防災ノートとエンディングノート

 先日「終活ノート」、いわゆるエンディングノートを見せてもらう機会がありましたが、その内容を見ていてどこかで見たことがあるなぁと妙な感覚になりました。
 ちょうどその頃に「我が家の防災ノート」という埋め込み式で自分の災害対策の計画ができるノートを作っており、そのときにこの防災ノートが終活ノートの内容にとてもよく似ていることに気がつきました。
 どちらも「私にもしものことがあったら」という想定で作るものなので似てくるのでしょうが、一つ作っておくとどちらにも使えるのかと妙に納得してしまいました。
 違っているのは防災グッズや避難経路、周囲の避難所を記入する欄がないことと、付録の情報部分でしょうか。防災ノートでは災害時伝言ダイヤルや被災証明書の取り方などがかかれているのに対して、終活ノートはお葬式の形式や遺産相続の手続きなどが書かれています。
 防災ノートの作り方がわからない人や何を書いたらいいかわからない人は、一度エンディングノートを買ってきて内容を埋めてみてください。
 その中に防災グッズの管理表、避難経路と避難所の位置図を追加して、表紙に家族写真を貼っておけば、立派な防災ノートができあがると思います。
 一度作れば、あとは作った人が必要な情報を追加していくのはどちらも変わりがありませんので、お時間を作って作成してみることをおすすめします。

イエローゾーンとレッドゾーン

 一昨年くらいから、石西地方でも土砂災害特別警戒区域、これを「レッドゾーン」と呼ぶそうですが、その指定についての説明会が進められています。
 現在は土砂災害警戒区域というのが指定されているのですが、このうち家などの建築物に損害がでそうな区域を土砂災害特別警戒区域として指定をし、建築制限などの規制を行うことになったそうです。
 現在の土砂災害警戒区域を「イエローゾーン」、土砂災害特別警戒区域を「レッドゾーン」として指定し、被害を未然に防ぐ対策を取っていくとのことで、人的被害の防止を最優先に取り組んでいくとのことでした。
 自分が住んでいる場所や地域がイエローゾーンやレッドゾーンに当たっているかどうかは、市町役場や支所、一部公民館、島根県の各県土整備事務所に備え付けてある地図で確認ができるそうです。
また、島根県の運営する島根県危険箇所検索システム内の「土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域」でも地図の確認が可能だそうですので、一度確認をしておくことをおすすめします。
 イエローゾーンやレッドゾーンは大雨が降ったときなどに土砂崩れや地滑りが起きる可能性の高い地域ですので、もしもあなたの住んでいる場所や避難経路にこれらの土地が含まれていた場合には早めの避難や避難路に組み込まないなどの対策が必要となってきます。
 なお、イエローゾーン、レッドゾーン等、土砂災害防止法の細かい内容については島根県土木部の該当ページのリンクを張っておきますので、そちらをご確認いただければと思います。

【活動報告】避難訓練を見学させていただきました【益田市立高津小学校】

屋上に避難する生徒たち。写真は加工してあります。

 10月23日に益田市立高津小学校で実施されました避難訓練を見学させていただきました。
 この避難訓練は毎年されているそうですが、去年から定型通りのものではなく、実際に災害が起きて避難したらどうなるかということで、想定に基づいて避難先まで避難する訓練をされているそうです。
 今回の想定は地震から津波が発生、4分以内に屋上へ避難という設定で、実際に屋上まで想定時間内に避難が可能かどうかを確認されていました。
 生徒たちの動きはかなり素早く、段取りよく避難がなされていましたが、狭い廊下で人が合流する場所ではどちらが優先になるのかを迷ったり、各所の点検で未確認の場所があったりと、予定調和ではない訓練なのでさまざまな小さな問題が起きていました。
 これらの問題を解決することで、より確実に避難できる、安全確保をすることができる方向に進んでいくとよいなと思います。
 人間はやったことしかできないし、知っているだけでは実際には動けないものです。本気で実施する訓練は駄目出しの繰り返しですので、どんなに回数を重ねても完璧ということはありません。 難しい想定はいらないと思いますが、誰もが何か起きたとき、無駄のない動きと判断を行えるようになるといいなと思います。
 お忙しい中、見学について快諾いただきました益田市立高津小学校の大橋校長先生、担当の岩田先生始め各先生方と生徒の皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。

