大雨が収まると待っているのはお片付けですが、作業するときの格好に少しだけ気をつけてもらえると事故が減ると思います。
水害でみんな流れてしまったらあるもので作業をするしかないのですが、できる限り長袖長ズボンで、底の厚い長靴と同じく厚手のビニール手袋、それにマスクとあればゴーグルを着用してください。
というのも、水害で片付けなくてはいけない汚泥にはさまざまな雑菌が含まれており、ちょっとしたかすり傷でも膿んだりすることがあります。
また、汚泥の中には壊れた家具や建具が埋もれていることがあります。それらについている釘や鋲、ねじなどが足や手に刺さると、その部分から破傷風菌が入って破傷風になってしまうこともあります。
破傷風については、以前に「災害ボランティアと破傷風」で少し触れているのでよかったら参考にしてください。
そして汚泥が乾いてくると細かな砂のような感じになって辺りに舞うことになりますから、それが呼吸器や目、鼻と言った粘膜に付着すると結膜炎や炎症を起こしたりします。作業終了後は顔や手をしっかりと石けんで洗ってきれいにしておきましょう。可能であれば、着ていた服もしっかりと洗濯していただきたいと思います。
被災後は衛生環境を維持するのが大変になりますので、なるべく怪我しない、病気にならないための対策を取ることが必要です。
余談になりますが、建物や家具、建具については洗って乾かすことが基本です。特に建物の床下はそのままにしておくとカビの温床となってしまいますので、汚泥をどけたらしっかりと消毒して乾かしておきましょう。
参考までに厚生労働省のウェブサイト「被災した家屋での感染症対策」をリンクしておきます。上記に書いたような内容のより詳しいものや消毒液の作り方なども出ていますので、そちらの記事をご確認いただき、怪我や病気をせずに復旧に向けて進んでいただければと思います。
投稿者: 所長@管理人
水害で被災したら気をつけたいこと
日本のあちらこちらでびっくりするくらいの量の雨が降っています。河川の氾濫や決壊でいろいろな場所で水害が発生していますが、まずは自分の命を守ることを最優先に安全確保をしていただきたいと思います。
そして被災した方にはお見舞い申し上げます。まだ状況が治まらないとも聞きますので、どうぞ体調維持にご配慮ください。
ところで、水害で被災した後にはどんなことに気をつけたらいいのか。
今日はやっておいたことがいいことや、忘れがちなことについて3点だけ触れておきたいと思います。
1.片付け前に写真をたくさん撮っておこう
被災して状況が落ち着いたらまずはお片付けになると思いますが、お片付けをする前に被災したものや場所の写真をさまざまな角度から撮影し、記録を残しておいてください。このときに写真をしっかりと撮っておくと、後で役所の発行する罹災証明書や保険会社の保険申請のときにびっくりするくらい役に立ちます。
罹災証明書の発行や保険会社の保険適用は原則として全て現地調査を行うのですが、大規模災害になると手が回らなくなります。そのため調査が遅くなり、片付け終わった家屋や周囲の状況で罹災状況の判断がされてしまうことになり、いろいろと困ったことが発生します。
ですが写真をしっかり撮影しておくと、申請書にその写真をつけることで現地調査が省略され、証明書や保険金の支払いが早くなることがあります。
また、行政機関でさまざまな手続きをする際にも被災状況の写真があれば説明が非常に早くでき、損になることはありません。お手元のスマートフォンや携帯電話のカメラ機能であらゆる角度からしっかりと被災状況の写真を撮影しておいてください。コツは近くと遠くで撮影すること。全景も忘れずに撮っておいてくださいね。
2.いろんな手続きは自分でしよう
被災地では、各種申請手続きの代行業者が言葉巧みに自分に手続きを代行させるように誘ってくることがありますが、これらの業者にお願いすると多くの場合は異常に馬鹿高い手数料を取られてしまいます。
また、代行業者に頼んだからと言って各種手続きが早くなることもありません。
確かに書類を書くのは面倒くさいですし間違えて怒られるのは面白くないですが、役場の人や保険会社の人に教えてもらえば1時間もかからずに申請手続きをすることができますから、面倒くさがらずに自分で手続きは行うようにしてください
どうしても自分で作るのがいやな人は、代行業者では無く、司法書士や行政書士にお願いしてください。代行業者よりも遙かに安く確実に手続きをしてくれます。
3.家族の記録の処分はちょっとだけ待って
