「00000JAPAN」(ファイブゼロジャパン)を知っていますか?

 大規模災害になると、スマートフォンを始めとする携帯電話での通信は繋がらなかったり通信が不安定になったりします。
 そのため、携帯電話の通信に頼らずWi-Fiによる公衆無線LANサービスが提供されるようになりました。
 これが「00000JAPAN」と言われるもので、提供されている間はWi-Fi接続できる端末であればどこのものでも誰のものでも自由に接続して使うことができます。もちろん外国人旅行者も利用することができます。

1.提供される目安

 大規模災害発生後72時間以内に無線通信ネットワークの復旧が困難と判断された場合に提供が開始されます。最近では台風15号による大規模な通信障害が発生した千葉県全域でKDDIやソフトバンクが自社の回線を開放しました。「00000JAPAN」は、一斉に開放されるものでは無く、開放すべきと判断した事業者が設定するもののようです。

2.使い方

 設定画面でWi-Fiのスイッチを入れ、ネットワークの選択で「00000JAPAN」を選択します。IDやパスワードの入力は必要ないので、そのまま接続して使うことができます。
 携帯電話のネットワークと違うのは、Wi-Fiスポットがある場所でないと繋がらないこと。
 コンビニや道の駅など、携帯電話サービスなどでWi-Fiが提供されている場所などで利用が可能です。

3.注意点

 この「00000JAPAN」、使い方のところでIDやパスワードは不要というということを書きましたが、非常用に使われるものですので、セキュリティにはかなり甘いところがあります。
 公衆無線LANサービスの常として、ネットバンキングサービスやネットショッピングなど、個人情報を入力しないといけないものには使わないことをお勧めします。

 田舎ではWi-Fi環境のある場所は少ないですが、万が一に備えてWi-Fiが提供されている場所と、その使い方を知っておくと情報収集に使うことができて便利です。
 動画などの大規模なデータは送ることが難しいかもしれませんが、メールやSNSを使うことはできると思いますので、参考にしてもらえるとうれしいです。
 なお、「00000JAPAN」について詳しいことが知りたい方は一般社団法人無線LANビジネス推進連絡会のホームページをご覧ください。

「モノ」ではなく「機能」で考える

 災害が発生して命からがら逃げ出し、自分が安全だと落ち着いたとき、「あれがない」「これがない」と困ることがたくさん出てきます。
 ただ、そのときにあまり「モノ」に固執すると本質を見失ってしまうことがあるので注意しましょう。
 必要なのは「機能」であって「モノ」ではないことに気がつくと、案外と代替品はあちらこちらにあるものです。良く出てくるのは、お湯を入れたペットボトルを使った「湯たんぽ」。これは「湯たんぽというモノ」ではなく、「体を温める道具」という点に注目しているからできるものです。
 鍋はなくても空き缶があれば鍋代わりに使うことができますし、鉄製の板があればフライパン代わりに使うことができるかもしれません。また、「布団」がなくても床からの暑さ寒さからの断熱と体の保温、そして安眠という機能を代替えできればいいわけですから、段ボールや新聞紙を組み合わせれば即席のものを作ることができるでしょう。
 ないものはいくら嘆いても手に入りません。とりあえずは、そこにあるものを全部並べてみて、単品や組み合わせで必要とする機能を作り出すことができないかどうかを考えてみる癖をつけておくようにしましょう。

【活動報告】防災マップの調査報告を小学校に行いました

 夏休み企画として8月に「防災マップ作り」を実施したところですが、本日、その内容について高津小学校様に調査報告をさせていただきました。

 今回の防災マップは地震と、地震による津波が発生した場合、学校から最寄りの高台の避難所までどのように避難したら良いかということを調べたのですが、作成した地図を元に、子ども達の疑問や心配なことについて説明をし、先生方がそれらを問題点としてすでに認識されており、試行錯誤を続けられているというお話を伺うことができました。

 去年、実際に避難所までの避難を行うということで、指定避難所である翔陽高校まで避難訓練を実施されたそうです。その結果、大きな道路の横断方法や長くなってしまう避難列の安全対策、学年ごとに異なる移動速度の問題、そしてどこへ避難するのが安全なのかということについてお話を伺い、こちらからも提案できることやよその事例などのご紹介をさせていただきました。

