緊急を知らせる警報音を知っておこう

 防災行政無線やテレビ・ラジオ、携帯電話と言ったものから災害発生時にびっくりするような大音量で耳慣れない警報音が鳴ることがありますが、それぞれの警報音には意味があることをご存じですか。
 緊急地震速報は最近地震が多いので良くも悪くも耳に慣れてきていますが、この他にも河川の放水警報や津波警報、大津波警報、そして国民保護法による警報音など、普段耳にしないさまざまな警報音があります。
 防災行政無線などからはこの警報音の後に何が起きているのかについて言葉で教えてくれるのですが、予め警報音を知っておけば行動を少しだけ早くすることができます。
 基本的にはあちこちで勝手に鳴らすことは禁止されていますのでこちらのサイトに音を掲載するわけにいかないのですが、youtubeや内閣府などのホームページでさまざまな警報音を確認することができます。
 いずれも不快な音ではありますが、あなたの命を守るために鳴らされる警報です。警報音と、どのようなタイミングでその警報が鳴らされるのか知り、今何が起きているのかを把握できるようにしておきましょう。

災害の時の扉や窓の開け閉めについて考える

 さまざまな災害が発生したときにちょっと悩んでしまうのが窓の開閉です。
 例えば、地震のときには避難路を確保するために窓や扉を開けろといわれますが、火事が発生すれば窓や扉は閉めて避難しろと言われます。単独の災害なら問題なのですが、複合になるとどうなるのかなと、ちょっと考えてしまいます。
 そこまで気にする必要はないのでしょうが、今回は災害時に扉や窓の開け閉めをどうするのかについてちょと考えてみたいと思います。

1.地震の場合

 地震の場合には、前述しましたが避難路を確保するため可能な限り開口部を空けておいた方が安心です。余震などのこともあるので、避難するまでは空けておくことになりますが、夏場はともかく、冬場は冷えて寒いですので、早めに行動するようにしましょう。
 避難するときには、外に出たら防犯上窓や扉は閉めておくようにしましょう。

2.火事の場合

 火事の場合には、酸素供給を絶つ必要があるので、避難時にできる限り窓や扉は閉めておく必要があります。
 開いているとそこから新鮮な酸素が供給されるため、建物が燃えてしまう速度が速くなる上に窓の開いている方向に向かって煙が集まってきます。

3.水害の場合

 水害の場合には、これは溢れてくる水の量や勢い、そして建物をどうしたいかによって変わってくると思います。
 何が何でも建物だけは守りたいというのであれば、一階の外側に面している扉や窓を全て外すことで水の破壊を押さえることができます。
 逆に中のものを守りたいというのであれば、扉や窓をしっかりと閉めて土のうなどで防御し、少しでも水の圧力による破壊を防ぐ手立てを取っておく必要があります。

4.台風の場合

 これは絶対に窓や扉は閉めておく必要があります。できれば段ボールや布テープなどで追加補強し、ガラスなどが割れたり壊れたりしても被害を限定的にできるようにしておいたほうがいいと思います。

台風対策としての窓飛散防止。ガムテープが便利。

5.その他の災害

基本は窓や扉を閉めることになると思います。

 ここまで自分で書いていて、地震の時の避難路の確保と水害の時の被害対策での窓や扉の開放ということ以外は窓や扉は閉めておくことが基本だと言うことに気づきました。普段あまり意識しない扉や窓の開閉ですが、災害に出会ったときにはどのようにするのかということについて確認をしておいてくださいね。

