エアコンの室外機にご注意を

台風だけで無く、地震や水害などでも被害に遭いやすいエアコンの室外機。写真のような状態だとどちらのエアコンも使う前に点検が絶対に必要となる。(写真はそなエリア東京の展示物)

 災害の後で家の片付けをするとき、もしもエアコンの室外機がそれまで置かれていた場所から動いていた場合には不用意に触れないようにしてください。
 エアコンの室外機には冷却用のガスが収められていて、これを屋内のエアコン本体に送ることで冷却効果が出ているのですが、定位置から動いている場合には本体と室外機を繋ぐパイプが破損している可能性があり、もし動かすと破損箇所から冷却ガスが噴き出して思わぬ事故が起きることがあるからです。
 まずは電気屋さんに点検をしてもらって、エアコンの状態に問題がないかどうか確認してください。
 問題が無ければ電気屋さんが室外機を定位置に収めてくれると思いますので、その後にエアコンを使うようにしてください。
 なお、エアコンの点検は建物が通電していないとできません。点検が終わるまでは、エアコンと室外機は「動かさない」「触らない」を忘れないようにしてください。

参考
災害時の困りごとと対処法」((株)ダイキンのウェブサイトへ移動します)

被災写真はしっかり撮っておこう

 台風10号は北の方に去って行きましたが、あちこちで大きな被害を残していったようです。全容把握はこれからといったところでしょうが、被災された方にはお見舞い申し上げます。
 今回の台風10号に限らず、大規模な災害が起きるたびに書いていることではあるのですが被災した後は復旧が待っています。
 少なくとも、自宅が被災したらその片付けと掃除、消毒、乾燥、そして修繕と、復旧が完了するまでにはかなりの労力と時間を投入しなくてはいけないのですが、それらの作業に入る前に必ずやっておいて欲しいことがあります。

それは

被災したことをはっきりさせるための写真をたくさん撮っておくこと

です。


 自宅の被災では、自分の生活環境を取り戻すために片付けをすぐに開始したいところなのですが、行政の罹災証明書にしても、保険会社への保険請求にしても、基本的には被災した状況を現地で確認するという原則があります。勝手に片付けを始めてしまうと、行政や保険会社が調査に来たとき、そこまで大きな被災はしていないと判定されてしまって後で困ることがよく起きます。

 また、大規模災害だと調査そのものがいつ来るか分からないという状況になることもあります。そのため、被災状況が確認できる写真をなるべくたくさん撮影しておいて一致調査しなくても手続きをすることができるようにしておく必要があるのです。
 遠景、近景、被災箇所の確認できる写真など、こんなにたくさんと思うくらい撮影しておいても困ることはありません。
 被災状況が撮影されていないことの方が問題になるのですから、無駄になってもいいので、とにかくいろいろな角度からいろいろわかる被災状況写真を撮っておくことです。被災状況をどのように撮影したら良いのかについては、「浸水した家屋の片付けと掃除のしかた」(NHKウェブサイト・災害列島)を参考にしていただければと思います。
 それから復旧に際して意識しておいた方がいい点については、以前「被災後の段取りあれこれ」で書いておりますので、よかったら参考にしてください。

 いずれにしても、自宅など生活や仕事をする空間は調査を待っているわけにもいきません。行政や保険会社に了解を得た上で、さっさと復旧作業に入るようにしましょう。また、最近立て続く災害のせいで、復旧を始めたら次の災害を受けたという地域も出てきています。手早く全てを行うことはできませんが、何から手をつけるのかをしっかりと決めた上で作業に入り、できるだけ早い復旧ができますことを願っています。

参考情報

浸水した家屋の掃除と片付けのしかた」(NHKウェブサイト「災害列島」へ移動します)

窓ガラスの台風対策を考える

 ここ最近の台風はかなり大型で強いものが多く、気をつけていないと風でいろいろなものを空へ飛ばしてしまうことになります。
 飛んでいったものは、風に乗ってどこかの建物の窓や壁を壊してしまうことも。
 自分の所有している物が飛んでいったりしないように、台風が来そうなときにはあらかじめ準備しておくことが大切です。
 ところで、飛んできた物への対策は取っていますか。
 壁に当たるのは大丈夫としても、もしも窓ガラスに直撃すると、場合によってはガラスが飛散して屋内に飛び散り、その後風雨が部屋中に吹き荒れることになるかもしれません。
 普段から風の強いところの窓については、ある程度の対策をしておいた方がいいと思います。
 そこで、今日は窓の台風対策を考えてみたいと思います。