最後に、家族の記録写真やデジタルデータ、絵などが被災しても、復旧できる方法があるかもしれませんから、処分するのはちょっと待ってください。
必要なのは、早い段階でしっかりと乾かすこと。劣化が抑えられれば、写真洗浄ボランティアやデータ復旧サービスなどでなんとかなるかもしれません。
捨てるのはいつでもできますから、お片付けのときに家族の記録については優先して乾かして復旧方法を考えるようにしてください。
水害で被災すると、後片付けに追われてなかなかじっくりと考える時間がとれません。ですが、
1.片付け前にまず写真を撮っておく
2.各種手続きは自分自身でやるか、
もしくは司法書士、行政書士に依頼する
3.思い出の品物は早く乾かせば救えるかも
という3つだけは覚えておいてほしいなと思います。
被災後はあらゆることが一気におそってきます。気力をしっかりと持って、自分のペースで復旧して欲しいと思います。
どうぞご安全に、そして無理はされませんように。
避難情報の再確認
避難情報は現在は「レベル」で表示されるようになっています。
数字が大きくなるほど危険が差し迫っていることがわかるようになっていて、過去の災害で「避難勧告」や「高齢者避難開始」といった言い回しがよくわからないという意見を反映したものですが、結果としてレベルだけでは緊急性が高いのか低いのか一般の方には理解されず、現在はレベルと発表情報の併用で情報が発信されています。
ただ、この言い回しもちょっと難解な感じがするのでもっと簡単ないい方ができないのかなと考えてみました。
一番問題になるのは、レベル3の「避難準備・高齢者避難開始」情報で、この情報、発表されて次のレベルに上がるまでには非常に間隔が空いています。
内容は「このままの状態だと逃げる必要がある場合もありますので逃げる準備してね」という意味なのですが、この次の「レベル4 避難勧告・避難指示(緊急)」になるともう一部地域では災害が起きている状態なので、起きるか起きないかの境界線がレベル3ということになります。
実際のところ、レベル3が出るとレベル4も出る場合が多いので、レベル3がでたら「逃げる準備して安全な場所へ移動開始」と考えると余裕のある避難ができると思います。
このあたりはそれぞれの判断になりますのでこうしろとは言えない部分ですが、早めに逃げてしまえば少なくとも自分の命は確実に守れると言うことだけは確かです。
避難所の開設は各市町村の防災担当課によって判断が異なるために一概に言えませんが、もしあなたが安全だとされている避難所に避難するときには、市町村の防災担当課に連絡しておくと避難所の入り口が開けてもらえることが多いようです。
できれば緊急連絡先にお住まいの市町村役場の防災担当課の電話番号を書き加えておいてください。
ちなみに、レベル4になると災害対応でてんてこまいになりますので、電話はまず通じません。同じ現象は消防でも警察でも起きますので、逃げ遅れたら行政機関に連絡して助けてもらうという発想は捨てた方がいいです。
早めに行動を開始して、空振りでも怒らない。100回逃げて何も無くてもいいんです。逃げるのはあくまでもあなたの命を守るため。面倒くさいとか、今まで起きなかったからといった感覚的な逃げない理由を探さないでください。
そういえば避難する場所についてですが、現在は新型コロナウイルスのことがあって大規模な避難所でも収容人員を押さえる方針が採られています。
避難所はあくまでも行き場のない人に利用してもらい、つてや経済力のある人は知り合いのいる高台のおうちやホテルなどの宿泊施設を使うようにして3密を避けるようにしてください。
また、自然災害は一度に一つしか起きないという保証はありません。
一度に複数の災害が起きるかもしれないと考えて、それでも安全な場所を確認し、早めに避難行動を開始するようにしてください。
水の災害で持って避難してほしいもの
大雨による水害や台風、高潮など水の災害ではいかに安全な高台に避難するかが生死をわけるといっても過言ではないと思います。
自宅が完全に水没してしまう場所や平屋建てなどにお住まいの場合には、場合によっては雨と水の中をかき分けて安全な場所に避難するような場合も出てくると思います。
その際、避難先に絶対に持っていってほしいものをいくつかご紹介しておきます。
これらは安全な場所に避難が完了して初めて役に立つものですが、これがないとせっかく安全を確保できたのにその後に起きてくる問題で死んでしまうことにもなりかねません。
1.乾いた大きなタオル
