台風15号の被害では、都市災害のテストケースのような問題がいろいろと発生しています。
一番の問題は、長期間の大規模停電による情報遮断ということでしょうか。
携帯電話基地局やテレビ・ラジオの中継塔では非常用発電装置や非常用蓄電池を持っていて、停電になっても1日から1日半は機能を維持できるように作られています。
ですが今回のように長期間にわたる停電となると、自家発電機の燃料も蓄電池の電源も切れてしまって機能が止まってしまいます。
本来であればそうならないようにいろいろな手が講じられるのですが、今回は全てが後手に回っている状態で、現在も混乱が続いています。
なぜ後手に回ったのかと言えば、指揮する場所のある東京が被災したから。
他の災害では災害はよそ事なので、冷静に判断して指示を出すことができますが、今回は自分たちが被災したため、その状況確認をしているうちに災害対応が終わってしまったと勘違いしてしまったのです。
また、大規模な被害が出た地域はそもそも情報すら発信できませんので、外部から調査が入って初めてひどいことになっていることが判明することが殆どです。
今回台風15号による東京以外の被害をマスコミが報道したのは発生から2日目以降でした。SNSからの発信で、東京以外に被害が出ていると言うことに初めて気づいたといった感じです。
「災害時にはテレビやラジオ、ネットから情報を取る」「行政からの被害情報は防災無線やインターネットにより適宜発信を行う」というのが最近はやりの自助による情報収集なのですが、被災していることに気づいてもらえなければインフラの復旧がされず、被災者が情報を受け取ることができなくなります。
今回はとにかく「情報が無い」ことが一番の問題となっています。
行政や支援団体がいくらインターネットに情報を出しても、被災者が確認に使う携帯電話基地局の電源が無ければ通信環境がないので、そもそもそれを見に行くことができず、どんな情報も集めることができません。
役場の広報車や街頭での貼り紙、口伝えによる情報拡散くらいしか手がないのですが、正直なところ自治会や自主防災組織がない地域では情報の広がりは期待できません。
地域のつながりの薄いところだと、話を聞いた人が同じ地域の他の人に伝えることは考えにくいでしょう。
もし東京23区内や大阪市内で同じような被害が起きたとしたら、今回以上に悲惨なことになるのは目に見えています。
インターネットが使えない場合に、どこへ行けば情報を得ることができるのか、どこへ貼り出せば地域の人が見てくれるのか、アナログ手法を再確認しておく必要があるのではないでしょうか。
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行かないという選択肢
台風15号は首都圏にさまざまな有形無形の被害を与えたようです。
今回、首都圏の鉄道会社は事前に計画運休する旨を告知していましたが、蓋を開けてみれば運休していることを知らずに駅にやってきた人がたくさんいました。
速報値のようですが、首都圏全体の6割の会社や学校が計画運休に対してどのように対応するのかという指示がされていなかったそうです。
去年関西で続いた地震や台風で企業や学校の災害時対応が騒がれたところですが、今回もやっぱり指示なしによる通勤通学難民が大量発生してしまいました。
テレビやラジオのニュースでは「情報が提供されていない」と騒ぐ人たちが取り上げられていましたが、果たしてどこまで情報提供すればこの人達は納得するのだろうかとかなり疑問に感じています。
それはともかく、台風が来るということと、鉄道が計画運休するということは事前にわかっていたのに、そして強風吹きすさぶ中、駅に向かって移動して動きの取れなくなった人たちは何を考えていたのかと言うことに興味があります。
発表されているさまざまな情報が自分に影響があるという意識ができないということ、言い換えれば「全ての事実は他人事」なのかなと感じます。
もっとも「計画運休時は休んでよし」と言えない企業や学校に基本的な問題があります。
安全を意識して「行かない」という選択をしたら、後になって「何故来なかった?」と言い出しかねない風土が、通勤通学難民を生み出す大元になっているのかなと思います。
社員や学生の安全を意識できないような企業や学校は、このご時世ではこの先、おそらく生き残ることは無理でしょう。
社員や学生を危険にさらし、社会的インフラに負担をかけ、さらに社会インフラを維持するため出勤する人たちをも妨害している状態が果たしてまともなのでしょうか。
