傾聴ボランティアの存在

 災害を経験した被災者は、相当長い期間何らかの精神的なストレスを抱えていることが多いです。
 発災から少しの間は呆然と、それから急に元気になって復旧復興に東奔西走し、気がついたら疲れてしまって何もしたくなくなるという流れがよく言われています。
 「発災直後」「ハネムーン期」「減退期」「再建期」と呼ばれる各段階で、症状を軽くするのが「人に話を聞いてもらう」という行為です。
 よく知っている人や避難所の人達には言えないことがたくさんあり、それを見知らぬ人に話すことで精神的な均衡を取り戻すことができる。
 「王様の耳はロバの耳」ではありませんが、胸に貯まったあれこれを黙って聞いてくれてうなずいてくれる。そういった存在。それが傾聴ボランティアです。
 大きな災害では「傾聴ボランティア」が静かに活躍をしています。
 話をしっかり聞いてもらって存在を認めてもらい、そして受け止めてもらったという安心感があれば、もうちょっとやってみるかと思えるもの。
 肉体的な支援や専門的な支援ももちろん必要なのですが、被災者の話を聞く傾聴ボランティアはこれから先非常に重要なボランティアの一つになってくるのではないかと思っています。
 ちらほらと傾聴ボランティアの研修会も増えてきています。
 体力的に労働ボランティアが難しくても、話を聞くだけならできる人はたくさんいると思います。
 被災地に必要でとても重要なボランティアの一つとして、傾聴ボランティアについて知っていただきたいなと思います。