災害に慣れること、慣れないこと

机の下でダンゴムシ
防御姿勢はTPOに合わせて取ろう。

 宮城県や岩手県の方では大きな地震が起きて津波注意報も出たようですが、大きな被害が出ないことを願っています。
 さて、地震にしても大雨にしても津波にしても、とてつもなく大きな被害を出すようなものはそこまで多くはありません。
 ですが、普通の生活をしているとそれなりの揺れやそれなりの大雨、また津波の予測が出るのに出くわすこともよくあります。
 災害に慣れるという点では、これらが起きると防御姿勢や避難誘導、避難準備の早さなど良いことがたくさん起きるのですが、それなりの災害というのは、結果的に人の生活に影響のある災害が起きないことが殆どです。
 不思議なもので、そうなってくると何か災害の予兆があっても「どうせ何も起きっこない」と考えて身の安全を守る行動を取らなくなってくるのです。
 災害の予兆が当たり前になって、普段の生活に影響が出ないと信じ込むようになった頃、大きな災害というのはやってくるような気がします。
 99回避難して何も起きなかったからといって、100回目もそうだ誰が決められるのでしょうか。
 100回目でも1000回でも、愚直に命を守るための行動をすること。
 災害に慣れるなら、「何も起きない」と考えるのではなく、命を守る行動を取ることに慣れたいですね。

ズボラか災害対策か

 我が家の廊下の壁にはお菓子の入った袋がぶら下げてあります。
 中身はスナック菓子やあめ、チョコレートなどで、家族全員が満足できる量はありませんが軽いお菓子パーティーができるくらいにはバリエーションが揃っています。
 それなりに大きな袋になるので目立ちますし、中身を知っている人からは「みっともないからどこかへ収納したら?」と言われることもあるのですが、その都度「これは非常用持ち出し袋です」と返事をしています。
 非常用持ち出し袋というと生活用品が全て揃った厳ついものを家族全員分揃えて並べてあるというイメージの人もいるみたいですが、誰もが知っていて何かあったら持ち出せるようになっていて、当座の生活を維持できるものが入っているなら、それは立派な非常用持ち出し袋になると思っています。
 もちろん、この中に携帯トイレや飲み物、着替えやエマージェンシーシートなどを入れておけば言うことはありませんし、持ち歩きしやすいようにリュックサックに入っていれば、もっといいと思います。
 でも、目的はあくまでも非常時にすぐに持ち出せるかどうか。ついでに書くと、普段の生活の中で不自由がないようにしておくことも大切です。
 我が家の場合には、そのバランスを取った場所が廊下のお菓子袋だということです。
 非常用持ち出し袋も準備はしてありますが、小分けで持ち出せるものの数が多ければ多いほど生存確率はあがります。
 ぱっと見にはズボラに見えても、見方を変えれば立派な災害対策になるということを知っておいてくれるとうれしいです。

車の燃料に気をつける

 車の燃料の量と行動の自由は直結しています。
 特に車が普段の生活に必要な地域に住んでいる人にとっては、車の燃料はある意味生命線を握るといってもいいでしょう。
 もしあなたが車が普段の生活に必要な地域に住んでいるとしたら、あなたは車の燃料をどんなタイミングで注いでいるかを考えてみて下さい。
 もしもあなたが燃料警告ランプがついて補給する癖がついているようなら、できるだけ早めにその癖を直すことをお勧めします。
 できれば、燃料計が半分を切ったら燃料を注ぐ癖をつけておきましょう。
 大規模災害に襲われると、当面の間は燃料が届きません。そして、車が無事だった場合には、本来の用途以外にもいろいろと使われることになります。
 例えば止まるための簡易寝床として。あるいは暖房・冷房器具として。それから発電機としても使われることがあるでしょう。
 非常に便利な道具なのです。
 でも、基本は燃料があるからそれらに使うことができるわけで、燃料が切れてしまうとただの金属の塊と化してしまいます。
 被災地だけではありません。
 どこかで大規模な災害が発生すると、それ以外の地域の燃料供給が途切れがちになることも多いですから、燃料があると言うことは自分の自由を保障するという意味でも大切なのではないかと思います。
 東日本大震災では、発生から半年くらいは燃料輸送用のタンクローリーが不足したことから被害のなかった離れた地域でも燃料の給油制限が行われていました。
 災害が直接起きていない地域であっても、燃料不足が起こる可能性があるのです。
 万が一に備えて、車の燃料はできるだけ残量があるようにしておいてくださいね。