鉄道も無意味・無計画に計画運休しているわけではありません。
計画運休するのは、乗客の安全を確保し、災害発生後の復旧を手早くするために行うものです。
その意味がわかれば、社員や学生を交通手段の途絶している中、通常どおり来させるという行為がいかに無謀かということが理解できるのではないでしょうか。
今後しばらくは、災害は増えることはあっても減ることはありません。
そろそろ企業や学校、そして自分自身も災害時対応計画を作って、計画運休時には不要不急の出社や登校はやめるということを決めておく必要があるのではないでしょうか。
被災後の段取りあれこれ
ここのところ災害が続いていますが、被災した後、片付けを始める前にいくつかやっておいた方がいいことがあります。
以前「被災物件の調査と証明あれこれ」で行政の調査については少し触れたことがありますが、被災後の片付けと段取りについて思いつくことを書いてみたいと思います。
1.被災したものの写真をしっかりと撮影しておこう
被災した後、罹災証明書の申請や各種災害保険の請求などには写真が必要です。
大規模災害になると、行政や保険会社が確認にくるのが被災してからかなり期間が空いてしまうこともあるため、その間片付けができない事態に陥ります。
その際、写真が撮影されていると、その写真を使って罹災証明書や保険手続きを進めることができる場合があります。
予め自治体や保険会社に確認して写真OKの了解をもらえば万全ですが、とにかく写真を撮っておきましょう。
被災したものは4面と斜め、上部など、角度を変えて撮影し、被災したものの被災した様子がわかるようにします。
建物や車両などは内部の写真や被災部分の写真も取っておくといいと思います。
あと、建物の場合には簡単な見取り図と被災部分がわかるようなものを作っておくと、後々いろいろと役立つと思います。
2.業者による修理が必要かどうか確認しよう
破損している場所やものによっては、専門の業者の方に修理をお願いしないとどうにもならない場合があります。
まずは自力で修繕できるかどうかざっくりと被災したものを確認し、業者さんによる修理が必要だと判断したら、修繕の必要な場所と内容をリストアップして、すぐに業者さんへ依頼をかけましょう。
被災してすぐなら業者さんもある程度余裕がありますから、自分のところができなくても、場合によっては他の業者を紹介してくれることがあるかもしれません。
また、修理箇所と修理内容をリストアップしておくことで業者さんは修理部材や必要な期間が見積もれるので、手早くやってもらえることも多いです。
全て業者さんに確認してもらおうとすると、時間が取れないために後回しにされることも多いのでご注意ください。
そして、片付けが終わってから依頼すると、今度はいつ来てくれるかわからないくらい待たされますし、被災地外から入ってきたおかしな業者に異常に高価な金額で適当な修理ををされてしまうことも発生します。
専門家が必要な作業は、早めに手配するようにしておきましょう。
3.ゴミ捨て場の確認をしておこう
被災した後の片付けは、まず被災して壊れたものを家から搬出するところから始まります。
その際、大型ゴミを処分する場所が確認できないと家の前や周囲に放置することになってしまい、衛生的にも景観的にもよくない状況になります。
大型ゴミの処分場所・回収場所は変更されることが多々ありますので、処分する前に自治体に搬入先を確認するようにしましょう。
また、自治体によっては処分場所・回収場所がいっぱいになって個別回収に変更するケース、回収を一度中止するケースなどもあります。
前の日に確認したとおりにいかない場合もありますので十分注意してください。
4.人の手当を考えよう
被災した後の片付けでは、自分一人ではどうにもならないような大型ゴミの搬出やいろいろな場所の掃除、片付けなど多岐にわたる後片付けが待っています。
そのため、どのようにして片付けを始めるのかを考えておかないと途中で力尽きてしまいます。
近所の人と一緒にみんなでお互いの家を片付けるのか、ボランティアを要請するのか、親戚縁者を総動員するのかなど、人によってやり方はいろいろだと思いますが、間違っても一人でやろうとは思わないでください。
間違いなく途中で挫折します。
5.水が使えるかどうか確認しよう
掃除につきものなのは水です。特に水害で被災した場合には家具や建物に貯まった汚泥を流すのに必須のものです。
