非常用持ち出し袋には布テープを一巻入れておくと非常に役立ちます。
ものを貼り付けたり組み立てたり補強したりすることはもちろん、名札ややぶれたものの修繕、案内表示や網戸などの作成にも使えます。
また、避難の時に肩掛けカバンなどを体にテープで固定することで、迅速な避難が可能になります。
粘着力と防水性があり、使うときには加工しやすいのに強度も十分。
重量があるのが難点ですが、数メーターを巻き取っておけば、手軽に使うことができます。
避難所だけでなくさまざまなシーンで使える布テープ、ぜひ用意しておいてください。
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キッチン用ラップとアルミホイル
非常用持ち出し袋に必ず入れる必要はありませんが、非常用備蓄品としてキッチンラップとアルミホイルは予備を一つ準備しておいてください。
これらはさまざまなアイテムに化けることができ、あるのとないのとでは生活レベルに格段の差がでます。
キッチン用ラップは食器に被せれば洗い物を出さなくてすみますし、くしゃくしゃにすると食器洗いにも使えます。
体にまきつけた新聞紙の上から巻けば体の保温ができますし、ねじってこよりにするとひもの代用品、布テープと組み合わせれば割れた窓の補修にも使うことが可能です。
アルミホイルはフライパンに敷けば、汚れ物を出さずに焼き物ができますし、四隅を立てれば立派な食器になります。
丸めればタワシになりますし、光や熱の反射板としても使うことができます。
普段何気なく使っているキッチンラップとアルミホイルですが、いざというときにはとても頼りになるアイテムです。
非常用備蓄品として、いつも一つだけストックを増やしておけるといいですね。
救急箱の作り方
非常用持ち出し袋の中にいれる救急箱にはどのようなものを入れますか?
一般的なセットだと、ばんそうこう、包帯、滅菌ガーゼ、三角巾、消毒液といったところだと思います。
ちょっとした怪我だとこれで対応ができるのですが、被災時にはなかなか治療部分のケアが難しいものです。
例えば、やけどや擦り傷などにはキズパワーパッドなどハイドロコロイド素材の絆創膏や包帯があると、傷口のケアのあと、一度貼れば直るまでそのまま放置できて助かります。
また、状況によってはかなりの出血を伴う怪我をする可能性もありますので、傷口を圧迫止血し続けることのできるエマージェンシーバンテージ(イスラエルバンテージ)があれば、応急救護所までの命をつなぐことが可能です。
これらのアイテムを使うためには傷口のケアができないといけませんので、ピンセットやはさみ、とげ抜き、綿棒といったアイテムを収めたケアセットも入れておいた方が無難です。
内服薬としては、自分が普段使っている薬のある方は最低3日分準備します。また、ビタミン剤や目薬などが入っていると体調の維持管理に使えます。
ただ、ケアセット以外はいずれも使用期限が設定されていますので、1年に1度くらい点検し、使用期限が切れないように注意をしておきましょう。
そして、せっかく用意した救急箱ですから使いこなせた方がいいですよね?
日本赤十字社がやっている救急法講習の「救急法救急員養成講習」を受講すると怪我の手当の仕方を正しく身につけることができますから、時間を作って、是非受講してください。
ホイッスルは何に使うの?
