装備によくあるホイッスル

 防災時に持ち出すさまざまなアイテムの一覧表を見ると、かなり高い確率でホイッスルが入っています。
 これは生き埋めや孤立状態になったとき、声を出さなくても音で周りに自分の所在を知らせるために入っているのですが、防災セットを背負った状態で、必要な状況になったときにこのホイッスルを吹くことが可能でしょうか。
 例えばホイッスルが肩当てや胸ポケットに入っていれば吹くことは可能かもしれません。
 でも、買ってきたそのままの状態で保管されていた場合、ホイッスルを吹こうと思ったら相当な手間がかかりますから、生き埋めや閉じ込められている状態では、吹くことはかなり難しいのではないでしょうか。
 つまり、自分が助かる目的でホイッスルを準備するなら、常にすぐ取り出せる場所につけておかないと意味がないと言うことです。
 ホイッスルの構造に関して言えば、できるだけシンプルであることが望ましいです。
 照明とセットになっていたり、中に自分の情報を記載したパーソナルカードを収納できるものもありますが、異なる機能のものを一緒にすると、本来のホイッスルの目的が達成できないものが多いので選ぶときには単純なものをお勧めします。
 その中でも、水に濡れたり埃の中でも吹けるように、本体内に音玉のない単管タイプのものがおすすめです。また、市販品でも「防災ホイッスル」としていろいろ販売されています。
 値段は単純な単管のものよりは高くなりますが、値段の分だけ性能はしっかりとしていて、例えば人に聞こえやすい周波数を出すとか、少ない息でも大きな音が出せるとか、値段相応の付加価値がつけられています。
 もちろんそうでないものもたくさんありますので、選ぶときには自分にあったものをよく考えて選ぶようにしてください。
 それから、別に一本だけ持つことにこだわる必要はありませんので、安いものをあちこちに入れておくというのも一つの方法です。
 自分がやりやすい方法を考えて準備しておきましょう。
 ちなみに筆者の場合、ホイッスルは家や車の鍵の束に一緒につけています。
 四半世紀くらい前に防災研修会でもらったものですが、単純な単管式で管自体が肉厚のおかげか、未だにしっかりと甲高い音が出せます。
 たまに音を出してみて、どんな音がするのかも試しておいてくださいね。

ペットの避難の大前提

キャリーケースに入ったうちの猫。

 飼っているペットを連れた同行避難をするとき、小型犬や猫はケージやキャリーケースに入っていい子にしてくれているかどうかはとても大切なことです。
 普段から入り慣れているペットであれば問題ないのですが、そうでないペットはいざというときに大抵抗される可能性があります。
 また、入った後も鳴いたり暴れたりしてじっとしていないことも考えられ、そうなると避難所から追い出されてしまう可能性も出てきます。
 仮にペット同伴の避難所であっても、大騒ぎするペットが一匹いると全体が荒れてしまいますので歓迎はされません。
 そうならないためにも、ペットがケージやキャリーケースにおとなしく入ってくれるように普段から馴らしておく必要があります。
 避難所では、状況によっては数日から数週間、そのケージやキャリーケースがペットの家になることもありますので、きちんと入ってくれるように、また暴れないように普段からしつけておきましょう。
 また、それが苦手なペットもいると思いますので、そういったペットの場合には、避難所以外に避難できるような状況を作っておく必要があります。
 同行避難や同伴避難が認められていても、傍若無人にしてよいというわけではありませんから、他の避難者が困らないためにもしっかりとしたしつけをしておきたいですね。