眼鏡は予備を準備しておこう

 視力矯正具を必要とする人が眼鏡を作りに行ったとき、予備の眼鏡を進められたことはありませんか。
 あれは万が一のとき、あなたが困らないように進めてくれているのですが、あなたは予備の眼鏡がわかるところにしまってありますか。
 というのも、災害はいつもあなたが起きているときに起きるとは限りません。過去の災害を見てみると、寝ているときや明け方などに起きているものも多いのです。
 つまり、眼鏡やコンタクトレンズを外している状態で被災することもあり得るわけですが、そんなとき、あなたの眼鏡やコンタクトレンズがすぐに使える場所に置いてありますか。そして、それらが駄目だったときに備えて、非常用持ち出し袋などに予備のものがしまってありますか。
 いざというときに、物がきちんと見えている場合と見えていない場合では、行動がかなり変わってくると思います。
 視力矯正具なしでは行動が制限されてしまいますし、避難後のさまざまな情報は文字や映像で提供されることが多いので、非常に困ることになります。また、知り合いなどを探したりすることも困難でしょう。
 そして、被災地で新たに眼鏡を作ろうとしても、恐らくは相当な期間待たされることになると思います。
 そう考えると、普段使いしている眼鏡に加えて最低もう一つ、異なる場所に眼鏡を保管しておいた方がいいと思います。
 ちなみにコンタクトレンズしか使わない方の場合でも、被災地では衛生的な水が手に入りにくいですから、必然的にある程度の期間は眼鏡に頼らざるを得ない状況になりますので同じように予備の眼鏡を作っておいた方が安心です。
 最近ではデザインや能力を考えなければずいぶんと安く眼鏡を作れるようになっています。あなたの安全を守るためにも、まだ持っていないのであれば、眼鏡屋さんで予備の眼鏡を作っておくことをお勧めします。

おうちのエネルギー源は多重化しておこう

 電気、ガス、灯油、薪、炭など、おうちで使うエネルギー源にはさまざまなものがあると思います。
 最近は安全性や燃料コストの安さ、掃除のしやすさなどでオール電化にしているおうちも多いと思いますが、防災の視点から見ると、エネルギー源はなるべく多くしておいた方が安全だと考えています。
 例えば、電気であれば災害や思わぬ障害による大規模停電がいつ起きてもおかしくはありません。そんなとき、ガスや灯油など他のエネルギー源があれば、停電のときでも暖を取ったり調理をしたりすることができます。
 電気とは異なり、他のエネルギー源の場合には酸素が必要になりますので定期的な換気は必要となるのが難点ではありますが、いざというときに凍えなくて済むのは何よりの安心になると思います。
 もちろんオール電化がいけないというわけではありません。送電が止まることによって停電になることが困るのですから、蓄電池が備わっていればそれである程度まではカバーが可能になります。
 太陽光発電システムがセットになっていれば、日中の発電も可能になりますのでそれなりに生活が維持できると思います。
 ガスや灯油は燃料としての使用期限が存在しますので、保管しておいて何年も放っておくというわけにはいきません。
 薪や炭は、乾燥した環境が維持できるなら年単位で安定して保管することができますが、使い方にはかなりのコツが必要です。
 これらを備えるのであれば、日常生活の中に上手に組み込んだり、キャンプやバーベキューなどで定期的に消費をしながらローリングストックしていうことになるでしょう。そこまでたくさんでなくてもいいと思いますが、数日間はエネルギー源として使用可能な量のストックは必要です。
 自分の生活にあったエネルギー源の多重化について、考えてみてくださいね。

追伸:軽油+発電機の組み合わせはどうだろうかというご相談をいただくことがありますが、こちらは値段が高額になること、大きな音と排気ガスが出ること、利用頻度が費用に見合ったものかをご検討いただき、周辺環境や電気の必要量などをよく考えて必要だと判断した場合に準備されればいいと思います。
燃料の軽油も長く置いておくと変質してしまうことがありますので、そのあたりも十分に気をつけていただければと思います。