非常用持ち出し袋のリストの中に必ず入っているのがこのホイッスルです。
このホイッスル、何に使うのかというと「閉じ込められたときに位置を教えるため」とされているのですが、普段から非常用持ち出し袋を持って移動する人がどれくらいいるのかなと考えてしまいました。
地震はいつ起きるかわかりませんし、いつ倒壊した建物に閉じ込められてしまうかもわかりませんが、そのときに自分の位置を知らせて救助を求めるのであれば、少なくとも身につけていないと役には立たないでしょう。
キーホルダーにつけたり、薄型のものをお財布や名刺入れ等普段持ち歩くものに入れることで、いざというときに使うことができます。
最近では軽量で持ち歩きのしやすい薄型のホイッスルも出ていますから、それらを上手に使ってなるべく持ち歩くようにしましょう。
また、位置を知らせるという点では防犯ベルでも構わないわけですから、大きな音が出る道具を上手に使って、万が一の閉じ込めに備えるようにしてくださいね。
余談ですが、ホイッスルには中に玉の入ったものと玉の入っていないものがあります。より大きな音が出るのは玉の入ったものですが、粉や水が詰まりやすく、玉が動かないと音が出ません。
防犯・防災用にこれから準備するのであれば、玉の入っていないものをお勧めします。
防塵マスクあれこれ
災害時に付きものなのが粉塵です。
東日本大震災や熊本地震の時には地上から1mくらいは粉塵で満たされました。
水害などでは被災後はそうでもありませんが、ヘドロが乾いてくると車や人が通るたびに粉塵が舞い上がります。
気管支の弱い方だけでなく、普通の人でも喉が痛くなるような環境となりますので、それに備えてマスクを用意しておきましょう。
普通のマスクでも問題ありませんが、気管支が弱い方などはN95やDS2といった防塵効果の高い高規格のものを用意しておくと安心です。
ちなみに、N95もDS2も防塵・防護マスクとしての基準で、N95は米国労働安全研究所(NIOSH)が、DS2は日本の厚生労働省がそれぞれ定めたものですが、能力としては殆ど互角のものです。
このマスク、防塵対策だけではなく、PM2.5やインフルエンザウイルスを吸い込みにくい効果もありますから冬場や春先でも威力を発揮します。
ただ、せっかくのよいマスクを買ってつけていても自分の顔にちゃんとフィットさせられていないとマスクの本来の能力は発揮されませんので、あらかじめきちんとつけられるように練習しておくことが大切です。
非常用持ち出し袋には数個、家の備蓄としては2週間程度準備しておくことで、気管支のトラブルを防ぐことができますよ。
非常用持ち出し袋には小銭を入れておこう
以前に公衆電話について災害時に活用する方法について書いたところですが、実際のところ、公衆電話を使うためには10円玉、100円玉が必要です。
NTTが災害指定するまでは料金がかかりますので、少なくとも公衆電話を使うためには10円玉は持っていないといけません。
また、自動販売機やコンビニエンスストアなどで買い物をする場合でも小銭でないとお断りとなる場合があります。
停電でレジシステムが動かなくなった場合などには店員さんが自力で計算しておつりを出すことになりますので「料金ぴったりに支払えないなら売らない」などという場合も過去の災害ではあったように聞いています。
そう考えると、10円玉と100円玉をある程度準備しておかないと、お金はあるのに何もできないという悲しい状態になってしまいます。
とはいえ、あまり高額の小銭を非常用持ち出し袋に詰めると、重たいですし盗難の心配もありますので、1000円から2000円程度を10円玉と100円玉で準備しておくと安心です。
ペール缶コンロを作る
災害が起きると、大概の場合、どこからともドラム缶やペール缶が現れてたき火用のコンロになっていたりします。
でも、そのままだと非常に燃え残りが多く効率が悪いです。
ちょっとした工夫で効率よく燃やせるようになるのですが、今回は良く燃えるペール缶コンロを作ってみることにします。
用意するものはペール缶。手に入れるのには何やらルートがあるようですが、お友達にお願いして分けてもらいました。
まずは底を抜きます。最初は缶切りでできないかと思ったのですが、思った以上にサイズが大きくて、缶切りでは歯が届きませんでした。
仕方が無いので金属切断用のジグゾーを用意。 穴を開けて、缶の縁に沿って歯を回し切り取っていき、無事に底が抜けました。グラインダーでやるのも良くやる方法ですが、火花が散るのでカットするときには場所に気をつけてください。
次に全体の三分の一の場所に穴を開けて、火を支える網を止めるためのボルトを4本対角線上に差し込んでおきます。
次は火を支える網です。市販品では30cmの丸い網がありましたが、ペール缶のサイズも30cmでうまく入りません。