あなたの安全は誰が確保するのか

 あなたの安全はあなたが確保しなくては誰も助けてはくれません。
 そのために災害対策の知識を身につけ、さまざまな訓練も行っているわけですが、ここで一つ質問です。

質問
「あなたが所属している組織のBCP(事業継続化計画)では、発災時にあなたの安全は誰が確保することになっていますか?」

 実は、ここがはっきりしていないBCPはBCPと呼ぶには不完全です。
 BCP、業務継続化計画を策定する際に重要な要素の一つが人的資源の被害対策で、人が全く介在しない組織というものは存在しないので、そこに関わる人の被害対策はきちんと明記しておかなければなりません。
 ですが、なぜか多くのBCPはここが非常に曖昧になっています。
 また、定義していても業務中に限定されていることが殆どで、通勤・登校時まで決めているところはあまりありません。 
 さらに言えば、出社・登校時に出るべき場合、出ない場合の判断にまで言及しているところがどれくらいあるでしょうか。
 その部分がはっきりしていないため、発災後に通勤・登校時に被災した人がどう行動すべきなのかが判断できず、通常と同じ行動をとろうとしてしまって混乱が発生します。
 いきなりやってくる地震だけでなく、台風や大雨・洪水といった場合に公共交通機関が止まっても出社・登校しようとする人がたくさんいることは、防災の視点から見るとちょっと異常です。
 ではなぜ通常の行動をとろうとするのかを考えてみます。
 一言で言えば、「出社・登校しないことにより被る不利益が出社・登校することにより被る不利益を上回るから」。
 出社・登校しないことにより被る不利益は無断欠勤や欠席という目に見える形で自分に直接降りかかってきます。
 でも、出社・登校することにより被る不利益は社会全体に対する影響であって、自分への不利益は表面上感じません。
 そこで出社・登校するという行動に出てしまうのです。
 そして、出社・登校することによって生じた不利益は出社や登校を命じる人にはまったく悪影響がないということで、社会的な視点を持たない組織は平気で出社や登校を促し、出てこない人にはペナルティーをかけてしまうのです。
 ではどうするのか。
 あなたの安全はあなたが確保するのは大前提なので、その行動を会社や学校が認めればよいのです。
 同じ出勤・登校下の被災でも、いる状況や環境によって発生している内容はさまざまです。
 それを全部BCPで想定して決めるのはものすごい量になってナンセンスですし、出勤・登校する人もそんな内容は覚えられないし、第一見ません。
 BCPの人的資源に対する組織の被害対策は「通勤・登校時の被災時の安全確保については各個人が責任を持つ。組織はそれを最善の行動として認める」の一文を記載すれば済みます。
 そうすることによって、社会的な混乱を防ぐことができ、面倒くさいBCPも簡単になり、出勤・登校する人も安心して自分の安全確保をとることができるようになります。
 公共インフラを守る組織は非常時には出社して公共インフラを復旧・維持しなければならないのでやむを得ないとして。社会的に何の意味もないのに無理矢理出社・登校させようとする組織はあなたには興味がないと言っているのと同じですから、所属することに対して、ちょっと考えた方がいいかもしれませんね。

非常用持ち出し袋に求められること

 非常用持ち出し袋を作るときには、十人いれば十通りのこだわりが出てくると思うのですが、どんな非常用持ち出し袋を作るにしても一つだけ気をつけておいてほしいことがあります。
 それは、「その非常用持ち出し袋、持って走れますか?」ということ。
 非常用持ち出し袋についてはさまざまなところで書かれていますし、ここでも何度も紹介しているところですが、せっかく作っても持って移動ができなければ意味がありません。
 非常用持ち出し袋を作るときによく言われているのは男性15kg、女性10kgくらいまでとされていますが、これを実際に持ってみるとかなり重たいです。非常用持ち出し袋に詰めるときの詰め方を上手にしないと、普通に詰めたのでは背負っても歩けないかもしれません。
 そこで、非常用持ち出し袋を作るときにはその非常用持ち出し袋を持って避難しなくてはならなくなったとき、それを持って走ることができるかどうかを考えてみて下さい。重たくて走れないというのであれば、自分が背負って走れるくらいまで重量を軽くしておくことです。
 その結果、中に詰めることができなくなるものも出てくると思いますが、ある部分は割り切って考えることも重要です。
 また、小さいお子様がいる場合には非常用持ち出し袋を背負うことができないかもしれません。
 そんなときには、大きなベストを用意して、その中にさまざまなグッズを詰めておくことで、非常用持ち出し袋の代わりにすることもできると思います。
 中身をあれこれと悩む前に、まずは自分が背負って走れる重量を確認するところから始めて下さい。

要支援者の避難を考える

 地域で防災計画を作ると、必ずと言っていいほどつまずくのがさまざまな理由で自力での避難が難しい人、いわゆる要支援者の存在です。
 「自力での避難が難しい=自分避難ができない」という考え方になり、「地域の誰かが避難所へ避難させる」という方法を考えることになります。
 ただ、その要支援者は「自分の力では避難ができない」かもしれませんが、ひょっとすると「自力で避難できないわけではない」かもしれません。
 というのも、例えば訪問介護やヘルパーが来てくれている状態で発災したときには、そういった人達が支援してくれるかもしれないからです。
 また、状況によってはあらかじめ家族や知り合いが支援することになっているかもしれません。
 判断をするのに必要なのは情報です。その人がどのような人でどのような支援を受け、どんな支援が必要なのかということを関係者間で整理しておかないと、無用な混乱が起こることになります。
 要支援者は平常時にはさまざまな職種連携によって在宅生活を維持する仕組みができています。その仕組みの中に防災計画も入れてもらうようにするのです。
 民生委員や担当のケアマネージャーなどの理解がないと難しいことではありますが、これができていないと要支援者の避難計画を作ることがかなり難しくなります。
 関係者を巻き込むことで避難先や安否確認がスムーズにできるようになり、福祉避難所への移転も速やかに行えるようになります。
 要支援者の命を守り命を繋ぐために、常時と非常時の連携もしっかりと考えておきましょう。