避難のタイミングでは全身がずぶ濡れになっていることがあると思います。その時に一番怖いのは水分蒸発で身体の体温を持っていかれてしまうこと。
たかが濡れているだけと思われるかもしれませんが、長時間にわたって濡れた状態でいると、身体の体温が蒸発する水によって奪われて低体温症を引き起こすことになります。
安全が確保されたなら、まずは乾いた大きなタオルで全身をしっかり拭くことが非常に大切です。
2.乾いた長袖長ズボンへの着替え
身体を拭き終わったら、速やかに乾いた服に着替えることが必要です。
プール也海などで身体が冷え切ったときのことを考えていただければわかりやすいと思いますが、まずは身体の水気を拭き取ること、そして乾いた服に着替えること。
これだけで身体がずいぶんと温まったのではないでしょうか。
大雨の中での避難でも一緒で、ずぶ濡れになったらまずは水気を拭き取ること.次に乾いた服に着替えることが必要です。
手足の先まで暖かい血を循環させてやる必要がありますから、まずは長袖長ズボンで身体を温めることを意識してください。
女性の場合にはスカートでもいいのですが、できるだけ暖かい空気の層を身体に近いところに作ってやった方がいいですので、スカートを着用するのであれば、その下に暖まるまででいいので長ズボンを着用するようにしてください。
3.携帯カイロ
冷えている身体を外部からの熱で温めることは命を守るための生命線になります。
携帯カイロは、身体を温めるだけでは無く、後述する飲料水を人肌程度に温めたり、非常食を暖めたりと、さまざまなものを暖めるのに使うことが可能です。
小さくて身体等に貼り付けることができるようになっているものを数個、持っていくようにしてください。
3.飲料水
必死になって避難をするときには気がつかないことが多いのですが、さまざまな理由から身体から水分が結構消費されていることが多いです。
そのため飲み水を準備しておきましょう。スポーツドリンクは糖分が高く、避難直後に飲むのであればいいのですが落ち着いてくると余計な糖分がのどの渇きを産むことになってしまいます。また、紅茶やコーヒーは利尿作用が高いですので、飲むと逆に脱水症状を起こすこともありえます。
そのままで飲め、飲むこと以外にもいろいろと使える飲料水を準備しておきましょう。政府の推奨は一人一日二リットルですが、ご自身の体力や水を飲む量などを考えて、持って移動できるくらいの量にしておいてください。
4.非常食
水害で避難した場合、すぐに水が引くことはあまりなく、少なくても半日以上は避難を続ける必要があります。
どうしてもお腹がすいてきますから、何らかのお腹に貯まる非常食を準備しておきましょう。
アルファ米やシリアルバーだけでなく、パンやインスタント食品でも構いません。
ただ、水でも戻せるものであることが大切です。二食分くらいあれば、とりあえずはひもじい思いをしなくてすむと思います。
5.携帯ラジオ
水害発生時には状況が刻一刻と変化していきます。リアルタイムの情報は難しいかもしれませんが、耳だけで聞き取れて避難中でも動きを止めなくてすむ携帯ラジオはぜひ準備しておいてください。
携帯テレビやスマートフォンではどうしても画面を確認するために動きを止める必要があるので、避難行動中は安全な場所以外で画面を確認するのは止めるようにしましょう。
6.エマージェンシーシート
名称だけではなんのことかわからない人も多いと思いますが、銀色や金色の薄い素材でできていて身体に巻き付けることができる道具だと考えてくだされば結構です。
これは断熱効果がありますので、首から下の身体を覆うことができれば、身体の熱を逃がさずに暖かく過ごせる優れものの道具です。
本来は空気を貯め込めて床に敷いても上にかけても包まれても大丈夫な毛布をお勧めしたいのですが、濡れてしまうと役に立たないという致命的な問題があるため、軽くて保温力があるエマージェンシーシートを持っていくことをお勧めします。
7.新聞紙
新聞紙は水気を取ったり暖を取ったりするのに非常に役立つアイテムです。
また、床に敷けば簡単な断熱材としてもクッション材としても機能してくれます。
一日分から二日分あると、いろいろなことに使えて非常に便利です。
他にもさまざまなアイテムがあれば避難した先での生活は非常に快適になっていきますが、とりあえず今書いたものがあれば、避難した先でも安全を確保することはできると思います。
ここで書いたさまざまなアイテムは、水害に限らずさまざまな災害でもきっと役に立つことは間違いないです。
