避難所の区画整理について考える

体育館が避難所になる場合は、最初は大きな空間しかない。ここを区画整理する。

 避難所で最初に決めないといけないことは、区画整理です。
 これを最初に行っておかないと、避難した人たちが好き勝手に場所を占拠してしまうため、移動をさせられずに後で四苦八苦する羽目になります。
 では、区画整理でどんな場所を決めなければいけないのか。
 最初は通路です。どんな場所であっても通路の確保は最優先に行います。さもないと、導線が混乱して非常に使い化っての悪い状態になります。
 次に、本部と資材置き場を確保します。これらはある程度しっかりとした面積と空間を確保する必要があります。避難者で施設が一杯になっても、そこを運営する場所がないと大混乱を招くことになりますので、最初に本部の設置場所を確保してください。避難所の出入口付近で、人の出入りが監視できる場所が望ましいです。また、掲示物の掲示場所も近くに作れるとよいです。

 資材置き場は運ばれてくる資材ごとに分類できるように、ある程度広いスペースが確保できると作業がしやすくなります。例えば避難所が学校の体育館なら、資材が勝手に持って行かれないように周囲から見通しのきくステージなどに置くとよりよいと思います。
 施設によっては仮設トイレの場所を確保する必要があります。人目につきやすく、明るさを確保でき、かつプライバシーが守られるような場所が選択できるとベストです。


 あとは談話スペース。足の不自由な方や独りで避難された高齢者の方などがそこで時間を過ごせるような空間を作っておきます。いすや机を置き、誰でも使えるようにしておくとよいと思います。

 また、授乳やおむつ替えできるスペースも確保したいです。診療エリアとしてそのうちに回ってくる医療者を受け入れられる場所を確保しておき、そこを使えるようにしておくと当座をしのぐことができます。
 洗濯物を干す場所や学習をする場所など、他にもさまざまな必要な施設がありはしますが、とりあえずはこれくらいの場所を確保した上で、初めて避難者にエリアを割り当てていきます。
 本番時にこんなことを決めていてはとても対応が間に合わないので、これらのレイアウトは事前にきちんと形にしておくと作業が早くなります。

区画の中をさらに家族単位で過ごせるように段ボールで仕切る。これだけで快適性が格段に変わる。

 さて、避難者への区画の割り方ですが、できれば地区ごとにしておくと後でいろいろと作業がしやすくなりますので、大ざっぱでいいので地区ごとの割り当てを考えていきます。もしも収容者が多数になってくるようなら、空いている区画を割り当てるなど、別にゾーンを設定するとよいでしょう。また、各区画ごとに代表者を決めて貰い、その人が本部と避難者との間でいろいろな連絡用務を請け負ってもらうことになります。
一口に避難所と言っても、運営開始までには決めることがたくさんありますし、ここで上げたことが絶対とも思いません。避難所の数だけ事前に準備した方がいいことはあると思います。災害の時に決めたとおり運用できるとは限りませんが、いきなり本番で避難所を開設をしてもごたごたしてうまくいきませんので、できる限り事前にさまざまな段取りを詰めておくようにしましょう。

野菜ジュースとビタミン剤

 大規模災害が起きて被災してしまい避難所での生活になると、食事の問題が必ずついて回ります。最初は非常食、おにぎりやパン、そして某コンビニの災害用幕の内弁当へという流れで、大体決まっているようです。
これは行政機関が備蓄している非常食が初めの頃は配布され、補給路が安定すると被災地区外から大量のおにぎりやパン、弁当が供給されるようになるためですが、被災者が多いので大量生産品、しかも衛生状態維持のために冷たい状態で供給されるので食べにくい上に単調な味で飽きてしまいます。
  「災害時なのだから贅沢を言うな」という方もいらっしゃるのですが、被災者に供給される弁当は1食300円から350円程度で供給される大量のお弁当は油ものやインスタントもののオンパレード。その上衛生管理上保冷されてくるのですから我慢強い人でもそのうちに耐えきれなくなると思います。これらのお弁当は栄養状態は二の次、とにかく飢えないことを優先したメニューとなっていますので、食べやすさではなく数を稼げるものが使われ、そういうメニューは圧倒的に繊維質やビタミンが不足する食事です。
 そのため、自衛の手段として野菜ジュースや粉末の青汁、総合ビタミン剤などを非常用持ち出し袋に準備しておくようにしましょう。
 たくさんの人が集団で生活する環境ではさまざまな病気が流行りますが、それらから身体を守ってくれる働きをするビタミンは不足しがちです。身体を元気に保つためにも、必ず不足するビタミンを補給できるものを準備しておきましょう。
 ただ、ビタミン剤にも身体に合う合わないがありますので、できれば平時に自分が飲んでも大丈夫なのものかどうかを実際にちぇっくしてみることをお勧めします。