飲料に適さなくても構いませんが、それなりにきれいな水を確保するようにしましょう。
水が使えない場合には、どんな方法ならきれいにできるかを資材を見ながら考えてみてください。
注意しておきたいのは、全てにおいて作業をするのは自分だということです。
自分一人では挫折すると書いていることと矛盾すると思われるかもしれませんが、周りはあくまでもお手伝い。
全体の流れや段取りは自分で組むしかありません。
誰かに頼ろうとすると、「災害関係の保険手続きは自分でするようにしよう」で触れたようにどこかからやってきた変な業者があなたの保険金をごっそり奪っていったりすることもあり得ます。
あくまでも主体は自分。周囲はそのお手伝いということを忘れないでください。
そして、どうしてもわからないことがあればご近所や社会福祉協議会、行政の窓口で確認してみてください。
被災したことは終わったことですから、その事実は変えることができません。
でも、被災からそれまでの生活に復帰するまでの時間を短くすることは可能だと考えます。
早め早めに段取りをつけて、日常生活を取り戻せるようにしたいですね。
救急セットの作り方
今日は9月9日、救急の日です。
災害時、警察、消防、救急には救助の電話が殺到しますが、いずれの機関も人数には限度があるため、緊急性の高い案件から対応していきます。
特に救急は、対応する救急車の台数も限られており、医療機関も重傷者優先対応になりますので、ちょっとしたけがは後回し、もしくは対応してもらえません。
ですが、怪我した本人からしてみたら、痛いですしそのままにしておくと状況が悪化する可能性もありますので、できる範囲は手持ちの道具を使い、自分で救急措置をすると考えた方が間違いないですし、精神衛生上もいいと思います。
とりあえず自分で処置しておいて、状況が落ち着いてから医療機関であらためて手当てしてもらうようにすることで、医療機関は重傷者対応に集中できるので、救える命が増えます。
非常用持ち出し袋や災害用備蓄品のチェックリストには必ず「救急セット」が入っているのは、可能な限り応急処置は自分でする必要があるために組み込まれているのですが、救急セットの中身について考えたことがありますか?
今回は、みんな必要性は認識しているけれどどうやって作ったものか悩んでしまう救急セットの作り方について考えてみたいと思います。
1.救急セットの意味
本文でも触れましたが、軽傷者をなるべく早く的確に措置することで怪我の悪化を防ぐとともに、医療機関への負担をかけないために用意するものです。
災害時には怪我をしないことが大原則ですが、それでも切ったり擦ったり折れたりということは起こりうるものですから、それに備えて準備しておきましょう。
2.救急セットの中身
救急セットに必要なものは、大きく分けると二種類あります。
一つが被災してすぐに使う外傷対応に使うもの。
もう一つは、避難が長期化したときに必要な常備薬やビタミン剤といった内服薬です。
とはいえ、持ち歩くアイテムと分量は考えないとそれだけで非常用持ち出し袋の中が一杯になってしまうので、どうしても必要となるであろうものを準備します。
1)外傷対応
まずは絆創膏です。いろいろな種類がありますので、二種類用意します。
一つは普通にカットバンと呼ばれているもので、指に巻くタイプが数枚あればいいと思います。
もう一つはハイドロコロイド素材のもの。キズパワーパットと書く方が通りがいいかもしれませんが、これのコロイド面が大きいものを数枚準備します。ハイドロコロイド素材だけのシートもありますので、面の大きいシートを一枚用意して、体には包帯やテープで貼り付けるという方法でもいいかもしれません。
用途ですが、カットバンは切り傷用。ハイドロコロイド素材のものは擦り傷や深い傷に使います。
次は滅菌ガーゼと包帯。これは数枚あればいいです。止血に使います。
「目薬」。埃などが入ったときに差して目を守るのに使います。
あとは「三角巾」が一枚。これがあると、包帯、止血帯、ガーゼなどいろいろな働きをしてくれます。
そして、はさみ、毛抜き、ピンセット、使い捨て滅菌手袋といった医療器具も一緒にしておきます。
また、使い道がいろいろとあるのでマスクと消毒用アルコールがあると助かります。
2)内服薬
まず絶対に忘れてはいけないのが持病の薬です。
通常は必要とされる日数分しか処方されませんが、救急セットを作る目的をかかりつけのお医者様に伝えると、数日分多めにもらえることがありますので、差分を救急セットにいれ、新しい薬をもらうたびに入れ替えておけば、いざというときに持病の薬がないという騒ぎを防ぐことができます。
