1995年1月17日午前5時46分、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が起きました。
これが阪神淡路大震災で、神戸などでは多くの古い家が倒壊し、火災が発生してしまいました。
倒壊した家屋の下敷きになった人たちは家族や知人、周辺の人などによって救助されましたが、救助が間に合わずに亡くなった方も大勢いました。
もしも下敷きになって生存していた人が自身の居場所を救助者に教えることができたなら、ひょっとしたら救助された人はもう少し多かったかもしれません。
そこで非常用持ち出し袋など災害時に用意すべき持ち物にホイッスル(笛)が入るようになりました。
人の声は思ったよりも届きません。マスクをつけ、パーテーション越しに話している人の声は非常に聞きにくいと感じたことはありませんか。
災害時には、マスクとパーテーションよりもずっと分厚い壁や屋根、家具といった障害物を超えて救助者に自分が生きていることといる場所を教えなければいけませんが、どんな大声でもうまく届くことはほとんどありません。また、大声を出し続けることでのどを痛めたり、声が出せなくなったりするリスクもあります。
そのため、人の耳に届きやすい音が出せるホイッスルが重要なアイテムになるのです。ホイッスルは普段使いの鍵ケースや首などからぶら下げて、できる限り身に着けるようにしてください。
地震はいきなりやってきますので、揺れ始めてからホイッスルを探そうとすることは無理です。
できるだけ身に着けて、いざというときに使えるようにしておくこと。
ちょっとした災害への備えですが、誰にでもできることです。
今からの準備でも決して遅くはありません。
普段持ち歩くものの中にホイッスルも加えておいてくださいね。
カテゴリー: 地震対策
【活動報告】研修会「ハザードマップの読み方を知ろう」を開催しました
去る1月14日、益田市の市民学習センターにおいて研修会「ハザードマップの読み方を知ろう」を開催しました。
当日は2名の方にご参加いただき、益田市のハザードマップを使って実際にそのマークのあるところではどのような出来事が起きるのかについて、映像を交えながら一つずつ確認し、なぜこんな風に書かれているのかなどについて雑談を交えながら研修しました。
ハザードマップを読むことは災害対策の基本になる部分ですが、表示されている中身が理解できていないと単なるデータの書かれた冊子にしかすぎません。情報が読み取れると、備えなければいけない災害やいざというときの避難経路、そして普段行き来する場所の危険性まで理解できるようになりますから、興味のある方はハザードマップを読む前に最初の凡例をしっかりと読み込んでみてください。
これから先も機会があればまたやってみたいと思っていますので、もし興味がある方がおられたら、またのご参加をお待ちしています。
今回ご参加いただきました皆様に厚くお礼申し上げます。
避難訓練は定番化しない
学校や施設の避難訓練では、だいたい毎年同じような内容が繰り返されていることが多いです。
それだけ重要ということもいえるのですが、内容も完全に同じになってしまうと、それが当たり前になって本番では右往左往することも出てきます。
特に想定シナリオが共有化されている場合には、そのシナリオに従って訓練を実施しないと怒られることもよくあり、変更する手間を考えると、結局毎年同じような訓練になってしまいます。
それを防ぐためには、シナリオは参加者には共有しないことが大切です。
いつ、どのような想定で何が起きるのかまでは共有してもいいと思いますが、具体的な行動については事前に決められているはずですから、シナリオがなくてもそのとおりに行動できると考えておきます。
そうすることによって、落ち着く先がわかりませんので最後まで緊張した状態で訓練を行うことができると思います。
まだ、どうしてもシナリオを共有する必要があるのであれば、その中にサプライズを組み込むことをお勧めします。
例えば、けが人が発生しているや職員の数が不足しているなど、少し意地悪な想定を準備することで、シナリオがあってもかなり緊迫した訓練ができます。
実際のところ、訓練をしっかりすればするほど行動も素早くなって安全も確保されやすくなるのですが、いつも同じ想定だと、異なる条件で本番になったときには相当慌てることになってしまいます。
避難訓練では予定調和は必要ありません。トラブルがなく終わったとしたら、想定になにか大きな問題があったのではないかと考え、訓練を計画していくことをお勧めします。
【終了しました】ワークショップ「マイタイムラインを作ろう」を開催します
来る1月21日10時から益田市民学習センター103会議室で、ワークショップ「マイタイムラインを作ろう」を開催します。
マイタイムラインは、日本語に直すと「私の行動計画」になり、災害時における自分の行動計画をあらかじめ決めておくことで、いざというときに何も考えずに行動できるように準備しておくものです。