トップダウンと合議制

 災害が発生して初期の初動時には短時間にさまざまなことが起きるため、迅速な判断と行動が求められます。つまり「完璧な判断だが遅い」ことよりも「7割でしかないが早い」ことが求められる世界。常に完璧でなくてはいけない行政職員にその判断をさせるのはかなり難しいと思います。
 平時に自治体や自治会、避難所となる施設の運営関係者などで構成する避難所運営委員会を立ち上げて初動対応のことや避難所の内容について予め決めておき、その内容に従ってリーダーが全体の指揮を執って動いて必要以上の混乱を起こさないようにする必要があります。万が一、リーダーが避難所にこれなくても、予め決めておいた手順があれば物事を進めていくことができるので、非常に順調に運営を進めることができます。
 そうで無い場合にはどうするかというと、避難所運営を理解している人か指揮能力の高い人がその場で判断して支持していくことになりますが、大抵の場合情報がなくて判断できないか、もしく判断する人が多すぎてまとまらないかのどちらかになります。
 理想なのは予めさまざまなことを取り決めておき、それに従って判断し、指揮を執る人がいること、そして何かあったときには相談ができる体制になっていることです。もちろんその相談者もできれば予め決めておくことで、スムーズな合議ができると思います。
 トップダウンと合議制、これを上手に切り替えて避難所の運営を行っていくことになりますので、例えばHUG(避難所運営ゲーム)などで判断基準の訓練をしておくことが必要なのではないかと思います。

地域の安全マップを作ってみる

地図作りは災害対策の基本です。

 避難路を知ること、そして確認することを目的として避難マップを作ってみることは今までに何度もお勧めしていますが、今回はちょっと視点を変えて、地域にある安全を確保するために必要な資源に何があるのかについて洗い出してみることを考えてみます。
 地域の安全資源というと、真っ先に出てくるのは交番や消防署、病院といったところですが、他にもAEDや公衆電話、水が確保できるところ、高台や避難が可能な土地、使えそうな物資がある場所、いざというときに逃げ込める施設やお宅といったものも一覧にした安全マップで見える化しておくと、いざというときに役に立ちます。
 危険な場所やものはよく洗い出しされるのですが、いざというときに使える資源を専門に洗い出しているものは少ないと思いますが、事前に災害時や被災後、自分たちにはどんなものが必要なのかを確認し、それがどこにあるのかを知っておくことは、復旧復興の迅速化にもつながりますし、それを知ることで自分が安心できるということが一番の目的でもあります。
 よく作っている避難マップや危険マップは地域の弱みを確認する作業ですが、この安全マップは地域の強みを見つける作業です。そしてこれらの地図を組み合わせると、地域の災害に対するさまざまな問題や備えを簡単に見つけることができるようになります。
 避難マップや危険マップのついでに確認されることの多い安全資源ですが、それだけを抽出して地図を作ってみると、また新たな気づきがあるのではないかと思いますので、興味のある方は是非一度作ってみてください。

避難訓練と本番の違い

 避難訓練と本番では、やる内容が大きく異なるなと思うことがあります。
 避難訓練での子ども達への合い言葉は「お・は・し・も」で、これは「押さない」「走らない」「しゃべらない」「戻らない」の頭文字を取ったものです。
 でも、いざ本番の時にこれをこなしたらどうなるかというと、逃げ遅れたり周囲の人が気づかなかったりすることが起きるでしょう。
 災害時の避難は「身を守る」「急いで逃げる」「周りを巻き込む」「戻らない」が基本となると思います。まずは身を守り、そして安全な場所に逃げる、そのときにはできるだけ周りの人も避難するように声かけて巻き込み、避難した後は安全確認ができるまで絶対に戻らない。東日本大震災では、釜石の子ども達がこの行動をとり、多くの人たちを救うことができました。
 ではなぜ避難訓練では「お・は・し・も」になってしまうのでしょうか。
 これは訓練を実施する側の都合と、近所から紛らわしいという苦情が入るからではないかと思われます。
 訓練する側は、できるだけ統制のとれた避難をしたいと考えます。そのため走らせないししゃべらせないのだと思います。また、単独訓練で「津波だ、逃げろ!」と子ども達が騒ぐと、学校の周囲のお宅はパニックになってしまうかもしれません。いっそのこと、ご近所も巻き込んだ避難訓練を行えば実戦さながらの訓練になると思うのですが、なかなか準備が大変なようで、そこまでの訓練を大規模校でやっているところは少ないのではないかと思います。
 避難訓練というと、訓練のための訓練になってしまいがちです。できれば専門家を交えてより実戦的な訓練を行ったり、そこまではしないまでも、訓練の様子を見てもらって講評を受けるだけでも緊張感は変わると思います。もちろん当研究所でもそういった業務を行っていますので、お気軽に相談いただきたいと思いますが、せっかく避難訓練をするのですから、「問題なし」で終わるのではなく、小さな問題でもいいので見つけて改善していくようにしていければなと思っております。

