被災物件の調査と証明あれこれ

被災した後、災害関係の証明(罹災(りさい)証明書や被災証明書といいます)を受けるのに、役所に行って手続きを行うことになります。
ただ、役所の対応する職員も普段は全く違う仕事をしているため、不慣れで手続きを間違えることも多々あり、被災者もさんざん待たされたあげくに再度手続きしないといけないはめになるようなことも起きているようです。
今回は、役所が出す各種証明について考えてみたいと思います。

1.住家の被災判定の種類

被災すると住家の被災判定を行うことになります。
ややこしいのは、これが三種類あって、それぞれに内容や手続きが異なることです。
行政への手続きに必要な罹災証明書は、申請しないと手続きができないことに注意してください。

1)応急危険度判定

この様式の他にもいくつか種類がありますが、色は統一されています。

被災した家屋を現状のまま利用したとき、とりあえずそれが倒壊しないかどうかを確認するものです。
緑、黄、赤の三種類の紙があり、緑は「とりあえず問題なし」、黄は「危険」、赤は「いつ崩れてもおかしくない」という意味があります。
応急危険度判定士の資格を持つ人(建築士や建築業者、行政の建築職員など)が、建物の状況をみて判定を行います。
これは被災自治体の判断で該当地域に応急危険度判定士が派遣されますので、申請は不要です。

2)被害認定調査

悲哀判定
被害認定調査では、第一次は外回りだけ調査します

罹災証明書の発行に必要な証明書を作るために必要な調査で、被災者からの申請が必要です。
基準は「どれだけ経済的にダメージを受けているか」というもので、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「被害無し」の4種類にわかれます。
これには外観だけを見て決める一次調査と、屋内まで立ち入って行う二次調査の二つがあり、通常は一次調査のみで判定されます。
ただ、外観に影響が無くても屋内が壊れているという場合もありますので、判定後、再調査を申し出ることで二次調査を受けることになります。
ここで作られる罹災証明書が、行政機関の行う各種給付・融資・減免申請の根拠となります。
調査が完了すると「調査済証」が建物に貼り付けられますが、実施する自治体によっては行わない場合もあります。
また、災害の規模にもよりますが、申請から調査まで1週間~1月程度はかかるようです。

3)被災度区分判定

その建物を修理して引き続き利用することができるかどうかを調べる調査です。
これは被災者が個別に建築士に依頼して行うもので、費用負担が発生します。

2.住家以外の被災判定


住家以外で損害を受けた場合、例えば農地や林地、工場などで被害が出た場合には、申請手続きが異なります。
こちらは「被災証明書」といい、被害にあった場所の写真を角度を変えて複数枚撮影し、窓口で申請を行うと、原則その場で証明書が発行されます。
取り扱う市町村によっては、「被災証明書」では無く「罹災届出証明書」が発行される場合もありますが、いずれにしても罹災証明書よりも早いのが特徴です。
また、被災自治体によっては被害調査認定と同様に現地調査を行う場合もあります。この場合には、被害認定調査と同じくらいの期間がかかります。

3.注意点

どんな場合であっても、被災した場所の写真はかならず角度を変えて複数枚撮影しておきます。
特に住家以外の被災判定では写真が必須となりますので、申請するまでのところで撮影をしておきましょう。
また、民間の地震保険などの請求をする場合にも写真が必要となります。
全景数枚、被災箇所毎に数枚の写真を撮影しておくと、手続きがスムーズに進みます。
また、被害認定調査の時、外観を調べる一次調査の職員は屋内を調べる二次調査が出来ないので、判定後に再度申し出る必要があります。
調査を待てない状況であれば、写真を撮った上で行政機関に連絡し、修繕などの許可を受けてください。
住家以外の被災判定は、ルールが定まっていないため、被災自治体によって扱いが異なります。
申請窓口では、対象となるものが住家なのかそれ以外なのかをはっきりとさせて手続きしましょう。

大規模災害になると、被災自治体の職員は不眠不休の体制をとっても手が足りてないのが現実です。
そのため、処理が遅いと言って文句を言っても状況は変わりません。
幸い、行政関係の手続き以外はこの証明書の必要性はあまりないので、地震保険や生命保険などの保険関係や生活再建の具体的な手続きなど、できるところから手を付けるようにしましょう。