マイタイムラインは、よく「私の避難計画」と言われることがありますが、対象は避難だけではありません。
品物の備蓄や確認、ライフラインが寸断された場合の対策などもこのマイタイムラインで決めておく必要がありますので、ほとんどすべての人が作っておいたほうがいいものです。
今回は、ハザードマップを確認したうえで、対応しないといけない災害や行動について一つずつ確認をし、自分自身に必要とされる行動計画を実際に作ってみます。
準備の都合上、事前に申し込みをお願いしますので、興味のある方や実際に作ってみたい人、そしてどのように作るのかを知りたい方のお申し込みをお待ちしております。
死なないこと、怪我しないこと
災害時に最も重要なことは死なないこと、そして怪我しないことです。
そのための耐震補強だったり、早めの避難だったり、場合によっては被災地外の遠方への避難ということも考えられるわけです。
ただ、死なないこと、怪我しないことを達成するためには日ごろからの準備がかなり大切になります。
でも、重要度は高いがいつ来るかわからない災害への備えは、大丈夫かもしれないという気持ちにとらわれることが多くてどうしても後回しにしがちです。
優先度を上げるためには、周囲の目などのさまざまな補助が必要になりますので、例えば自治会や自主防災組織、行政などは災害時に余計な手を取られないためにしっかりと手助けをしていくことが大切です。
自治会や自主防災組織であれば、家具の固定方法や実際に各家庭を回って一緒に対策をする、行政であれば耐震補強や耐震診断に対して信頼できる業者の紹介や対策にかかる経費の補助など、その気になれば簡単にできることがたくさんありますので、対策が必要だということから一歩踏み出し、対策を実際にやろうというところにまでなってほしいと思います。
最終的に自分の身を守るのは自分しかありませんが、自分の身を守るためのいろいろな対策の手伝いは誰にでもできます。
災害時に死んだり怪我したりする人が増えると、消防や警察、自衛隊や行政といった専門的な活動をする部分に負担がかかり、対応が遅れたり対応できないことも起こりえます。
不幸にして死んだり怪我したりする人を0にすることはできないかもしれませんが、対策を講じることで0に近づけることはできますので、お互いが助かるような手立てを考え、実際に行動して、いざというときに死なない、怪我しないようにしていきましょう。
ペンダントライトは固定する
天井からつるしている照明のことをペンダントライトといいますが、地震の際にはこれが揺れて当たって壊れて破片が室内に四散することがよく起こります。
最近は蛍光灯からLEDに代わってきているので以前ほどではないと思いますが、それでも天井近くから破片が散ると、部屋中の床に割れたものが散らかって歩くのに危険になります。
本当はペンダントは天井直付けタイプの照明、あるいは壁に埋め込み式の間接照明に変更したほうが安心なのですが、もしも難しいようなら、ペンダントライトの傘をテグスなどで固定して動かないようにしてしまいましょう。物理的に動かなければものに当たることがありませんのでペンダントライトの傘が割れることもありません。
動かないように、最低でも4か所、十字になるようにテグスを取り付け、天井に固定することで、ある程度の安全を確保することができます。
当研究所所長の家でも、古い寝室の照明を取り換えたことがありましたが、照明用コンセントの形状が新しいものなら取り換えも簡単にできます。
予算や手間の問題はありますが、落下物で怪我しないように、できる限り天井の照明が動かないような対策をしておくようにしましょう。
余談ですが、直管型蛍光灯を使っているような事務所や倉庫の場合には、飛散防止フィルムが巻いているものか、飛散防止用のケールが売られていますので、そういったものを使って、地震の際に割れて飛散しないような対策をしておいてください。
【終了しました】研修会「ハザードマップの読み方を知ろう」を開催します。
あなたは自分がいる場所が、どのような災害時にどのような危険があるのか知っていますか。
簡易的にそれがわかるのが、市町村が作成しているハザードマップです。
このハザードマップ、きちんと内容が理解できると非常に効果的に自分の安全確保ができるのですが、残念ながら配るだけで読み方の説明がきちんとされていないので、ちゃんと読まれていないことが多いようです。
今回は、危険や避難判断の基本となるこのハザードマップの読み方についてやってみたいと思っています。
「ハザードマップってなんだ」という方から「この部分はどう読めばいいのか」など、初歩の部分からちょっとマニアックな話まで、ハザードマップを見ながら一緒に学んでみたいと思っています。
準備の都合がありますので、できれば事前申し込みをお願いします。
興味のある方のご参加をお待ちしております。
家具の固定の考え方