次が「ビタミン剤」。市販されている総合ビタミン剤のようなものがあれば充分です。
それから「整腸剤」くらいがあればいいと思いますが、季節によっては「総合感冒薬」などをセットしておいたほうがいいかもしれません。
あとは「水」ですが、これは救急パックではなく、普通に非常用持ち出し袋に入っていると考えて、ここでは割愛します。
これらをパッキングすると、そんなに大きくない袋に収めることができます。
市販の防災用救急セットにはもっといろいろと入っており、もっとさまざまな怪我や病気に対応できるようにはなっていますが、最低上記のものがあれば大概のことはなんとかなると思います。
どちらかというと、問題になるのは救急セットに何を入れるかよりも、あなたが何を使えるか、ということです。
例えば、海外から輸入される軍用救急セットには、コンパクトでより多くの資機材が詰められており、状況によってはその場で簡単な手術ができるくらいに充実したものもあります。
ですが、それらの優秀なアイテムも使い方を知らなければ単なる重しにしかなりません。
それよりは、自分が使い方をよく知っているもので救急セットを構成し、いざというときに迷わずに中の資機材が使えるように習熟しておいた方がいいと考えます。
毎回触れていますが、ものを揃えればよしではなく、それを何も見なくても使えるくらいに練習しておくことが大切です。特に怪我に使う道具は、暇を見て使い方を確認しておかないと本当に必要なときに大慌てすることになりかねません。
せっかく揃えるのですから、箱から出して使ってみて、使い勝手を確認するようにしてくださいね。
支援と受援
災害が起きると被災地域の道路や鉄道といったインフラが損壊し、さまざまな物資が不足することになります。
行政機関がさまざまな手当はするのですが、必要な人が少人数だったり、優先度の低い物資は後回しにされることが多々あります。
そんなとき、SNSを使って不足している物資の提供を呼びかけ、それに応じてその物資を必要だと言っている場所に直接届けるという動きを作ることで、きめ細かな被災者支援を行っているというのが現在です。
ただ、支援をお願いする側も、支援を行う側も、お互いにちょっとだけ気をつけておくことがあります。
それは支援依頼者は発信日時と必要数量を明示し、支援する人はいつ時点の情報かということを必ず確認することです。
SNSを使った物資支援が本格化した東日本大震災以来、さまざまな災害が起きるたびにこのやりとりが行われて物資が届けられているわけですが、その場所で必要とされる支援物資は時間の経過とともに変わっていきます。
でも、発信された情報がいつまでも拡散していくと、発信時点で不足していた物資がいつまでも届き続けるという困ったことになってしまいます。
東日本大震災では乳児用の缶入りミルクがそんな状態でしたし、熊本地震では水が大量に余り、期限切れで倉庫を占拠している状態になっているという話もありました。
拡散した情報のコントロールを上手にしないと、善意で送られてくるものが迷惑なものになってしまうことが起こりえるということです。
ところで、先日の佐賀を中心とした大雨による災害で、佐賀県武雄市が「水不足です。水を送って」というメッセージを発信しましたが、今後のSNSでの物資支援の一つのスタイルになるのかなと思う配信をされていました。
何がいるのかということが画像として書かれており、発信日時が発信される全ての画像の同じ場所に記載されています。
本文上ではそれを何のために使うのかということと、どこへ送ってほしいのかが書かれています。
そして、必要がなくなったときには「水を送って」につけられていた画像が「受け入れ中止」の画像に、元の文章も「ありがとうございました」に変更されていて、古い支援要請がこれ以上拡散しないようにされていました。
一目見て現在の状況がわかるようになっており、非常に上手に支援要請をされていたのですが、調べてみると2019年の2月に受援マニュアルを作られていたとのことで、それが早速活用されたのかなと感じています。
さて、一度支援要請を行うと、さまざまな人が支援をしてくれますが、一人一人は小さくても件数が多くなると大変な量になってしまいます。
そのため、避難所など割と小さい単位での物資支援をお願いするときには、支援要請日時にくわえて必要数量も明示しておくと、わかりやすくていいと思います