 学校の避難訓練はどうしても定型化しやすいとのことですが、定型化していてもそこから学べることはあります。やらないよりはやったほうがずっといいですし、同じやるのであれば、現在高津小学校様が挑戦されているような、より実態に即した方法を試してみるのはとてもいいことだと思います。

 よくあることなのですが、訓練をするときには「地震発生→机の下」というような定型的な行動を指示しがちです。でも、その行動にはきちんとした意味が存在します。訓練時には定型的な行動ではなく、「どこを守るためになぜその行動をとるのか」ということについて、子ども達に説明していただき、例えば机が無くても頭や体を守る方法を考えてもらえるようにしたほうがいいというお話をしました。
(「地震の時は机の下に隠れましょう」という定型的訓練が続くとどうなるのかを実験した映像がこちら
 学校の先生方は一生懸命やっておられるのですが、いかんせんお忙しいのと、なかなか専門的な知識の必要な防災まで手が回らないという実態があります。
 地元にいる防災士の一人として、お手伝いできることを積極的にさせていただき、いざというときに犠牲者が出ないような方向に持っていければなと思っています。
 お忙しい中、調査報告を真剣に聞いていただいた高津小学校の先生方に感謝いたします。

シェイクアウト訓練をやってみよう

姿勢を低く、頭を護って、動かない、がシェイクアウトの基本。ダンゴムシのポーズはその上級編。

 「今、地震が来たら?」と想定したとき、すぐに身を守る行動ができる人がどれくらいいるでしょうか?
 先日、小学校の学童保育で小学校1年生から4年生を相手にストローハウスを作るという企画をやったとき、試しにその場にいた子ども達に「地震が来たら、君たちはどうする?」と聞いてみました。
 1年生はすぐに「ダンゴムシのポーズ!」と元気よく答えてくれましたが、2年生以上の子ども達は「机の下に隠れる?」という感じで顔を見合わせるばかり。
 では、というので、手を叩いたら地震に備えるポーズをしてもらうことにしました。
 結果はというと、1年生は全員ダンゴムシのポーズを上手に取ってくれましたが、2年生以上は、二人を除いてその場の座卓の下に一斉に潜ろうとして押し合いへし合い。

知っていても状況的にそれができないこともある。そのときどうやって応用を効かすのかが生死の分かれ目になることもある。

 結局頭が出ていたり体の半分が出ていたりと、ちょっと危険な状態になっていました。
 座卓の下に入らなかった二人のうち、一人はダンゴムシのポーズを、もう一人はお山座りして頭にそのへんにあった箱を載せており、なぜその行動を取るのかについて理解ができているようでした。
そこで「低い姿勢になること」「頭を護ること」「安全な場所でじっとしていること」について少しだけお話をしました。
 実はこの訓練、「シェイクアウト訓練」といい、世界各地で行われている地震に対する訓練です。
 日本の地震に対する避難訓練では、まず最初に「机の下に隠れろ」という教え方をするのですが、「なぜそうするのか?」ということは教えられていません。
 そのため、いざというときには頭を護るのでは無くまず机を探すことになり、しなくてもいい怪我をすることになってしまいます。
 「姿勢を低く」「頭を護り」「動かない」を身につけることがまずは大事で、これを身につけるのがシェイクアウト訓練ということになります。「ダンゴムシのポーズ」は、シェイクアウトの基本を守った上で体の重要な部分を守るという上級編だと思っています。
 日本では、「効果的な防災訓練と防災啓発提唱会議」がこのシェイクアウト訓練を推進しており、ここ数年でずいぶんと聞くようになりました。
さまざまなサンプルややり方についてサイト内で説明されていますので、一読して、ぜひ一度やってみてください。
家でも、学校でも、職場でも、やることで経験値が貯まります。そして人は準備して経験したことしかとっさの行動に移すことはできません。
ぜひ機会を作って、シェイクアウト訓練をしてみてください。
それまでとは違ったものの見方ができるようになると思いますよ。

