防災訓練などでは、高齢者を始めとする要配慮者は自主防災組織などがお迎えに出かけて避難させることがよくあります。
ただ、毎回の訓練でそれを毎回やってしまうと、要配慮者の方は「迎えに来るまで待っていればいい」といった判断をしてしまい、津波などに対する避難が間に合わないことが発生します。
避難に支援がいる方々ですから、急いで避難させるためにはどうしてもそういった行動になってしまうのですが、緊急時に迎えが来ず、いつまでも自宅にいると危険な場合も想定しておく必要があります。
ご本人が判断に迷うような場合もありますので一概には言えないのですが、そういった場合には、ご近所の方が危険が迫っていることだけでも知らせるような仕掛けを作っておいた方がいいでしょう。
もっとも、危険が迫ってくることを知らせると、なし崩しにその人の避難支援を行うことになる場合が想定されますので、最終的には非常時に備えて自主防災組織だけでなく、普段地域に在住している人たちもそういった支援を行えるようにしておく必要があるかもしれませんね。
そして、避難訓練では災害発生のタイミングや避難行動開始をすべて主催者が説明してしまうこともよくあります。
時間内に終わらせようとするとどうしてもそうなってしまうのですが、本番では誰も避難開始など教えてくれませんから、何が起きたら避難を開始するのかについて「行動するための鍵」を自分の中で決めておくことが大切です。
言うまでもありませんが、自分の命を守るための行動は自分が主体的にとらなければ誰も助けてはくれません。
そういう意味では、要配慮者の方であってもできる範囲での行動はやってもらったほうが安心です。
訓練のための訓練ではなく、本番の状況に合わせた訓練も、慣れてくるとやってみたほうがよいですし、発生する災害の想定も変えてみる必要があります。
その避難所が、想定されるすべての災害に対して安全だとは言えないのです。
避難する人は、自分の命は自分で守るという心構えを持って、行動をしていきたいですね。
カテゴリー: 地形情報
地震に備える
昨日トルコで大きな地震が二連続で起きたようで、大勢の方ががれきの下敷きになっているようです。現地では救助活動が続いているようですが、一人でも多くの方が助かることを願っています。
あまり知られていないようですが、実はトルコも日本と同じように周囲を複数の大陸プレートで押し合っている地震の多い地域です。
ただ、あまり耐震化は進んでいないようで、ひどい地震になると建物が崩れてしまう状況があります。
耐震化が進んでいる日本ですが、同じ規模の地震が起きたら、恐らく同じように倒壊する建物が多いのではないでしょうか。
特に昭和の高度成長期に建てられた家屋は柱の大きさに比べて屋根が重い構造になっているものが多いので、衝撃や揺れで柱が重さを支えきれずに折れたり倒れたりしてしまうようです。
家具などの地震対策をしていても、肝心の建物が耐震化されていない場合には、家具もろともつぶれてしまう可能性がありますので、建物が地震に耐えられるのかどうか、市町村が行っている耐震診断で確認してみてください。
もしも耐震性がない場合には、いざというときにすぐ動けない場所、寝るところと、お風呂、そしてトイレだけでも地震に耐えられるようにしておきましょう。
中にいる人がすぐに動くことができる店舗などでは、脱出路を確保したうえで揺れたら外へ逃げるというのも手です。ただし、外の安全が担保されているという条件になるのでご注意ください。例えば、その店舗の屋根が瓦だったりする場合には、屋根から落ちてくる危険性があるので対策が必要となります。
地震は発生するまでにどれくらいの手を打てているかが勝負です。
地震が起きた時には、それまでの準備で勝負がつきます。そして、地震は起きないと思っていても、日本という地域の特性上、地震はどこでも起こりえます。
地震への備えは、内閣府防災をはじめさまざまなウェブサイトで紹介されていますので、自分の備えがどうなっているのか、そしていざというときに命を守り、生き残ることができるのかをしっかりと確認しておいてください。
どんな備えがいるのかを知っておこう
日本に住んでいる限り、災害が起きると大小はありますが、自分の生活に影響を受ける人がほとんどだと思います。
例えば、低地にお住いであれば大雨や洪水に備えておかないといけませんし、山の周囲にお住いであればがけ崩れや地すべりに気を付けておく必要があります。