スマートフォンを使うための3点セット

 災害時には、ネットワークが寸断されなければスマートフォンをはじめとする通信情報端末は非常に役立つものです。
 でも、情報をとり続けていると、電池切れを起こす心配があります。
 そこで、防災用品の準備では充電池が推奨されているわけですが、あと二つ追加しておくといいなというものがあります。
 一つは、充電用ケーブル。
 当たり前のような気がするのですが、この充電用ケーブル、案外と忘れることが多いものです。 最近はずいぶんと規格がそろってきてはいますが、それでもマイクロUSBのAタイプ、Cタイプ、iphone用のライトニングケーブルなどいろいろな種類があり、いざ人に借りようと思ってもなかなか貸してもらえないものでもあります。 充電池と充電用ケーブルは自分のスマートフォンの充電口の形状にあったものをきちんと用意しておくことです。
 最後はイヤフォン。
 スマートフォンのスピーカーを使い続けていると、その音が他の人に迷惑をかけることもありますが、イヤフォンを使うことで、自分が必要な情報を自分の好きなときに聞くことができるという利点があります。
 また、スマートフォンによっては、このイヤフォンを使うことでそれを受信アンテナ代わりに使うことができる機能を持っているものもあるようです。

いるものを揃えておくと精神的に楽ができる。

 これらを一つの袋に入れて普段から持ち歩くようにしておくと、いざというときも慌てなくてすみますよ。
 余裕があれば、これにUSB付きコンセントを加えると、避難所で許可があれば充電することだってできます。
 せっかく準備するのでしたら、それを使えるような装備も一緒に用意しておけるといいですね。

くどいようですが、防寒の考え方

 日中日差しがある間はまだ暑いときもありますが、だんだんと寒くなってきました。
 寒い時期に災害が起きると、その寒さが最大の敵となります。
 寒さを感じないためには、焚き火などの大きな熱源の近くにいるか、暖かい食事や飲み物などで体内から暖めるか、それとも体から発生する熱を逃がさないようにするかというどれかになりますが、避難所の運営開始時点では、一番有力なのは体から発生する熱を逃がさないことが自分でできる一番の寒さ対策です。
 そのためにはどうすればいいのか。
 それは体の周りに空気の層を作り、その空気を体温で暖められるように風が当たらないような対策をしておくことです。
 よくある羽毛のジャケットなどは、別に羽毛尾が暖かいわけではなく羽毛の間にある空気が体温で暖められて暖かく感じるのです。ですから、羽毛の入っている防寒着を着るのであれば、その羽毛を潰さないような着方をしないと意味がないということになります。
 風が当たらなければ体の周りの空気の層は逃げないわけですから、雨合羽でも充分に保温ができます。使い捨て雨合羽で激しい動きをした後にカッパの中が蒸し風呂になってしまうのでは保温がしっかりとできているからなわけで、これを利用しない手はありません。
 薄い服でも、重ね着をすれば服と服の間に空気の層ができるので、分厚い服一着よりも保温効果が高いこともありえます。
 もしそれもなければ、大きなゴミ袋に頭を出す穴を開けてそれを上着としてきてみたり、新聞紙を着てみることもいいかもしれません。
 とにかく風を防ぐことと、体から出る熱を逃がさないこと。
 頭なども面積が広く毛細血管も多いですから、しっかりと保温をしておきましょう。
 この対策をした上で、できることなら体がしっかりと熱を作れる食べ物や飲み物を取れば、ある程度までなら充分に防寒ができていると思います。
 飲み物は、あまり取り過ぎると用足しの回数が増えてそのときに排泄物が体の熱を持って出たりするので、取り方に気をつける必要があります。
 ドラマなどで出てくるような肌を合わせて体温を確保するという方法は、あまり現実的ではありませんのでご注意ください。
 また、毛布やエマージェンシーシートがある場合には、体→毛布→エマージェンシーシートという風に、空気の層を確保できる順番で身にまとうようにしてくださいね。

防寒には気をつけよう

 寒暖の差の激しい時期になってきました。
 夜中の気温は一桁台でも、日中の気温は二十五度前後と、一日の間に二十度以上の差がある日もありますので、健康状態には充分に気をつけていただければと思います。
 そんななかで気をつけたいのは「体を冷やさないこと」です。
 風に当たらないことはもちろんですが、体から発生した熱を逃がさないことも大切です。
 例えば、避難所での生活で、床がもし板張りやコンクリートなどの冷たさを感じる素材であれば、新聞紙や段ボールを体との間に入れるだけでも体感温度がずいぶんと変わります。
 体には毛布やエマージェンシーシートなどを巻き付けることで熱を逃がさず、体の周りの空気を体温で暖めて、ぽかぽかと過ごすことができます。
 服装でも同じことで、羽毛を使ったダウンジャケットが暖かいのは、別に羽毛が暖かいのでは無く、羽毛が保持している大量の空気が体から熱が逃げ出すのを防ぐことで暖かさを維持できているのです。
 服も同じで、厚手の服を一枚羽織るよりも薄手の服を重ね着する方が体温の保持はしやすいです。
 薄手の重ね着でもう一ついいのは、気温の変化による体温調整をしやすいこと。暑ければ脱いでいけばいいですし、寒ければ着込めばいいわけですから、そのときの最適な温度を維持することができるわけです。
 もちろん、体の内部から温めることも大切ですので、お鍋や汁物などの温かい食事をしっかりと取るようにしましょう。ただ、いくら暖まると感じても、お酒は止めた方が無難です。お酒でぽかぽかを感じるのは抹消の血管がアルコールによって広がることで温かく感じるためで、その間に体の熱がどんどん逃げていくので、気がついたら飲む前よりも寒かったという事態に陥ってしまいます。
 最後に、頭の保温を忘れないようにしてください。頭は面積もそれなりに大きく、多くの血管が集まっている場所でもあります。できれば毛糸の帽子のようなものを被って、できるかぎりの保温に努めるようにしてくださいね。