非常用持ち出し袋の中身、人によっていろいろと異なるのは当然ですが、何に使うのかをしっかりと考えた上で準備しておきましょう。
水平避難と垂直避難
九州の方では大雨に見舞われて大きな災害が起きました。被災された方にはこころからお見舞い申し上げます。ただ、現在梅雨前線がまだまだ暴れそうな予報も出ているので引き続き注意が必要です。被災地を含めて、どうぞ警戒を続けていただきたいと思います。
そこで今回は改めて水平避難と垂直避難について確認をしておきたいと思っています。本来は、水に浸からないような場所に住まいを求めるのが一番なのですが、普段の生活を考えるとそうも言っていられません。
そのため、気象情報には敏感になっておくことが必要です。
1.水平避難
水平避難は屋外避難を行う場合の基本的な避難です。
できうる限り安全な場所へ移動が安全にできる間に避難して、災害が起きている間はそこで身を守ること。
例えば大雨とそれによる水害であれば、大雨警報が出た段階で水害が起きても水に浸からない、そして山が崩れたりしない安全な場所に避難してしまえば、仮に家が水没してもあなたの命を守ることができます。
極端な話、被害が起きない地域、例えば海外などに移動して災害をやり過ごすという方法もあるのです。
一番安全な方法ですが、移動中に被災してしまう場合もあるので、確実に安全が確保されている状態、最悪でも災害発生前には移動を完了しておく必要があります。
2.垂直避難
垂直避難は屋内避難の場合が殆どになると思います。
何らかの事情で水平避難ができない状態の人や、タイミングを逃して逃げ遅れた人などが、迫り来る水から逃げるため、水に襲われないであろう上層階に避難することを言います。
この場合、避難できるのは自宅の屋根の上までになるので、それ以上水に浸かると流されてしまいます。そのため、垂直避難をすることがあらかじめわかっているのであれば、より高い位置に避難できるような準備を整えておいた方がよさそうです。
少し前までの水害では、せいぜい数メートル浸かるといった感じでしたが、ここ最近は地球温暖化の影響があるのか、短い時間で極端な雨が降る場合が非常に増えています。
地元のお年寄り達がよく言う「過去にはここは浸からなかった」は通用しない状況になっているのです。
幸い、最近は気象情報がかなり充実してきています。気象庁発表を待たなくても、雨雲レーダーやアメダス、河川水位情報など、自分で判断できる情報がいろいろと公開されています。
それらの情報を使って、ことが起きる前に安全な場所へ避難を完了しておくようにしてください。
また、もし行政の指定する避難所や避難場所に移動するのであれば、その避難所が安全であるかどうか、そして避難所と避難場所の違いについても理解しておいてください。
最後に、あなたの命を守るのはあなたしかいないことを忘れないでくださいね。
「災害時に便利なアプリとWEBサイト」を紹介するリーフレットのご紹介
他の国から来て地域に住んでいる人が、地域活動に参加されることも増えてきました。日本に住む以上さまざまな災害と無縁ではいられないのですが、顔見知りになったとはいっても、お互いの意思疎通というのは、以前ご紹介した「voicetTra」などの翻訳ソフトを使っても、なかなか難しいところもあります
とはいえ、災害時などの緊急事態には、どのような情報をどこで見たらいいのかくらいはきちんと伝えておきたいですよね。
このたび内閣府防災が災害時に情報を集めることのできるスマートフォンアプリとWEBサイトを紹介するリーフレットを作成しました。
内容は、本当にアプリとWEBサイトの紹介なのですが、その国の方が使っている言語があれば、このリーフレットを渡して説明していくと理解がしやすくなるのではないかと思います。
また、災害に対する備えが勉強できたり、コミュニケーションボードが搭載されているアプリもあって、いざというときに途方に暮れなくてもすむかなと思えるくらいのないようにはなっています。
どこの人であれ、災害なんかで死んでいい人はいません。情報がうまく伝わらなくて逃げ遅れてしまったと言うことが起きないように、地元の集まりのときなどに、こういったリーフレットを配って、地域の安全につなげていただければと考えます。
「災害時に便利なアプリとWEBサイト(多言語)」(内閣府防災情報のページに移動します)
炊き出しで気をつけること
大規模な災害が起きると、さまざまな場所で炊き出しが行われます。