お散歩と避難訓練

 寒い季節になってきましたが、あなたの体調は大丈夫ですか。
 寒い時期になると屋内に引きこもりがちになりますが、天気の落ち着いている日には外で散歩してみると、意外とリフレッシュできるものです。
 せっかくなので、災害時に避難しようと考えている一時避難場所や避難所まで、実際に歩いてみてはいかがでしょうか。
 毎回同じところではなく、天候や体長に応じて近いところ、遠いところ、災害ごとに安全な場所などを確認しながら歩いてみると、思ってもなかった障害があったり、意外な避難可能な場所を見つけたりできて面白いですよ。
 子連れのご家庭では一緒になって歩いてみると、子どもがどの程度までなら歩けるのかや、歩けない子を背負ってどのくらいまでなら移動できるのかなどを試しておくと、緊急事態のときに自分たちがどのように避難すればよいのかのイメージができます。
 今回添付した写真でも小さな子が背負われていますが、この背負子はリュックサックになっていて、さらには背負っている子どものいすにもなる優れものです。
 リュックサックに納まる量はたいしたものではありませんが、数個の紙おむつと1回分の離乳食程度なら十分に納まりますので、普段使いでセットしておくといざというときにもそのまま子どもを乗せて背負って避難を開始することができます。
 非常時には可能な限り両手を空けるということを考えると、こういったアイテムを上手に使うのもありではないでしょうか。ただ、おんぶは背負う方もですが、背負われる子どもも慣れていないと上手に背負うことができませんので、そういう部分での練習にもなります。最初はうまく背負われてくれない子どもも、背負っている人と同じ目線になっていることに気づくと結構喜んでくれます。
 ちょっとした天気の安定した時間に、ちょっとしたお散歩で気分転換。
 新型コロナウイルスの流行が不安になっている今だからこそ、他人と接触せずに済むお出かけを考えたいものですね。

モンベル・ベビーキャリア(monbellのサイトへ移動します)

ヘルプマーク・ヘルプカードをご存じですか

 見た目では判断がつかない身体の内部の障害や難病の人、妊娠初期の人など、援助や配慮が必要だが見た目ではわからない人が身につけ、周囲に援助や配慮が必要であることを知らせるためのものです。
 東京都が考案して全国に普及されてきているそうですが、残念ながら筆者自身はまだ本物を見たことがありません。ただ、調べてみると島根県でも障がい福祉課がこのヘルプマークやヘルプカードの普及を行っているようです。
 ヘルプマークは、赤地に白い字で十字マークとハートマークが掲載されています。そして裏面には、その人がどういったことで援助や配慮が必要なのかという記載がされています。
 ヘルプカードも同様で、このカードの中に支援が必要な内容が書かれていますので、もし障がいのある人からこれらのものが提示されたら、記載されている内容に沿って支援をして欲しいとのこと。
 また、これらが併用される場合もあるようですので、もし提示されたらマークの裏側やヘルプカードの有無を確認をしてください。
 災害時には情報がうまく伝わらない・伝えられないことが数多く発生しますので、こういったことを知っておいて、いざというときにその人を助けることができるといいなと思います。
 内容など詳しいことについては、島根県障がい福祉課のウェブサイトをご確認ください。

ヘルプマーク・ヘルプカードについて」(島根県障がい福祉課のウェブサイトへ移動します)

被災地域での自己防衛

 いやな話になりますが、被災した地域ではさまざまな犯罪が発生します。
 暴力や盗難、性犯罪に至るまで、びっくりするくらいさまざまな事件が起こります。そして、警察力は災害対応で低下しますので、犯罪抑止も難しい状態になります。
 これらから完全に身を守る方法で一番手っ取り早いのは、普段の生活をミニマリストにすることと、被災後は可能な限り早く被災地から待避してしまうことで、被災地にいなければ発災後に起きるさまざまな犯罪から、自身の身と財産を守ることはできます。
 でも、被災地から避難できない人もいるでしょう。そういう場合には、まずは一人にならないことが重要です。
 普段からあいさつを交わして顔を売っておくことで、被災後に不審者と思われずに済みますし、声をかけることで孤立を防ぐこともできます。
 犯罪は対象が無人、もしくは一人であるところを狙って起きることが殆どです。集団化しておくことで、犯罪の発生を未然に防ぐことが可能になります。
 また、可能であれば自治会単位で地域パトロールもすることです。被災地域には、復旧支援の人よりも遙かに早く火事場泥棒がやってきます。それらに活躍させないためには、できる範囲で地域を巡回することです
 犯罪者は人の目をとても嫌がります。複数の目が地域やお互いを見ていることがわかれば、犯罪に遭遇する確率はきわめて低くなります。
 こう書いてくると分かる人も多いと思いますが、被災地域での犯罪発生率の抑制は、平時にどれだけ地域コミュニティが円滑に保たれていたのかと言うことと反比例します。地域コミュニティがしっかりしているところは犯罪発生確率が下がりますし、そうでないところはその逆となります。
 最後に暴力と性犯罪のお話をしておきます。
 防災関係の自己防衛の話では、女性に対しては「被災地では地味で目立たない格好をしろ」「女性を意識させるな」という話をされます。それも大切なことだとは思いますが、それ以上に大切なことは、絶対に一人にならないことです。
 普通、周囲の目があると考えると、犯罪行為を企んでいる人間から見ると非常にやりにくいものです。そのため、さまざまな手を使って狙った相手が一人になるチャンスを伺っています。
 どこへ行くのにも絶対に一人にならないようにすること。できれば同性で群れ、夜中にトイレに行くときでも絶対に複数で行動してすること。これを常に意識して行動してください。そして、女性用トイレや更衣室、授乳室を可能な限り早く整備し、利用する場合には必ず見張りを立てること。顔見知りでも関係ありません。近づけない、見せないようにすることが重要なのです。
 どんな人でも被害者にも加害者にもなり得るのが災害後の環境ですので、特に女性や子どもについては、必ず複数で行動し、昼夜問わず、複数の人の目が常にある状態にしておくことが大切だと思います。