防災から見た「衣・食・住」

 衣食住は人の生活の根幹を支えているものだといってもいいと思います。
 一般的には「着る物」「食べるもの」「住む場所」を揃えることが大切とされているようですが、これを防災という視点で見てみたら、思ったよりも面白いなと思えるようになりました。

 まずは「衣」。
 これは文字通り「着る物」のことなのですが、防災の視点で見ると「適切な体温調節」という風に考えることもできます。冬場にTシャツと短パンで屋外へ放り出されたら寒くて仕方ないでしょうし、逆に夏場にコートやセーターしか着替えが無ければこれまたつらいと思います。
 季節に応じて防災セットに備える服も衣替えをしていく必要があるなと考えました。 薄手の長袖シャツやズボンを重ね着すれば季節に関係なく対応ができるかなとも考えたりしましたが、いずれにしても適切な衣類がないと体温調節が難しくなることから、これは大切な視点だと思います。


 次は「食」。
 「食」=「食べ物」と言われるものですが、防災の視点では、これは「食べ物・飲み物・排泄」を含めた一連の流れを考える必要があります。
 「排泄」が追加されているのは、出さなければ食べられなくなるためで、例えばトイレなどがうまく流せずに汚物まみれになった避難所では、不衛生なのと同時に食事や水分摂取を制限することによるさまざまな体調不良が発生していました。
 防災においての食はまず「排泄」を考え、次に「飲み物」、そして「食べ物」をどうするか考えていきます。
 この順番は人が生きるために我慢できなくなる順番に並べたもので、排泄は「出物腫れ物所嫌わず」と言われるくらい我慢できないものですし、水分補給が途絶えると、3日以上の生命維持はかなり困難なものになります。食事は1~2週間は摂らなくても体に蓄えられたものを分解して生命維持を行えるため、この順番で準備しておくのが得策です。
 今までは3日~1週間分を用意しておくような話が出ていましたが、都会地が大規模に被災したときには状況が落ち着くまでに2~3週間はかかりそうだという話も出始めていますので、災害時に自宅避難を行う方は、自宅のトイレの構造を考えた上で、準備しておくようにします。同様に水や食料も再検討しておきましょう。

 最後は「住」。
 これは住むための家をさすのですが、防災的に見ると「安心できる場所」という風に考えられます。
 避難所で生活していても、そこで安心した生活が営めないのであれば、これは住環境が満たされていないと判断できるのではないでしょうか。
 自分や家族が安心できる環境はどのようなものか、それはどのようにしたら確保できるのかについて考えておくことが必要です。
 災害で被災したからといって、指定避難所で生活しないといけないというわけではありませんので、自分や家族が安心できる場所を見つけるようにしましょう。

 防災での「衣食住」は、被災後に落ち着いて生活するための基準と考えてもいいかなと感じます。

 また「衣食足りて礼節を知る」という言葉もあります。これは衣服、食事が満たされて初めて礼儀を知ることができるのだといった意味合いですが、これは避難後にも言えることです。
 衣食住と同じ定義で考えれば、衣類は体温調節がうまくできるものとなりますが、この場合には下着類も含めた適切な着替えと考えます。
 災害により身一つで逃げ出した人は着たきりになりますので、それだけでもげんなりしてきます。着替えが一セットあるだけで、服や下着を洗濯することが出来、さっぱりとした気持ちで前向きになれるのではないかと思います。
 また、この場合の「食」は命を繋ぐだけでなく、生きる気力を生み出すためのものでないといけません。
 具体的には、暖かく、自分が食べ慣れた食事をいかに確保していくのかということを考えていくということです。
 過去の事例でいけば、阪神淡路大震災では、送られてきた支援物資の衣服を取り合ったという話もありましたし、東日本大震災や熊本地震で避難所で配られる弁当は食中毒を配慮して冷たいか、ひどいときには凍っているような、味の濃い、油ものの多い弁当になり、その結果、その弁当が食べられない人が体調を崩してしまうようなことも頻発してした。

 発災後には「生活再建」と言うことが声高に言われますが、まずはそれぞれの体と気持ちを身近なところから通常生活に戻していかないと、生活再建という視点にまでたどり着くことが難しいと思います。

