使い方をわかりやすく伝える工夫を考える

 最近の湯沸かしポットは電気式のポンプで給湯できるようになっているものがほとんどですが、たまに手動でも給湯できるものもあって、災害時には非常に使い勝手のよい道具の一つとなります。
 ただ、手動で給湯できることを知らないと、電源を探して右往左往することになってしまい、しなくてもいい苦労をすることになってしまいます。
実は先日、とある防災研修の中の非常食体験で出会ったのがまさにこのタイプの湯沸かしポットだったのですが、私を含めた参加者はそれに気づかず、湯沸かしポットの電動ポンプのスイッチ部分を押してはお湯が出ないと首をひねっていました。電源コードが外してあったので、「電源はどこだろう」と探していると、スタッフの方が給湯部中央の手動式ポンプを指さして「これを押せばお湯が出ます。電気は不要です」と言われてはじめてその存在に気がつくという出来事がありました。

頼りになる大容量湯沸かしポット。上部の丸部分が手動ポンプ。
手前右側の銀色の部分が電動ポンプのスイッチ。

 要はポットの中央部にある給湯用のポンプに気がつければ何でも無いことだったのですが、お湯の注ぎ口の横にある電動ポンプのスイッチの上にでかでかと「給湯」と書かれているので、そちらに意識が持って行かれていたのが真相です。
 災害時に避難所でこのタイプの湯沸かしポットを使うのであれば、手動ポンプの上に「ここを押す」と書くか、何か給湯ポンプの位置がわかるような工夫をしておく必要があるのかなと思いながら気がついたことが一つ。提供する側は「使える」という前提で提供をするわけですが、使い方がわからない、使い方を知らない人もいるわけで、「わからない」ことを前提にしてそのものの使い方がわかるようにしておかないといけないなということです。
 人間、自分の思ったようにならないものにはストレスを感じるものです。避難所に避難している人にとっては、避難していると言うこと自体がストレスになりますから、ちょっとしたことや小さなことでも、なるべくストレスのかからないような方法を考えておく必要があるなと思います。
 伝える側の伝え方と受け取る側の受け取り方。これらをうまく組み合わせて、少しでもストレスの少ない避難生活をしたいものです。

避難所の掲示物の書き方

 災害時の避難所はさまざまな掲示物でいっぱいになります。
 その結果、テキトーに貼っているとどこに何があるのか、何が最新の情報なのかがさっぱりわからなくなってしまうことがよくありますので、それを防ぐためにはテーマごとに番号やマーク、レイアウトといった規格を揃えておくことが重要になります。
 中の文字サイズや書体は統一された方が読みやすいのですが、見出しの部分を、例えば「交通規制情報」や「生活情報」「ライフラインの復旧状況」「ボランティア支援」といったテーマごとにわかるくくりにしてレイアウトを変えておくことで、何についての情報かがすぐわかることになります。
 また、提供する情報の最初の部分に日付と時間を入れておくと、最新のものかどうかの判断がしやすくなります。
 時間の表示については、24時間表示だとわからない方もいらっしゃいますので、例えば「朝8:30」や「夕方5:15」といった記載、または「7:00AM」や「11:00PM」といった書き方にしておくと誤解を生じなくてすみます。

 避難所では目の悪い方や日本語がわかりにくい方などさまざまな人が来ます。そういった人たちが掲示されているすべての紙を見ることはおそらく無理なので、規格がテーマごとに統一されていればイメージで理解できるのではないかと考えるからです。
 また、行政は確実性を求めるため、書いている日本語はやや難解なことがあります。それをわかりやすくかみ砕いて追記することで、誰が見ても現状がどうなのかを理解できるのではないでしょうか。
 欲しい情報が欲しいときに手に入る状態は、現在ではかなり当たり前になっていますが、非常事態にこそ、情報をわかりやすく提供する必要性があると考えます。
 「やさしい日本語」という考え方も最近ではメジャーになってきつつありますので、興味がある人はリンク先(しまね国際センター)を見て研究してみてください。