1.一番いいのは雨戸です。

 もしも家の窓に雨戸がついているのであれば、それを展開することで窓の損害を防ぐことは可能です。
 雨戸は展開時に破損していないことを確認し、しっかりと閉めてロックしておくこと。ロック機能が無い場合には、雨戸を釘で打ち付けておくと安心です。また、シャッター式や金属タイプのものも含めて、風の通り道を作らないように空間が空かないようにしておきましょう。

2.雨戸がない場合の対策

雨戸が無い場合の対策を考えてみます。
窓ガラスは強化ガラスであっても当たり所が悪いと割れることがありますので、最悪を考えて対策をします。

当研究所の施工例。網戸は強い風だと飛ばされてしまう可能性が高い。あらかじめ撤去しておくと、余計な心配をしなくてすむ。外した網戸は屋内や風に当たらないところへ収納しておくことを忘れずに。

 まずは網戸を外します。固定式の網戸で無い場合には、外れて飛んでしまう可能性があるので、面倒ですが外して屋内に収納しておきましょう。
 その上で、ガラスの上を何かで覆う処理をします。例えば、ベニヤ板や段ボールでガラス部分を覆ってしまえば直撃を防ぐことができるので、割れる確率をかなり落とすことができます。
気をつけたいのは、ベニヤ板や段ボールは必ず外側から張ること。内側に張っても、直撃を防ぐことはできないのでガラスが割れる可能性は変わりません。ただ、割れた後のガラス飛散対策にはなるので、やること自体は無駄ではないと思います。

当研究所での施工例。段ボールは大きいのが手に入らず、ベニヤ板は固定ができないので、プラ段を使って窓面を固定した。ないよりはマシと信じている。
当研究所の施工例。段ボールで覆った場合。重量のある飲料系のケースは箱が小さいのでつぎはぎになってしまうのが難点。

 窓の外で作業ができない場合には、割れないようにする対策は難しいですが、内側から飛散防止フィルムを貼っておけば、割れても窓ガラスがそのまま窓に残っている可能性が高いです。
飛散防止フィルムを貼ることもできない場合には、応急処置として窓ガラスに布テープを「米」状に貼り付ける方法があります。

当研究所の施工例。段ボールの数が足りなかったのでここだけ米印に養生テープを貼ってみた。養生テープが勧められている記事もあるが、事前にしっかりとガラス面をきれいにしておかないとすぐに剥げてしまうのが難点。あくまでも大きな破片が飛ばないための対策であることに注意。

 ただ、これはあくまでもガラスの飛散対策なので、割れても大きな破片は飛び散らない程度の気休めだと思ってください。
 また、布テープを「米」状に窓に貼り付けた後、部屋側に厚手のカーテンを引けば、ガラスの飛散対策にはなります。

3.普段からやっておくと楽なこと

 普通の窓ガラスでも断熱、強化ガラスであっても、飛散防止フィルムを貼っておくことは大切です。
 断熱フィルムでも構いません。フィルムが貼ってあることによって、ガラスの一体化を守ることができるので、きわめて飛散しにくくなります。
 また、窓にはカーテンやブラインドを取り付けておき、災害時にはすそを床などに固定できるような方法を考えておくと、より安全になります。障子であれば、紙製ではなくビニール製のものを張ることでガラスや風雨で障子が破れることを防ぐことが可能です。
 なによりも、危険な場所に生活の空間を置かないこと。ガラスが飛散したときにその飛散範囲に自分が居ないように、普段から居場所に気をつけるようにしましょう。

4.参考として

 窓に貼るベニヤ板は、布テープではしっかりと固定ができませんので、できればビスで留めてしまいましょう。
 また、段ボールを使う場合には、お茶やドリンクなど重量物を運ぶための段ボールの方が肉厚で丈夫です。
 いずれも窓ガラスだけで無く、桟を覆うように固定するのがポイントです。窓と段ボールの間のほんの数ミリの空間が、被害を劇的に防いでくれます。
 最後に、布テープや養生テープを貼るときには、あらかじめ貼り付ける面の汚れはしっかりと落としておくことを忘れないでください。