 被災した人が生活を取り戻すためにはどういった道筋をつけていけばいいのか、特に高齢者や日常生活で支援を必要とする人たちがどうやったら前向きになることができるのかを、こういった視点で整理していくことができないのかなと考えます。

イベント開催の判断を考える

 秋、いろいろなイベントが目白押しの季節となりました。
 同時に、台風や秋雨前線による大雨の季節でもあります。
 気象によるイベントの開催・中止判断は参加者の安全にも関わってくる大切なものですが、具体的に何をどのように見て判断すればいいのでしょうか?
 今回はイベント開催の可否について参考にすべき情報や判断基準を考えてみたいと思います。

1.イベントの性格を考えてデッドラインを決める

 まず、開催の可否を判断するイベントの性格を考えてみます。
 全国から大勢の人が集中するようなイベントの場合には、開催判断は早めに行う必要がありますし、地域の運動会のようなものであれば、当日の朝の判断でも大丈夫かもしれません。
 判断が速いに越したことはありませんが、予測は外れることもありますから、イベント中止による損害と、イベントを開催することにより発生が予測される損害を天秤にかけて判断の行うことになると思います
 他にも昼間やるのか、夜やるのか、宿泊なのか、参加する人はどのような交通手段で来るのか、どのような人が対象なのかなど、開催するイベントの性格によって最終判断をするデッドラインは異なりますので、まずはイベントの性格とここで最後の判断を誰がするというデッドラインを決定しておきます。

2.開催ができなくなる条件を考えてみます

 そのイベントの性格が見えてくると同時に開催できなくなる条件というのも見えてくると思います。
 例えば、川遊びのイベントだと当日の雨はもとより上流で雨が降っている場合や水量が多い場合にはできなくなるでしょうし、屋外の運動会なら雨が降ったらできませんし、地面が水浸しだと開催は難しいでしょう。ホールのコンサートでは、感染症が流行っているときには開催は難しいでしょうし、大風や大雨などによる施設への閉じ込めが起きる可能性もあるでしょう。
 「開催できなくなる条件=開催した場合のリスク要因」と考えて、条件を洗い出してみましょう。

3.開催できなかった場合の代替案を考えてみます

 万が一そのイベントが開催中止になった場合、その後どのようにするのかを決めておきます。
 別な日に改めて開催するのか、それとも完全に中止するのか、それだけでも決まっていると、中止の際にアナウンスがしやすくなります。チケット販売されているものや塾などの習い事の場合には、返金をするのか、別な日に改めて枠を作るのか、あるいはそのままになるのか、この情報を出しておくことで、中止時の問い合わせや苦情をある程度まで減らすことができます。

4.開催できなくなる条件を満たすための情報を決めます

 開催できなくなる条件の洗い出しが終わったら、次にどの情報により開催をしないことを判断するのかを決めます。台風などの予測可能な自然災害の場合、気象庁が5日前に「早期注意情報(警報級の可能性)」を参考情報として発表します。これにより、いつ頃どのようなことが起こりうる可能性があるのかがある程度わかりますし、民間の気象情報会社でも、同じように予測をしていますので、お好みの情報を見つけておくといいと思います。

5.状況を確認していきます

 事前に決めたデッドラインまでに開催ができなくなる条件が満たされそうな場合には、最終判断を行う人の決定で、デッドラインまで待たずに中止を決定してもいいでしょう。
 天気図やアメダス、雨雲レーダーなどの情報や気象予報図、台風などであれば進路予想図などを確認して、いつ頃どのような影響が出るのかを見ていきます。
台風で進路予測に入っている場合、上陸地点の状況を見ることで、イベント会場での感じもそれなりに予測することもできます。
 最近では河川や道路などに自治体が敷設したカメラを見ることができるようになっているところもありますので、それらを見て監視するのもよいでしょう。
 いずれにしても、デッドラインを超えるまでに可否を決定しないといけないということは徹底しておきましょう。迷うようなら中止してしまうのも手です。より安全な方を選択する方が無難だと思います。

