【終了しました】防災マップ作成会を開催します

 毎年当研究所が行っている小学生向けの防災マップ作成会を開催します。
 期日は9月25日10時~12時。場所は高津地区です。
 今回は損保協会様のぼうさい探検隊マップコンクールからタブレット端末をお借りしてデジタルマップによる防災マップ作成をやりたいと考えています。
 集合場所や具体的な防災マップ作成エリアなど、詳しい内容につきましては、当研究所メールからお問い合わせ下さい。
 また、見学についても若干名ですが受け入れ可能です。
 興味のある方のご参加もお待ちしております。
 なお、今回作成したマップは損保協会様主催のぼうさい探検隊マップコンクールに応募することになりますので、ご了承いただければと思います。
 それから、防災マップを作ってみたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、そのお手伝いもできると思いますので、ご連絡いただければ幸いです。

台風について考える

 例年ほどのペースではないようですが、台風14号が週末に日本にやってくるような気配です。あなたの備えは大丈夫ですか。
 以前に比べると台風の動きが予測しづらくなっているのですが、今回は台風についての基礎知識をおさらいしてみたいと思います。

1.台風ってなんだ?

 台風とは東経180度より西側の北西太平洋、または南シナ海で発生した低気圧の最大風速が17m/s以上のものを指します。
 高い海水温で発生する上昇気流によってできたたくさんの積乱雲が渦状になって中心部の気圧が下がってくると熱帯低気圧になるのですが、これがそのまま海面からの水蒸気をエネルギーとして勢力が強くなっていくと台風になります。
 移動していく際に段々とエネルギーを失って勢力を落としていくのですが、海水温が高いと得られるエネルギーが大きいため、勢力を落とさないまま日本にやってくることになります。

2.台風の強さ

 台風は巨大な渦巻きになっていて上空から見ると反時計回りに回転しています。これは地球の自転とコリオリの力によるもので、北半球では反時計回り、南半球では時計回りに回転が作られます。
 台風の場合は、進行方向に向かって右側は台風の風と台風を移動させる風の相乗効果で左側よりも風が強くなります。
 また、暖かく湿った空気を吸い上げるのも右側になりますので、台風の雨雲から降る雨についても右側が強いことになります。
 上空から見て左側は、台風の回転と進路が逆になるため風が弱まり、北からの冷たい空気を吸い上げるため雨雲も発達しにくいため、右半分と左半分では右半分の法が勢力が強いということになります。


 ただ、左側は安全というわけではありませんので、台風の進路に入っている場合には準備や警戒が必要であることには代わりありません。
 台風の大きさや強さは以下の表のとおりになります。

3.台風の動き

 台風は台風自身の風と偏西風、貿易風などの風によってその進路を変えていきます。
 北緯30度くらいまでは貿易風の影響で北西に移動していきますが、北緯30度より北にくると、今度は偏西風の影響を受けて北東に進路を変えます。
 今年は偏西風が朝鮮半島の上あたりにいるため、それに流されて台風14号が大陸から日本に向かって移動して来る予想が出されています。
 台風が迷走するときには、防衛風や偏西風の吹き方がいつもの年と異なっていたり弱かったりするために発生する現象です。

4.台風対策

 台風対策は風対策と雨対策です。
 瓦や雨樋、家の周辺のものが飛ばないように収納したり固定したりすることと、雨台風の可能性がある場合には早めに安全な場所へ避難すること。
 この二つに気をつけることでかなりの被害を抑えることができると思います。

夜に避難訓練してみよう

 避難訓練というと日中の条件のよいときに行うことが殆どです。
 避難とはどのようなものかを体験してもらい、事故が起きないようにするためにはそうするしかないのですが、毎回同じ条件だと慣れっこになってしまうものです。
 災害は夜中に起きることがありますから、条件を変えてみることも兼ねて、一度夜間に避難訓練してみることをお勧めします。
 もちろん快晴の時で構いません。月明かりや星空の下、自分たちが決めている避難先まで移動してみるのです。
 平時は防犯灯がついていますのでそこまで危険でもありませんし、夜道を歩く練習にもなります。
 実際にやってみると、普段歩き慣れている道でも、夜歩くとまた違った表情を見ることができて意外な発見があったりします。
 これから秋。涼しく歩ける季節になります。
 避難が必要な場所にいる方は、一度やってみてはいかがでしょうか。