そして、物資が必要量届いたら、かならず受け入れ中止と感謝のメッセージを流すようにしましょう。それによって支援者は他の支援に意識を向けることができます。
防災備蓄品を考える
8月31日の読売新聞に、広島の企業さんが益田市役所に非常食を5000食分寄贈したという記事が出ていました。
この非常食は防災センターに備蓄され、災害時に提供されるとのこと。
大変ありがたい話だなと思いつつ、ちょっと不安に感じたことがありました。
それは「5000食もあるのなら、わざわざ自分の食料を準備しなくても大丈夫」と考え出す人がいないかということです。
5000食というとかなり多く聞こえますが、実が避難者が5000人でると、1回分の食事でしかない分量ということで、政府が推奨している備蓄3日分にはほど遠い数字です。
本来、行政の持っている災害備蓄品は何らかの理由で自身の備蓄品を持ち出すことができない人に対して提供されるものであり、被災者全てに無条件に提供されるものではありません。
現在の防災で命を守る方法は、「自助、共助、公助」と言われており、まずは「自助」として、自分で自分の命を守るための準備を整えておくことが要求されています。
次に「共助」。その地区や地域全体で地区や地域の人たちを守る準備をすることになっており、行政の手は「公助」として、「自助」や「共助」ではどうにもならない部分に対応することになっています。
つまり、自分の準備は自分でしておかないと誰も助けてくれないよということを政府を始めとする行政機関が言っているのです。
確かに、防災用備蓄品を税金で全住民の3日分を購入しておけばいいのかもしれません。
でも、準備しても使わないこともあり得るわけです。そうすると、それら期限の切れたもしくは切れそうな備蓄品の処分をどうするかという問題が起き、結局のところ、誰がどうやってもどこかから必ず文句が出る状態になってしまうのです。
それを考えると、防災備蓄品は各自で揃え、足りない分がもし発生すれば、まずは地区・地域の自治会や自主防災組織から提供を受け、それでも不足するなら行政の備蓄を消費するという流れにした方が、余計な金や労力を使わなくても済むことになるでしょう。
面倒くさいですし、身一つで避難できればそれに越したことはありませんが、避難時には非常用持ち出し袋は必ず持って行動を開始するということが徹底できるといいなと思います。
今日は防災の日です
今日は9月1日。
地元の益田市高津では、柿本人麿神社の八朔祭が執り行われているところですが、全国的には防災の日です。
大正12年(1923年)9月1日に関東地方で起きた大地震を教訓として後世に伝えようと、昭和35年(1960年)に制定されたものだそうで、その後、この日の前後の8月30日から9月5日までを防災週間として、政府などの行政機関を中心として、防災に関するさまざまなイベントやキャンペーンをやっています。
この時期には避難訓練や総合防災訓練、防災に関する報道やさまざまな防災ハウツーがいろいろな場所を賑やかし、なんとなく防災の日というイメージが定着してきているのかなという気がしています。
ところで、せっかく防災の日があるのですから、この日に合わせてあなたの防災点検をしてみませんか?
非常用持ち出し袋や備蓄品、避難のタイムラインや避難所、そこに至るための避難経路の確認など、たまに確認しておいた方がよさそうなものをまとめて点検しておくというのはどうでしょうか。
賞味期限のある非常食や水、電池や消耗品などは定期的に点検をしないといざというときに使い物になりませんが、一年に一回、自分の決めた日だと、何か無い限り忘れてしまっていても不思議ではありません。
「防災の日」にやることに決めておけば、防災関連の準備や点検をしてもおかしくありませんし、新聞やラジオ、テレビを見ていれば必ずどこかで防災の日の話が出てくるので忘れることもありません。
また、お店でも防災特集などが組まれて、非常用持ち出し袋や備蓄品の値段が安くなっていたり、買いやすくなっていることも多いと思います。
そして、あなただけでなくご家族や職場などでも、災害対策や安全対策、連絡手段の確認や被災後の合流方法などをお互いに確認しておくことで、いざというときに慌てなくて済みます。
せっかくある防災の日ですから、これを上手に使いたいものですね。
出入り口を確保しておこう
災害時にさまざまな理由で今いる場所から移動しなければならなくなったとき、あなたのおうちはきちんとした脱出路が確保されていますか?