 開催するイベント内容によって、開催の最終判断をする情報や決定時期は変わります。
 ですが、「「いつ」「だれが」「どこがどうなったら」中止する決定をする」ということを決めておくだけでも、混乱を防ぐことができます。
 普段とは違うことを行う場合、混乱はどうしても発生します。ただ、判断基準を明確にしたり、どの情報を参考にするのかを決めておくと、混乱の規模を小さくすることは可能です。
 せっかく開催したイベントが災害に巻き込まれるようなことがないように、早めに確実に判断できるように基準を準備しておきたいものですね。

日焼けについて考える

日焼けで真っ赤になった所長の腕。割と繊細らしい。

 今年も暑かったですね。まだ暑さが続くかもしれませんが、もう9月半ばなのでとりあえず過去形を使ってみます。
 気温もそうですが、日差しの強さ。ひなたに出るとあっという間に干からびそうなくらい強烈な日差しでした。
 で、熱中症対策は言われ続けていたわけですが、日差し対策についても意識しておかないといけません。
 美容としてもそうかもしれませんが、夏場の災害での日焼け対策は非常に重要です。
 強烈な日差しのもとで復旧作業などを行っていると、あっという間に日焼けします。
 日焼けは、要するに肌がやけどしている状態なので、状況がひどくなると火ぶくれを起こしたりして病院での処置が必要になる場合がありますが、被災地域内の病院では満足なケアができない可能性があります。
 日焼けは事前に対策が可能な外傷ですから、事前にしっかりと対策をして災害復旧に当たりたいものです。

【本日のお品書き】
1.なぜ日焼けは起きるのか
2.日焼け対策の方法~事前準備~
3.日焼け対策の方法~事後対策~

1.なぜ日焼けは起きるのか

 日焼けが起きるのは、太陽光に人体に有害な紫外線が含まれるためです。
 紫外線が肌に当たると、体の防御システムとして皮膚の表面にメラニンが沈着して肌の色が濃くなり、これを防ぐ効果があります。
 ただ、普段日に当たらない人や肌の弱い人などは、メラニンの沈着が間に合わず、皮膚の内部が紫外線によって焼かれた状態になり、日焼けで起きる「火傷」という状態になります。

2.日焼け対策の方法~事前準備~

 よく言われるのは「日焼け止めを塗る」ですが、日焼け止めは使う人によって体質に合う合わないがありますので、使うのならば事前に目立たない場所に塗る「パッチテスト」を行ってください。
 また、塗り忘れた部分がないように、塗るときにはしっかりと塗っておきます。首の後ろや耳、鼻の頭などは塗るのを忘れやすい上、日焼けするととてもいたい場所でもありますのでご注意ください。
 確実なのは「直射に当たらない」こと。
 長袖、長ズボンはもとより、つばの広い麦わら帽子等を被り、首の後ろはタオルや手ぬぐいなどで直射に当たらないようにします。発汗製素材+冷却素材を使った服であれば、暑いさなかであってもさほど問題なく過ごすことができると思います。
 特に災害復旧をする場合には、日焼けだけで無く怪我の防止のためにも、肌の露出は防ぐ必要がありますので、肌を出さないように意識しておきましょう。

3.日焼け対策の方法~事後対策~

 日焼けしてしまうことはよくあることではありますが、例えば焼けた場所が真っ赤になったりひりひりしたりする場合があると思います。
 これは日差しによる火傷ですので、まずは冷やすことが基本になります。保冷剤や氷などで赤くなったりひりひりしたりしている場所をしっかりと冷やしましょう。
 火照っている程度でも油断は禁物。炎症が起きている状態なので、とにかく冷やすことを心がけてください。よく使われているジェルタイプの冷却剤、たとえば「冷えピタ」などは、人によってはかぶれを起こしたりすることもあるので、こういうときには使わない方が無難です。
 また、水ぶくれになったりすることもありますが、うかつに破ると感染症の心配がありますので、しっかり冷やした後は病院の受診をお勧めします。
 火照りやひりひりがある程度収まったら、保湿効果のある化粧水などをたっぷりと肌にやさしく付けていき、肌荒れしないようにケアしておきます。
私自身は面倒くさがりなので、以前は痛いまま放っていたのですが、肌の状態を見かねた知り合いの薬剤師さんに勧められ、資生堂の「カーマインローション」というのを冷やしておいて、真っ赤になったりひりひりしたり、火照っていたりする場所にしっかりと塗るようにしています。