 最近のご家庭では大きな窓が増えていますが、破損するとかなりお財布に痛い金額を修繕費として支払わないといけなくなります。
 それを防ぐためにも、台風が来る前に、窓の手当をしっかりとしておきたいですね。
 ところで、風には通り道がありますので、普段から風が吹かないところは台風の時でもそこまで強力な風は吹きません。
 普段から風の強さを意識しておいて、強く風の吹く場所を重点的に作業しておきましょう。

充電池の電池は満タンにしておこう

スマートフォン用の小型充電池と、家庭用の充電池の一例。大規模な電気は使えないが、それなりに使える。

 大きな台風が来ると言うことであちらこちらで騒ぎになっていますが、災害時に重要なものの一つに電気があります。
 一般的に、今までは一番復旧の早いインフラが電気だとされていたのですが、去年関東地方をおそった台風15号では、あちこちの電柱が軒並み倒れてなかなか停電が復旧しなかったという状況が発生しました。
 電線を引き直すのはそう難しくない作業だそうですが、電柱が倒れると倒れた電柱の撤去から行わないといけないため、電気の復旧にも非常に時間がかかったようです。
 そこで確認しておきたいのがあなたのお手元の充電池です。普段使っている充電池や、非常用にしまってある充電池の充電は満タンになっているでしょうか。
 充電池に充電してある電気は使わなくても徐々に消耗していきます。いざというときに使おうと思っても、充電がされていないということが起こりえるわけです。
 幸い、台風が来るのにまだ少し時間がありそうですから、お手元の充電池を片っ端から充電しておいて、停電に備えておいた方がいいと思います。
 暗い中で灯りがなかったり、情報が入らなかったりするのは非常に不安が募ってくるものです。そうならないためにも、災害が予測される前には乾電池の準備、そして充電池の充電はしっかりとしておきましょう。
 ちなみに、あなたは普段の生活でどれ位の電力量を使っていて、停電時に自分の考える最低限の生活を維持するためにはどれくらいの電気が必要となるのかについて考えたことがありますか。
 蓄電池または発電機でもいいのですが、電気自体は今の生活には欠かせないものだと思いますから、自分の安全や普段の使い勝手を考えて、電源に対してもある程度の備えはしておきたいものですね。

バケツがあるととっても便利

折りたたみ式バケツ。折りたたむと手のひらサイズになる。非常用持ち出し袋に入れておくと重宝する。

 災害時にあると助かるものの一つにバケツがありますが、あなたのおうちにはバケツがありますか。
 水、荷物、ゴミなど、何かを入れて運ぶときだけでなく、生活用水を川や側溝から汲み上げたり簡易トイレにしたりすることもでき、被災後に大活躍するアイテムなのですが、なぜか非常用持ち出し袋や備蓄品に入っていることが少ない意外なものです。

ねこの砂+ビニール袋+ポリバケツで簡易トイレが簡単にできる。


 給水場所でポリ袋に飲料水を入れて運ぶのに難儀している人を見かけるたびに、そのポリ袋をバケツに収めて給水してもらえば運ぶのも楽だったのにと思うことがあります。仮にバケツが汚れていても、ポリ袋がきれいならば飲料水として問題なく使うことができるのですが、輸送のことまではなかなか意識が向かないようです。


 バケツというとどうしてもしっかりとしたプラスチックやトタン製のものを想像しがちなのですが、最近では釣り用やアウトドア用に折りたためて小さくなるバケツも販売されていますから、これを非常用持ち出し袋に入れておけばいざというときに役になってくれます。
 余談ですが、浸水を防ぐときにつかう水のうを作るときにも、このバケツは活躍します。バケツにビニール袋を二重にしたものを入れ、内側のビニール袋に水を6分目まで入れて袋の口をしっかりと結びます。


 それから外側のビニール袋の口をしっかりと結び、浸水しそうな場所に運んで置くと水のうのできあがりです。
 いろいろと使える便利なバケツ。値段も高くないですから、あなたの防災用品の中に是非一つ準備してくださいね。