避難計画を作ってみよう

前段となる防災マップ作りの一コマ。

 避難計画を作るときは、まず避難経路の検討をするところから始めましょう。
 ただ、前提条件として「全ての災害にオールマイティで使える避難経路はほぼ作れない」ということを知っておいてください。
 その前提を頭の片隅に置いた状態で、とりあえず避難経路を一つ作ってみましょう。

1.防災マップ(避難経路検討用の地図)を作る

 避難経路を決めるときには、住宅地図にハザードマップと避難所の位置を落とし込むところから始めます。
 ハザードマップは面で作っていますが、住宅地図は点で見ることができるので、重ねることで自分の家や周囲の状況が一目でわかります。
 できればこれに標高の色分けを加えると、非常に使いやすい防災マップができあがります。

2.防災マップで家と周囲の避難所の位置関係を把握する

 できあがった防災マップを見て、家と避難所の位置関係及びその間にある障害を確認します。
 崩れそうなところ、水没しそうなところを確認し、避難しやすそうな避難所があるか確認してみます。
 どの避難所も避難するには危険だと考えた場合には、近くの安全そうな場所に一時避難を考えるか、あるいは早めの避難行動開始を検討することになります。

3.避難経路の線を引いてみる

 決めた避難先までの経路を地図に落としてみます。

4.実際に決めた避難経路を歩いてみる

 作った地図を片手に、実際に作った避難経路を歩いてみます。
 実際に歩いてみると、図上では気づかなかったマンホールや側溝、古い家屋やブロック塀が案外多いことに気づくと思います。
 それを地図に落とし込んでいき、地図だけではわからない情報を調べていきます。

5.実際に歩いてみた情報を元に、災害ごとの避難経路を考えてみる

 現地を見て得た情報を使って、想定される災害ごとに危険だと考えられる場所を避けるような経路を考えてみます。
 危険だと考えられる場所を決めるときには、どういう理由で危険なのかを整理しておくとそこを避けるべき災害がわかります。
 例えば、マンホールだと蓋が外れた状態が見えないことにより中に落ちる危険性があります。蓋が外れているかどうか確認できない状態ではそこは避けるべきということになりますから、地震だと夜間、水害では危険だということがわかります。
 こうして整理していくと、考えられる安全な経路がいくつか見えてきますので、災害時にはそこを避難すればある程度安全が確保されるわけです。

 実際に作ってみると、最初に想定していた避難経路が非常時には使えないということがわかることが多いです。
 図上と実地調査、どちらも重要なものですから、しっかりと確認しておきましょう。
 そして、一度作ったら終わりではなく、最低でも年に1回は実際に避難してみて、問題なく避難ができるかどうかを確認するようにしましょう。

自分の安全は誰が守る?

 災害には、地震のようにいきなり発生するものと、水害や台風のように起こることがある程度予測できる災害があります。
 そして、予測ができる災害については行政機関が状況に応じて避難勧告や避難指示を出すわけですが、これらが出たからといって必ずそのエリアに被害が出るというものでもありません。
 ただ、状況が収まるとマスメディアはこぞって行政機関の出す避難勧告や避難指示についてあら探しをします。
 災害の検証という点では正しいのかもしれませんが、結果的に被害が出なかった状況をさも予測できたかのような書きぶりで批判するのはいかがなものかと感じています。
 行政機関が避難指示や避難勧告を出し渋る理由は、避難をさせておいて何もなければ苦情を申し立てる人がそれなりに発生し、また、マスメディアがこぞって批判するのが原因です。
 逆に考えれば避難を自分で判断できて、被害がなかったことを喜べる人ばかりになれば、行政機関は冷静に判断することができるということです。
 誤解されていることが多いのですが、自分の命は自分が守るのは生きていくための基本です。判断を他人に委ねてしまうことはあってはならないのです。
 これはその人が生活要支援者だろうが健常者だろうが、老若男女関係ない基本的なことです。
 何かあったとき、自分の命はどうやったら守ることができるのかをしっかりと考え、起こり得るであろう「何か」に備えておくこと。それが「自助」です。
 もちろん、命を守るための支援が必要な場合もあるでしょうから、必要な支援をお願いしておくことが「共助」です。
 生き残り、命を守ることができて初めて行政機関の支援である「公助」の出番なのです。
 もちろん行政機関が出す避難勧告や避難指示を避難の判断とすることは問題ありませんが、最終的になんの被害もなく不要な行動だったとしてもそれは結果論です。避難しなければならない事象は予測されていて避難する決めたのは自分なのですから、避難勧告や避難指示を出した行政機関を責めるのは筋が違います。
 自分の安全は自分で守ってください。
 そのための判断基準の一つとしての避難勧告や避難指示だということは忘れないようにしたいですね。