防災備蓄は生活備蓄

災害対策用の備蓄はしていないという方はそれなりにいると思いますが、家に保存できる食料が何も無いというお宅はそんなにたくさんはないのではないかと思います。
お米、インスタント食品、レトルト食品、乾物、缶詰など、保存が利く食料というのは普段の生活の中でもいろいろと使っていると思いますが、それは防災備蓄と条件が同じものだと気づいていますか。
つまり、大抵のおうちには潜在的な防災備蓄品はあるということです。
まずはそれを認識してください。
では、それらの備蓄品はどのように保管されているでしょうか。
もしも置き場がばらばらになっているのであれば、何カ所かに分けて置く場所を決めておくといいと思います。
置く場所を決めるとき、目についてすぐに持ち出せるようになっていると忘れずにすみ、そして賞味期限切れを起こすことも減ると思います。
置く場所を袋やカバンの中などにしておくと、何かあったときにすぐに持ち出せて助かります。
最後は、場所を家族みんなが知っていること。
そうすることで、災害が起きて逃げ出すときにも食料品を持ち出せる確率が上がります。
食料品を入れる袋を上と下にわけ、下側に寝具などの生活用品や飲料水などを納めておくと、非常用持ち出し袋が完成します。
日常と非常を明確に区分けして準備しようとすると、なかなか大変ですし肝心な時に使えないという情けないことも起こり得ますが、一部を普段使いしていると、いざというときにもきちんと使えて安心です。
それが面倒くさいのであれば、せめてお菓子を持ち出せる袋に入れて廊下などにかけておいてはどうでしょうか。
それを持ち出せる状態になっていれば、普段使いもできていざというときにも何が入っているか悩まずに持ち出すことができて助かります。
防災備蓄は生活備蓄の一部です。わざわざ別に準備する必要はありません。
ポイントは、目立つところに違和感なく持ち出せるようになっていることです。
災害対策で備蓄品を準備する際には、まずは自分たちの持っている保存食を整理して、いざというときにどこにあるのかをわかるようにするところから始めましょう。

「出す」「飲む」「寝る」に「遊ぶ」「食う」

 昨日はストックすべきアイテムと数量がわかるウェブサイトをご紹介しましたが、多すぎてよくわからないという方のために、考え方を少し整理してみました。
 現在、当研究所で非常用持ち出し袋の研修をするときの考え方の基本は、この「出す・飲む・寝るに、遊ぶ・食う」をイメージするようにお話をさせてもらっていますので、今回はこの順番に何を用意すべきなのかを簡単に書いてみます。
 最初に極論しておくと、昔はやった「カウチポテト族」ができるような装備をイメージしてもらうといいと思います。

1.出す

携帯トイレ各種

 最初の「出す」は文字通り排泄物のこと。トイレが高度化されればされるほど、災害時には役にたちません。
 古いボットン便所や下が単なる便槽になっている簡易水洗などでない場合には、汚物を流すための水が使える見込みが立つまではトイレが使えません。
 でも、トイレは我慢できません。そのために、排泄できるための道具を準備しておこうということです。
 百円均一ショップなどでも携帯トイレは売っていますが、殆どが小専用です。
 非常用持ち出し袋にいれるなら、大小兼用タイプのものが荷物が減ってよいと思いますので、そういう目で探してみてください。
 生理用品やパンティーライナーといったアイテムもここに入ります。
 また、排泄物を捨てるためのにおい消しの効果のある袋と、汚物が外から見えないように捨てられる袋も準備しておきましょう。あと、いろいろ使えるトイレットペーパーもお忘れなく。

2.飲む

 ここで飲むのは飲料水のことです。水は重量物なので、自分が一日にどれ位飲むのかを考えて用意しておきましょう。
 水は生活の仲で非常に汎用性が高いアイテムです。できるだけ水の形で持ち歩くようにし、コーヒーや日本茶などは粉末やティーパックになったものを用意しましょう。
 また、折りたたみ式の小さなウォータージャグを用意しておくと、避難生活が続く場合でも水の確保がしやすくなります。