手袋を考える

 警視庁警備部災害対策課さんがTwitterでいろいろな情報を発信されていて、当所もよく参考にしているのですが、12月18日の記事で手袋について触れているものがありました。
 寒くなってきましたし、いざというときに手を守ってくれますので、ぜひつけて欲しいですし、そうでない場合でも、非常用持ち出し袋や防災ポーチに自分用の手袋を入れておいて欲しいなと思いましたので、今回は手袋について考えてみることにしました。

 手袋は、危険なものや寒暖、さらには水や汚染物から手を守ってくれる道具です。種類としては、
(1)軍手のように編み上げられていたり、布をカットして作られているもの
(2)皮でできているもの
(3)ビニール等でできているもの
に大きく分けることができると思います。

 それぞれのメリットデメリットを考えてみたいと思います。
 (1)のメリットとしては、中に空気の層が作られるために暖かいこと。そして値段が安いこと。デメリットとしては、隙間から液体や汚染物質がしみこんでくること。
  (2)のメリットは、よく手にフィットして汗がたまりにくいこと。また、縫製にもよりますが汚染物質がしみにくい構造のものが多いです。デメリットとしては、値段が高いことと手に合うものを見つけるのがちょっと大変なこと。
 (3)のメリットは、液体や汚染物質を通さないことと、値段が安いこと。デメリットは蒸れること、そして厚手になると細かな作業がしにくくなり、薄手になると破れやすくなることです。

 それぞれに特徴があるので、目的に応じた使い方をするとよいと思います。
 私自身はこの4種類を使い分けているのですが、寒い時期の泥出しなどで細かくない作業の時には軍手+厚手のビニール手袋を使うと暖かくて汚染もされず、非常に仕事がしやすいと思います。
 写真や書類の回収や整理などをする場合には、薄手のビニール手袋を使います。また、被災時の外傷の手当をするときにも使えます。
 オールマイティで使っているのが革手袋で、ひどい汚染状態でなければこれが一番使い勝手がいいなと感じています。


 4種類を全部揃えておけば一番ですが、備蓄として持つなら、軍手+ビニール手袋が一番いい組み合わせかなと考えますが、いろいろと試してみて、自分が納得いく組み合わせで非常用持ち出し袋に入れておくとよさそうです。
 最後に、子どもの手は成長によってどんどんサイズが変わってきます。最低でも半年に1回はサイズを確認し、小さすぎて入らないということがないように気をつけておいてくださいね。

災害時のデマの見分け方

 災害が起きると情報が混乱しがちです。そして、そういうときに限って愉快犯が「おかしな情報」を流して混乱に拍車をかけようとします。
 「おかしな情報」は、悪意ではなく善意で広がるので始末が悪いのですが、デマだろうなということを見抜くいくつかのポイントがありますので、今日はそれをご紹介したいと思います。

1)やけに時間がはっきりしている

「今日の午後6時に大きな余震が来る」というように地震が発生する時間がはっきりしているような情報は、まずデマだと思っていいでしょう。いろいろと言われる人はありますが、現在の科学で地震の発生時刻を正確に予想することはできません。災害が発生することを予測できるのは、せいぜい大雨による水害か、あるいは台風くらいでしょう。そしてこれらは伝聞ではなく、気象庁や自治体からきちんとした情報が出されていますので、そちらを確認してみてください。

2)職業だけが具体的で正体のわからない人が伝聞調で未来の災害について話している

 「知り合いの自衛官から聞いたんだけど・・・」「友達のいとこの警察官が・・・」などというような、職業ははっきりしているにもかかわらず発信者の正体がわからない情報は、ほぼデマだと考えて間違いありません。
 基本的にこれら現場で業務に当たる人が未来で起きる災害のことを伝えられていることはありません。あるとすれば、予測が可能な災害でしょうが、その場合にはこういった人だけではなく、気象庁や自治体が同じような情報を発信しています。