例えば地震が起きたとき、部屋の開き戸がタンスや棚などが倒れ込むことにより動かなくなるような置き方はしていませんか?
こと災害に関する限り、扉は引き戸の方が安全度が高いのでは無いかと考えています。ものが倒れても、引き戸であれば開け閉めをすることは可能です。これが開き戸だと、扉の前にものが倒れ込んでしまうと、もう開けられなくなってしまいます。
もし開き戸のおうちの場合には、タンスや棚が直接扉の前になかったとしても、倒れたときに扉が動かなくなるような状態になりそうであれば、そのタンスや棚は場所を変えた方が無難です。
また、通路や玄関にはなるべくものは置かないようにして、非常時には悩まずに外部に脱出できるように整備しておくことが重要です。
最近では、開き戸に貼るタイプの非常用持ち出し袋入れも出てきているようですが、非常用持ち出し袋は導線を妨げず、かつ取りやすい部分に置くことが大切です。
日本建築では、伝統的に引き戸が多いのですが。これは万が一の時の家屋からの脱出と扉を作るのが容易だったからなのかなと考えることもありますが、出入り口には、万が一に備えて扉が開かなくなるようなものは置かないようにすることが大切です。
熱中症対策で摂る飲み物あれこれ
熱中症対策と言うことで、毎年夏はさまざまな飲み物が飲むべきとか飲まない方がいいとか言われ、同じ飲み物でも評価が分かれることがあります。
もうそろそろ夏も終わると思いたいのですが、今回は熱中症対策で誰がどんな飲み物を飲むべきなのかと言うことについて考えてみたいと思います。
1.スポーツドリンク
ポカリスエットやアクエリアスと言ったスポーツドリンクは、熱中症対策としてまずあげられる飲み物ですが飲むべきという人と飲むなと言う人がいる飲み物でもあります。
浸透圧が調整されているため体に吸収されやすく、水分だけで無く他に体に必要な塩分や糖分といったものも入っているので熱中症対策としては一番手近で一番飲みやすい飲み物です。
問題になっているのは、その糖分です。元々スポーツドリンクですので、運動している人に必要とされる糖分がしっかりと入っています。そのため、体を動かさない人が多量に飲むと、糖分の過剰摂取が起こってしまうのです。
糖分の過剰摂取が起きると吐き気や腹痛、意識がもうろうとしたりするペットボトル症候群になるのですが、これを熱中症の症状と勘違いしてさらにスポーツドリンクをがぶ飲みし、救急搬送されてしまったケースもあるようですので、炎天下で大汗を流して仕事をする方や走り回っている人には向いていますが、屋内の冷房の効いたところで飲む場合には、あまり向いているとは言えません。
2.経口補水液
割と最近登場したスポーツドリンクよりも糖分を押さえ、ナトリウム分などの電解質が強化された飲み物です。
元々下痢や嘔吐、発熱と言った病気に伴う脱水症状に対して使われているため医師の指導の下で使用するようになっている製品もありますが、そうでないものもあってちょっとややこしいです。
医療用のものがあるくらいなので、正しく使えば非常に効果的。ポイントはちょっとずつ定期的に飲むことです。
最も、経口補水液を口にしたときにこれがおいしく感じる状態であれば、軽度の自覚の無い脱水症状を起こしていることが考えられますので多めに飲むことをお勧めします。
スポーツドリンクとは逆に、炎天下で激しい活動をしている人には糖分が不足しているので向きませんが、屋内の冷房の効いたところでの水分補給には非常に向いた飲み物です。
市販品も多いですが、「水・1リットル、砂糖・40g、塩・3gを合わせてかき混ぜる」と経口補水液を手作りすることもできます。
3.麦茶
夏場の飲み物の代表格というとこの麦茶です。割と最近までは「麦湯」と呼ばれていて夏場の滋養によいと飲まれていました。麦茶の原料は大麦で、体温を下げる働きがあることが知られています。
塩分以外のミネラル分が豊富ですが、塩分と糖分が不足しており、今はどうかわかりませんが、30年前の運動部などではこの麦茶に塩をひとつまみ加えたものが定番アイテムとなっており、糖分を補うためにはレモンや梅干しのハチミツ漬けがよく出てきていました。