不特定のお客さんが出入りする施設の安全対策

 不特定多数の人が出入りする施設で、災害発生時、特に地震発生時に出入りする人たちの安全を施設側が確保することは、正直なところ非常に難しいのではないかと思っています。
 もちろん安全対策をしなくてはなりませんが、かといって何をすればいいのかというと、防災担当者は途方に暮れてしまうのではないでしょうか。建物の安全対策は当然として、施設内部でもものが倒れたりひっくり返ったりしないように固定しておく必要がありますし、できれば高いところにものを置きたくないでしょう。でも、通常の運営においてできるだけデッドスペースを無くしたいというのもありますので、そのバランスが難しいところです。
 それらの安全確保ができたとして、職員さんやお客さんはどうすればいいのか。
 職員さん用にヘルメットが準備されていることはよくあるのですが、とある金融機関ではお客さんの待つスペースの後方にヘルメットがデンと置いてありました。
 「お客様用危険防止ヘルメット」と書かれた紙もありましたので、必ずしも災害対応用だけのために置いてあるわけでもなさそうですが、目に見える場所に使い方のはっきりしている防具が置かれているのは非常に大事なことなのではないかと思いました。得てしてお客さんが多数出入りする施設は見た目重視でいろいろなものが配置されているのですが、こういった実用重視の考え方は、災害対策としては必要なのではないかなと感じます。

積み重ねられたヘルメット。これが必要なときには、この積み方だと危ないのかなと言う気もするが、あるという安心感は手に入る。

 この置き方でいざというときに使えるのかという問題はありますが、それでもお客さんのことを気にしているよというサインにはなるような気がします。最近耳にする「プラスアルファの付加価値」という視点を考えたとき、こういったやりかたもありなのかもなと感じましたので、ご紹介だけさせていただきました。

訓練はうそをつかない

 以前に子どもの絵本を読んでいたとき、東京消防庁の標語の一つとして「訓練はうそをつかない」という言葉があることを知りました。
 そのとき「なるほどな」と思ったのですが、経験していないことや想定していないことをいきなりやれと言われても、なかなかできるものではありません。
でも、さまざまな想定を考えてそれに対処する方法を決め確実にできるための訓練をしていれば、いざというときでも想定したことが起きるだけなので、慌てず粛々と対応をすることが可能です。
 最近はさまざまな単位で防災訓練が行われていますが、お仕着せの訓練ではなく、地域でしっかりとした防災計画を持ち意識を持った防災訓練をおこなっているところは、さまざまな被害が出るとしても人的被害は限りなく0に近い数値になっている気がしています。
 訓練参加者がどこまで真剣に考えているかという問題はありますが、少なくとも参加することで流れを知り覚えることはできます。安全な避難先まで時間がどれ位かかって、途中どんな障害があってどういった対応をすればいいのかといったことは現地を知らなければ考えることはできませんが、訓練に参加することで問題点を理解しやすくなり、対応も考えやすくなります。そして訓練の時にさまざまなことを考えて修正を加えていくことで、災害本番の時の生存確率はどんどん上げることができます。
「訓練はうそをつかない」
 お散歩に出る前に最寄りの避難所を調べ、避難経路を作り、天気のいい日にお散歩の一環として一度歩いてみる。これは立派な避難訓練です。できれば複数の避難所まで歩いて、かかる時間や問題点を知っておくだけでも全然違います。
 一人でも家族でも友人とでも地域でも、簡単なものでよいので防災訓練を習慣化しておくことをお勧めします。

