災害について思うこと

 今日1月17日は1995年に起きた阪神淡路大震災の日です。
 地震、大雨、水害、台風、土砂崩れ・・・。
 ここ最近毎年国内のどこかで大きな災害が発生していて被災者が出ています。
 現在はコロナ禍ということもあってボランティア等の人手が現地に入れず、復旧が遅れてしまっている地域も出ています。
 もしも人口密集地や広域で災害が発生すると、支援の手が入らなくなるかもしれません。
 自分にできることをできる範囲でやっていくしかないのですが、それでもいろいろと考えてしまいます。
 まずは自分の命を守ること。そのための準備をしておくこと。
 あなたの備えはできていますか。

お薬手帳とかかりつけ

お薬手帳の表紙
お薬手帳だけでは過去の副作用はわからない。

 かかりつけ医とかかりつけ薬局を持とうということで、健康保険組合がさまざまなところでPRをしています。
 防災の目から見ると、持病を持っている人はかかりつけ医とかかりつけ薬局は持っておくべきだと思っています。
 というのが、かかりつけ医やかかりつけ薬局を作ると、過去にどのような病歴があってどのような薬を使い、その結果どのような問題が発生したのかについてがきちんと記録されるからです。
 非常用持ち出し袋にはお薬手帳の写しを入れておくようにと言われていますが、情報は変わっていくものですから、薬や量の変更などがあったときにはきちんと写しも変更しておかないといけません。
 最近ではデジタルお薬手帳というのも普及してきてはいますが、お薬手帳では投与された薬や量はわかるのですが、使った結果発生した過去の副作用まではわからないのが現実です。
 そんなとき、かかりつけ医やかかりつけ薬局を持っていると、過去にどのような薬でどのような副作用の記録が残っていますので、その時にその薬が無い場合の代わりの薬で使ってはいけないものがはっきりとわかります。
 最悪、広域避難となって避難先で巡回医による診察でも、そういった情報があれば的確な診断を下すことが可能になりますので、かかりつけ医やかかりつけ薬局はできる限り持つようにしましょう。

車のワイパーを冬期に上げる理由

 自動車に乗らない人には関係のない話ではありますが、冬場の冷えが予測される日には車のワイパーブレードは上げておくことをお勧めします。
 また、リアワイパーに関してもワイパーがリアガラスの下にある場合には、上げておいた方が無難です。
 理由は二つ。一つは窓が凍ったときにワイパーブレードが窓に貼り付いてしまう危険性があること。凍っている状態でワイパーを動かすと、ブレードのゴムがちぎれたり傷ついたりしてガラスの拭き取りがうまくいかなくなってしまいます。
 もう一つは、ワイパーの破損です。特にリアワイパーは重たい雪が降り積もった場合、窓に降り積もった雪の重さがワイパーのアームにそのままかかってししまい、その重さに耐えきれずに折れたり曲がったりすることがあります。
ワイパーを上げておくことによって、アームの損傷を防ぐことができます。

雪をどけると凍っていることもよくある。

 最後に、凍結や降雪を溶かすため、たまに熱湯をガラスにかける方がいらっしゃいますが、急激に熱を加えるとガラスが割れてしまうことがあります。
 かけるなら、ぬるま湯。お風呂の残り湯などを使うといいと思います。
 また、外側のガラス面に凍結防止用シートなどをかけるのもいいと思います。
 いずれにしても、車の破損を防ぐようにきちんと対策をしておくようにしたいものですね。

雪道の歩き方

 普段雪になれている地域はともかくとして、普段雪の降らない地域で雪が降ると大騒ぎになります。
 公共交通機関のマヒや交通事故の増加はともかく、歩くときに雪や氷で滑って転倒、救急搬送になってしまうのは、本人の注意次第で防げると思いますので、今回は雪道の歩き方について考えてみたいと思います。

1.滑るワケ

雪道や凍った道でなぜ滑るのかというと、靴の裏の接地面と地面の間にある雪や氷が接地圧によって溶けて水になり、その水によって滑っています。
逆に言えば、靴底と地面との間にできる水を上手に排水できれば、滑りにくくなるということになります。

