避難の場所を考えておく

車内での保管は、クーラーボックスに入れて非常食と飲料水を保存しておくといろいろ便利。

ハザードマップなどに記載されている避難所や避難場所に避難するのに自動車がないと無理、というおうちは多いのではないかと思います。
特に地方に行けば行くほどその傾向が強くなるので、自治体が開設する避難所や避難場所に避難を考えているのであれば、避難レベル3が発表された時点で避難を開始しないと、避難できなくなる可能性が高いです。
でも、あなたの住んでいる場所に災害発生危険箇所、いわゆるハザードがないのであれば、家にいた方が安全です。
また、遠くにいかなくても、近くに安全な場所がないかを確認しておいて、いざというときにはそこへ避難するのもいいと思います。
避難するための施設がなければ、その安全な場所へ車で移動して、車で過ごしてもいいと思います。
車を避難施設と考えて、車の中に防災グッズを載せておけば、避難先でも安心して過ごすことができると思います。

避難判断は自分で決めておく

 大雨や台風であちこちで浸水や土砂災害の被害が起きています。
 被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復旧復興を願っております。
 普段であれば災害支援ボランティアとして出動するところですが、昨今のコロナ禍でそういうわけにもいかず、ただ願うだけとなってしまっているのが少しだけ歯がゆいところがあります。
 ところで、災害が起きると毎回問題にされるのが行政からの避難指示です。
 マスコミ報道やSNSで「避難指示が早い、遅い、出ない、出ても何も無かった」と、自治体が何をしても叩かれてしまっている現状を見て、なぜ自治体が避難を判断しないと個人が避難しなくていいと考えられるのか、正直なところ理解に苦しむところがあります。
 避難指示はその地域に住んでいる該当の災害で危険な場所に住む人に対してその場から避難するようにという指示ですが、避難指示が出るまで対象地域で災害が起きないという保障はありません。
 地域という「面」では異常が無くても、あなたの家という「点」では事態が異なっているかもしれないのです。
 言ってしまえば、行政の出す避難レベルがどうあれ、危険かどうかは自分で判断基準を持っておくしかないということです。
 判断基準を作るためには、ハザードマップや過去の伝承、地域の地形や普段の天気での変化など、さまざまなことを知っておかないといけません。また、自治体が避難情報を出すために参考としている気象情報や土砂災害警戒情報、河川情報といった基礎情報は、今はインターネット上で誰でも見ることができますから、情報がないから判断できないという話はできないと思っています。
 逆に、現在は読み込めないくらいさまざまな情報が提供されていますから、その中から自分がどのような状態であれば被災するのか、そして避難しなければいけないのかを考え、そして避難が必要であれば避難開始の鍵をきちんと決めておくことは事前に準備ができることです。
 あなたの命はあなたが守るのです。自治体や町内会が守ってくれるわけではありません。避難するかどうかの判断は、あくまでもあなたの中にあります。
 避難しないのなら避難しないという選択をしても構いません。ただ、災害に巻き込まれたときに「想定外だった」とか「思ってなかった」という台詞が出ないようにしておいて欲しいと思います。

大雨警報の基準を確認しておこう

 そろそろ大雨に備えて準備をしておいても良い頃かもしれませんが、あなたの大雨対策は大丈夫ですか。
 大雨で行動を判断する一つの基準として、大雨時の警報があります。
 今日はこの大雨警報の基準を確認しておきたいと思います。

 

毎回書くことではありますが、自治体はどうしても地域を面で見ているので、点であるあなたの居場所がどうなのかは、自分の目で見て判断するしかありません。
 大雨では、気象庁が発信している情報や都道府県などが発表する土砂災害警戒情報などを元に地元自治体が避難の判断について発表をしていますので、見方を変えると判断に必要な同じ情報を自分でも得ることができると言えます。
 自分のいる場所の災害特性をしっかりと知った上で、気象庁や都道府県の基礎情報を見ることで、もしかすると地元自治体よりも早く行動を起こすことができるかもしれませんから、情報を得られる環境であるならば、天気がおかしいと感じたときに積極的に情報を調べるようにしてください。
 そのちょっとした行動が、あなたや家族、周りの人の命を救うことになります。
 とりあえずは大雨の基準を確認しておいて、いざというときの行動について再確認しておいてくださいね。

二つの避難

 災害時における「避難」という言葉には二つの定義があります。
 一つ目は、発生した災害から身を守るための「避難」。これは「一時避難所」「避難場所」「避難所」が該当します。
 ただ、万能なものは殆ど無いのが実情なので、対応している災害によって行き先を使い分ける必要があります。
 二つ目は生活環境を維持するための「避難」。これは災害後、何らかの事情により自宅が使えなくなっている場合に行う避難で、対応しているのは「避難所」のみです。
 「一時避難所」や「避難場所」は災害が収まるまでの仮の避難先ですので、生活環境を維持するための避難は「避難所」に移動する必要があるのですが、大規模災害だと避難所に収容しきれないために、しばらくの間は一時避難所や避難場所、避難所の区別無く避難者が鈴なりというになってしまいます。
 それでも状況が整理されてくると避難所への移動を順次行っていき、一時避難所や避難場所は本来の業務を再開していくことになります。
 この二つの避難がごっちゃになっているので、避難者が避難所へ移動する場合にいろいろな騒動が起きることになり、避難者も行政も施設管理者も振り回されてしまいます。
 命を守るための避難と、命を繋ぐための避難。
 何も起きていない通常期にこの避難の違いを理解して、スムーズに避難ができるようにしたいものです。

