避難所の幻想

 あなたは災害時の避難所というとどのようなイメージを持っていますか。
 身一つで避難すれば、食事、就寝、快適な居住空間が確保されて少々の不便はあるにしても、それまでとさほど変わらない生活を送れる場所だと思っていますか。
 それとも、身一つで避難したら食事も寝るところもなく、避難所からはあぶれてしまって空腹を抱えて建物の犬走りでうずくまっていることもありうる場所だと思っていますか。
 この二つは極端な例ですが、大規模な災害になると、多くの場合は後者の状態になって非常につらい思いをすることになることが殆どです。
 そのため、車中泊や損壊した自宅で無理矢理生活するような人達が大勢出てきます。
 避難所に避難しても、よほど事前準備のよい自治体で無い限りは、避難所に必要な資機材は置いていません。殆どの場合、その避難所を運営する地元の自治会や自主防災組織が防災倉庫に準備していたものが供出されることになります。
 自治体は住民に対して平等であることが望まれていますが、運営が自治体でない場合にはあらかじめの取り決めで資機材が運用されます。その時、あなたは助けてもらえる関係を作っているでしょうか。
 避難所は基本的には避難する場所のみを提供しています。避難して生活するためのさまざまなアイテムは自分で持ち込まなければならないのです。
 国も地方自治体も、全ての住民に対して支援できるだけの物資は持ち合わせていません。だから事前にしっかりと準備をしておくように言い続けているのです。
 安全が確保されたなら、基本は自宅避難。旅行者や家が全壊したり道路が通れなかったりといった理由で家に入れない人達が避難所で生活するのが一番合理的な避難方法です。
 繰り返しますが、避難所には自分の命を守るための資機材は置いていません。それを忘れずに、自分自身あるいは自治会や自主防災組織などで資機材の準備をするようにしてください。