2.滑らないようにするには

1)雪道では歩幅を狭くする

 慣れている人にとっては当たり前以前に身体が覚えていることなのですが、雪道や凍った道を歩くときには歩幅を小さくするのが基本です。

2)接地には足の裏全体を使う

 いろんな歩き方があるのですが、凍結した道や雪道に関して言えば、足の裏全体で地面を踏むように歩きます。
 蹴り出すのではなく、足の裏全体で移動させるといった感じで歩くと、滑りにくくなります。

3)両手は空けておく

 歩くときにバランスが取りやすいように両手は空けておきます。もし転倒したときにも、手が出ることで身体本体へのダメージを減らすことができます。

4)裏にパターンがしっかりとある履き物を使う

 革靴や女性用の靴などではよく裏が真っ平らの靴がありますが、雪道や凍った道でそのような靴を履いていたら水の逃げ場がありませんから滑らない方がおかしいです。
 長靴や登山靴などの靴底のようなビブラム形状の靴底か、そこまでいかなくてもしっかりと凸凹のある靴底のある靴を履くようにしてください。

5)滑り止めを使う

 どうにもならない場合には、滑り止めを使いましょう。市販品の滑り止めもありますし、なければ包帯や麻縄といったものでも十分に滑り止めになります。
 滑るのは接地面と地面の間に水の膜ができることによって滑るので、膜となる水をどけてやれば格段に滑りにくくなります。
 ただ、上記(1)から(4)までがうまくできていないと、滑り止めをつけても大きく滑ることがありますのでご注意下さい。

 最後の滑り止めについては、包帯を巻いたもので歩いてみた映像がありますのでリンクしておきます。
 興味がある方はご覧になって下さい。

奇妙なランタン

 先日とある百円均一ショップで面白いものを見つけました。

 商品名は「ベースライト」。ペットボトルの下に置くと、ペットボトルをランタンにしてくれる道具だそうです。
 単4電池3本で48時間連続点灯可能だそうなのですが、私が買った物はスイッチが甘く、offにしてもたまに点灯しているという不思議な状態になってます。
 これはどんな目的に使うのかよくわからなかったので一つ購入して考えていたのですが、ひょっとして災害対策商品なのかなと気がつきました。
 台風などで停電したとき、懐中電灯をランタンに変える道具としてペットボトルとの組み合わせがあったことを思い出したからです。
 ただ、あれはあくまでも懐中電灯しかなくてそれをランタンに変えるために急場しのぎでつくられたものであって、予め準備できるのであれば、こういう道具よりも素直にランタンを勝った方が早いし使い勝手もいいのではないかと考えてしまいました。

表面は鏡面加工がしてあって、水の反射を上手に利用できる加工がしてある。

 もっとも、これをジュースなどの色水でやってみたら面白そうではあります。
 どんな目的で作られたのかはよくわかりませんが、いろんなことを考える人がいるものだと感心してしまったので、ちょっと取り上げさせていただきました。

ベースライトを使ってできたランタン。それなりに明るい。

災害対策は適材適所で考える

 個人だと全部を自分でしなければ誰もやってくれませんが、施設や自治会、団体になるとそれなりに人がいますので、業務を分担すると言うことが可能です。
 災害対策にとって分業できるというのは非常に大切なことなのですが、分業するに当たっては担当する業務の向き不向きをしっかりと確認した上で割り当ててみてはいかがでしょうか。
 というのも、往々にして「この役職はこの仕事」とか、「新人はこれ」などといった通常業務と同じような割り当てをしてしまいがちなのですが、災害対策は平常業務と違って優先度が割と低くなる傾向のある業務ですので、やる気のない人に当たってしまうと全く何も備えのない状態で災害を迎えることになってしまうことが多いからです。
 そこで、業務を整理して誰がどれをやりたいのかについて募集を行い、希望した人にやってもらってはいかがでしょうか。もちろん全体の動きは全員がある程度把握していないとうまく動けませんが、全員が同じことができるよりは、得意な人が得意なことをやるほうが楽しいし効率的です。
 お互いの得手不得手や好きなこと嫌いなことなどをオープンに話し合って決めていくことで、それぞれに納得感が生まれるのではないかと思います。
 特定の人に仕事が偏らないように割り振る仕事は肩書きのある方達にやっていただくことにはなりますが、備えなくてはいけないことなので好きな人に段取りをしてもらうのが一番だと思います。
 災害対策を通常業務の一つとして位置づけ、業務時間の中で予算をもらってきちんと対策をすることが、その施設や自治会、団体にとって非常にメリットが大きいのではないでしょうか。もちろん当研究所もご相談があれば、できる範囲にはなりますがお手伝いさせていただこうと思っています。
 コロナ禍で業務が落ち着かない現在だからこそ、新しい年になった今だからこそ、一度考えてみて欲しいと思います。