避難判断は自分で決めておく

 大雨や台風であちこちで浸水や土砂災害の被害が起きています。
 被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復旧復興を願っております。
 普段であれば災害支援ボランティアとして出動するところですが、昨今のコロナ禍でそういうわけにもいかず、ただ願うだけとなってしまっているのが少しだけ歯がゆいところがあります。
 ところで、災害が起きると毎回問題にされるのが行政からの避難指示です。
 マスコミ報道やSNSで「避難指示が早い、遅い、出ない、出ても何も無かった」と、自治体が何をしても叩かれてしまっている現状を見て、なぜ自治体が避難を判断しないと個人が避難しなくていいと考えられるのか、正直なところ理解に苦しむところがあります。
 避難指示はその地域に住んでいる該当の災害で危険な場所に住む人に対してその場から避難するようにという指示ですが、避難指示が出るまで対象地域で災害が起きないという保障はありません。
 地域という「面」では異常が無くても、あなたの家という「点」では事態が異なっているかもしれないのです。
 言ってしまえば、行政の出す避難レベルがどうあれ、危険かどうかは自分で判断基準を持っておくしかないということです。
 判断基準を作るためには、ハザードマップや過去の伝承、地域の地形や普段の天気での変化など、さまざまなことを知っておかないといけません。また、自治体が避難情報を出すために参考としている気象情報や土砂災害警戒情報、河川情報といった基礎情報は、今はインターネット上で誰でも見ることができますから、情報がないから判断できないという話はできないと思っています。
 逆に、現在は読み込めないくらいさまざまな情報が提供されていますから、その中から自分がどのような状態であれば被災するのか、そして避難しなければいけないのかを考え、そして避難が必要であれば避難開始の鍵をきちんと決めておくことは事前に準備ができることです。
 あなたの命はあなたが守るのです。自治体や町内会が守ってくれるわけではありません。避難するかどうかの判断は、あくまでもあなたの中にあります。
 避難しないのなら避難しないという選択をしても構いません。ただ、災害に巻き込まれたときに「想定外だった」とか「思ってなかった」という台詞が出ないようにしておいて欲しいと思います。

内水氾濫に気をつけよう

内水氾濫で池になった田

 先日の大雨でも、いくつかの場所で内水氾濫が起きていました。
 大雨が降って排水ができなくなり、排水路から溢れた水によって冠水してしまう状態になるのを「内水氾濫」といいますが、最近これが増えてきている気がします。
 河川の水位が上がると排水のための樋門を閉鎖し、河川から水が逆流しないように対策をして、代わりに排水ポンプを使って河川に水を排水していきますが、ポンプの排水量よりも流入量の方が増えて水が溢れ、土地が冠水してしまうことが起きています。
 堤防が切れたりすることにより発生する河川氾濫は外水氾濫と呼ばれて区別されているのですが、住んでいる人から見れば水没している状態に変わりはありません。
 ハザードマップや国土地理院の地図を使うと水の集まりやすい低地はわかりますので、そういった場所に住んでいる人は早めの避難が必要です。
 また、水の通り道は多くの場合決まっていますから、その周囲の人達も早めの避難をしたほうが無難です。
 内水氾濫が起きる条件はあまり変わりませんから、雨量や予想降水量を考えて、道路や家が冠水する前に高いところへ避難しておきましょう。
 また、人間は緊急時でも無意識に普段の行動を取ろうとするものです。
 冠水時に避けるべき道路のアンダーパスや低地を車で走行しようとして動けなくなることも多発していますから、普段から低地を意識してなるべく避ける経路を作っておきたいですね。