この「カーマインローション」、炎症を抑える成分も配合されているそうで真っ赤になった部分も割としっかり痛みが取れます。
体質によるものもあるのでしょうが、私の場合にはあっているようで、日焼けしたときにはよくお世話になっています。値段も安くて非常にいい製品だと思うのですが、なぜか周りでは見かけることがないのが残念です。

資生堂 カーマインローション N(260mL)【資生堂】

価格:378円
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 繰り返しますが、日焼けは火傷と一緒です。
 日に焼けるのは仕方ありませんが、なるべくひどいことにならないように防護を忘れないことと、日焼けした後のケアをしっかりすることで、日焼けによる体へのダメージを減らすことはできます。
 きちんとしたケアをして、今シーズンの残りと、来シーズン以降の酷暑も乗り切るようにしたいものですね。

その後の防災ポーチ

 以前に防災ポーチ研修を受けたことを書いたことがあります。
 あれから半年。我が研究所の防災ポーチはどうなっているのか、少し気になったので当時同行したS研究員に尋ねてみました。
 彼が取り出したのは、非常用持ち出し袋。防災ポーチはその中に入っていました。
 普段は出かけるときに持ち出すカバンに入れ、帰ってきたら非常用持ち出し袋に戻しているそうです。

最初に作った防災ポーチ。必要最低限のものが組まれている。
S研究員の防災ポーチ。小銭に1円、5円が混じっているのは買い物の時に必要と判断したためとのこと。

 中を拡げてみると、彼なりにカスタム化されたアイテムが追加されています。
 鉛筆と消しゴム、小銭、それにハイドロコロイド素材の絆創膏。あとはガム。
 半年間の運用実績で、自分が必要とするものを組み込んで使いやすくしてきているようです。
 ただ、あめ玉に関しては夏場に溶けてしまうので入れておくのが難しいという話で、代わりにガムを追加しているということでした。
 カロリー0のあめ玉は入れていても溶けないそうですが、目的考えると役に立たないということをぼやいていました。
 ラムネ菓子や他のもので代用することも考えた方がいいかもしれませんが、そこらへんは現在試行錯誤討をしているようです。
 ともあれ、持ってあるか無ければ意味が無い防災ポーチ。
 使っているうちにだんだんと取捨選択が進んでいくようです。
 ちなみに、所長の防災ポーチは殆ど中身が変わっていませんが、消耗品は入れ替わっています。
 普段使いできるものを入れておけば、使用期限をあまり考えること無く使えますから、一度作ってみることをお勧めします。
 中身については、防災ポーチ作り講座の項を参考にしてください。

行かないという選択肢

 台風15号は首都圏にさまざまな有形無形の被害を与えたようです。
 今回、首都圏の鉄道会社は事前に計画運休する旨を告知していましたが、蓋を開けてみれば運休していることを知らずに駅にやってきた人がたくさんいました。
 速報値のようですが、首都圏全体の6割の会社や学校が計画運休に対してどのように対応するのかという指示がされていなかったそうです。
 去年関西で続いた地震や台風で企業や学校の災害時対応が騒がれたところですが、今回もやっぱり指示なしによる通勤通学難民が大量発生してしまいました。
 テレビやラジオのニュースでは「情報が提供されていない」と騒ぐ人たちが取り上げられていましたが、果たしてどこまで情報提供すればこの人達は納得するのだろうかとかなり疑問に感じています。
 それはともかく、台風が来るということと、鉄道が計画運休するということは事前にわかっていたのに、そして強風吹きすさぶ中、駅に向かって移動して動きの取れなくなった人たちは何を考えていたのかと言うことに興味があります。
 発表されているさまざまな情報が自分に影響があるという意識ができないということ、言い換えれば「全ての事実は他人事」なのかなと感じます。
 もっとも「計画運休時は休んでよし」と言えない企業や学校に基本的な問題があります。
 安全を意識して「行かない」という選択をしたら、後になって「何故来なかった?」と言い出しかねない風土が、通勤通学難民を生み出す大元になっているのかなと思います。
 社員や学生の安全を意識できないような企業や学校は、このご時世ではこの先、おそらく生き残ることは無理でしょう。
 社員や学生を危険にさらし、社会的インフラに負担をかけ、さらに社会インフラを維持するため出勤する人たちをも妨害している状態が果たしてまともなのでしょうか。
 鉄道も無意味・無計画に計画運休しているわけではありません。
 計画運休するのは、乗客の安全を確保し、災害発生後の復旧を手早くするために行うものです。
 その意味がわかれば、社員や学生を交通手段の途絶している中、通常どおり来させるという行為がいかに無謀かということが理解できるのではないでしょうか。
 今後しばらくは、災害は増えることはあっても減ることはありません。
 そろそろ企業や学校、そして自分自身も災害時対応計画を作って、計画運休時には不要不急の出社や登校はやめるということを決めておく必要があるのではないでしょうか。