雪道を車で走行するときの注意点

2016年のときの雪景色。

 年末年始は大きな寒波が来るそうです。
 夜の間に雪が一気に降り積もってしまうこともありそうですので、予め積雪対策はしておいたほうがいいかもしれませんね。
 新型コロナウイルスの移動自粛ではありませんが、大雪のときにも不要不急の外出は控えて天気が落ち着くのを待つというのは基本です。
 でも、何らかの事情で道路を車で走らなければいけないことが起こりうるかもしれません。
 そんな方は、出かける前に以下の点に注意しておいてください。

1.車のタイヤはしっかりとしたスタッドレスタイヤになっているか。

 四輪駆動車などをお使いの方の中には「四駆だから大丈夫」と不思議なことをいう人が一定数いらっしゃいますが、二駆であれ四駆であれ、道路に設置しているのはタイヤです。そして、普通のタイヤは雪道を走るようには設計されていません。
 正確に書けば、「雪道を走れても止まれない」のです。
 普通のタイヤだと、走り出せても止まれませんので、高確率でどこかに突っ込んでしまいます。
 また、スタッドレスタイヤは普通のタイヤよりも経年劣化が早いですので、保管状況にもよりますが、3年も使うとしっかりと効かなくなってしまいます。
 まだ山があるからと言って古いスタッドレスタイヤを履くのはかなり危険です。
 道路で立ち往生して動けなくなる車の中には、結構高確率で古いスタッドレスタイヤを履いている車がいるそうですので、そうならないためにもきちんと使えるタイヤを履かせておきましょう。

2.タイヤチェーンは積んでいるか。

 スタッドレスタイヤも圧雪状態ではなかなか効果が十分に発揮できません。
 そんなとき、タイヤチェーンがあればしっかりと走ることができます。
 また、雪道からの脱出時にもタイヤチェーンがあったほうが安心できます。
 金属チェーン、ゴムチェーンとありますが、どちらでもいいのできちんと準備しておきましょう。また、あらかじめちゃんと巻くことができるように練習しておくことは言うまでもありません。

3.スコップは積んでいるか。

 もしも動けなくなったときには雪をどけて道を切り開く、またはその場で救援を待つとして車内暖房を効かせるためにエンジンを回すとき、排気管が雪に埋もれるのを防ぐために排気管の周りを定期的にほる必要があります。
 そのためには、先が平らな平スコップまたは除雪スコップを準備しておきましょう。

4.幹線道路以外は走らない

 大雪になると、幹線道路以外の道路の除雪は後回しにされます。
 そのため、普段使っている迂回路だからと狭い道に入ってしまうと、そこで動けなくなると救援が来るのがいつになるか分からない状態になります。
 自分も困りますし、周囲にも迷惑をかけますので、幹線道路以外は走らないようにしましょう。

5.燃料はできるだけ入れておく

 普段の感覚で大丈夫だと思っていても、道路で動けなくなると車のエンジンを使っての暖房が生命線になります。
 そのため、大雪でどうしても出かけないといけない場合には、できるだけ燃料を満タンにして出かけるようにしましょう。
 ちなみに、軽油の場合は暖地と寒冷地では仕様が異なりますので注意してください。

 まだまだいろいろな注意点はあるのですが、大雪のときには車でも歩いてでもできる限り出かけないのが基本です。
 どうしても出かける場合には、上記の点そして下記のリンク先の中もしっかりと確認してもらって、安全に出かけて帰ってこられるようにしてくださいね。

雪道・アイスバーンでの運転の注意点」(JAFのウェブサイトへ移動します)