医療行為と常備薬

 大規模な災害が発生すると水が手に入りにくくなります。
 そのため、大量のきれいな水を必要とする医療行為は規模縮小や閉鎖を余儀なくされてしまうことがあり、例えば透析を受けている人などは透析が受けられなくて困ったことになり、命に関わる問題が起きますので、平常時にかかりつけのお医者様と非常時の対応についてきちんと詰めておくことをおすすめします。
 また、常備薬の必要な方もいますが、これも災害時にはなかなか手に入らないものになりますので、1週間分くらいは手元に置くことをかかりつけのお医者様に相談されておくといいと思います。災害後の支援物資として送られてくるものの中には薬もあるのですが、基本的には誰でも使えるようなものに限定されますし、特殊な薬や種類が多くなると、手に入らないものも増えてきます。
 状況が落ち着いてくると災害派遣医療チームが避難所などに入ってきて簡単な診察などの医療行為をしてくれるわけですが、普段のかかりつけのお医者様ではありませんので、「いつもの薬」といっても全く通じません。薬の名前を覚えているといいのですが、自分の症状は言えても使っている薬の名前までは言えないものです。そこでお薬手帳の登場です。
 お薬手帳は飲んでいる薬の種類や分量がわかるように書かれたもので、これがあると災害派遣医療チームのスタッフも対応が早く確実になります。自分の命を守るためにも、お薬手帳またはそのコピーを非常用持ち出し袋や普段の鞄にいれておくことをお勧めします。
 余談ですが、お薬手帳は一人一冊です。医療機関ごとや薬局ごとに作るのではありませんのでご注意ください。
 あとは、自分の病気にはどのレベルの医療行為が必要なのかをきちんと把握しておくことです。特殊な設備や頻繁に交換の必要なものがある人などは、かかりつけの病院の再開を待っているわけにいきませんので、被害にあっていない場所まで避難して医療行為を継続する必要があるでしょう。
 寝たきりや、支援がいる人も、できれば被災地区外まで避難した方が手厚い介護が受けられると思います。
 被災した場所には、通常の生活はありません。
 支援が必要な方は、支援が受けられる場所まで移動する。それによって自分が生き残る確率も上がりますし、被災地でひどい目にあうこともありません。
 何事も起きていないときだからこそ、非常時の段取りについて決めておく必要があるのです。

自分の命は自分で守る

 災害対策でもっとも重要なことは、「あなたの命を守るのはあなただ」ということであることをご存じでしょうか。
 例えば、いくら行政が災害対策をしても、それはあくまでも面的な整備ですし、整備がされたからといって絶対に安全だと言えないことは、東日本大震災の津波対策が証明しているところです。どんなに立派な堤防を作っても、巨大な防波堤を作っても、軟弱地盤の地盤強化をしたとしても、想定以上の災害が襲ってくればひとたまりもありませんし、想像できる最悪の事態に備えて施設整備を行ったとすれば、その金額と工期はいずれも天文学的な数字になってしまうことでしょう。そして、災害対策で行われる施設整備はあくまでも一つの災害に対してであり、複合的に災害が起きてしまうと、手の打ちようがない事態が起きることも考えられます。
では、なぜ巨額の予算をかけて行政がさまざまな災害対策をしているのかと言えば、少しでも人命や財産が失われる確率を下げること、そして避難するための時間を作り出すためです。
 この想定は、住民が安全な場所に避難することが含まれています。つまり、あなたが自分で安全に避難する経路と、身の安全を保証してくれる場所をきちんと決めているということが前提条件になっているということです。
 何がどうなったらどこへどんな手段で避難を開始するのかということと、状況が収まり、自分の避難を解除するタイミングもあらかじめ決めておくと、いろいろと悩まなくてもすみます。
 あまり意識されていないとは思いますが、自治会や消防団、行政機関があなたの命を守ってくれるのは、災害が収まった後の復旧・復興部分であって、災害時に「逃げろ」と声かけに回ってくれることはあるかもしれませんが、あなたの命を守りきる責任は、当たり前ですが負っていません。
 命さえ無事であれば、あとはなんとかなります。まずは安全な場所に逃げて自分の命を守ること。
 これだけは忘れないようにしておきたいものです。

災害で死んではいけないわけ

 大きな災害が起きて避難が必要なとき、高齢者の方などには「どうで死ぬからほっといてくれ」と言われる方がいますが、こういった人たちはもし災害で本当に人命が失われると、その後何が起きるのかについて考えたことがあるのかなと思います。
 例えば、もし避難の必要な状態に置かれているのに避難に抵抗していたら、地域によっては自治会や消防団といった人たちが避難させようとして説得をするでしょう。そして「死んでも構わない」という主張をいくらしても、助けようとする人はぎりぎりまで説得を続けてしまいます。結果としてそういった人たちを巻き込んで死んでしまうことになるでしょう。現に東日本大震災ではそういうやりとりの中で多くの消防団員や行政・福祉関係者の方が殉職されました。
 また、災害に巻き込まれて行方不明になってしまえば、この国では遺体が見つかるまでできる限りの人や資材を投下して探す文化がありますから、それをするため、本来は生存者に向けられるべき人や資材が行方不明者の捜索に当てられてしまいます。
 生き残った人に十分な人的戦力が回せないわけですから、場合によってはせっかく生き残ったのに支援不足で亡くなって人が出てきてしまうかもしれません。
 さらには、遺体が見つかるまでは慎重に土砂などの撤去作業を行うことになりますから、復旧復興が相当遅れることにもなってしまいます。
 避難中や避難途中のトラブルで残念ながら亡くなってしまうことがあるのは避けられないかもしれませんが、自らの意思で、災害で死ぬことは周囲に多大な迷惑をかけることになってしまうのです。
 ざっとしたイメージしかできないとは思いますが、こと災害に関しては、災害で生き残るためのできるかぎりの努力をしなければならないことを覚えておいていただけるといいなと思います。