地震に備えて行う対策の一つに家具の固定があります。
家具が倒れてけがをしないために行うのですが、激しい揺れになると、いくら固定していても固定部分が外れて倒れてくる可能性はあります。
だからといって家具の固定をしないのは本末転倒ですが、この家具の固定は最初の大きな揺れで家具が倒れることを防ぐのが一番の目的だと考えてください。
一番最初の揺れが一番大きな力がかかりますので、そこで家具が倒れなければ、家具が倒れてこない場所まで逃げるだけの時間を稼ぐことができます。
なので、家具の固定の考え方としては、
1.いる時間の長い部屋にはできる限り家具を置かない
2.家具を置くなら座っているときの肩の高さ以下のものにする
3.家具の広い向きは倒れた時に扉の開閉を妨げない場所にする
4.固定具は複数使う
ということになります。
特に台所などは食器棚や冷蔵庫など、重量があって大きく倒れやすいものが多いですので、家具は必ず固定して、台所から逃げるための時間を稼げるようにしてください。
繰り返しますが、家具の固定は家具が倒れないようにするためではなく、家具が倒れてくるまでの時間稼ぎのために行うものです。
もちろん固定した結果倒れなくなるのが一番いいのですが、固定しても「倒れてくるかもしれない」と考えて倒れるまでの時間稼ぎ、そして倒れても出入口を封鎖しない配置を考えるようにしてください。
プロがすること、アマチュアでもできること
大災害時にはなかなか救援は来ない、というのが多くの人の認識になってきているのではないかと思います。
それに備えて、個人や企業に始まって、自治会や自主防災組織、消防や警察、自衛隊などのさまざまな組織が訓練やシミュレートなどをしているわけですが、訓練を見ていてちょっと違うんではないかと思うことがあります。
もちろん、さまざまな想定に備えて準備することは大切ですし、できる限り訓練しておくことはとても大切です。
ただ、個人レベルやアマチュア集団がいくら頑張ってもプロには勝てないという分野が厳然と存在しているので、そういった分野では、アマチュアはどうやってうまくプロに引き継ぐかという視点で訓練をしたほうが効率的なのではないかと考えることがあります。
例えば、倒壊家屋からの救助訓練。よくマスメディアで警察や消防が訓練したことが報道されていますが、同じような訓練を個人や自治会、自主防災組織がやることはあまり意味がないと思います。
個人や自治会、自主防災組織が考えるべきはいかに倒壊家屋を出さないかという部分の実践や普及、啓発活動であり、倒壊することが前提というのは本末転倒なのではないでしょうか。
同じように、応急処置もそうです。専門家に届けるまでに命をつなぐために行うのが応急処置であり、そこで専門的な処置まで行う必要性はありませんし、知識だけの素人が手を出すと悪化してしまう場合も多々あります。
アマチュアが持つべきは、発生することが予測される被害をいかに少なくするかという事前の対策の徹底と、発生した被害をそれ以上拡大させずにプロに引き継げるかという部分をどうするかという視点です。
自主防災組織設立の発端となった阪神淡路大震災で、建物倒壊により即死しなかった人たちの多くが地域の人に助けられたということは事実です。
ただ、その当時は消防団がしっかりと機能していたことや地域コミュニティがきちんと確立していたこと、そして例えば家の構造や住人の行動、周りの資機材の存在をある程度地域の人が知っていたことが救助ができた根本部分にあります。
当時できたからといって、高齢化が進み、人の交流が途切れがちな現在で同じことができるとは思えません。
同じことをやろうとするなら、まずやるべきなのは地域コミュニティ、つまり顔のわかる関係を取り戻すこと。そして、地域に住み、地域で仕事をしてくれる若い人を増やすことです。そして、自分たちでできることとできないことの線引きをしっかりと確認しておくことが求められます。
自分たちでできることは日ごろからきちんとこなしておくことで、プロの仕事がしやすいようにしておくことが、災害対策のプロ以外のすべての人、つまりアマチュアがやるべきことなのではないでしょうか。
自分の安全を確保する
災害時に最優先すべきはあなたの命であることは昨日書きました。
災害が起きると、なぜか人の心配や災害後の生活の心配をしてしまう人が殆どですが、あなたの命が危険でないという保証はありません。
災害が起きたら、最初はあなたの安全確保が最優先です。
周辺の状況を確認してあなたの安全確保ができてから、はじめて他の心配をしてください。
そして、安全確保は災害が収まるまでは最優先であることが続きます。
一度安全が確認されたとしても、その安全が続くとは限りません。常に周囲の状況は確認しておく必要があります。
多くの人は無意識に自分は死なないと思っています。その前提で、他のことを心配してしまうのですが、自分が死ぬかもしれないという想定をもって行動するようにしてください。