣れているミルクや食べ物を入れておくようにします。
最近話題の液体ミルクですが、子どもさんによって口にあわないかもしれません。でも、飲み慣れたミルクを与えられるように準備しておけば、子どもは安心して飲み慣れたミルクを飲むことができます。
おむつや着替え、毛布などの寝具も同様で、使い慣れたものが一番安心です。
ある程度の年齢になるまでの子どもさんがいる家庭では、お出かけセットを大概の場合準備されていると思うので、いざというときに備えて、帰宅したら使用したものを補充して、次のお出かけに備えておくとよいですね。
過去の歴史を紐解いてみる
災害が発生するたびに「想定外」という言葉が飛び交っていますが、それは本当でしょうか?
例えば、水害が起きている地域の歴史を紐解いていくと、結構な頻度で大規模に水害が発生していることがわかるはずです。
ハザードマップを作るときに「1000年に一度の降水量」で計算していると書かれていたりしますが、この数値はあくまでも統計数値のある百年程度の降水量から計算で「これくらいなら1000年に一度は起きそう」といってはじき出されているものに過ぎません。
過去の歴史資料にあたっていくと、「1000年に一度」の規模の水害が200年に一度起きてたりすることがざらにあります。
これは計算方法が間違っているというよりも、計算できない不確定要素が多すぎるということなのですが、過去の記録が驚くくらい残っているのに、その記録が防災関係ではあまり活用されていないのが実態ではないかと思うことがあります。
過去ばかり見ているわけにもいきませんが、少なくとも歴史を調べることで、過去にどれくらいの水害が起きたのかということはわかりますから、その記録を元にして防災計画を立てることが必要なのではないかと思います。
確かに河川改修や護岸整備で昭和、大正、明治、江戸以前に起きていた水害は起きなくなっているかもしれませんが、どこが切れてどこが浸かったかというような情報は現在でも活用できます。
こんなことを書くのは、今日伺った山口県萩市須佐町にある萩市立須佐歴史民俗資料館「みこと館」というところに展示されていた墨書された床板を見たからです。
この地域は2013年7月23日に水害で大規模に水没しました。そこで再発見されたのが、地元の方から寄贈された一枚の床板でした。この床板に文字が書かれていたために寄贈されたのですが、水害が起きた後、これが過去の水害の記録だったということがわかったそうです。
記録には「文政四年巳七月二十日朝洪水(以下略)」と書かれており、文政4年、1821年にもこの規模の水害が起きた旨の記事が書かれていました。写真撮影不可でしたので、現物はぜひお出かけいただいて見ていただければと思うのですが、千年どころか、二百年前にも同じような水害があったことが被災者本人によって床板に記され、他にもこの文政4年の大水害で被災した場所を示す地図なども見つかっており、そういったものを参考にしていたなら、被害の起き方は変わったかもしれないなと感じました。
歴史というのは案外と馬鹿にしたものではありません。過去の災害を見直すことで、これから起きるであろう災害とその規模もある程度は予測できると思っています。災害関係の対策を行うときには、コンピュータによるシミュレーションはもちろんですが、過去の文献や口伝による被害もきちんと加味して計画を行うべきではないかと考えています。
もし被災してしまったら
被災に対する対策と被災後の過ごし方についていままでいろいろと書いてきていますが、ここでとりまとめてみました。
興味がある項目があればリンクから内容をご確認ください。
「被災後の段取りあれこれ」
「家が浸水したあとの対応」
「気になるがさがさ音」
「口腔ケアに気をつけよう」
「避難所では暖かいものを口にする」
「防塵マスクあれこれ」
「ほうきとちりとりは必須です」
「ゴミ問題を考える」
「災害時の情報収集について考える」
「ろうそくと火災」
「防災から見た衣食住」
防寒には気をつけよう
寒暖の差の激しい時期になってきました。
夜中の気温は一桁台でも、日中の気温は二十五度前後と、一日の間に二十度以上の差がある日もありますので、健康状態には充分に気をつけていただければと思います。
そんななかで気をつけたいのは「体を冷やさないこと」です。
風に当たらないことはもちろんですが、体から発生した熱を逃がさないことも大切です。
例えば、避難所での生活で、床がもし板張りやコンクリートなどの冷たさを感じる素材であれば、新聞紙や段ボールを体との間に入れるだけでも体感温度がずいぶんと変わります。
体には毛布やエマージェンシーシートなどを巻き付けることで熱を逃がさず、体の周りの空気を体温で暖めて、ぽかぽかと過ごすことができます。
服装でも同じことで、羽毛を使ったダウンジャケットが暖かいのは、別に羽毛が暖かいのでは無く、羽毛が保持している大量の空気が体から熱が逃げ出すのを防ぐことで暖かさを維持できているのです。