デマと真実

商品の無くなった棚は不安感をあおる。

 何か大規模な災害が起きると「○○が足りなくなる」という情報が飛び交います。
 今年の上半期に新型コロナウイルスが流行したときにも、トイレットペーパーが無くなるというデマが流れて、店頭から品物が消えました。
 ここまで読んで矛盾を感じた方がいらっしゃるかもしれませんが、トイレットペーパーが無くなったことが事実なのではなく、トイレットペーパーが無くなるという話が店頭からトイレットペーパーをなくしてしまったということです。
 新型コロナウイルスの流行とトイレットペーパーとの間には何の関係もないのですが、流れを追うとこんな感じになります。

1.トイレットペーパーがなくなるという噂が出る。
2.噂を聞くと、心理的にあるうちに買っておかないと買えなくなるという不安感が起こる。
3.お店でトイレットペーパーを見かけると、噂を思い出し、あるうちに買っておこうと考えて、すぐには必要がないのにたくさん買い込んでしまう。
4.買い込む人が多いと、いつも売れる量以上に売れてしまうので、お店の在庫がなくなる。
5.いつも以上の生産能力を要求された工場ではトイレットペーパーの生産が間に合わなくなる。
6.店頭から在庫が消える。

 ここで気をつけたいのは、大量に買い占めたからと言って使う量が爆発的に増えるわけではないと言うことです。
 この後どうなるかというと、こんな感じになります。

7.店頭に無くなったためにトイレットペーパーを増産しろという世間の圧力がかかる。
8.やむを得ずメーカーが増産する。
9.結果的に消費量は変わっていないので、ある程度充足すると売れなくなる。
10.メーカーやお店がトイレットペーパーが売れなくて困ることになる。