3)写真が添付された情報なのに、具体的な場所や人物が特定できない

 熊本地震のすぐ後で逃げ出したライオンの写真がSNSで拡散されたことがありましたが、いつ、どこで、誰がどんな状況で撮影したのかということは一切書かれていませんでした。記事の中に、読んでいる人をミスリードするような情報を書くことで、読んだ人は誤解するが書いた本人は言い逃れができるような書き方をされていることが多いです。
 本当に問題となる記事の場合には、多くの場合「いつ」「どこで」という情報が大抵の場合記載されています。また、もし何か重要なことをSNSで発信する場合には、いつ、どこで、だれが、どんな状況かということは記事として記載しなくてはいけないと考えます。

 とりあえず、今回は3つほどあげてみましたが、災害時には普段なら一笑に付すような内容でも真剣に受け止められてしまうものです。
 被害に遭っていない地域の人から見れば、他人事で面白いかもしれませんが、当事者にとっては死活問題。
 災害に関する情報を発信する際には、とりあえず上の3つを確認してみて、どれかに引っかかるようだったら一度確認をするという作業をした方がよいと思います。あなたが発信する情報が被災地で混乱を巻き起こさないためにも、その情報が客観的に見てどうなのかを考えてみてくださいね。

どうやって正確な情報を集めるか

 現代の生活になくてはならない存在になった携帯電話。実際のところは電話と言うよりも「通話のできる情報端末」という言い方の方が正しい気がしますが、持っていると、何かにつけて頼りにしてしまいます。
 災害時に問題となるのは、この携帯電話が使えなくなること。発災時には通信規制で、そして一日経つと電源がなくなった基地局が停止して使えなくなってしまいます。現在の携帯基地局は、一応停電後24時間程度は耐えられる設備を持っているところが多いようですし、各通信会社も通信回線を維持するためにさまざまな対策をしています。ただ、発電機にしても蓄電池にしても、燃料や電源が投入されなければ燃料切れを起こして使えなくなってしまいます。
 以前北海道胆振東部地震では広域的なブラックアウトの発生により発電所の発電が停止して大規模な停電となり、その結果として携帯電話基地局も機能停止することになりました。携帯各社はさまざまな対応を考えて手を打ってはいますが、なかなか自立した電源で基地局を続けて運用できる方法は難しいようです。
 ところで、基地局が停止したときには、電話関係ではなくSNSなどのパケット通信サービスも停止します。つまり情報が入ってこなくなることになります。これはテレビやラジオの電波塔も同じことで、電気がこなくなったら、これらも機能停止してしまい、デジタル化されたテレビやFMなどは受信ができなくなります。この状態で電波を拾って情報を得ようとすると、アマチュア無線、AMラジオ、そして短波放送ということになりますが、いずれかの情報収集の手段は用意しているでしょうか。
 災害対応や状況判断を安全確実に行うためには、情報を入手することが不可欠です。そのため、自分がどうやったら正確な情報を得ることができるのかについて考え、あなたの災害対応セットにその機材を加えておいてほしいと思います。

災害時の子どもの安全

緊急時に子どもがどこへ避難するのか知っていますか?