水のうの作り方

土のうによる浸水防止「積み土のう工」。外では有効だが家の中の浸水対策には向かない。

 水害対策でよく使われるのが土のうといわれるもので、麻袋などに土を詰めて積み上げ、水の被害を防ぐために使われています。
 ですが、土のうは非常に重たく、作るための土を持ってきたり積み重ねたりといった作業も一人でやるにはかなり無理があります。
 家の周辺や外などで水の被害を防ぐためには土のうが必要だと思いますが、家屋への浸水など、じわじわと広がってくる浸水対策には水のうも有効です。
 今回は水のうを作ってみようと思います。

1.水のうのメリット

1)一つあたりの重量は少ないので、一人でも作って運ぶことができる

2)ビニール袋なので柔らかく、水が侵入してくる場所にしっかり貼り付くため、水の浸入がしにくくなる

3)単価が安い

2.水のうのデメリット

1)形がしっかりとしていないので積み重ねることが難しい

2)しっかり、丁寧にビニール袋の口を縛らないと水漏れして水のうとして使えない

3)一つ一つは小さいので、水の勢いのある場所では水に負けてしまう

3.水のうの材料

1)買い物用ビニール袋2枚(水のう一つあたり)

2)水のうにいれる水

3)バケツ(写真は折りたたみできるバケツを使用)

4.水のうの作り方

1)買い物用ビニール袋を二重にし、口を開いてバケツの中に入れます


2)内側の袋に水を6分目まで入れる

3)内側の袋の口をしっかりと縛ります


3)外側の袋の口をしっかりと縛ります


4)水を防ぎたい場所に移動させ、そっと置きます


5)必要な数だけ(1)~(4)を繰り返します

 水のうは大きくすることはできますが、土のうと違ってしっかりとした形がないため、どうしてもぺちゃんとなって安定した形状を作ることは難しいです。
 そのため、扉やサッシなどからのゆるやかな浸水を防ぐのには使えますが、勢いのあったり量が多かったりする水を防ぐことは難しいことは知っておいてください。
 ただ、簡単に作れることと作るのに時間がかからないこと、人手が土のうほど必要ないことから、家の中の守りに使うことはできます。
 また、この水のうはトイレや水道の排水口の上に積むことで溢れている水の逆流を防ぐことができます。
 土のうほどの丈夫さはありませんが、自宅を守る手段の一つとして、作り方を知っておくと便利だと思います。ただ、元々ビニール袋なので傷つけたり破いたりすると、水を防ぐはずの水のうからこぼれた水で家の中が水浸しになりますのでご用心。

ハザードマップを確認しよう

 今日は防災の日です。
 お住まいの地域でどのような危険が生じるのかという確認は、配られているハザードマップでチェックしていると思うのですが、普段の通勤・通学路のハザードは確認していますか。
 災害はあらゆる場所で起こります。自分が出かける地域のハザードを100%調べることは難しいですが、普段使っている通勤・通学路でどのような危険があるのかは確認しておいた方がいいと思います。
 これから台風シーズンになりますが、過去にはアンダーパスが水没しているにもかかわらず普段どおりに通勤しようとして溜まっていた水に突っ込み無くなった方もいらっしゃいます。
 あらかじめどのような危険があってどういったときには迂回した方がいいのかについて知っていれば、非常時にも安全な経路を辿ることができます。
 非常時に安全なルートは普段使いでは遠回りになったりすることも多いですが、たまに意識的に使うようにしておくといざというときに慌てなくてすみます。
 ハザードマップを意識すると、いろいろな場所の安全性、危険性が見えてきます。
 ハザードマップに頼っていれば100%安全というわけではありませんが、一つの目安として、ハザードマップをしっかりと確認しておきたいですね。

益田市ハザードマップ(益田市のウェブサイトへ移動します)

津和野町ハザードマップ(津和野町のウェブサイトへ移動します)

吉賀町ハザードマップ(吉賀町のウェブサイトへ移動します)

明日は防災の日です

 大正12年9月1日に発生した関東大震災にちなんで、毎年9月1日は防災の日となっています。
 そしてこの日を挟んで毎年8月30日から9月5日までを防災週間として防災に関するさまざまな行事が全国的に行われています。
 今年はコロナ渦で人の集まるイベントは軒並み中止になっていますが、こんなときだからこそそれぞれが自分の防災グッズや避難計画などを見直し、確認しておく時間にしたいですね。
 ちなみに、普段は1日と15日しか体験利用ができない災害用伝言ダイヤル171番は、この防災週間中は体験利用することができるようになっていますので、web171番と併せて使い方をしっかりとマスターしておいて欲しいなと思います。
 折しも大きな台風が近づきつつあります。週の中程にかけて西日本に影響が出るような予報が出ていますので、対策についてしっかりと確認しておいてくださいね。