被災者同士が材料を持ち寄ったり、ボランティアの方が避難所まで来て調理したり、さまざまな形はありますが、行政からの配給弁当はパンか冷たいお弁当が多いですから、温かい食事ができるのは非常にありがたいことです。
ただ、その時には衛生管理を徹底することがいつも以上に大事になりますので気をつけておいてください。
例えば、水道が損傷して潤沢に水が使えない状態であるなら、素手で食材を触ることは厳禁です。手には普段からさまざまな雑菌がついていることはご存じだと思いますが、満足に手洗いのできない状態だと間違いなく汚れた状態になっています。アルコール消毒すればいいとお考えの方もいると思いますが、あれはあくまでも普段の手の状態がある程度衛生的であることが前提ですので、水と石けんによる手洗いの補助だと考えてください。
素手で食材を触らないためには、使い捨ての手袋を着用すればいい話なので、自治会などで準備する災害セットの中には必ず使い捨て手袋を加えておくようにしてください。そして、使い捨て手袋はゴム製でない方が安全です。これはゴム製が食材に悪さをするわけではなく、ゴムアレルギーの方がいることを想定する必要があるからです。
ゴムアレルギーの方はゴムに接触すると赤くなって腫れたりかぶれたようになったりします。災害後には病院も稼働できていないことが殆どですから、抗アレルギー薬も手に入りません。
非常時にはそういったことに意識が向きにくいですから、手袋はゴム製以外、例えばポリプロピレンなどの素材のものを用意しておく方がいいです。
次に食材の温度管理。肉や魚は常温だと腐敗が進みます。クーラーボックスに入っているからと言っても安心はできません。しっかりとしたクーラーボックスにしっかりと冷やせるだけの保冷剤を入れ、必要時以外は開け閉めせず、炊き出しで材料を全部使い切るようにしてください。
また、生肉や生魚を使った道具は雑菌に汚染されていると考えて、しっかりと洗浄もしくは処分を行ってください。充分な消毒ができれば良いのですが、そういった環境でない場合も多いと思いますので、使い捨ての割り箸などを使って利用後は処分するようにした方が安全です。
最後に、出来上がったらすぐに食べること。暖かいものであれば2時間以内を目安に食べきるようにしてください。食べられなかったものは、もったいないですが全て破棄をしましょう。
もし食中毒になったら助からないかもしれないと考えて、間違っても食中毒が起きないような衛生管理をするようにしましょう。
なお、発生した生ゴミは液体と固体を分離した上で固体はビニール袋などでしっかりと密閉してゴミ袋へ、液体は猫の砂や吸水ポリマーなどに吸収させた上で、ビニール袋に密閉してやはりゴミ袋へいれるようにしてください。
生ゴミは固体も液体もハエやゴキブリ等が発生する格好の温床となりますので、処分までしっかりと衛生管理をすることが大切です。
被災地では食中毒を出すと死者が出てしまうかもしれません。そうならないためにも、衛生管理をしっかりと行って、安全に暖かくておいしいものが食べられるようにしておきましょう。
災害ストレスと向き合うには
災害ストレスという言葉があります。被災した人達がさまざまな理由から受ける通常とは異なるストレスで、不安やイライラ、不眠、感情のコントロールができなくなる、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、さまざまな形で発露します。
でも、これらの災害ストレスはそれを受けるとわかっていると、ある程度の予防ができますし、何らかの事情で症状が出てきても適切な治療を受ければ症状を抑えることができます。
例えば不安やパニックを感じたときには大きな深呼吸をゆっくりと繰り返すことで落ち着きを取り戻すことができます。
また、誰かと話をすることで心に抱えたさまざまなストレスは軽くなることが多いです。家族、友人・知人、地域の人などと会話することで気持ちが楽になることもよくあります。知り合いに話すのがちょっと憚られる気がするなら、巡回相談の保健婦や傾聴ボランティアの方に話を聞いてもらうこともできます。
災害ストレスで一番よくないのは一人で頑張ろうとすること。そして頑張らないといけないと思い込んでしまうことです。
被災後、気持ちを切り替えて復旧・復興にあたることになりますが、周囲の様子は気にしないことです。あくまでも自分のペースで復旧・復興を進めること。まわりと差がついても気にしない。「まぁ、いっか」が合い言葉です。