3.寝る

 意外と置き去りにされがちですが、寝るのは気力を維持するために非常に重要なことです。
 一番良いのは避難先に布団を持ち込むことですが、布団は非常用持ち出し袋には収まらないと思うので、床との断熱をするエアマット、枕、上にかける毛布、そして耳栓や明るさを防ぐ目隠しを準備しておきましょう。
 避難所でも、可能であれば床からは少しでも高い位置に寝るスペースをセットできると粉じんを吸い込まなくて済むので安心です。

4.遊ぶ

 忘れられがちですが、避難している時間は案外とすることがないものです。
 寝るにしても限度がありますから、気を紛らわせるためにもカードゲームや本、スケッチブックやおもちゃなど、屋内で退屈しなくても済むものを準備しておきましょう。
 携帯ゲーム機やネットゲームなどもいいとは思いますが、電源と通信環境は自前で用意する必要がありますので、そこのところには注意してください。

5.食う

 文字通り食べることです。食事であれば暖かくて普段の食事からあまり極端に変化しないものがいいと思いますが、とりあえず一日のことだと考えると、ポテチやスナック菓子、おせんべいなどもここに入れていいと思います。
 インスタント食品やレトルト食品もいいですし、そのまま食べられるレーションのようなものもいいと思います。
 自分がおいしいと思えるものを入れておくといいと思います。

 ざっくりと書いてみましたが、これに沿ってアイテムを準備していけば、とりあえずの避難準備はできることになります。
 お気づきの方もいらっしゃると思いますが、多くが家のどこかに収納されているアイテム類ですから、その置き場の一部を非常用持ち出し袋にしておけばいいと言うことになります。
 そうすることによって、非常用持ち出し袋も普段から目につくところに置かれることになるので、いざというときに慌てなくても済みます。
 ちなみに、普段リュックサックを背負わない人が持とうとすると、5kgでも結構重く感じると思います。
 背負って走ることのできる量がその人にとっての適正重量なので、それを考えながら準備していくといいと思います、
 まずは一日分をセットしてみてください。

小さな子の避難で気をつけること

災害下で避難するときの格好の一つ。できるだけ肌は露出させないこと。

 地震などの災害では、自分の荷物を背負って歩ける年齢であれば自分で歩いてもらった方が安全に避難をすることができることが多いです。
 ただ、大人とは異なる危険がありますので、今日はそのことに少しだけ触れたいと思います。

1.粉じんを意識する

 地震後や水害後など、災害時や災害後には地面から1m程度はさまざまな粉じんが舞っている場合が多いです。
 地面を見るとうっすらとかすんだように見えることもありますが、小さな子はその中を自力で突っ切っていかなければなりません。
 その時、目や呼吸器に粉じんが入ると炎症を起こしたりさまざまな呼吸器や目の病気が発生することがあります。
 そのため、ゴーグルとマスクは必須アイテムだと考えて下さい。
 ゴーグルは水泳用、マスクも普通のもので構いません。なるべく粉じんに触れる時間や量を減らすことが目的です。
 また、粉じんを身体につけないために、避難中は夏場であってもポンチョのような雨具を着て肌の露出を防ぐようにするとかぶれたりせずにすみます。また、自転車用で良いのでヘルメットを被っておくとより安心です。
 非常用持ち出し袋にいれる救急箱の中には、目薬と保湿剤は必須、余裕があればうがい薬を入れておくと粉じんによるさまざまな病気を防ぐことができます。

2.できる範囲で自分のものは持たせる

 小さな子だとついつい大人が全ての荷物を持ってしまいがちになりますが、もしもはぐれたとき、子どもの荷物を全て大人が持っていると、子どもは何もできなくなってしまいます。
 幼稚園や保育園ではリュックサックで自分のものを持って移動するような日常を過ごしていることも多いと思いますが、自分の持てる量でいいので、水、食料、着替え、そして名前や連絡先を記入したパーソナルカードを必ず持たせるようにしましょう。
 また、水や食料については持っているだけでなく、いざというときに食べたり飲んだりできるように練習もしておくようにしてください。

3.靴は滑りにくいものを普段から履く

 小さな子の靴は、どうしてもデザイン優先になりがちですし、長距離を歩けるようになっていないものも多く見られます。
 ただ、災害時には自力で避難することが原則となりますので、靴底が滑りやすいような構造のものだと危険になりかねません。
 地面がしっかりとグリップできるような靴を普段から履かせるようにしてください。
 場合によっては、長靴なども選択肢にはいるかもしれませn。