BCPとタイムライン

 防災関係で最近よく耳にするようになった言葉に、「BCP」と「タイムライン」があります。
 どちらも災害に備えて作っておくものですが、中身は少し違っています。
 今回はBCPとタイムラインの違いについて考えてみたいと思います。

1.BCPとは?

 BCPはBusiness Continue Planの略で、日本語では事業継続化計画と言われるものです。
 難しい言葉ですが、その内容をわかりやすくすると「災害前にどのように被害を防ぐか」「災害発生時にいかに被害を減らせるか」「災害後にいかに速やかに被害前の状況に戻せるか」の三つを決めておくということです。
 一例をあげてみます。
 まず、地震に対する被害を防ぐ方法として「タンスを固定する」行動をしたとします。
 その結果、地震発生時にタンスが倒れるという被害を防ぐことができ、もしかするとタンスのある空間にいたかもしれない人も助かりました。
 タンスが倒れるという被害を防げたことから、けが人を防ぐことができ、散乱したタンスの中身を迅速に部屋の中のお片付けができるようになった。
 こんなイメージでいいと思います。
 一つ一つ被害が起きそうな原因を特定して対策をし、その災害で受ける影響を可能な限り低減するのが目的なので、施設や人員の追加や移動などがあった場合には必ず見直しが入るものです。

2.タイムラインとは?

 タイムラインとは、日本語では行動計画と言われるものです。
 災害に関していえば、災害が発生したときに命を守るための行動とその行動を起こすための鍵を決めておくことです。
 一例をあげてみます。
 大雨で災害が起きそうな状況になっているとき、レベル3「避難準備・高齢者避難情報」が発表され、近くの高台の避難所へ避難したと考えてください。
 この場合、命を守るための行動が「近くの高台の避難所へ避難する」ことで、その行動を起こすための鍵が「レベル3発表」ということになります。
 タイムラインを作るときには避難情報の中にある「住民が取るべき行動」が参考になりますので、それを参考にすると作りやすいです。
 一度作った後、実際に避難行動をしてみて内容を変更していきます。大きな変更はないかもしれませんが、見える場所に貼っておくなど常に意識できる状況を作っておくことが重要です。

3.BCPとタイムラインの違い

 タイムラインはBCPの中の一部、「災害発生時に人的な被害をいかに減らすか」という部分だけを切り出しているものだと考えるといいと思います。
 当研究所では、避難計画についてのご相談をいただくと、まずタイムラインを作るようにお勧めしています。これはタイムラインができればそれに合わせる形でBCPを作ることが可能だからです。
 BCPではいかに被害を防ぐか、被害を低減させるか、そして被害前の状況に戻せるかということまで検討しないといけませんが、タイムラインはシンプルに「命を守るための行動計画」を考えればいいので、取っつきやすいと思います。
 タイムラインができてから、その前後の被害の防止、物的被害の低減、被害からの復旧について決めておくとBCPも作りやすいです。
 また、タイムラインは災害種別毎に作った方がいいのですが、とりあえず一つ作ってみることでどのように作ったらいいのかがわかります。そして、タイムラインは居る場所によっても異なってきますので、例えばおうちにいるときだけでなく職場や学校にいるときにはどうするかということも決めておくとよいと思います。