災害後は人間関係が極端化する

 災害が起きた後、被災地域を中心としてDVなどの暴力は増加する傾向があります。その暴力は、見知らぬ関係ではなく、よく知っているはずの夫婦、家族や兄弟、近所の人など、顔見知り同士であることが多いようです。
 犯罪に関していえば、家屋侵入を除くとどちらかといえば減少傾向(平成23年度の犯罪情勢ー警視庁)ようなので、災害によって人心がすさんだ結果というわけでもなさそうです。
 ただ、さまざまな報告書を見ていくと、一つの傾向として「それまでの人間関係で押さえてきたものが噴き出した」ような印象を受けます。
 暴力を振るっていた人がひどくなるのはなんとなく予想ができますが、それまでおとなしく家族思いだったお父さんが災害後には家族に暴力をふるったり、自分以外の家族にお金を渡さないといった事態が起きて、突然変貌したお父さんに家族が戸惑うというケースがたくさんあったようです。(「減災と男女共同参画研修推進センターの記事」より)
 これは普段何があっても文句の言えず家族の意見に従っていたお父さんが、災害による不安やストレスで抑えが効かなくなったのかもしれません。
 普段自分の感情や思いを押さえ込んでストレスをため込んでいる人は、災害という大きな外部ストレスに耐えきれず、感情や衝動に抑えが効かなくなってしまうことが起きます。つまり、普段の生活の中で我慢していたちょっとしたことの積み重ねが爆発してしまったといってもいいでしょうが、こうなってしまうと、それまでの生活を取り戻すことは不可能に近いですから、そうなるまえに対策をしなくてはいけません。
 その対策はたった一つ。「普段から夫婦や親子間で腹を割ってしっかりと話し合うこと」です。
 これにより、普段の生活にはちょっとした波風が立つかもしれませんが、ストレスの蓄積をなくすことで災害という極端に大きなストレスに耐えることが可能になります。また、普段から家族同士がしっかりと話し合えてれば、そこまで極端な不安に陥ることもないと思います。
 災害後には、普段我慢しているさまざまな人間関係への思いが一気に噴き出してきます。そうならないためにも、節度は絶対に必要ですが、夫婦、家族、兄弟同士でお互いに言いたいことが言える環境を整えておくことが大切です。

2019年10月29日追記
 今回引用した「平成23年度の犯罪情勢-警視庁」では検挙率も低下していることが書かれていますので、実態としてどうだったのかということには議論の余地があると思います。
 また犯罪が減少した理由として「みんな我慢している」という妙な連帯意識による窃盗や性犯罪の隠蔽もあるのではないかという気がしますが、ここではそこには触れていないことを書き添えておきます。