当研究所記事「災害時伝言ダイヤルを使ってみよう」

台風に備える

 台風が日本にやってくるシーズンに入りました。
 今年もかなり暑いので、やってくる台風は勢力がさほど落ちずに来るのでは無いかと思っていますが、台風に備えた準備はできていますか。
 台風で備えるのは風と雨。いつ頃襲来するのかは分かっていますから、そういう意味では非常に対応がしやすい災害だと思っています。
 大きな台風が来たとき、最終的にどのような被害を被るのかは正直なところわからないところがありますが、それでも備えておくことで、ある程度までの被害を防ぐことが可能です。
 今日は台風シーズンに入る前にやっておいた方がいいことについて考えてみたいと思います。

1.台風対策、まずは掃除から

 台風がやってきて問題になるのは、溢れてくる水とそれに流されるもの、そして風で飛ばされてくるあれこれです。
 ですので、水を可能な限り排水させるために側溝や水路の掃除をしておきましょう。また、周囲に側溝などに詰まりそうなものがあれば、あらかじめ撤去しておくことも大切です。
 それから家の雨樋。ここの掃除もしっかりとしておくことで、排水能力の確保や貯まった水による雨樋の破壊を防ぐことが可能です。
 あと、見落としがちなのがテレビアンテナ。強い風雨にさらされると、劣化したテレビアンテナが壊れて落下したり飛んだりすることが起きます。
 筆者の家でも、何度かの台風でテレビアンテナがぼろぼろに壊れてしまったことがありますので、シーズン前に電気屋さんに点検してもらい、破損が起きないようにしておくことが大切です。
 家の周囲にも注意を向けておきましょう。
 風が吹くと落ちたり飛んだりしそうな場所に、物干し竿や植木鉢、プランターなどは置いていませんか。
 大風が吹くと、一見大丈夫そうな場所に置いてあるものでも簡単に飛んでしまいます。物干し竿などは飛びそうにないように見えますが、過去には物干し竿が飛んでよその家の窓ガラスを割ったというような礼もあります。
 飛びそうなものは、屋内に入れておくか、もしくは風が通らない場所に置いてください。
 家庭ゴミなども同じで、飛んだり散ったりするとあちこちでトラブルが起きます。これらも屋内または風や雨の当たらないところにおいてください。

2.おうちの対策をしておく

 瓦屋根のお宅では、風で瓦が飛んだりしないように点検をしてもらっておきましょう。またトタン屋根などではめくれている部分や破損している部分がないかどうかを点検しておき、できれば修繕しておきましょう。
 窓は飛散防止フィルムが張ってあればいいのですが、そうでない場合には、ガラス窓にはガムテープなどで飛散防止対策をしたうえで厚手のカーテンを引き、ガラスが飛散しないようにしてください。
 側溝や水路に面しているお宅では、状況によりますが土のう袋が必要な場合もあるかもしれません。あふれそうな場所があらかじめ分かっているときには、土のうを作って置いておくのもいいと思います。
 停電に備えて、乾電池式のランタンや懐中電灯、およびそれらに使う乾電池も準備しておきましょう。また、オール電化のおうちでは、念のためにカセットガスコンロも準備しておいた方がよさそうです。
 非常用持ち出し袋の点検をし、着替えや靴なども準備しておきましょう。また、断水に備えてお風呂などに水をためておくことも忘れずにやっておきましょう。

3.台風の進路の情報収集しておく

 台風の進路は、昔に比べると読みづらくなってきています。そのため、前の日の予想進路と今日の予想進路が変わっていることが起こりえますので、天気予報は定期的に見ておいてください。
 台風の強さと家の状況によっては、台風の勢力圏に入る前に安全と思われる避難所に避難してしまうことも検討しておきましょう。
 また、状況によっては学校や会社に行けても帰れなくなる可能性がありますので、天気予報を見た上で、場合によっては自主休業・自主休校することも視野にいれておいてください。
 どうしても出社や登校しなければならない場合には、職場や学校で待機しなくてはならないことを想定して非常食を用意しておくことをお勧めします。
 台風そのものは、1日程度あれば勢力圏から抜けることが殆どですから、その期間が凌げるだけの準備をしてあれば大丈夫です。