水遊びの事故防止のためにできること

 子どもが水遊びするときに起きる事故のうち、おもちゃやサンダル、防止等が流されてそれを取りに行こうとして事故に遭うというケースがあります。
 流されたものが自分のお気に入りということもあるのでしょうが、「流してしまったことが大人にわかると怒られてしまうから」取りに行くということもかなりの高確率で発生しているようです。
 子どもへのライフジャケットの着用は絶対ですが、もしも子どものものが流されたときには諦めて取りに行かない、その場合には怒らないということを水遊びの前に約束しておくと、ひょっとしたら水難事故が減るかもしれません。
 それから、水の流れを考えること。
 川も海も、流れは一定ではありません。渦が巻くところ、流れが速くなる場所、急に深くなるところなど、さまざまな状態があります。
 実はこういった危険な場所は、地形を見るとある程度予測ができます。
 例えば、川の中州では中州の周囲は急に深くなっていたりします。特に砂州ではその傾向が強いので、海岸の遠浅なものを想像すると危険です。
 また、小さな湾のような形状になっている場所では潮の流れが変化していることが多いので簡単に流されてしまいます。
 せっかく遊ぶのですから、そういった危険を知った上で遊びたいものです。
 水遊びの事故防止のためにできることはいろいろとありますが、まずはライフジャケットを準備し、正しく着用するところから始めましょう。浮いていれば、助かる可能性はかなり高くなります。水遊びにはライフジャケット。習慣にしたいですね。

特別警報と警報の違い

 前線停滞により、特定地域に雨が降り続いていて被害が大きくなってきそうな気配ですが、あなたのお住まいの地域ではどのようになっているでしょうか。気になるようでしたら、気象庁のウェブサイトのキキクルを確認してみて欲しいと思います。

キキクル(気象庁のウェブサイトへ移動します)


 当研究所のある島根県のお隣の広島県では大雨特別警報が発令され、最大級の警戒をするように呼びかけられています。
 ところで、この特別警報はどういった意味を持っているのでしょうか。
 警報と何が違うのか。
 今日は気象庁のウェブサイトの記載を元に特別警報と警報の違いを確認しておきたいと思います。

1.「警報」とは

 その地域で重大な災害の起こる恐れのあることを警告するための予報で、各地方気象台がもっている基準を元に発表されるものです。
 そのため、地域によって警報の基準が異なっています。
 暴風、暴風雪、大雨、大雪、高潮や波浪、浸水、洪水などの種類があります。

2.「特別警報」とは

 特別警報とは、その地域の警報の発表基準を遙かに超える大雨や大津波などが予測され、重大な災害が起こる恐れが著しく高まっている場合に発表し、最大級の警戒を呼びかけるものです。
 基準はその地域で数十年に一度起きるかどうかというもので、例えば東日本大震災の大津波や伊勢湾台風の高潮、最近では令和元年に東日本の広範囲で被害を出した台風の大雨などがそれに当たるそうです。
 滅多に起きないがとても危険な状態であることを教えてくれるものと考えればいいと思います。
 大雨、暴風、高潮、波浪、暴風雪、大雪が想定されていて、その中で「大雨特別警報(浸水害)」や「大雨特別警報(土砂災害)」といった風に細分化されています。

 個人的には、警報は「災害が起きる可能性がある」、特別警報は「災害が起きる可能性が高い」といったイメージでいればいいのかなと思っています。
 それにしても、「特別警報」は平成25年に設定され、50年に1回程度起きる規模の異常気象とされているのですが、ここ最近は結構頻繁に耳にするような気がしています。
 原因はいろいろと考えられると思いますが、今までとは違う環境になってきているのかなと考えて、準備だけは怠らないようにしておきたいですね。

台風の風

 今週から来週にかけて、2つの台風が本土を通過するかもしれない予報が出ています。現時点ではさまざまな要因が複雑に絡み合っていて、予報円がものすごく大きくなっているのでこの後どうなるのかはわかりにくいのですが、それでも直撃すると雨風がひどくなるのかなとは思っています。