 今回のコロナウイルスの流行では、製紙メーカーが生産はしており流通も動いているため買い占めなくても大丈夫というアナウンスを何度もしていたのですが、マスメディア的にはトイレットペーパーが無くなった絵の方がインパクトがありますので、そういった放送を繰り返し、それを見た人達が慌てて買い占めに走り、という悪循環の輪が広がりました。
 冷静に考えれば新型コロナウイルスが流行したからといってトイレットペーパーがなくなる理由にはならないのですが、店頭から在庫が無くなったことが心理的に不安を抱えている人達の後押しをすることになりました。
 消毒用アルコールでも同じようなことが起こり、日常生活で消毒用アルコールが必要な人達を困らせることになりました。ちょっと不思議だったのは、自分用の消毒ボトルを持って歩いている人が店頭や施設の入り口でそこに備え付けてある消毒液を使っていたことです。他所の消毒液を使う気なら、消毒液を自宅に大量に買い占めた意味はなんだったのでしょうか。普通の人であれば、石けん+流水で手洗いをしっかりと行えば大丈夫ということが理解できていれば、こんなおかしなことにはならなかったでしょう。
 マスクの場合は少し事情が異なっていて、生産国である中国が国内を優先したために入荷がなくなり、多くの人が買い占めに走ってしまいました。マスク不足を解消すると称して、アベノマスクなどと揶揄された政府公認で配布する布マスクが出てきたりしましたが、現在は生産が追いつき、以前よりも安くなっているものも出てきています。アベノマスクも、結果だけ見ると大金を使って役に立たないマスクが配られたという、ある意味ではデマに踊らされたような形になってしまいました。
 デマはどのような大規模災害でもついて回るものですが、それを見抜く力がないとデマが結果的に真実を生み出すことになってしまいます。
 マスメディアの偏向報道は今に始まったことではありませんが、SNSでも自分が見たい情報ばかりが整理されて集まってくるため、デマをデマと見抜けなくなっていることが増えてきています。
 まずは因果関係を考えること。そして、それが無くなるとしてどれくらいまでは耐えられるのか、また、必要とされる量は1日どれ位なのかなど、その物品に関する自分の消費情報をしっかりと整理しておくことです。そして、1週間なり10日なりの数量が確保できていればそれでよしと考えることです。どこまで買い占めればいいのかという終わりを決めていないと、消えない不安によりいつまでも買い占めを続けることになってしまいます。
 最後に、自分の信じようとしている情報とは真逆の情報を読んでみることです。
 情報には正の情報と負の情報の両方が存在しているはずですから、自分の思っていることと反対の主張を読むことである程度客観的に物事を見ることができるようになると思います。
 大規模災害ではさまざまな流言飛語が飛び交います。出所不明のデマもたくさん出てきます。それらの情報を鵜呑みにせず、いろんな角度から考えてから行動することを習慣にしたいものですね。

3年目に入りました。

 おかげさまで当研究所も研究所発足から3年目に入ることができました。これもさまざまな形で活動を支援していただいている皆様のおかげと感謝しております。引き続き、できる範囲で構いませんのでご支援をいただけると助かります。今後ともよろしくお願いいたします。
 当研究所が立ち上がってからも、全国的にはさまざまな大きな災害が起こり、そして現在は世界的に新型コロナウイルスの流行が続いています。
 狙ってこんな時期にこのようなものを立ち上げたわけではなかったのですが、気がつくと少しずつこういった防災をお手伝いする場所が必要な状況になってきているなと感じます。
 あまり大きなことはできない零細任意団体ではありますが、さまざまな場面で必要とされるお手伝いをできればと思っています。
 当研究所の最終的な目標は、それぞれが災害対策が当たり前にされている世の中になることですが、必要ではあるが緊急度が低いというのが防災ですので、なかなか多くの人にはこちらを向いてもらうことができません。
 でも、目標を目指して活動は続けて参りますので、引き続きお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

地図を使いこなす力をつける

防災マップ作りの一コマ。地図作りは地味な作業になってしまうので、飽きてしまう子どもが多い。うまく乗せられていないのが当研究所の現在の課題。

 地図を使いこなす力といっても、別に方位磁針を持ってオリエンテーリングをやってくださいという話ではありません。
 防災では、まず最初に防災マップという地図を作るところから始めます。
 危険な場所、安全なところ、役に経つものなどを区分けして色づけし、どこをどのようにすれば安全が確保できるかという作業なのですが、この地図が出来上がったらそれで終わりというケースがとても多いです。
 当研究所でも年に1回防災マップ作りをしているのですが、やはり完成して終わりになっているのが現状です。
 本当はこの地図を使って危険な場所の危険度を下げ、安全な場所は安全であることを確保し、役にたつものはきちんと使い方をマスターしておくといった作業が必要となります。
 これが本来の地図を使いこなす力ではないかと思います。
 日本損害保険協会様が主催している「ぼうさい探検隊マップコンクール」の応募用紙では、実はこの部分もきちんと記載するようになっていて、実施してできた地図をどのように地域に落とすのか、応募する際に頭を悩ましている部分でもあります。
 防災マップは作成して終わるのではなく、それをいかに地域の安全に反映させていくかという作業が、地味ですが非常に重要な内容です。
 当研究所でも地図の作成と出来上がったものを地域にどうやって波及させていくのかというところで試行錯誤しているところですが、この作業を確実に行うことが地域の安全を守る上での大きな鍵になる気がしています。