また、直接なんの影響もない場所に住んでいる人でも、災害によるライフラインや道路などの寸断による影響は必ず出てきます。
どのような災害でどのような影響が出るのかは、過去の例や予測、推測するしかない部分もありますが、影響を受ける災害を認識することが災害に備えることの第一歩になるとおもいます。
ハザードマップや過去の伝承などを参考に、あなたがいる場所にはどのような災害が起きる危険性があって、どのような備えが必要なのかを確認し、そのうえで災害対策を進めるようにしてください。
【終了しました】研修会「ハザードマップの読み方を知ろう」を開催します。
あなたは自分がいる場所が、どのような災害時にどのような危険があるのか知っていますか。
簡易的にそれがわかるのが、市町村が作成しているハザードマップです。
このハザードマップ、きちんと内容が理解できると非常に効果的に自分の安全確保ができるのですが、残念ながら配るだけで読み方の説明がきちんとされていないので、ちゃんと読まれていないことが多いようです。
今回は、危険や避難判断の基本となるこのハザードマップの読み方についてやってみたいと思っています。
「ハザードマップってなんだ」という方から「この部分はどう読めばいいのか」など、初歩の部分からちょっとマニアックな話まで、ハザードマップを見ながら一緒に学んでみたいと思っています。
準備の都合がありますので、できれば事前申し込みをお願いします。
興味のある方のご参加をお待ちしております。
がけ崩れの怖さ
年末になって、がけ崩れに巻き込まれてたくさんの家が土砂の下敷きになったというニュースが入ってきました。
なぜこうなったのかは今後の検証を待たないといけませんし、連絡のつかない方が無事であることを願うばかりですが、がけ崩れは土砂災害の中ではいつ起きるのかが把握しにくいもので、実際にいつ起きても不思議ではないものです。
報道によると、現地は土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンに設定されていた場所だそうで、周辺の人によるとがけ崩れの起きた山からは水が出ているという話もあったようです。
土砂災害では予兆のある場合が多いですが、その中でもがけ崩れは本当にちょっとした変化が予兆であることが多いようです。
土砂災害の予兆について事例としてまとめたものを載せておきますので、崩れるかもしれないなという場所にお住いの方は、一度点検をしてみてください。
山形県鶴岡市で土砂崩れ、約10棟が被害か 高齢の夫婦と連絡とれず(Yahoo!ニュースのウェブサイトへ移動します)
JPCZってなんだろう
ここのところ気象情報でJPCZ(ジェイピーシーゼット)という言葉が頻繁にでてきています。
このJPCZ、日本語にすると日本海寒帯気団収束帯(Japan-sea Polar air mass Convergence Zone)となるのですが、日本語にしても意味がよくわからないと思います。
気象用語なのですが、簡単に書くと、冬の日本海側の東北から山陰にかけて大雪が降るような状態と考えてください。
大陸から吹く冷たい風が、朝鮮半島北部にある長白山脈で南北の二手にわかれ、日本海で再びぶつかるのですが、その際、日本海で暖かな水蒸気を吸収して大きな積乱雲が発生します。
その積乱雲がほぼ同じような場所を通過していくため、その場所で大雪が降ることになります。
天気図で見ると、西高東低の冬型の気圧配置で、等圧線が「く」の字状になっている部分、ここに発生します。
そのような天気図を見たら、早めの雪対策をとるようにしてください。
冬型の気圧配置(気象庁のウェブサイトへ移動します)
【お知らせ】1月開催のイベントのご案内
石西防災研究所では、1月に一般向けワンコイン研修会を2回開催します。
1回目は1月14日で、「ハザードマップの読み方を知ろう」。
これはハザードマップに書かれている情報はどのようなものがあるのかということに始まるハザードマップの見方の研修会です。
2回目は1月24日で、「マイタイムラインを作ろう」。
これはハザードマップを読める人向きの研修会で、ハザードマップを元に、自分が置かれた状況や環境からどのような行動をすべきなのかについて時系列に整理し、それを行動計画書、防災ではマイタイムラインといわれるものですが、それを作って行動手順をみてわかるようにしていきます。