安価で飲み過ぎても体調を崩さずに済むという点では安心して飲むことができ、誰でも安心して利用することが可能です。
4.水
水分のみ補充することができます。安心して飲むことができますが、飲み過ぎると下痢したりします。塩分やミネラル分、糖分といったものを何らかの形で補う必要がありそうですが、塩分飴などが摂取できれば、水で充分という考え方もできます。
5.ビール、コーヒー、紅茶、日本茶
これらの飲み物は脱水症状を助長します。ビールはアルコール、コーヒー等はカフェインに利水作用がありますので、いくら飲んでも脱水症状がひどくなるだけです。よく「最初の一杯をおいしくするために汗をかいて水分は摂らない」という飲んべえの猛者がいらっしゃいますが、下手するとビールにありつく前に倒れますし、ビールを飲んでも体の脱水症状を助長するだけですのでお勧めはしません。
6.清涼飲料水
さまざまなものが発売されていますが、いずれも糖分過多です。飲み過ぎるとペットボトル症候群になる確率が高いですし、乾きが満たされることもありませんので、熱中症対策としてはお勧めできません。ただ、水気のものがとりにくいときに自分が好きな味のものを飲むことで脱水症状を遅らせることはできるかもしれません。
7.甘酒
塩分を始めとするミネラルや糖分を効率よく摂取することができ、飲む点滴という方もいます。ただし水分の補給にはなりませんので、別途何か水分の取れる飲み物が必要です。
以上、いろいろと書きましたがそれぞれの飲み物の得手不得手があると思います。
一種類に固執するのではなく、いろいろな飲み物を組み合わせて上手に脱水症状を回避するようにしたいものです。
そして、調べられる範囲では調べていますが、ここに書いたのはあくまでも私見ですので、書いてある内容は鵜呑みにせず、裏付けを確認した上で自己責任で摂取してくださるようにお願いいたします。
お水を持って歩こう
災害に備えるとき、非常用持ち出し袋や非常用備蓄品など、命を守るためのさまざまなアイテムを準備するように言われています。
ですが、現実問題としてそれらを常に持ち歩ける状況にあるかと言われると、持って歩くことはできないのではないでしょうか?
最近は持って歩ける「防災ポーチ」というものが登場してきましたが、これも意識していなければそのうちに持ち歩かなくなってしまうような気がします。
では、いざというときどうするか。
命を繋ぐための最低限のものを持っておくようにしましょう。
最低限のもの、それは「水」です。
実は災害時に一番必要で一番手に入りにくいものがこの「水」なのです。
例えば地震で被災したとき、飲める水を持っているだけで安心感が違います。
のどが渇いたとき、この水があるのとないのでは気持ちに雲泥の差が生まれますし、怪我をしたときや目にゴミが入ったときにはこれがあれば洗い流せて衛生的な状態を維持することができます。
火事の煙に遭遇しても、袖口を濡らして口に押しつければ気管支を守り、呼吸を維持することも可能と、水があるだけで、自分の命を守れるレベルをぐっと上げることができます。
サバイバルなどでは3日水が補給できなければ死んでしまうというような話がありますが、食料や他の生活物資はなくてもしばらくは生きられます。
でも、水が無いとそもそもの生命維持ができなくなってしまうのです。
そして、飲料に適する水を作るのにはさまざまな道具や時間が必要ですので、始めから飲める水を持っていたほうがいいということになるのです。
たくさんあるに越したことはありませんが、水の重さはかなりなものです。無理して1リットルや500mlを持たなくても、最近は200mlくらいの小さなペットボトルもありますし、水筒に入れて普段使いするのもいいと思います。
なんらかの形で、仕事や登下校で普段から持ち歩く鞄に水を1本忍ばせておいてください。それがあなたの命を守ってくれるのです。
ちなみに、内閣府が提唱する水の確保量は1日3リットルだそうです。非常用持ち出し袋や非常用備蓄品では、それだけの量を見越して準備しておくようにしましょう。