【活動報告】防災訓練を見学させていただきました【神田地区防災会】

 10月13日に益田市神田地区で実施されました神田地区自治会防災会の防災訓練を見学させていただきました。
 今回初めて実施されるということでどのようにされるのかなと思っていましたが、タイムスケジュールにこだわらず、さまざまなことを確認しながら進行されていました。
 想定される避難者の誘導や避難所への収容、自治会所有のトランシーバーの不感地域の確認など、手順や問題点を相互に確認しておられ、本番に備えた確認がしっかりされていました。
 今回の訓練は主に防災会の役員様方の手順の確認ということで模擬避難者の方々は手ぶらで来ておられましたが、実際にはそれぞれに非常用持ち出し袋を持参してもらうとのこと。
 今後それをどのように普及されていくのかが鍵になるかなと感じました。
 避難完了後、神田地区のハザードマップを元にした避難について、自治会長様から模擬避難者の方に説明がされ、各組ごとに避難先や避難のタイミングについて決めておいてくださいというお話をされていました。

非常食を配布する準備をしている防災会の人

 また、非常食体験ということで飲料水とアルファ米を配られていましたが、模擬避難者の方からはこれらの非常食はどこで買えるのかという質問が出ていました。普段「非常食を準備しましょうね」という説明はしますが、地元での調達先についても知っておいてもらったほうがいいということがわかり、非常に勉強になりました。
 最後に消防団の方の指導で土のう作りを体験されていました。
 自治会が主体的に実施する防災訓練をじっくりと見させていただいたのは初めてでしたが、さまざまな気づきと発見がありました。
 お忙しい中、見学について快諾いただきました神田地区の自治会長様はじめ地区防災会の方々に、この場を借りてお礼申し上げます。

安全を比較して避難する場所を決める

 自分の住んでいるところがどのような災害に対して弱いのかを考えたことがありますか?
 最近の災害では「避難所への避難」をやたらと呼びかけていますが、避難しなくてはいけないかどうかは、お住まいの環境や条件によって異なります。
 隣り合う家でさえ、避難すべきかどうかの条件が異なるのですから、周囲のことは全く参考になりません。あくまでもあなたがお住まいの家がどのような災害に弱いのかをあらかじめ知っておくことが大事なのです。
 ハザードマップやお住まいの建物の強度や補強状況、土地の成り立ち、避難経路の危険箇所や避難所の状況などを確認して、家にいるのか避難所にいくのか、「より安全な方」を選択すること。
 そして、「安全な方」をより安全にするためにはどのようにしたらよいかを考えてください。
 マスメディアなどでよく取り上げられているように「災害発生予測=早めに避難所へ避難」というのは間違いではありませんが、避難所によってはお住まいのところよりも危険度が高いという場合もあります。
 また、家にはなんの被害もなかったのに、避難途中で遭難してしまうようなケースもあります。
 もちろん家の耐久度が低い場合や水没しそうな地域の場合には早めの避難が必須ですし、台風のような大規模災害が予測されるような場合なら、いっそのこと勢力圏外へ避難するのも大切なことです。
 安全は自らが確保するもので、誰かが守ってくれるものではありません。
 どの災害ならどこが強いのか、どの災害はどこへどうやって避難したらいいのかを何でも無いときに確認し、いざというときに備えておきたいですね。

大風に対する準備をしよう

 大きな台風19号が本州直撃と言うことで大騒ぎになっているようですが、あなた備えは大丈夫ですか?
 石西地方はどうやら直撃コースではないようですが、それでも雨と風への備えは念のためにしておいた方がよさそうです。

 さて、これだけしょっちゅう台風が来ているので、風と雨に対する準備はできていると思いますが、天気が荒れる前にもう一度家庭や職場などの施設を確認しておいてくださいね。