 ところで、台風は上空から見て右側と左側で強さが異なっていることはご存じですか。
 極端に強さが違うわけではありませんが、左側に比べると右側の方が風雨が強いです。台風の衛星写真を見てみるとわかりますが、中心の目からみて進行方向右側が大きく雲を従えていて、左側はそうでもないことが見て取れると思います。
これは台風の回転が反時計回りになっているため、台風が進む風と台風自身の風が合わさることで左側に比べて勢いが強くなっています。
 また、台風の目の部分は無風地帯であることが知られていますが、目の形がはっきりしているものは勢力が強いです。そして、その目の周囲が最も風の強い場所となっているので注意が必要です。
 最後に、風は狭い場所を通るときに力が強くなります。
 そのため、入り江や谷間、ビルの間といった場所では実際の台風の勢力以上の強風が吹くことがありますので、台風が来ているときにはできるだけそういった場所を避けた方が無難です。
 ここ最近海水温が高い状態で推移していますので、台風も勢力を維持、どうかすると勢力を増しながら本土に近づいてくることも増えました。
 台風シーズンになる前に、屋根や雨樋などの修理、側溝の掃除、家の周りの片付けなどを行って、いざというときに慌てなくて済むようにしておきたいですね。

逃げ道マップを作ろう

当研究所が行っている防災マップづくりの一コマ。実際に地域を歩いて確認するところから始まる。

 災害対策として、地域の危険な場所を洗い出してそこから早めに避難するというのは割と言われるようになってきていますが、避難する道をどうするかということと、その道が安全かどうかの点検までちゃんとできていますか。
 実は同じ避難所に避難するとしても、大雨と地震では避難に使える経路が異なることが殆どです。
 例えば、大雨では低地では無く高い場所を繋いで避難を考える必要がありますし、地震では地面の高さよりも周囲の構造物が壊れたり倒れたりしないことが重要です。
 そういった避難経路の情報というのは、意識しながら実際に歩いてみないとわからないことがたくさんありますので、実際に歩いてみて、逃げるための道、逃げ道マップを作っておく必要があるのです。
 地域の安全点検とあわせて、実際に歩いてみて確認してみること。
 地図上では歩けるはずなのに、道がでこぼこだったり、溝があったり、草に埋もれていたり、急な坂道の連続だったりと、逃げ道を決めるのは案外と大変なことがわかると思います。
 その上で災害の種類に合わせて逃げ道を変更するのは、正直言って大変な作業になります。
 ただ、大きな災害時には避難中に遭難してしまうことがよく起きていますので、それを防ぐためにはこういった作業が必要です。
 危険なくらい暑い時期ですので、日中出歩くわけにはいかないかもしれませんが、早朝や夕方、ご家族や友人と一緒に散歩しながら逃げ道を確認してみるのもよいのではないでしょうか。

【活動報告】二条公民館で防災教室を開催しました。

備蓄品リストを作っているところ。皆さん真剣です。

 去る7月15日、益田市二条公民館の二条公民館お楽しみ教室の一コマとして防災教室を開催させていただきました。
 ご依頼のテーマは「大雨」。
 前半では大雨とハザードマップを使った安全確認について、後半は自分の備蓄という二本立てでやらせていただき、なるべく「参加者の方の場合」という視点で作業ができるようにしてみました。
 平日の夜ということで、皆様お疲れだったのではないかと思いますが、参加者された皆様は非常に熱心に受講され、さまざまなご質問もいただき、講師としては非常に楽しい、あっという間の1時間半でした。
 また、非常食や非常用持ち出し袋の展示もさせていただき、実際に目で見てどのようなものかの確認もしていただけました。
 「段取り7割」という言葉がありますが、災害対策も事前準備があるのとないのではその後の対応にも雲泥の差が出ます。
 誰が聞いても同じ内容の研修なのではなく、地域や人に応じて内容を細かく変え、より災害対策を身近に、自分のものとしてもらえるといいなと思っています。
 今回の防災教室に参加してくださった皆様が災害時に安全に過ごせるように、こころから願っています。
 参加してくださった皆様、そしてお声がけくださった二条公民館の皆様にお礼申し上げます。