防災グッズを揃える優先順位

 立て続く災害のせいか、防災グッズや災害対策の本や特集を見かけることが増えているような気がしますが、これらの記事を見ていくと、さまざまなものが取り上げられていて、全部揃えようなどと思えないような金額に積み上がってしまうこともしばしば。「防災グッズを揃えたいけれど、何から準備したものやら・・・」と途方に暮れてしまうことも起きてしまいます。
 当研究所で「防災グッズ、何から準備をすべきか」ということを聞かれたとしたら、まずは「絶対に必要なものの備蓄を増やす」ことから始めてほしいと思います。
 例えば、紙おむつや生理用品、常備薬、眼鏡やコンタクトレンズ、アレルギー対応のあれこれなど、各家庭、各個人で絶対に必要なものの種類は変わってきますが「絶対にないと困るもの」はないと困るのですから、ある程度の補給が期待できるまでの物資は備蓄しておく必要があると思うからです。また、自動車の燃料であるガソリンもないと困るものの代表格です。
 当研究所の記事もそうなのですが、防災関係の記事では代替手段や代替品の紹介をすることが非常に多いです。
 そのため、代替品があればなんとかなると考えてしまいがちなのですが、防災関係の記事の大前提は「絶対に必要なものは前もって準備しておくこと」です。
 例えば、おむつでよく紹介されるのはビニール袋とタオルを使った代替品ですが、実際にこれを使うとなると、赤ちゃんのおしりが蒸れてしまったり、交換用のタオルが大量に必要になったりと、紙おむつを準備しておいた方が楽だったというような結果になってしまいます。
 また、赤ちゃん用ミルクでは、味によっては赤ちゃんがいやがって飲まないという場合もあるでしょう。ですが、行政が手配して届いた赤ちゃん用ミルクがあなたの赤ちゃんが嫌がっているミルクだとしたら、どうしますか?
 無理矢理飲ませようとして赤ちゃんとあなたが疲労困憊するよりも、普段使っているものが準備してあれば、ミルクの問題により発生するあれこれを気にしなくてもすみます。余談ですが、母乳の場合でもショックやストレスで一時的に母乳が出なくなることもありますので、折に触れて赤ちゃんが飲める赤ちゃん用ミルクを見つけて慣らしておいたほうが安心です。
 生理用品も全く同じで、災害が起きたことによるショックで生理が始まってしまうこともあるようですから、自分の普段使っている生理用品を1周期分は用意しておくと、これも安心です。
 長袖シャツとキッチンペーパーなどで代替品を作るというような記事もあるのですが、普段でさえ、少しデリケートな方は合わない生理用品でかぶれたりすることもあるようですから、いっそう衛生的な環境を意識する必要のある災害時には、提案されている代替品は正直なところ現実的ではないと思います。
 今書いてきたような代替品は、別に嫌がらせやネタとして考えられたわけではなく、どちらかというと「どうにもならない状態なのでないよりはまし」という前提で考えられた代替品ですので、それを作ればいいんだから安心とは、絶対に思わないようにしましょう。
 また、常備薬として普段から飲んでいる薬がある人は、その薬はなくなると困るはずです。これは他のもので代替が効くものではありませんから、絶対に必要なものの最右翼と言えるでしょう。
 日々の生活の中では、他に代替の効かないものや、代替品を作るまたは維持することによって他に発生する数々の問題が生じてしまうものは、できるだけ必要なものそのものを用意しておきます。そのことによって、そうでなくてもさまざまなストレスにさらされてしまう災害後の生活でよけいなストレスをため込まなくてすみます。
 さまざまな防災用のあれこれを準備するときには、まず最初に自分の日々の生活の中で使うもののうち、「絶対に必要でないと困るもの」を最優先で多めに備蓄していくと間違いがないと思います。

防災ノートとエンディングノート

 先日「終活ノート」、いわゆるエンディングノートを見せてもらう機会がありましたが、その内容を見ていてどこかで見たことがあるなぁと妙な感覚になりました。
 ちょうどその頃に「我が家の防災ノート」という埋め込み式で自分の災害対策の計画ができるノートを作っており、そのときにこの防災ノートが終活ノートの内容にとてもよく似ていることに気がつきました。
 どちらも「私にもしものことがあったら」という想定で作るものなので似てくるのでしょうが、一つ作っておくとどちらにも使えるのかと妙に納得してしまいました。
 違っているのは防災グッズや避難経路、周囲の避難所を記入する欄がないことと、付録の情報部分でしょうか。防災ノートでは災害時伝言ダイヤルや被災証明書の取り方などがかかれているのに対して、終活ノートはお葬式の形式や遺産相続の手続きなどが書かれています。
 防災ノートの作り方がわからない人や何を書いたらいいかわからない人は、一度エンディングノートを買ってきて内容を埋めてみてください。
 その中に防災グッズの管理表、避難経路と避難所の位置図を追加して、表紙に家族写真を貼っておけば、立派な防災ノートができあがると思います。
 一度作れば、あとは作った人が必要な情報を追加していくのはどちらも変わりがありませんので、お時間を作って作成してみることをおすすめします。