 災害時には自分の身を守ることを最優先で行うことが大切だと思っているのですが、自分の身を守った後、あなたと家族はどのような行動をするのかを決めていますか。
 大人であれば、とりあえずは安全な場所に移動するというところでしょうが、学校や保育園、幼稚園に通っている子ども達の場合、それぞれの施設がどういう判断でどんな行動をとるのか、きちんと把握していますか。
 学校や保育園、幼稚園などの教育機関の場合、子ども達は教師や保育士といった大人の指示に従って行動することになりますが、子ども達が何が起きたらどこにいるのか、どこへ避難するのかについて、きちんと教育機関側に確認が取れていますか。災害が発生したとき、または発生が予測されるときには、原則として教育機関まで保護者が迎えに行くということになっているところが殆どだと思いますが、どんな状況なら保護者に引き渡しがされて、どんな状況なら引き渡しを中止するのかについて、きちんと把握していますか。
 というのも、学校やこどもたちが無事であっても、お迎えに行った保護者がその途中で被災する可能性が非常に高いからです。東日本大震災では、災害時には保護者に子どもを引き渡すという取り決めに固執してしまったため、お迎えに向かう途中で被災したり、お迎え後の避難中に被災した方もいらっしゃったようです。
 災害時に教育機関から保護者に子どもを引き渡すことができるのは、状況が落ち着いて安全に引き渡しが可能な状態がそろっている必要があります。逆に、そろっていない状態では引き渡しはせず、学校で安全を確保する必要があるのだと思います。
 むろん、先生方に全ての責任を取れというわけではありません。災害時の避難や引き渡しについてきちんと保護者との間で取り決めをしておくことが大切だということが言いたいのです。保護者が同意するなら、自分で判断できる年齢の子ども達であれば、災害時の避難について自主的に行わせるというのも選択肢としてはありだと思っています。危険から逃げるという能力については、ひょっとしたら大人よりも子どもの方が優れているのではないかと思うこともあるからです。
 子どもが自分のいる場所で状況が落ち着くまできちんと命を守ることができること。そして子どもが自分の命を守っていることを信じることで、保護者もまた自分の安全を確保することができます。
 これこそが「津波てんでんこ」なのではないでしょうか。
 自分の身の安全というのは、結局のところ自分にしか守ることができないのですが、災害時に教育機関として集団行動をするのであれば、先生方が日々の災害対策についてきちんと学習し、訓練や教育を継続して行っていく必要があります。でも、それがきちんとできているでしょうか。
 「釜石の奇跡」は防災教育を受けた中学生達の自主的な行動の結果でした。あなたがお住まいの地域の子ども達の災害対策はきちんとできていますか。
 そして、あなたの子どもは、災害後にどこであなたを待っていますか。

消火器の使い方を知ろう

 昨日は「災害時には早めに手を打つ」という内容を書きましたが、その中で、かなり重要な位置を占めているのが初期消火です。
 今回は消火器の使い方と、消火器を使った消火の方法について少しだけ書きたいと思っています。
 あなたは消火器を使ったことがありますか。本番でなくても構いません。例えば職場や地域、あるいはお祭りなどに出店している消防署や消防団のブースなどで消火器の操作体験をしたことがあれば大丈夫です。というのが、消火器は構造は簡単なのですが、使用するための手順を知って、実際にやっていないと、本番で使えないという状態が起こりうるからです。

(1)消火器を持ってくるまでの手順

 さて、消火器を持ってくる手順として、次の順番になります。
 まず火を見たら、大きな声で「火事だ」と叫びます。周囲の人に火事であることを知らせると同時に、自分や周囲に状況を確認させる意味もあります。
 次に消火器を取りに行きます。消火器が普段どこに置いてあるのかをしっかりと把握しておかないと、消火器を探してうろうろする羽目になります。
 最後に、消火器を持って火元へ移動します。このとき、消火器はハンドルの下を持って移動してください。消火器を抱っこして移動すると、転んだときに大けがをします。そして、消火器をもって火元に来たら、次は消火器を使って火を消しますが、消火作業に入る前に自分の退路が確保されていることをしっかりと確認してください。目の前の火だけに気を取られてはいけません。

(2)消火器の使い方

1.まずは上部の黄色いピンを抜きます。これが安全装置ですので、ここを外さない限りは消火液は出ません。
2.ホースを留め具から外してノズルを火元に向けます。このとき、できるだけ火の根元を狙っておきます。
3.噴射装置を握り、火に向けて消化剤を吹きかけます。通常、およそ15秒程度で空になります。
4.火の周りを移動しながら、火元の根元にしっかりと消火液がかかるように撒きます。

(3)消火器の使える範囲

 通常置いてある消火器で消せる火の大きさは、およそ目の高さくらいまでだそうです。少し前までは天井に届いたらあきらめて避難という指導がされていたのですが、天井に燃え移ると火の周りが格段に早くなってしまうことから、現在は目の高さという指導をされているところが多いようです。

 初期消火がうまくいけば、さまざまな人が助かります。もしもやったことが無い方は、是非一度消火体験をしてみてください。
 また、職場や学校、地域などでも人数と日程があえば、消防署や消防団の方が来て指導もしてもらえますので、防災訓練の際には、ぜひ初期消火を取り入れるようにしてください。

訓練用の水消火器。使い方は普通の消火器と同じ。


 最後に、いくら消火器を使いこなせるようになっても、肝心の火元に消火器がないのでは何にもなりません。万が一に備えて、家庭にせめて1台は消火器を備えるようにしましょう。
 消火器の使い方や詳しい手順などは、以下のリンク先を確認していただければと思います。

消防防災博物館・消火器の使い方