雷にご用心

 ゴロゴロという雷の音と入道雲。夏の風物詩ですが、最近では夏以外でも見かけることが起きるようになりました。
 ゴールデンウィーク期間中でも、山に登っていた人が稜線で雷に打たれて亡くなるという事故が起きています。
 どのようにすれば雷を避けることができるのか、今回はそれを考えてみたいと思います。

1.雷の仕組み

 雷が空中放電現象だということは知られているところですが、瞬間的に数億ボルトという強力な電気が流れるものですから人に直撃すると死んでしまいます。
 ただ、電気ですから電流が流れやすいところを流れていくという特性があります。そのため、人間の身長よりも高い位置に人間よりも電気を通しやすい物質があれば、そちらへ誘導されますので、建物や車の中にいるととりあえずは安全ということになります。
 詳しいことはウィキペディアの「落雷」の項を参考にしてください。

2.いつまでに逃げればいい?

 一番良いのは気象庁が「雷注意報」を発令しているときには広い公園や海などには出かけないことです。
 AMラジオで番組を流しているときに大きく短く番組が途切れるような雑音が入るときには雷が近づいている証拠ですので急いで屋内へ避難します。
 ただ、ラジオの雑音にはさまざまなものがありますから、一度安全な場所にいるときにAMラジオから聞こえる雷を示す雑音を聞き、知っておくことをお勧めします。
 また、「雷の音が聞こえたら逃げろ」と言われることもありますが、自分の耳で雷の音が聞こえるとしたらすでに落雷を受ける可能性があります。
 遅すぎることはないと思いますが、速やかに安全と思われる場所、例えば建物の中や自動車の中などに逃げるようにしましょう。
 広い公園だと、避難するための場所が指定されていることが多いので、その表示に従って避難します。

万葉公園では避雷案内看板があちらこちらに立っている。

 なお、玄関ポーチや軒下、テントの中などは壁がないため外と同じだと考えて、壁に囲まれた場所へ避難するようにします。
 建物や車の中に逃げ込んだら、絶対に壁やドアといった外部と繋がる部分に手を触れてはいけません。
雷雲は、早ければ10分程度、遅くとも1時間程度で通り過ぎていきますので、音が聞こえなくなるまでは避難場所でじっとしていてください。

3.いくつかの謂われについて

「雷が近づいてきたら金属のものを手放せ」

 これはあまり意味が無いようです。金属のものを手放す暇があるなら、一刻も早く屋内への退避を行ってください。

「長靴や雨合羽を着ていれば大丈夫」

 これは間違いです。長靴や雨合羽はゴムや電気を通しにくい物質なので着ていれば大丈夫ということなのでしょうが、実際のところ完全絶縁体ではなく、落雷の電気の力も非常に大きいため、遮ることのできる以上の電気が流れてしまうために意味がありません。実際、長靴と雨合羽をつけていた人が雷に打たれて亡くなってしまうという事故も起きています。

「避雷針の下は安全」

 うそではありませんが完全に安全であるとも言えません。避雷針の安全圏は避雷針の先端から45度より大きな角度の場所だとされていますが、避雷針を支える柱から4mは離れていないと、「側撃雷」という柱から飛んでくる雷を受けることがあります。また濡れていたりすると避雷針から雷が人体に流れてきますので、濡れていないことが絶対条件になりそうです。

「低い姿勢を取れば安全」

 うそではありませんが、例えば寝そべるような姿勢を取ると、地面に落ちた落雷が体に流れる可能性があります。しゃがんで地面に接している面積をなるべく減らした方が安全だと言えるでしょう。

「雷は高いところから落ちる」

 間違いではありません。ただ、地上から空へ向けてのものや水平に飛ぶものなどもありますので、気をつけることは大切です。

「金属には近づくな」

は基本的には正しい話です。例えば金属柱や金属フェンスなどは雷が落ちやすいのは確かですから、これら金属製の背の高いものからは離れた方が無難です。

 いろいろと書いては見ましたが、ぴんとこない人もいらっしゃると思います。
 一般財団法人電力中央研究所さんがわかりやすく映像で雷のことをまとめていますので、お時間があるときに一度見ておくとよくわかると思います。

(一財)電力中央研究所
雷のふしぎ「1/3」~雷のしくみと威力~

雷のふしぎ「2/3」~雷の性質と身の守り方~

雷のふしぎ「3/3」~雷から家電製品や電力設備を守る~