体の熱を逃がさない

 寒くなってくるとさまざまな暖房器具を使って暖をとろうとします。
 ただ、電気を始めとする光熱費がかなりの勢いで上昇していて、思ったように暖房を使えていない方もいると思います。
 身体を暖めるという点だけで考えると、外部を暖めるよりも体の内部の熱を逃がさないようにする方が手っ取り早いかもしれません。
 やり方は簡単で、生地の薄い服を重ね着するだけ。
 薄着の重ね着が温かい理由は、服の間に空気の層ができ、その空気の層が体の熱を外部に逃がさないから。
 厚いダウンなどの上着を着こむよりも動きやすくて暖かいのではないかと思います。
 もしダウン素材のベストを着るのなら、服の上ではなく内側に着るほうが温かさの効果が高くなります。

下着と上着の間にダウンベストを着るとかなり温かい。

 ただ、身体が温まると汗をかいてしまうので、肌着は発汗素材でできていることが理想です。多くの人が使うようになってきた発熱素材の下着でも、発汗機能を持っているものと持っていないものがありますので、買うときには確認したほうがいいと思います。
 上着は、ウインドブレーカーなど風を通さないものを使うとさらに暖かくなります。
 また、半纏やドテラなどを着るのも、内部の厚い綿が外部の空気を遮断してくれるのでお勧めです。
 身体は一度冷やしてしまうと温めるのには非常に苦労します。
 身体を冷やさないこと、つまり体の熱を逃がさない方法を考えてみるといいと思います。

くどいようですが、防寒の考え方

 日中日差しがある間はまだ暑いときもありますが、だんだんと寒くなってきました。
 寒い時期に災害が起きると、その寒さが最大の敵となります。
 寒さを感じないためには、焚き火などの大きな熱源の近くにいるか、暖かい食事や飲み物などで体内から暖めるか、それとも体から発生する熱を逃がさないようにするかというどれかになりますが、避難所の運営開始時点では、一番有力なのは体から発生する熱を逃がさないことが自分でできる一番の寒さ対策です。
 そのためにはどうすればいいのか。
 それは体の周りに空気の層を作り、その空気を体温で暖められるように風が当たらないような対策をしておくことです。
 よくある羽毛のジャケットなどは、別に羽毛尾が暖かいわけではなく羽毛の間にある空気が体温で暖められて暖かく感じるのです。ですから、羽毛の入っている防寒着を着るのであれば、その羽毛を潰さないような着方をしないと意味がないということになります。
 風が当たらなければ体の周りの空気の層は逃げないわけですから、雨合羽でも充分に保温ができます。使い捨て雨合羽で激しい動きをした後にカッパの中が蒸し風呂になってしまうのでは保温がしっかりとできているからなわけで、これを利用しない手はありません。
 薄い服でも、重ね着をすれば服と服の間に空気の層ができるので、分厚い服一着よりも保温効果が高いこともありえます。
 もしそれもなければ、大きなゴミ袋に頭を出す穴を開けてそれを上着としてきてみたり、新聞紙を着てみることもいいかもしれません。
 とにかく風を防ぐことと、体から出る熱を逃がさないこと。
 頭なども面積が広く毛細血管も多いですから、しっかりと保温をしておきましょう。
 この対策をした上で、できることなら体がしっかりと熱を作れる食べ物や飲み物を取れば、ある程度までなら充分に防寒ができていると思います。
 飲み物は、あまり取り過ぎると用足しの回数が増えてそのときに排泄物が体の熱を持って出たりするので、取り方に気をつける必要があります。
 ドラマなどで出てくるような肌を合わせて体温を確保するという方法は、あまり現実的ではありませんのでご注意ください。
 また、毛布やエマージェンシーシートがある場合には、体→毛布→エマージェンシーシートという風に、空気の層を確保できる順番で身にまとうようにしてくださいね。