 いかがでしょうか。BCPとタイムラインは似て異なるものですが、どちらも作っておいた方がよいものです。
 施設や学校ではBCPは必ず作らなければいけないものとなっていますが、中身を見ると本当にそれができるのかと首をかしげるようなものや、「誰が決定する」としか書いておらず、その決定者が不在の場合には決められないような不完全なものが多いです。
 BCPにしてもタイムラインにしても誰もが見て同じ行動ができるようにまで具体化しておかないと意味がありません。
 そのことを念頭において、まずはタイムラインから作成してみてください。
 なお、当研究所でも作成のお手伝いはしておりますので、何から手をつけたらいいのか悩んでいたり具体化についてうまくいかないなど、何かありましたら一度お問い合わせいただければと思います。

作った計画はできるかどうかを検証しておこう

 マイタイムラインやBCPなどを作りましょうということでさまざまな場所でいろいろな講習会や説明会が開かれています。
 そこで出来上がった計画は非常に優れていて被災しても命はきちんと守れるというものになっているのですが、それが実際の行動に移せるのかというと、ちょっと難しいのではないかというものを作っていることも多いです。
 マイタイムラインやBCPは非常時に命を守ることが目的となっています。BCPの場合にはこのあとの復旧も記載しておかないといけませんが、その策定計画に無理がないかを、一度しっかりと確認してみてください。
 よくあるケースとしては、マイタイムラインで特別警報が発表されたら自動車で川向こうの高台の避難所に避難するといったものがあります。
 「特別警報が出たら」「高台の避難所に避難する」は問題はありませんよね。
 ここで問題になるのは「自動車で」「川向こうの」という部分です。特別警報が出ているような状況だと、河川が氾濫危険水位もしくは氾濫している可能性が大きいです。
氾濫しそうだと通行止めになりますし、もし氾濫していたらそもそも通行できません。
自動車で突破しようとしても、川の流れに車ごと流されてしまう可能性もかなり高くなりますから、手順を考える必要があるわけです。
 このケースだと、「特別警報」ではなく「氾濫注意水位情報」にしておくと、他を変更しなくても安全に避難することが可能になります。
 もしも「特別警報」を避難判断の基準にするのであれば、「自宅の2階以上の部分」や「近くの高い建物に歩いて避難する」ようにした方が安全だと考えます。
 特別警報が発表されるときには、すでにそのエリアでは災害がどこかで起きていると考えた方がいいですから、家の周囲で水が溢れている状態ということを想定して避難計画を組んでおきたいところです。
 また、「非常用持ち出し袋に1週間分の食料と水を入れて歩いて避難」というのも見たことがありますが、それを持って避難しようとすると、一人分であっても自力でもって移動することは困難だと思います。
 実際に実行できる計画というのは、作った後に実際に行動してみてうまく行くかどうかをきちんと確認しておかないといけません。
 作ったことで満足するのではなく、実際にその作った計画が実施できるのかについて一度やってみて、できない部分を手直しし、本当に使えるものにしていきたいですね。

笑いでストレスを飛ばそう

 災害に遭うと、さまざまな不安からどうしても暗い表情になってしまいます。
 日本には空気を読む文化がありますので、大規模災害ともなると、日本中が一様にくらーい雰囲気に包まれてしまってどうにも居心地が悪くなってしまいます。
その上「笑うことは被災者に失礼だ」と、お笑い芸人などにクレームをつける自粛警察の方々が出てくると、笑いを届ける人達が萎縮してしまっていつまでも笑顔が戻ってこない状況になります。
 でも、災害やその後のさまざまな心理的負担に耐えるには、笑うことが重要です。
 笑うことでストレスをはねのけ、気分を切り替え、精神的な元気を維持することは、被災地の復旧復興のためにはなくてはならないことなのです。
 被災地で笑いを届けることは不謹慎だという方もいらっしゃいます。被災地の中でさえ、そういったことをいう方もいらっしゃいます。
 確かに、被災直後に笑えというのは無理な話だと思います。でも、災害との戦いはほぼ長期戦になりますので、難しい顔ばかりしていると身が持ちません。
 笑うことで不安を一時的にでも忘れ、心の均衡を取り戻すことは非常に大切です。
 別に面白い話を聞いて笑わないといけないということではありません。大きな声で笑うこと。大事なのはそこです。
 どうにもならないときには、人目につかないところで大きな声で思いっきり笑ってみてください。おかしくなくてもいいのです。とにかく笑い声をあげること。
 何がどう変わるわけではありませんが、気分的にすっきりします。笑ったという事実が心を軽くするのです。
 被災後に限りません。悩んだときや困ったときなどにも、一度だけで良いので大きな声で思い切り笑うことを試してみてください。特に現在コロナ禍で最近笑ったことのない人がやると大変効果的です。
 本当にすっきりとしますよ。