服も同じで、厚手の服を一枚羽織るよりも薄手の服を重ね着する方が体温の保持はしやすいです。
薄手の重ね着でもう一ついいのは、気温の変化による体温調整をしやすいこと。暑ければ脱いでいけばいいですし、寒ければ着込めばいいわけですから、そのときの最適な温度を維持することができるわけです。
もちろん、体の内部から温めることも大切ですので、お鍋や汁物などの温かい食事をしっかりと取るようにしましょう。ただ、いくら暖まると感じても、お酒は止めた方が無難です。お酒でぽかぽかを感じるのは抹消の血管がアルコールによって広がることで温かく感じるためで、その間に体の熱がどんどん逃げていくので、気がついたら飲む前よりも寒かったという事態に陥ってしまいます。
最後に、頭の保温を忘れないようにしてください。頭は面積もそれなりに大きく、多くの血管が集まっている場所でもあります。できれば毛糸の帽子のようなものを被って、できるかぎりの保温に努めるようにしてくださいね。
【活動報告】防災訓練を見学させていただきました【神田地区防災会】
10月13日に益田市神田地区で実施されました神田地区自治会防災会の防災訓練を見学させていただきました。
今回初めて実施されるということでどのようにされるのかなと思っていましたが、タイムスケジュールにこだわらず、さまざまなことを確認しながら進行されていました。
想定される避難者の誘導や避難所への収容、自治会所有のトランシーバーの不感地域の確認など、手順や問題点を相互に確認しておられ、本番に備えた確認がしっかりされていました。
今回の訓練は主に防災会の役員様方の手順の確認ということで模擬避難者の方々は手ぶらで来ておられましたが、実際にはそれぞれに非常用持ち出し袋を持参してもらうとのこと。
今後それをどのように普及されていくのかが鍵になるかなと感じました。
避難完了後、神田地区のハザードマップを元にした避難について、自治会長様から模擬避難者の方に説明がされ、各組ごとに避難先や避難のタイミングについて決めておいてくださいというお話をされていました。
また、非常食体験ということで飲料水とアルファ米を配られていましたが、模擬避難者の方からはこれらの非常食はどこで買えるのかという質問が出ていました。普段「非常食を準備しましょうね」という説明はしますが、地元での調達先についても知っておいてもらったほうがいいということがわかり、非常に勉強になりました。
最後に消防団の方の指導で土のう作りを体験されていました。
自治会が主体的に実施する防災訓練をじっくりと見させていただいたのは初めてでしたが、さまざまな気づきと発見がありました。
お忙しい中、見学について快諾いただきました神田地区の自治会長様はじめ地区防災会の方々に、この場を借りてお礼申し上げます。
災害対策の準備はしっかりとしておいたほうがいいです。
台風15号と台風19号では関東を始めかなりな被害が出た、というよりも現在進行形で発生しているようです。被災された方には一刻も早い復旧と生活再建がうまく行きますようにお祈り申し上げます。
さて、当研究所のホームページには最近一つの特長があります。
普段は一日数件~十数件のアクセスしかないのですが、今回の大規模台風ではそれぞれ前日、当日に一日で200件から400件という爆発的なアクセスを頂戴しました。
見ていただいていた内容でアクセスの多かったものは「懐中電灯でランタンを作る方法」「ピクトグラムの見方」でした。ピクトグラムは分かるのですが、どうして懐中電灯でランタンを作る方法がそんなにアクセスがいただけたのかが、正直なところさっぱりわからないところです。
正直なことを申し上げると、懐中電灯で簡易型ランタンを作るよりも既製品の電池式や充電式ランタンを準備した方が楽ですし効率的で安定しています。
当研究所では所長を始めさまざまな妙な研究をしているのですが、それはものが無い場合にどうするかというところがスタートで代替品を考えようというもの。
例えば、カセットコンロがあればアルミ缶で簡易コンロを作る必要はありませんし、電池式ランタンが1台あれば、ツナ缶ローソクは必要ないでしょう。
大前提は必要だと思うアイテムをきちんと準備し、それを自分が使えるようにしておくことです。
その上の情報として、当研究所の妙な研究の数々があると思っていただければと思っています。
どんなものでもそうですが、その目的で開発された専用の品には、いくつかの目的を兼ね備えたアイテムは基本的に勝つことができません。ただ、能力の一部を保管できるというのに過ぎないのです。
災害前にたき火の付け方を調べるのであれば、ホームセンターに出かけてカセットコンロを買ってきて欲しいと思いますし、お水を濾過する高価な濾過器を準備するのであれば、ペットボトルのお水を準備しておく方が手軽ですしすぐに使えます。
懐中電灯付きランタンのように、同じような能力のものであれば機能をまとめることもできますが、できることなら専用の品を用意して、非常事態でもできるかぎり生活の質を落とさないように準備しておきたいものですね。