再びジグゾーで周囲を切り取り、ペール缶にはまるサイズに加工し、切り取ったものをペール缶に填めてできあがり。
下の部分は通気をよくするためにコンクリートブロックで支えます。
火をつけます。火種の新聞紙と、上に廃材を載せて点火。
数枚くしゃくしゃにして敷いたのですか゛、新聞紙一枚で十分だったみたいです。
あっという間に火が起きました。
ところで、このペール缶には取っ手がついていて、握り手の部分はプラスチックで握りやすいように加工されていましたが、それに気づきませんでした。
気がついたらどろどろのべたべたになってしまっていましたので、後で切り取っておくことにします。
これでペール缶コンロができあがりました。上で鍋を作るのであれば、上側にもなんらかの支えが必要となります。
手っ取り早いのは、さっき中に敷いた網をもう一枚買ってきて上に載せることですが、燃料となる木材の出し入れを考えると、ちょっと手間を感じます。
さて、このペール缶コンロは少量の木材でもかなりの火力を出すことが出来、鍋で簡単にお湯を沸かすことが可能です。
自主防災組織や自治会で避難所運営を予定されているのであれば、一個から数個、このペール缶コンロを作っておくことをお勧めします。
余裕があるときに作っておくと、いざというときに慌てなくて済みますよ。
■後日談(2019.5.20追記)
出かけた先のコメリさんでペール缶よりも一回り小さい網を見つけました。
中に填めてみたら、割ときれいに収まりました。わざわざカッティングしなくてもしっかりした状態で網が使えるので助かります。もしペール缶コンロを作ろうとお考えの方は、アウトドア用品の充実している今の時期に資材を揃えておくといいかなと思います。
水の運び方
災害が発生すると、ライフラインの復旧が問題になってきますが、一般的に地面の中に埋まっているものは復旧に時間がかかるものです。
中でも水は他に代替手段がないため井戸が無い限りは復旧まで給水車に頼ることになりますが、給水車は各戸に回って水を供給してくれるわけではありません。
指定される近所の給水所まで水をもらいに行くわけですが、その給水所から家までどんな風に水を運ぶのかを考えたことがありますか?
水の重量は500mlで500g。1リットルならほぼ1kgです。
国の試算では、1日に成人が必要とされる飲料水は料理用も含めて最低3リットルですが、給水所から家まで3kgのものを抱えて移動することを考えてみてください。
そのとき、どんな容器で運ぶことを考えていますか?
例えばよく出てくるのはバケツですが、そのとき使えるバケツが常に清潔だとは限りません。
こんなときにはバケツの内側にきれいなビニール袋を二重に入れれば、バケツを洗浄しなくてもきれいな水を運ぶことが可能です。
また、バケツがなくても同じ方法で段ボール箱でも運ぶことができます。
気をつけるところは、ビニール袋の持ち手があるものを使うこと。ビニール袋の中の7割程度に水を入れて口を縛れば、段ボール箱を濡らさずに運ぶことができます。
例えば、燃えるゴミの袋などはどの家庭にでもあってこういう使い方もできる便利な袋です。製造元はこういった使い方は推奨しないと思いますが、非常時なので許してもらうことにしましょう。
そして、輸送用の台車があると子どもや高齢者でも安心して運ぶことができます。わずか3kgと思われるかもしれませんが、これを抱えて移動するのは結構大変ですから、何らかの道具が使えると便利です。
また、ここからは支援者側の問題になりますが、被災者の輸送能力、給水を待つ人数、給水能力を考えると、給水所は半径500mごとくらいをカバーできるくらいで作るのが理想です。
そして、給水装置の形によりますがなるべくこぼさないようまたこぼれた水が利用できるような準備、例えば下に水受けを用意するなどしておく必要があります。
最近では5リットルや10リットル入りの給水袋に入れた水をそのまま提供することもあるようですが、給水時の給水方法を事前に周知しないと水を入れる容器と給水袋を抱えて途方に暮れるような辞退が起きないとも限りません。
速やかに受け渡しができるような整理をしておく必要があると思います。
そして避難所の場合は避難所として飲料水を確保することになるので、予定避難者に見合うだけの水を確保できる20リットル灯油缶などの専用道具が必要です。
どのように貯水するのかについては、事前にしっかりと検討をしておかないといけません。
いずれにしても、普段のように蛇口をひねれば水が出る状況ではありませんので、そういう事態に備えた準備をきちんとしておきましょう。
虫対策を考える
災害が発生した後、どこで過ごすにしても虫に悩まされることが多くなります。