体を冷やす方法あれこれ

 台風15号による停電は想定以上の被害が出ているようで、復旧に時間がかかっているようです。
 電力関係の方々が昼夜問わず復旧作業をされていますが、なかなか困難な状況とも聞きます。ぜひ安全第一で作業を続けていただければと思います。
 そして、台風一過で真夏並みの暑さが戻ってきました。その結果、冷房なしで殺人的な暑さを耐えないといけなくなるという過酷な状態になってしまいました。熱中症により亡くなる方も出てきています。
 熱中症の傾向については以前触れたことがありますが、今回は遅ればせながら「体の冷やし方」についていくつか方法を考えてみたいと思います。

1.なぜ体を冷やさないといけないのか

 人間の体は体の機能を維持するために体温を調整する能力を持っています。
 ただ、まだ調整能力が発達していないこどもや、調整機能が衰えている高齢者の方は、体の調整機能が環境の変化についていけず、熱中症になってしまうことがあります。
 そのため冷房などの外的要因で体を冷やしてやる必要がありますが、最近はやりの携帯扇風機にはお気を付けください。
 周囲の空気を顔に吹き付けると汗の気化熱で涼しく感じるのですが、高温になると汗が出る前に熱風で乾いてしまって熱中症を誘発してしまう危険性があります。もし使うなら、水をミスト上に吹き出せる構造を持ったものを使うようにしてください。

2.どこを冷やせばいいのか

 体温を下げるということを考えると、大きな血管が集まっている場所を冷やすのが効率的です。
 背中の肩甲骨の間、脇の下、太ももの付け根などがよく言われる部位ですが、冷やすのが難しい場所でもあります。
 また、夏場にできる野菜や果物には体を冷やす働きがありますから、そういうものを食べて体を冷やすこともいいでしょう。氷やアイスクリームなどの冷たいものも同様ですが、どちらも食べ過ぎるとお腹を壊したりします。
 今回、簡単に誰でもできてお勧めしたいのが「手のひらを冷やす」こと。
 手を水につけるだけでも体温を下げる効果が期待できます。
 手に冷たくしたペットボトルを持っているだけでも、体温が確実に下がります。先日テレビで実験していましたが、冷えすぎているとよくないようなので、凍っているペットボトルの場合はタオルを巻くなど、温度を少し上げる方がいいようです。
 また、濡れたタオルで熱を吸収しやすい頭などを冷やすのも効果的ですが、びちゃびちゃのタオルを使うと周囲の熱で逆に煮えてしまうこともありますので注意してください。
 また、いっそのこと水風呂に入ってしまうというのも涼を取るという点ではいいと思います。

 停電区域全域に電気を行き渡らせるのは無理でも、電源車や発電機を使えば、特定の施設を通電させ、冷房を稼働させることはできるのではないでしょうか。
 また、停電していない場所まで被災者を移動してしまう広域避難を行うのも効果的だと思います。移動手段を提供できれば、小さい子ども連れや高齢者を移動させることも用意だと思います。。
 停電も災害の一つと考えると、地域への支援や地域外への避難という選択肢はできると思うのですが、あなたはどう思いますか?