 台風と言えば風。風に対する被害は、ものが飛ぶことにより起こることが殆どです。今回は風に特化して対応を考えてみたいと思います。
 屋根では、強い風により屋根の弱い場所に力がかかって、そこから破損していきます。そのため、まずは屋根の表面に隙間がないことと、ひさしの部分など、風が巻く部分が壊れたり痛んだりしていないかを確認しましょう。
 雨樋も同様です。雨に備えて清掃することはもちろんですが、外れたりずれたりしているとそこから壊れていきますのであらかじめの修繕が重要です。
 網戸も、強風下では外れて飛んでいく可能性があります。しっかりとした取付で無い場合には、外して家の中に閉まっておきましょう。
 テレビアンテナは、腐食していないかどうかを年に一回は点検しておくことが大切です。腐食が進むと壊れるだけで無く、アルミ製のアンテナが風に飛ばされて人に当たると大けがをさせてしまうことがあります。
 物干し竿は物干し台から外して床に置くか、建物の中に収納します。あまり風を受けるイメージのないものですが、大風が吹くと物干し台から離れてとんでいくことがあり、これが人やものに当たると大変危険ですので十分な注意が必要です。
 家の周りでは、植木鉢や牛乳の配達用の箱、郵便受け、自転車といったものは片付けておきましょう。しっかりと固定されているものは大丈夫でしょうが、そうでないものは家の中に入れるか、あるいはしっかりしたものに丈夫なひも等でしっかりと固定します。
 飛ばなければ、他所へ与える損害をなくすことができます。それぞれが気をつけることで、周囲に与えるダメージを減らすことが可能です。
 次に、被害を受けないようにします。
 しっかりとした雨戸やシャッターがもしあるのであれば、それを展開して飛んでくるものからの被害に備えます。
 窓ガラスは飛散防止フィルムを貼ることは当然として、念のために窓ガラスに段ボールを貼り付けたり厚手のカーテンをかけたりしてガラスの飛散を防ぐようにしましょう。
 また、建物が耐えられないかもしれないと思ったら、お近くの安全と思われる建物に暴風圏内に入る前に避難を完了させてしまいましょう。万が一建物が破損したとしても、最低限命を繋ぐことはできます。その際には、念のために保険証や通帳、印鑑、現金と言った簡単に持ち運びできる貴重品は身につけて避難を行ってください。

 何事も無いのが一番ですが、何かあると想定して、どこにいれば一番安全かを考えながら準備してくださいね。

懐中電灯を考える

 災害が起きると、大抵の場合停電が発生します。
 夜に灯りが無いのは非常に不安な気持ちになりますので、なんらかの灯りを準備する必要がありますが、地震や台風の時には裸火を使うわけにもいきません。
 そこで懐中電灯や電池式ランタンの出番となります。
 最近では百円均一のお店にもたくさん売っているので目移りしますが、調達するときには使用している電池の種類を気にするようにしてください。
 乾電池式、ボタン電池式、充電式といろいろありますが、災害対策で使うものについては、乾電池式をお勧めします。
 その中でも、入手のしやすさ、重量、点灯時間の長さのバランスを考えると、単三電池が一番よさそうです。
 殆どの懐中電灯はLED照明。LED照明は光が直進するという癖があるため、強力な明るさを得ることができます。そのため、それを売りにしている懐中電灯も多いのですが、夜間の避難時に使うのならともかく、家の中で使うには明るすぎて困ります。
 明るさを切り替えることのできる懐中電灯であればいいのですが、そうで無い場合、家の中で使うために周囲に光を拡散させる道具を取り付けたほうが周囲を明るくできて使い勝手がいいです。ポリ袋をかぶせたり、水を入れたペットボトルを照明部分に載せることで光を拡散させることができますので、試してみてください。

 LEDランタンはそのあたりのことを考えて作られていますが、白色のものは光源が非常に明るくて使いにくいです。ランタンとして使うなら、暖色系の灯りのものを選んでください。
 また、ラジオや蛍光灯などのついた複合型の懐中電灯もありますが、電池の規格には十分注意してください。余談になりますが、複合型の懐中電灯は手回し発電機がついていることも多いです。ただ、これは内蔵蓄電池の性能によって使い勝手が変わってきます。殆どの場合、蓄電池の性能はさほど高くありませんので、手回し発電機はおまけ程度と考えてください。
 自家発電装置のついている懐中電灯もありますが、振るタイプは振っている間灯りが落ち着かず、おまけに疲れます。発電装置付きを選ぶのであれば、握って発電できるものを選ぶようにしてください。
 どのようなものを選ぶにしても、いざというときに電池切れというのでは意味がありません。
 災害が起きそうな時には新しい電池を用意して点灯試験を必ずし、いざというときに備えておいてくださいね。