4.情報共有しておく

 家族のいらっしゃる方は、当日は誰がどこにいるのかをお互いに確認しておきましょう。
 いざというときにどんな行動を取るのかについて確認しておき、例えば最悪家に子どもだけしかいなくても大丈夫なような準備をしておくことが大切です。
 非常食、避難所に行けない場合どうするのか、連絡手段をどうするかなど、しっかりと詰めておきましょう。

 災害対策はいくら準備をしてもしすぎるということはありません。
 幸い、台風は進路予測ができますから、それに対応して準備をすることが可能ですから、直撃したときに自分や周囲に被害がないように、あらかじめしっかりと準備しておきましょう。

要支援者ほど早く避難しろという意味

 風水害の警戒レベル3は「避難準備・高齢者等避難開始」ということになっています。レベル4には「避難勧告」と「避難指示(緊急)」が同居していて訳がわからなくなっているということでどうやら修正がされるという話も聞いていますが、ともあれレベル3が発令されると「高齢者等」は準備ができ次第安全な場所、例えば避難所等に避難を開始することになります。
 この「高齢者等」には、高齢者だけで無く妊婦や乳幼児を含む家族、障がいを持っている人、その他避難する準備がかかる人達、いわゆる要支援者のことで、手間のかかる人は早く準備して早く避難しろというのがこのレベル3の趣旨です。
 ではなぜ普通の人よりも早く避難した方がいいとされているのでしょうか。
 何かあったときにすぐ避難できないから避難するというのは大きな理由ですが、それ以上に「早く避難して自分のスペースを確実に確保しておけ」という意味があります。
 過去に起きた様々な災害では、声の大きく元気な人ほど避難所で生活しやすい良い場所を占拠し、支援品や補給品を優先して受け取るという傾向が一貫してみられます。
 そうすると、本来は支援が必要な人達は避難所の片隅または避難所から追い出されてしまって、車や倒壊した家屋などで生活することを余儀なくされてしまうのが現状です。
 支援の必要な人が先に避難所に入って条件の良い場所を使っている場合には、いくら元気な人でも押しのけてその場所を奪い取ることはなかなか難しそうなのですが、実際には後から来た人の方がいろいろな意味で本人の状況が悪くなっているので、それを盾にして先住者を追い出すということが発生したりしています。
 大きな街ほどそういった傾向が見られるので、本当のことを考えると支援がいる人は支援がいる人専用の避難所を作ってしまった方がいいと思うのですが、いろいろと理屈をつけてそこまではしないというのが現在の行政の限界でもあります。
 そうすると、普段の生活に何らかの支援がいる人、支援があった方がいい人は早めに避難して避難所を占拠するくらいの行動力を見せないと自分たちが路頭に迷うことになってしまいます。
 実のところ、他人様に迷惑はかけられないと避難を渋る人達が大勢いるのですが、収容先のない要支援者が路頭に迷うことの方がよっぽど迷惑ですから、ひどくなりそうな気配を感じたらさっさと非常用持ち出し袋を持って避難所に避難し、良い場所を占拠してしまいましょう。
 避難所運営スタッフからスペースとして使って良い場所を確認しておけば、あとは安心して事態が収まるのを待てば良いのです。
 普通の人と同じように行動していると、要支援者はかならずひどい目に遭います。
 普通の人よりも早く動くことで、自分の安全を早く確保することができますから、準備ができたらそのまま避難するようにしましょう。
 なお、特殊な医療用設備が必要な要支援者のかたもいらっしゃいますが、そう言った人は避難所では無く、できれば被災しないであろう地域まであらかじめ避難しておく方が無難です。
 そういった事態に備えて、かかりつけのお医者様といざというときに支援してもらえる医者を決めて準備してもらうようにしておきたいですね。
 繰り返しになりますが、状況を見て早めに避難し、自分の居場所を確実に確保することが、要支援者が生き残る道です。
 他の人の動向など気にすること無く、自分が決めた避難計画に従って避難してくださいね。