どちらも災害への備えに対して有効な研修会ですので、興味があって都合のつく方はぜひご参加ください。
参加費は500円/人。
いずれも準備の都合上事前申し込みをお願いします。
詳細は付属のチラシをご覧いただくか、事務局までお問い合わせください。
ハザードマップが読めますか
市町村などが作っているハザードマップですが、完成したり改訂があると、多くの場合は各家庭に配られているようです。
ただ、その中身の説明がないために、次の資源回収日には大量に出されているケースもあるとか。
本来なら災害から身を守るために作られたはずのハザードマップがただの資源になってしまっているのは、ようするに見方がわからないからです。
見方さえわかれば結構役に立つのですが、配られているハザードマップに書かれている解説を読んでも、よくわからないという方が多いのではないでしょうか。
研修会などで説明すると「ああそういう意味なのか」と言ってもらえることも多いのですが、わからないから資源にされているのです。
また、中途半端に細かいサイズになっているため、かなり使いにくいものも多いです。見やすいだろうと思って冊子にしていても、実際には非常に使いにくくわかりにくくなってしまっている残念なケースもよくあります。
見方さえわかれば、あとは更新されても改訂されても大きく表示方法が変更されることもないですから、見方をしっかりと周知してほしいと思います。
見方と用語。
これがきちんと理解できるような機会の提供が少ないような気がするので、結果として理解が進まないという状態が続いている気がします。
せっかく大金をかけて作ったハザードマップです。
しっかりとハザードマップが役立つような、そういった心配りがいるのかなと感じています。
交通規制に気を付けて
寒くなりました。
雪が降っているところもあるようですが、車をお持ちの方はスタッドレスタイヤをきちんと履いて、安全運転で移動をお願いします。
よく「四輪駆動車だから問題ない」とノーマルタイヤで雪道に突っ込む方がいらっしゃいますが、いくら四輪駆動でも、道路と接しているのはタイヤです。
四輪駆動でも前輪駆動でも、ノーマルタイヤだと駆動形式に関係なく滑ってしまいますので、雪道は必ずスタッドレスタイヤ、またはタイヤチェーンを履くようにしてください。
ところで、冬タイヤ規制は雪の降る場所では普通に行われていますが、今年も大雪で車が動けなくなるような場所ではそれに加えてチェーン規制が行われます。
チェーン規制が該当する区間を走る人は、スタッドレスタイヤに加えてチェーンも持参するようにしてください。
チェーン規制の区間や使えるチェーンの種類など詳しくは国土交通省のウェブサイト内にある「チェーン規制Q&A」をご確認ください。
チェーン規制Q&A(国土交通省のウェブサイトへ移動します)
揺れやすい地形、揺れにくい地形を知る
地震では震源から同じ距離であっても同じ震度や同じ揺れになるわけではありません。
揺れを拾いやすい地形だとより揺れますし、逆に揺れにくい地形だとほとんど揺れません。
揺れを拾いやすい地形は、俗にいう「軟弱地盤」と言われるような場所で、硬い岩盤の上に柔らかな地盤が乗っているため、本来の揺れ以上に揺れてしまいます。
そのため、震源から離れていても、建物が倒壊したり大きな被害が発生します。
建物の構造自身がよく問題になりますが、実は建物の構造よりも建物が乗っている地盤の状態のほうが、地震に対して大きな問題となるのです。
1995年に神戸や淡路島が大きな被害を受けた阪神淡路大震災や2004年に新潟県の中越地方が大きな被害を受けた新潟県中越地震では、この地盤の脆弱性が建物の倒壊を増やしてしまったと言われています。
では、地盤の柔らかさや固さはどうやって調べればいいのでしょうか。
実際には専門家に地盤調査をしてもらうのが一番ですが、おおざっぱに見るのであれば、「地震ハザードカルテ」というものがあります。
これは全国を250mのメッシュで区切って、揺れやすい場所や揺れにくい場所の診断をするもので、大まかな参考になると思います。
さまざまなところで言われているところですが、地震は起きた時には勝負がついています。
建物の倒壊や半壊といった被害を防ぐには、こういった地味な調査も重要になってきますので、よかったら参考にしてみてください。
地震ハザードステーション(防災科学技術研究所のウェブサイトへ移動します)