4.両手を空ける

 小さな子はちょっとしたことで身体のバランスを崩しやすいので、非常用持ち出し袋は必ずリュックサックにします。
 そして、空いた両手には軍手でいいので手袋をつけるようにしてください。
 そうすることで、がれきの間をバランスを保って移動するときや転びかけたときに手をついて身体の安全を確保することができます。

5.普段から地域を歩いておく

写真を撮るといろんな変化が分かって面白い。

 歩く習慣をつけておくことで、いざというときでもへたらずに避難することができます。
 特に田舎では移動手段が車ということも多いですから、どうかすると一日に歩く歩数が千歩いかないこともあると思います。
 意識して歩くこと、できれば家族で散歩する習慣をつけて、家の周りにどんなものがあって、どこが安全か危険かを確認しておくと、最悪こどもだけでも安全に避難できる確率が上がります。
 また、会話することで家族の仲もよくなりますし、歩くことはいろいろな意味で身体にいいです。

 どれくらいの年齢から自分で自分の荷物を持って歩けるのかという質問をいただくことがあるのですが、それはその子次第という回答をしています。
 歩き慣れていない子は小学生になっても難しい場合もありますし、年少さんでも自分の荷物をもってトコトコと歩ける子もいます。
 普段から子どもといろいろとやってみたら、その子がどういった状態になるのかはわかると思いますので、しっかりと子どもの様子を見て、その子にあった準備をするようにしてください。
 ちなみに、幼稚園や保育園では避難訓練をやっていると思いますので、その様子を見学させてもらうとわかりやすいかもしれません。

 また、ぬいぐるみとリュックサックの選択で悩まれていた保護者の方がおられましたが、子どもが安心できるなら、ぬいぐるみは持って避難して下さい。その時、ぬいぐるみが粉じんまみれにならないように、ビニールなどでくるんでおくことを忘れないようにして欲しいと思います。

 いずれにしても、こどもは親が思っているよりはずっとタフです。ちょっとしたことでいろいろなことができるようになりますので、一緒に楽しんで災害対策をしてみてくださいね。

おんぶはできる?

写真はおんぶできるモンベルのリュックサック。抱っこひもおんぶ紐兼用のものも出ているそうです。

 先日、研修会で助産師さんのお話を聞く機会がありました。
 その中で、「最近の子育てではあまり子どもをおんぶせず、おもに抱っこで対応している」とのお話があり、乳幼児の避難では子どもをおんぶしてくださいという説明をしている身としては、ちょっと気になって講師の方にお話を伺ってみました。
 話を聞いてみると、最近の抱っこひもはおんぶ紐にもできるようになっているそうで、おんぶ紐自体がなくなっているわけではないとのこと。
 ただ、普段抱っこでしか使っていない抱っこひもを、災害からの避難だといって急におんぶをすることは難しいのではないかというお話でした。
 抱っこではどうしても重心が前側に来るため、地震の揺れに遭遇すると高確率で転んでしまったり、避難するときの移動の安定も悪いのではないかとの認識を伝えてみると、助産師さんもおんぶをすることに慣れてもらうことが大切だし、おんぶは子どもにもいいのではないかと思っているという回答をいただきました。
 親と同じ目線で同じものを見ることができるのは、おんぶしているときにしかできない特権です。
 子どもの顔を見ながらあれこれするのは安心ですし、目の前にいることで話しかけやすいのも確かなのですが、やはり災害時の避難のときまで抱っこというのは危険なのではないかと感じています。
 おんぶはおんぶしている側の腰の負担の抱っこに比べると軽くて済みますから、もっとおんぶする機会を設けてもいいのではないかと思います。
 「やったことのないことはできない、やり慣れないことはうまくいかない」から訓練するのが防災の考え方です。
 いざというときに備える意味でも、普段からある程度はおんぶしておくことをお勧めします。ちなみに、下でご紹介しているのは4種類の抱き方ができる抱っこひも。リンク先の紹介文では20kgまで対応しているそうなので、値段はしますが選択肢として考えてみてもいいのかなと思っています。これに限らず、もしもこれから準備するのであれば、おんぶ機能をもった抱っこひもを準備するようにしてくださいね。