そして頑張りすぎず、疲労を感じる前にしっかりと休憩したり、リラックスタイムを設けて気持ちを休ませてください。被災したことによるストレスを抱えているのですから、休み休みの復旧でちょうどいいのです。
どうしてもなんとかしたかったら、ボランティアなど他人の手を借りてください。一人での復旧はまず無理ですから、助けてもらうことは決して恥ずかしいことでも情けないことでもないのです。
そうやって意識していても、災害ストレスは多くの人に襲いかかります。もしもあなたがいつもと違うなと思ったら、そのときに「ああ、今災害ストレスなのか」と思ってください。そんな風に自分の状態が分かるとなんとなく落ち着くことが多いですが、おかしい状態が続きそうな気がしたら、お医者様に相談してください。
ストレスは早めに治療すれば症状を抑えることができる病気です。
そして、災害復旧は長期戦ですから、体調管理をしっかりと行いながら復旧をしていくくらいでちょうど良いのです。
災害ストレスは感じ方が一人一人みんな違います。自分の違和感、周囲の違和感、そういったものを意識して上手にいなしていきたいものですね。
傾聴ボランティアの存在
災害を経験した被災者は、相当長い期間何らかの精神的なストレスを抱えていることが多いです。
発災から少しの間は呆然と、それから急に元気になって復旧復興に東奔西走し、気がついたら疲れてしまって何もしたくなくなるという流れがよく言われています。
「発災直後」「ハネムーン期」「減退期」「再建期」と呼ばれる各段階で、症状を軽くするのが「人に話を聞いてもらう」という行為です。
よく知っている人や避難所の人達には言えないことがたくさんあり、それを見知らぬ人に話すことで精神的な均衡を取り戻すことができる。
「王様の耳はロバの耳」ではありませんが、胸に貯まったあれこれを黙って聞いてくれてうなずいてくれる。そういった存在。それが傾聴ボランティアです。
大きな災害では「傾聴ボランティア」が静かに活躍をしています。
話をしっかり聞いてもらって存在を認めてもらい、そして受け止めてもらったという安心感があれば、もうちょっとやってみるかと思えるもの。
肉体的な支援や専門的な支援ももちろん必要なのですが、被災者の話を聞く傾聴ボランティアはこれから先非常に重要なボランティアの一つになってくるのではないかと思っています。
ちらほらと傾聴ボランティアの研修会も増えてきています。
体力的に労働ボランティアが難しくても、話を聞くだけならできる人はたくさんいると思います。
被災地に必要でとても重要なボランティアの一つとして、傾聴ボランティアについて知っていただきたいなと思います。
避難所の幻想
あなたは災害時の避難所というとどのようなイメージを持っていますか。
身一つで避難すれば、食事、就寝、快適な居住空間が確保されて少々の不便はあるにしても、それまでとさほど変わらない生活を送れる場所だと思っていますか。
それとも、身一つで避難したら食事も寝るところもなく、避難所からはあぶれてしまって空腹を抱えて建物の犬走りでうずくまっていることもありうる場所だと思っていますか。
この二つは極端な例ですが、大規模な災害になると、多くの場合は後者の状態になって非常につらい思いをすることになることが殆どです。
そのため、車中泊や損壊した自宅で無理矢理生活するような人達が大勢出てきます。
避難所に避難しても、よほど事前準備のよい自治体で無い限りは、避難所に必要な資機材は置いていません。殆どの場合、その避難所を運営する地元の自治会や自主防災組織が防災倉庫に準備していたものが供出されることになります。
自治体は住民に対して平等であることが望まれていますが、運営が自治体でない場合にはあらかじめの取り決めで資機材が運用されます。その時、あなたは助けてもらえる関係を作っているでしょうか。
避難所は基本的には避難する場所のみを提供しています。避難して生活するためのさまざまなアイテムは自分で持ち込まなければならないのです。
国も地方自治体も、全ての住民に対して支援できるだけの物資は持ち合わせていません。だから事前にしっかりと準備をしておくように言い続けているのです。
安全が確保されたなら、基本は自宅避難。旅行者や家が全壊したり道路が通れなかったりといった理由で家に入れない人達が避難所で生活するのが一番合理的な避難方法です。
繰り返しますが、避難所には自分の命を守るための資機材は置いていません。それを忘れずに、自分自身あるいは自治会や自主防災組織などで資機材の準備をするようにしてください。