地域の調整役を作っておく

 被災後に支援や復旧がどれくらい速やかに進むかどうかというのは、地域、行政、ボランティアを繋ぐ調整役がいるかどうかで決まります。
 行政機関はこの役を地域の自治会長に担ってもらうことを前提にさまざまな支援計画を作っているわけですが、自治会のない場所や自治会が機能不全に陥っているところは自治体職員が派遣されて調整を行うことになります。
 誰がやるにしても、地域の中でしっかりと顔が売れていて、「あの人が言うのなら」というような人が調整役として存在していないと声の大きい人やさまざまな伝手やコネを持っている人が優遇されてそれ以外の人はいっこうに復旧が進まないといった事態になることもよく起こります。
 地域を上手に復旧させるためにはしっかりとした方針と実行力が必要となります。そして、いろいろな要望や無茶ぶりをする人達の間を上手に調整してトラブルを上手に解消できること。そう言った人を地域に作っておかないといろいろと面倒なことが起こります。
 普段から頼りになる人に防災担当になってもらい、諸機関と地域の被災者を上手に調整してもらうことが必要なのです。
 ちなみに、阪神淡路大震災でも東日本大震災でも、救助や復旧が早かったのはこういった人がいる地域でした。
 なかなかご近所同士でも顔が分からないことがあるというこのご時世ですが、地域で頼りにできる人は必ずいると思いますので、可能であれば地域で災害だけでも窓口を決めておくことをお勧めします。

大雪が降るかもしれません

 山陰地方では、これから年末年始にかけて大雪が降るかもしれないという予報が出ています。
 大雪に対する対策としては、水道管の凍結防止対策、停電に備えて発熱素材を使った服の準備などを含む暖房の多様化、それから雪による交通障がいによる食料品の配送遅延や買い出しできない場合に備えた食べ物の準備をしておくと気分的に安心すると思います。
 また、初詣などにお出かけの場合には、事前に気象情報や交通情報をしっかりと確認し、移動中も定期的に確認して道路での立ち往生を防ぐようにしましょう。
万が一に備えて、お出かけの荷物には水と簡単な食料を入れておいた方がいいと思います。
 準備しても、何事も起きないかもしれませんが、何事もなければ準備した物をそのまま使えばいいだけの話です。
 備えあれば憂いなしです。しっかりと準備をしておきましょう。
 ちなみに、水道管が破裂すると給水が止まってしまうことになりますので、念のため生活用水としてお風呂のお湯は落とさずにいたほうがいいかもしれませんね。

笑いでストレスを飛ばそう

 災害に遭うと、さまざまな不安からどうしても暗い表情になってしまいます。
 日本には空気を読む文化がありますので、大規模災害ともなると、日本中が一様にくらーい雰囲気に包まれてしまってどうにも居心地が悪くなってしまいます。
その上「笑うことは被災者に失礼だ」と、お笑い芸人などにクレームをつける自粛警察の方々が出てくると、笑いを届ける人達が萎縮してしまっていつまでも笑顔が戻ってこない状況になります。
 でも、災害やその後のさまざまな心理的負担に耐えるには、笑うことが重要です。
 笑うことでストレスをはねのけ、気分を切り替え、精神的な元気を維持することは、被災地の復旧復興のためにはなくてはならないことなのです。
 被災地で笑いを届けることは不謹慎だという方もいらっしゃいます。被災地の中でさえ、そういったことをいう方もいらっしゃいます。
 確かに、被災直後に笑えというのは無理な話だと思います。でも、災害との戦いはほぼ長期戦になりますので、難しい顔ばかりしていると身が持ちません。
 笑うことで不安を一時的にでも忘れ、心の均衡を取り戻すことは非常に大切です。
 別に面白い話を聞いて笑わないといけないということではありません。大きな声で笑うこと。大事なのはそこです。
 どうにもならないときには、人目につかないところで大きな声で思いっきり笑ってみてください。おかしくなくてもいいのです。とにかく笑い声をあげること。
 何がどう変わるわけではありませんが、気分的にすっきりします。笑ったという事実が心を軽くするのです。
 被災後に限りません。悩んだときや困ったときなどにも、一度だけで良いので大きな声で思い切り笑うことを試してみてください。特に現在コロナ禍で最近笑ったことのない人がやると大変効果的です。
 本当にすっきりとしますよ。