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口の衛生を保つ

 非常用持ち出し袋の中身としては非常に地味な存在ですが忘れてはならないものに歯ブラシがあります。
 災害時には、普段にもまして口の中の衛生環境を維持するように意識しないといけませんが、食事や水、簡易トイレは入れても歯ブラシを入れ忘れることがよくあります。
 ティッシュや歯磨き用のクロスでもいいのですが、歯茎への刺激や歯間の衛生を維持するのには歯ブラシがあったほうが衛生環境を維持しやすくなります。
 歯ブラシを持って行くということは、うがいもする必要がありますから、そのための水も確保しておく必要があります。
 災害時であろうとも、一日一回でいいのでしっかりと歯磨きをする習慣を忘れないようにしたいですね。

水と食料

 非常用持ち出し袋に入れるものの中で頭を悩ませるものに水と食料があります。
 入れなければいけないことはわかっていても、水であれば「量=重さ」ですし、食料も何を用意すればいいのか考えてしまうと思います。
 防災関係の資料を見ると、一般的には成人一人が一日に必要な水の量は2~3リットルとされていますが、これはあくまでも目安なので、自分がどれくらい水分を摂取しているかを知っておいてください。
 人によって、一日3リットルでは足りない人、2リットルでも多い人、さまざまだと思います。目安はあくまでも目安。自分の消費量と、自分が持って移動できる量のバランスで考えればいいと思います。
 持って歩くのであれば、2リットルのペットボトルよりも500mlのペットボトル4本の方が運ぶにも使うにも便利です。あくまでも自分で持ち歩ける量を前提に検討してください。
 そして食料ですが、非常食とはいえ、食べ慣れないものを食べて、それが口に合わなかったら一気に気落ちしてしまいます。
 備えようと考えている非常食があれば、とにかく一度は食べてみることです。そうすることで、自分がよりおいしいと感じる非常食を準備することができますし、食べる過程で作り方やできあがりの分量を確認することができます。
 しっかり噛むのが難しい人であればレトルトパックのおかゆは重要な食料になるでしょうし、乳児がいるのであれば液体ミルクを準備しておくといいと思います。

 非常食というとアルファ米を思い浮かべる方も多いと思いますが、常温保存できて作る場所を問わない食料であれば、非常食としては問題ありません。
 人によっては非常食でポテトチップスを準備しているかたもいますが、それも有りです。どんなときにでも自分が食べやすい食事を準備しておきましょう。
 また、一食一品ではなく、最低もう一品。つまり主食と副菜を考えて用意しておくと気分的にご機嫌になれます。
 重要なのは、いかに普段の生活に近い環境を維持できるかということですので、普段の食生活を意識しながら非常食の準備をするようにしてください。

非常用持ち出し袋のかたち

 「非常用持ち出し袋はリュックサック」だと言われていますが、なぜリュックサックでないといけないのかを考えたことがありますか。
 リュックサックは背中に背負った形で固定ができるため、両手が自由になることと重心が背中にあるため、移動するときに変な方向に引っ張られたり、ひっかかったりしなくても済むという利点があります。
 ただ、これは災害発生後に避難する場合に有利と言うことであり、災害が予測されるときにする予防避難の場合には無理にリュックサックにする必要はありません。
 普段お使いの肩掛けカバンや手押し車、旅行用のキャスター付きのカバンでも問題はないわけです。
 早めの避難を心がけるのであれば、袋の形はさほど意識しなくても構いません。
 どちらかというと、カバンの形状よりもカバンをどこへ置くかの方が大切です。玄関や裏口、倉庫など不意にやってくる地震のときに持ち出すことができる場所に分散して置いておくのがコツです。
 もう一つ付け加えるなら、最優先で守るべきは自分の命です。もし非常用持ち出し袋が見つからないようであれば、探すのに固執せず、逃げ出すことを優先してください。
 ちなみに、リュックサックでもその形状によっては非常に背負いにくい、あるいはものが入れにくいものがありますので、改めてリュックサックを準備する場合には、口の広くて大きいものを選んだ方が使いやすいです。
 登山用のリュックサックなら、口が広く、重量物にも耐えられる設計になっているのでお勧めですよ。