さまざまな腐ったものから発生するハエやその他の虫、あちこちに貯まった汚水から発生する蚊など、普段はあまり気にしないような虫がたくさん発生します。
この対策として、虫除けや殺虫剤などを用意しておく必要があります。
例えば避難所には網戸がないことが多いです。そして、特に夏場では熱がこもってしまうので窓を開けないと熱中症になる危険性があります。
網戸のない窓からハエや蚊、その他の虫が避難所を飛び回ることによって、衛生環境や不快感が出て、そうでなくても先の見通しがはっきりしせずにいらいらしている避難者達をよりいっそういらいらさせてしまうことになります。
対策としては、個人としては非常用持ち出し袋には虫除け薬及び虫刺されに効く薬を入れておくことが第一です。
そして、避難所を準備・運営する側は蚊取り線香等の虫除け・虫取り・殺虫剤を準備しておくことを考えておいた方がいいでしょう。
また、衛生環境を維持することからも消毒用の消石灰の準備をしておくとよりよいと思います。
もちろん、避難所での生活において生ゴミなどから虫が発生しないような対策を行っておくことも大切です。
災害後、なかなかそれまでの衛生環境を取り戻すことは時間がかかります。ですが、資材によってある程度防ぐことが可能な部分でもありますので、事前準備をしっかりとしておきましょう。
非常用持出袋の作り方・その1
災害に備えて飲料食を含む生活用品を最低7日間は用意しておこうというのが、最近の国の方針ですが、これをどのように準備したらよいのか。
災害対策の準備として、3段階に分けて考えてみてください。
1段階は、何らかの理由で避難しなくてはいけない場合。だいたい1日程度過ごせるものを用意します。
2段階は、とりあえず避難しなければいけない状況が終わってから落ち着くまで。3日から1週間程度の用意です。
3段階は落ち着いてから生活再建の準備が始まるまで。ここでもおよそ1週間程度考えておけば大丈夫です。
まずは第1段階。何らかの理由で避難しなくてはならない場合です。
基本的には自宅避難が一番なのですが、その立地と発生する災害によっては避難しないといけない場合が発生します。そのときに、国の推奨する1週間分の災害用品を持って移動するのはまず無理です。
1日程度避難先で生活できるものをリュックサックに詰めて非常用持ち出し袋として用意します。リュックサックが背負えて歩ける年齢であれば、一人に一つ、持てる範囲のものを詰めて自分で持たせるようにします。
また、歩けない年齢の子どもの場合には、保護者のリュックサックに詰めることになりますが、保護者の数分散して詰め込むようにします。
これはリュックサックが駄目になったとき、その子どものものが全て無くなることを防ぐためです。
では、必要なものをリストアップしてみましょう。
まずはその非常用持ち出し袋を使う人はどんな人ですか? めがねをかけていれば換えのめがねが必要です。飲んでいるお薬があればそのお薬を入れておかないといけません。
乳児であればほ乳瓶やミルク、離乳食や紙おむつが必要になりますし、汗などの臭いが気になる人は無香料タイプの消臭スプレーがいるでしょう。
入れ歯の人は洗浄セットがいるでしょうし、まくらが変わると寝られない人は、まくらも持って行く必要があるでしょう。
人によって必要とするものが異なりますので、それを考えて洗い出すことが大切です。
次は排泄物の処理です。トイレが使えないことを想定して1日分の携帯トイレを用意します。自分が普段一日に何回トイレに行っているかを基準にして、大小ともに準備をしておきます。臭い消し機能のあるゴミ袋も忘れずに準備しましょう。
それから、次は飲料食です。保存ができてそのままで食べることができ、自分が食べやすいものを用意します。ゼリー、ようかん、チョコレート、おかきやポテトチップス、ナッツ類など、カロリーを重視したものを用意しましょう。
また、飲み物については水またはお茶を用意します。自分が普段どれくらい水を飲んでいるかを基準にして考えますが、水の入ったペットボトルは重たいので、500ミリリットルのものを2~3本用意して移動しやすいようにしておきましょう。
あとは着替えです。下着も含めて1セットを準備します。また、夏場でも長袖は1着必ず入れるようにします。1日程度の品の準備なので、たくさんの着替えは不要です。
そしてできればで構いませんが、タオルケットとエアマットがあると、寝るときに快適に過ごせます。避難所で毛布が配られる場合でも、基本は一人一枚です。また、枚数が少ない場合には力と声のでかい人から取っていくケースも多いですので、自分のものを自分で準備しておくと困らなくてすみます。
さて、ここまでで個人がそれぞれ必要なものを準備することができました。あとは全ての避難者に共通の避難用品を入れていきますが、それはこの次にご紹介します。